SHAGRAT/Amanda(1990)

画像スティーヴ“ペレグリン”トゥック(元TYRANNOSAURUS REX)の没後10年を記念してリリースされた、SHAGRAT名義の7inch。
シャグラット・レコーズの最初のリリース。

SHAGRATは、本来ならPINK FAIRIESになるはずだった(?)バンドだ。
THE DEVIANTSを解散したミック・ファレン(ヴォーカル)が元THE ENTIRE SIOUX NATIONのラリー・ウォリス(ギター)とティム・テイラー(ベース)、そしてTYRANNOSAURUS REXをクビになったスティーヴ・トゥック(ドラム)と組んだのが、“最初のPINK FAIRIES”だった。
(PINK FAIRIESという名前は元々DEVIANTSやTHE PRETTY THINGS界隈の連中によるバイカー・チーム及び飲み仲間の名称として存在した)
しかしこの時のPINK FAIRIESは実質的な活動はまったくないままSHAGRATに移行。
結局その名前はPRETTY THINGSを脱退したトゥインクとDEVIANTS残党が組んだ新しいバンドの名称として世に出ることになる。
そしてそっちのPINK FAIRIESはメンバーがぐちゃぐちゃに入れ替わりながら今も続いている。

で、ソロ活動に入った(そしてその後いったん音楽をやめてしまった)ミック・ファレンに代わってスティーヴ・トゥックがフロントマンとなり、元BLACK CAT BONESのフィル・リノア(ドラム)が参加して出来たのがSHAGRAT。
当時の音源はまったく世に出ていなかったが、この7inchを皮切りにぽつぽつとリリースされ、2001年にはキャプテン・トリップ・レコーズからアルバム『LONE STAR』としてまとめられている。
録音を残していたばかりかライヴ活動も一応やっていたようで、1970年7月の「PHUN CITY FESTIVAL」にはスティーヴ・トゥック(ヴォーカル、ベース)、ラリー・ウォリス(ギター)、フィル・リノア(ドラム)の3人でSHAGRATとして出演したという。

この7inchのA面曲「Amanda」は1971年の録音で、ティム・テイラーとフィル・リノアが抜けた後の新編成、スティーヴ・トゥック(ヴォーカル、アコースティック・ギター)、ラリー・ウォリス(ベース)、そしてCHICKEN SHACKのデイヴ・ビドウェル(ここではドラムではなくタンバリンを担当)の3人によるアコースティック・ナンバー。
いわゆるアシッド・フォークだ。
のちに発掘リリースされた「Strange Sister」あたりを聴いても思うが、スティーヴの歌声は超ダウナーながら、メロディ・メイカーとしては意外に才能があったのでは。
(しかもギターもベースもドラムも全部出来たのだこの人)
タイプ的にはTYRANNOSAURUS REXの相棒だったマーク・ボランよりもシド・バレットに近い。
ちなみに「Amanda」というのは当時のスティーヴの彼女だそうで。

B面はスティーヴ・トゥック(ヴォーカル、リズム・ギター)、ラリー・ウォリス(リード・ギター)、ティム・テイラー(ベース)、フィル・リノア(ドラム)の4人で1970年に録音されたエレクトリックな1曲。
こちらはスティーヴが一部で聴かせるシャウト・ヴォーカルといいラリーのラウドなギターといい、完全にへヴィ・ロック。
このバンド、何処を目指していたのだろうか。
しかしこの曲にしても、やっぱりシド・バレット在籍時のPINK FLOYDに近いモノを感じる。

結局SHAGRATも続かず。
ラリー・ウォリスがPINK FAIRIES他で活躍した一方で、ティム・テイラーとフィル・リノアはシーンから消え、SAVOY BROWNやMUNGO JERRYに参加したデイヴ・ビドウェルは1977年にオーヴァードーズで死亡。
スティーヴ・トゥックもSTEVE TOOK'S HORNS他で活動しながら音源を出すこともなく、80年に31歳で亡くなっている。


(2025.7.30.改訂)

この記事へのコメント


この記事へのトラックバック