HAWKWIND/HALL OF THE MOUNTAIN GRILL(1974)

画像“今日の旧譜”でやたらと登場してる感じのHAWKWINDだが。
実のところは編集盤が多くて(何枚持ってんだって…)、あとライヴとかシングルとか。
オリジナル・アルバムは『ASTOUNDING SOUNDS, AMAZING MUSIC』(1976年:https://lsdblog.seesaa.net/article/201708article_24.html)しか紹介してなかった。
そしてそれはレミー脱退後のアルバム。
なので、レミー在籍時代のオリジナル・アルバムを紹介するのはコレが初めてのはず。
俺が初めて買ったHAWKWINDのオリジナル・アルバムがコレだったと思う。
札幌の南郷7丁目に今も存在する(と思う。前に札幌で「あっ、まだある」と思ったのがもう8年前だけど)「文教堂書店」で買ったと記憶する。

ディック・ミック(オーディオ・ジェネレーター)が脱退し、代わってサイモン・ハウス(ヴァイオリン、キーボード:元HIGH TIDE~THIRD EAR BAND)が加入。
それによって、一気にサウンドが整理された1枚。
1曲目「Psychedelic Warlords(disappear in smoke)」からサイモンのメロトロンが炸裂し、プログレ度が大幅にアップ。
それでも疾走感が後退しないのは流石のHAWKWINDだった。
大体1974年にもなって“Psychedelic Warlords”なんて曲名を付けるセンスがただ者ではない。

「Psychedelic Warlords」からつながるA面2曲目「Wind Of Change」も、オルガンから始まって荘重なメロトロンが鳴り響く…まさに当時のHAWKWINDに吹き始めた“変化の風”を象徴するような1曲。
で、クレジットを見ると作曲がサイモン・ハウスじゃなくてデイヴ・ブロックなのね。
更にクレジットを見ると、サイモンがキーボードとメロトロンとヴァイオリン、デル・デットマーがキーボードとシンセサイザーとカリンバとなっていて。
デイヴはギターとシンセとオルガンとヴォーカル。
…ってことは、「Wind Of Change」冒頭とラストを飾るオルガンは、サイモンでもデルでもなくデイヴが弾いているということか。
才人というか節操がないというか。

LPのA・B面1曲目にそれぞれ「Psychedelic Warlords(disappear in smoke)」「You'd Better Believe It」というデイヴ・ブロック作のカッコいい曲が配されていて。
特に「You'd Better Believe It」はサイモン・キングのドラムがドカドカ鳴りまくる、従来路線の強力ナンバー。
それにしてもこのバンド、ミもフタもないというか。
『DOREMI FASOL LATIDO』(1972年)の「Space Is Deep」も“宇宙は深いよ大きいよ、嘘もないけどホントもないよ”みたいな感じの歌詞だったけど。
「You'd Better Believe It」も、“銀色の光線に流されて、遥か彼方で俺は知った、人生とは夢であると”(←意訳)みたいな歌詞に続いてレミーが“信じた方がいいぜ!”と叫ぶと、それに続くサビが“言うのは超簡単、言うのは超簡単”って…。
同時期の曲名にも「It's So Easy」があったぐらいで、デイヴは“It's so easy”って言葉が好きだったのかも知れん。

アルバム・タイトルも無茶苦茶。
グリーグの「In The Hall Of The Mountain King」にひっかけてあるのはもちろんだが、“Mountain Grill”というのはメンバーが当時出入りしていたレストランの名前だ。
(いつも仏頂面のギリシャ人が経営していた、まずい飯を出す店…みたいなことを言っていたのは確かミック・ファレンだったと思う)
つまりこのアルバムのジャケット、SF風のカッコいいイラストに“食堂マウンテン・グリルのホール”と書いてあるのだった…。

アルバムは全英16位と、まずまずのヒット。
(この前のライヴ盤『SPACE RITUAL』が9位、この次のスタジオ作『WARRIOR ON THE EDGE OF TIME』は13位)
しかし、レミーをHAWKWINDに引き込んだ張本人ディック・ミックの脱退後、バンド内のスピード常習者はレミー一人となっていた。
その後デル・デットマーも脱退してアラン・パウエル(ドラム:元CHICKEN SHACK)が加入し、レミーはバンド内で孤立の度合いを深めることに。
思えばこのアルバムが、HAWKWIND黄金時代の終わりの始まりだったのかもしれない。
のちにMOTORHEADのレパートリーとなる「Lost Johnny」は、ここで初めて披露されている。


(2025.5.9.改訂)

この記事へのコメント


この記事へのトラックバック