現在配布中のFOLLOW-UPに掲載されているインタヴュー(特にHIROSHIの方)が各方面で話題の(笑)ASYLUM。メジャー・デビューを果たしたビクター時代のアルバム2枚が遂に再発。
どちらも中村宗一郎(PEACE MUSIC)によるリマスター、更にボーナス・トラック2曲ずつ+α…と、元トランスギャルの皆さんにも当時を知らない皆さんにも必聴必携の2枚となった。
『ASYLUM』(画像)
1989年、通算2作目にしてメジャー・デビュー・アルバム。
俺はことある毎にこのアルバムがASYLUMの最高傑作だと言ってきたし、いずれ“今日の旧譜”で取り上げようと思っていたが、その前にめでたく再発となった。
パーソネルはGazelle(ヴォーカル)、HIROSHI(ギター)、Aki(ギター)、有賀正幸(ベース)、Mitsu(ドラム)の5人。
Gazelleの出自であるハードコア由来の激烈さ、彼が愛してやまないVAN DER GRAAF GENERATORをはじめとするプログレの複雑精緻さ…が、融合されることなく継ぎ足されているような音楽。
(「Plastic Clay」なんかはまんまハードコアだ)
ルーツであるTHE BEATLESについては、メロディアスさより実験性を範として取り入れたか。
(いや、そうでもないか…「Out Of My Times」あたりにはやはりBEATLES好きとしてのメロディ志向の片鱗を感じないでもない)
叙情と激情、それぞれの頂点から頂点へと一瞬にして切り替わるヴォーカル。
それらが、HIROSHIのキテレツなギター・リフや有賀の異様なベース・ラインに乗せて放たれる。
リマスターによって、音の分離が更によくなり、左右のチャンネルにきっぱりと分かれた2本のギターの対比もより鮮やかになった。
ボーナス・トラックは2曲ともライヴで、アルバム収録曲「Stained Grass」と未発表曲「U.H.S」。
音質はブートレグ並みながら、この時期はライヴをほとんどやっていないとのことで、貴重な音源。
Gazelle自身による、メジャー・デビューからバンド崩壊に至る経緯を追ったライナーノーツ付き。
『THE PIECE OF THE FOOLS』
1990年、メジャー2作目にして通算では3rdアルバム。
AkiとMitsuが脱退し、ヤマジカズヒデ(ギター)が加入、そしてMitsuが出戻り、『ASYLUM』とはギターの片割れが違うという編成に。
HIROSHIはこのアルバムを「曲がつまらない」と酷評している…。
しかし、実際楽曲単体の魅力では(俺がASYLUMの最高傑作と見ている)『ASYLUM』に軍配が上がるものの、コンセプチュアルなアルバムとしての構築性、そして音響面ではとても素晴らしい。
マイクの立て方に工夫を凝らし、“疑似バイノーラル”を目指したという録音は、オリジナルのCDでもかなりイイ音だった。
今回のリマスターで、更に深みのあるサウンドとなっている。
ギターは『ASYLUM』に較べるとかなり常識的な定位になっていて、『ASYLUM』でHIROSHIが否定していた“2本のギターの絡み合い”はここではナチュラルに(?)実現している気がする。
「When The River Knows Part Ⅰ」ではスライドのような音が聴こえるが、HIROSHIによればスライドは弾いていないとのこと。
前作に較べるとサイケデリックなテイストが増していて、そこも良い。
一方で「On The Cross Road」など、ハードコア色も健在。
ボーナス・トラック2曲はこちらもライヴで、「Godgilla」(「Whe The River Knows Part Ⅰ」の原曲)と「Out Bound」。
Gazelleの28年越し(!)の念願がかない、今回のブックレットにはオリジナル・リリースの時に封入出来なかったアルバムのストーリーが掲載されている。
2枚とも30年近く前のリリースだが…ASYLUM、恐ろしいことに現在進行形で、今この時もこの頃のアルバムを超える作品を作ろうとしているのだった。
『ASYLUM』『THE PIECE OF THE FOOLS』、11日リリース。
14日には高円寺HIGHで再発記念ワンマン・ライヴがあります。
(2025.5.12.改訂)
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