ジェニア・レイヴァンの新作!
…と言ってもピンとこない人の方が多い気もするが。
本名ジェニューシャ・ゼルコヴィクス。
1945年、ポーランド出身。
60年代初頭にはシェル・タルミーがプロデュースしたガールズ・バンドGOLDIE AND THE GINGERBREADSで、60年代後半から70年代初頭にかけてはブラス・ロック・バンドTEN WHEEL DRIVEで活動。
その後ソロ活動の傍ら、シーンでも珍しい女性プロデューサーとして、DEAD BOYS『YOUNG LOUD AND SNOTTY』(77年)などを手掛け。
ルー・リード『STREET HASTLE』(78年)にもゲスト参加。
(あとBLUE OYSTER CULTもな!)
80年代以降はほとんど名前を見ることもなくなっていたが、プロデューサーとしての活動は続けていて、21世紀になってからシンガーとしても再び活動している様子。
このアルバムはもちろんジェニア・レイヴァン自身がプロデュースしている。
現在率いているバンドはなんとトリプル・ギター編成で、更に元STEELY DANのエリオット・ランドール(ギター)をはじめとする多数のゲストが参加している。
ドラムのボビー・チェンは70年代後半のジェニア・レイヴァンのアルバムでも叩いていた人。
1曲目「Comin Up The Hard Way」がミドルのラテン・ロックっぽい曲で、「ふーむ」と思いながら聴いていたら、続く「Don't Go In The Bathroom」がデトロイト・ロックっぽくハードにドライヴするR&Rで「おお?」となる。
ジェニア・レイヴァンのヴォーカルもこの4月で74歳(!)になったとは思えないパワフルさ。
元JOAN JETT & THE BLACK HEARTSのギタリスト、リッキー・バードとの共作曲「Enough Is Enough」はかつてジェニアがプロデュースしたロニー・スペクターみたいな歌で始まり、THE ROLLING STONES風のR&Rを聴かせる。
「Gypsy Caravan」はちょっとニューオーリンズっぽい。
収録曲はオリジナルとカヴァーが半々で、そのカヴァーがまた興味深い。
ジーン・チャンドラーの60年代ソウル・ナンバー「Fooled You This Time」があるかと思えば、いきなりエルヴィス・コステロ(!)の「Pump It Up」が飛び出したり。
(鋭いギター・ソロはエリオット・ランドールだろう)
メンフィスで70年代に活動していたLARRY RASPBERRY & THE HIGHSTEPPERS(全然知らん…)の「Hard Way Out」はソウル・バラード風。
ハードに畳み掛ける「He Got Me(When He Got His Pants On)」は、KYUSSやQUEENS OF THE STONE AGEのプロデューサーとして知られるクリスチャン・ゴスがやっていたストーナー・バンドMASTERS OF REALITYの「She Got Me(When She Got Her Dress On)」のタイトルと歌詞を変えたモノ。
そしてアルバム終盤はフランキー・ミラー「When I'm Away From You」とHUMBLE PIE「Fool For A Pretty Face」のカヴァーでシメる。
その「Fool For A Pretty Face」、HUMBLE PIEの全盛期ではなく、敢えて1980年の再結成アルバム『ON TO VICTORY』から選曲しているあたりが渋いというかなんというか。
とにかくジェニア・レイヴァンの年齢を感じさせないストロングなヴォーカルに驚かされる。
演奏も全体にずっしりヘヴィで、聴き応えアリ。
ナイスな1枚。
(2025.10.22.改訂)
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