NEU!(1972)

画像NEU!については、以前ライヴ盤(実際にはリハーサルだったという)と3rdアルバム『NEU! 75』(1975年)を紹介しているが。
ここで今更な感じの1stアルバム。
まあホント今更で、音楽的なことはいちいち書くまでもないけどねー。

俺がこのLPを買ったのは1989年のことだったと記憶する。
札幌のU.K.EDISONで。
(5000円くらいしたんじゃなかったかなあ)
もの凄いショックを受けた。
ハード・ロック全盛の72年に、ギターとドラムだけでこんな…歪んだギター・サウンドも派手なソロもシャウトするヴォーカルもなーんにもない、コードの展開すらない、こんな音楽が存在したとは。
(その後CLUSTERを聴いて更にぶったまげるが)
前にも書いたけど、まさにオーパーツみたいなバンドだった、NEU!。

ただ…当時はほとんど何の知識もなく、ただ買って聴いてウハウハしてたんだが。
次第に、なんかおかしいぞと。
音楽雑誌に載ってた『NEU!』のジャケット写真はどれも白黒だったけど、少なくとも俺が持ってるような青いジャケットではなかったのでは。
それに、俺が持ってる青いLP、リリース元がブレイン・レコーズじゃないし。
オリジナル・リリースは1972年だったはずが、レーベル面には73年とクレジットされているし。

いろいろなことがわかったのは、ずっとずっと後になってからだった。
俺が購入した青いジャケットのLPは、なんとアメリカ盤(!)だったのである。
アメリカ盤?
当時のドイツのエクスぺリメンタルなロックのほとんどがワケのわからないギミックばかりだとしてほとんど全く評価されていなかったとかいう70年代に、NEU!のアメリカ盤が…。

青いLPのリリース元であるBILLINGSGATE RECORDSは、1973年のシカゴで、北米で初めてドイツのロックに特化して発足したインディ・レーベルだったのだそうで。
LPの内袋にはBILLINGSGATEの発音記号まで記載されていて、どうやら“ビリングズガト”と読むらしい。
英語に訳すと“Ass Kickin'”だそうな。

内袋には、ビリングズガト・レコーズの契約アーティストとして、NEU!以外にLUCIFER'S FRIEND、EPITAPH、SCORPIONS、FRUMPY、JANE、ELIAS、GURU GURUの名前が記載されている。
SCORPIONSったって、ビリングズガトがリリースしたのは2ndアルバム以降じゃなくて、ダーク・サイケな1stアルバム『LONESOME CROW』(1972年)ですよ…。
あんなのが当時のアメリカで支持されたとは、とても思えない。
JANEとGURU GURUは、結局リリースされなかったとか。
そして正体不明なELIASというのは、どうもGROBSCHNITTのことだったらしい。

ビリングズガトは、結局数年の間に十数枚のリリースを残して潰れたらしい。
70年代前半のアメリカでドイツのロックをリリースするという、ある意味無謀とも言える賭けに敗れて消え去った勇者ビリングズガト、俺がその名前を忘れることはないだろう…。

青くないジャケットの『NEU!』が欲しかった俺は、1994年にジャーマノフォンからブート再発されたCDを喜び勇んで購入。
(コレもなんかヘンな色のジャケットだったよね…)
その後2002年に正規再発CDが国内発売されて、ジャーマノフォン盤を売り払ったのだった。
(ビリングズガト盤のLPはもちろん売らない)
ともあれ青いジャケットだろうがブート再発だろうが正規盤だろうが、とにかくここに収められた音楽がとんでもなく規格外なことに変わりはない。
永遠の名曲「Hallogallo」は、今でも俺のDJ(ライヴの転換とか)で定番となっている。


(2025.5.26.改訂)

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