西海岸サイケは、そこそこブート持ってる。GRATEFUL DEAD、QUICKSILVER MESSENGER SERVICE、COPPERHEAD、ジョン・シポリナ…そしてMOBY GRAPE。
特にMOBY GRAPEに関しては、オリジナル・アルバムよりブートに限る、という持論(?)があり。
コロンビア・レコーズが売り出しに大金をかけたものの裏目ってしまった…というエピソードで知られるMOBY GRAPEだが。
ライヴでの諸々の美点をどうにも上手くスタジオ作に刻むことが出来なかったバンドでもあった、と思う。
最初に買ったオリジナル・アルバムは『WOW』(1968年)だった。
「なんか違う」と思った。
で、最終的にブートばかり聴くようになる。
で、コレは見開き紙ジャケ2枚組、それぞれ違う写真をフィーチュアした2枚の内袋にライナーノーツ完備…なんだけどれっきとした(?)ブートCD。
更に洒落が効いているのはCDのレーベル面で、ディスク1には“PORK MAGIC”、ディスク2には“GRAPE JAMES”と書いてある。
それぞれ、このアルバムのタイトルでもある曲名「Dark Magic」、正規リリースのライヴ盤『GRAPE JAM』にひっかけてあるのは言うまでもない。
1966年12月のAVALON BALLROOMから69年ストーニー・ブルック大学まで、各所のライヴを寄せ集めてある。
更に前身バンドとも言えるPETER & THE WOLVESの65年のライヴも。
実に全31曲。
スキップ・スペンス(ギター、ヴォーカル)、ジェリー・ミラー(ギター、ヴォーカル)、ピーター・ルイス(ギター、ヴォーカル)、ボブ・モズレイ(ベース、ヴォーカル)、ドン・スティーヴンソン(ドラム、ヴォーカル)と5人の名前がクレジットされているが、69年の音源はスキップ脱退後の4人編成だろう。
音質はまちまち。
極上のもあれば苦しいのもある。
あれっ、69年のストーニー・ブルック大学って、ひょっとして前座はSOFT WHITE UNDERBELLYだったかな。
カントリーやブルーズをベースに、3本のギターをフィーチュアしたパワフルで豪快なアンサンブルを聴かせ。
一方で、メンバー全員の出自であるフォークを反映したデリケイトで儚い楽曲も聴かせ。
個人的には、フォーキーなバラード・ナンバーに強く惹かれる。
特に大好きな「I Am Not Willing」は、スタジオで録音されたのはスキップ・スペンス脱退後だが、このブートでは5人時代の1967年の演奏が聴けるのだ。
同じく名バラード「Sitting By The Window」は3ヴァージョンも聴けてお得。
(そんなこと言ってるのは俺だけかもしれんけど)
日本ではあのはっぴいえんどに影響を与えたバンドのひとつとして知られているが、2~3本のギターがスリリングに絡み合う長尺の演奏がTELEVISIONにも大きく影響していたということは、やはりスタジオ作よりもブートを聴いた方がよく伝わる。
(まあ『GRAPE JAM』『LIVE GRAPE』と正規リリースのライヴ盤もあるとはいえ)
このアルバムのディスク2に収録された「Dark Magic Part 1」で聴けるフィードバックのフリーキーさも強烈。
一時期は本当によく聴いた2枚組。
(2025.7.28.改訂)
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