V.A./VIRGIN SOUND(1975)

VIRGIN SOUND.jpg“今日の旧譜”、記念すべき800枚目。

以前『HARK! SONG OF OLDLAND』(1973年)という英国フォーク/トラッドの日本編集盤を紹介したことがあった。
https://lsdblog.seesaa.net/article/201712article_18.html
こちらは同様に日本編集盤で、これまた同様に当時レコード店向けのプロモーション用として無料配布されたヴァージン・レコーズのサンプラーLP。
(70年代はこういうレコードが各種作られていた)
『HARK! SONG OF OLDLAND』がひょんなことからタダで手に入れた1枚だったのに対して、こちらはバブル時代に確か5500円ぐらいで購入したと記憶する。
冷静に思い返せばあの頃も実のところそんなに金回りが良かったワケではなかったが、そうは言っても今に較べれば遥かに金があり、調子こいてプログレやジャーマン・ロックの廃盤LPをバンバン買っていたモノだった。

副題が“Tender and Progressive Experiment”。
収録されているのはA面にマイク・オールドフィールド、ロバート・ワイアット、TANGERINE DREAM、GONG、HENRY COW、FAUST。
針を落とすと、女性が英語で話すこのアルバムについてのアナウンスメントがあり、それから「Tubular Bells」(シングル・ヴァージョン)が始まる。
そしてB面にはHATFIELD & THE NORTH、COMUS、エドガー・フローゼ、マイク・オールドフィールド。
TANGERINE DREAMとエドガーのソロが両方とも、マイクに至っては3曲も収められていて、当時のこのあたりの人気と注目度が窺われる。
収録曲は1975年当時の最新音源ではないが、いずれも73年リリースだったHENRY COWの『LEGEND』(https://lsdblog.seesaa.net/article/201607article_1812.html)やFAUSTの『Ⅳ』(https://lsdblog.seesaa.net/article/201806article_5.html)あたりはこの頃に初めて国内発売されていたらしい。

ジャケット全体が1枚の紙を貼り合わせずに折り畳んで作られていて、画像で帯のように見える部分も実はジャケットの一部。
帯(のような部分)には“やさしさと未知の体験がいっぱいのニューエイジのポップ。「チューブラー・ベルズ」によって全世界に衝撃を与えたヴァージン・レコードの全カタログのエッセンスを抽出した貴重な総合試聴盤”とある。
裏ジャケットにはSOFT MACHINEからGONG及びMATCHING MOLEに至る人脈、そしてTANGERINE DREAM周辺などのファミリー・ツリーと、当時日本コロムビアから国内発売されていた/この時点で発売予定だったヴァージンのアルバム・ジャケットが16枚掲載され。
ジャケットの内側はライナーノーツとバンドの写真で埋められ、SLAPP HAPPY、デイヴィッド・ベッドフォードといったこの編集盤に収録されていないミュージシャンについての解説や、“ヴァージン・レコードの沿革”“ヴァージン・レコードの目指すもの”、更にマナー・スタジオについての説明(設置されている機材一覧も)などもあって、かなり詳細。
ライナーは間章(出た!)となかむら☆よういちの二人が担当しているが、文章毎のクレジットがないのでどちらがどの部分を書いているのかは不明。
そしてなかむらという人が何者なのかはまったくわからない。
ともあれ相当に気合の入った作り。

このサンプラーが1975年当時どれほど販促に貢献したかは、正直怪しい。
マイク・オールドフィールド『TUBULAR BELLS』のリリースからは既に2年経っていて、このLP発売の2年後にはパンク・ムーヴメント。
せめてもう1年早く出せていれば、という気もする。

当然ながらというか、レアな楽曲などはひとつもない。
11曲で約1時間も収録されているので、音質的にも各バンドのオリジナルLPにはまったく及ばず。
今となっては、音源としてはほぼ無価値と言ってイイ。
このLPそれ自体が単に珍しいという、それだけの代物。
しかし俺がこのアルバムを入手した80年代末にはこの手の音楽の文字情報はかなり乏しく。
(HENRY COWもHATFIELD & THE NORTHも輸入盤LPで買って、周辺情報をほとんど知らずに聴いていた)
同時代の音楽雑誌などとはまったく違う世界を語っているようなライナーノーツを眺めては、一人悦に入っていたモノだった。
あと、実はこのレコードDJで使ったりもした。


記念すべき800枚目がコレでイイのかという気もするが、まあ多分イイのだ。


(2025.10.15.改訂)

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