PATTI SMITH AND TELEVISION/WE CAN'T DO ANYMORE...CAUSE I'M JUST TOO TIRED!(2005)

PATTI SMITH AND TELEVISION.jpgパティ・スミスについては以前ブルース・スプリングスティーンとの共演を収録したブートレグ(音質最悪)を、TELEVISIONに関しては解散ライヴを収めたブートと1978年の2ndアルバム『ADVENTURE』を紹介した。
コレはタイトル通り、パティとTELEVISIONのライヴ(それぞれの演奏+共演)を収録した2枚組ブート。
日本製らしい。
この頃のブート業界は既にCD-R中心に移行しつつあったが、コレはプレスのCD。
俺がブートの収集から手を引く、その最後の方に入手したアルバムだった。

音源自体は過去のブートレグから集めたモノらしいが、俺にとっては初めて聴くのがほとんどだった。
クレジットが正しければ、1975年4月17日にCBGBで行なわれたパティ・スミスとTELEVISIONのライヴ(各2回公演)+ボーナス・トラック。

ディスク1は、TELEVISIONとパティ・スミスの1stセットと、TELEVISIONの2ndセットを収録。
まずTELEVISIONの演奏(5曲)から始まる。
1975年4月と言えば、TELEVISIONからリチャード・ヘル(ベース、ヴォーカル)が脱退して、後任にフレッド・スミスを迎えた直後だったはず。
なのでリチャード在籍時のブートレグで聴ける「Blank Generation」は既に演奏されておらず、当時ニューヨークでTELEVISIONを観ていた水上はるこさんが“曖昧”と評したベース・プレイではなく、フレッドの堅実なベースが聴ける。
「Judy」「Poor Circulation」「Breakin' My Heart」(ちょっとTHE VELVET UNDERGROUND「What Goes On」っぽい)といったオリジナル・アルバムに収録されなかった初期レパートリーが聴ける一方で、『ADVENTURE』に収録される「Fox Hole」の原曲「Soldier Boy」(歌詞が違う)が聴けるのも興味深い。
オープニングが解散ライヴと同じ、THE 13th FLOOR ELEVATORS「Fire Engine」カヴァーというのには、このバンドの本質が結局最初から最後まで変わらなかったのだというのを実感。

続いてパティ・スミスのセット(6曲)。
レニー・ケイ(ギター)とリチャード・ソール(ピアノ)による簡素なバッキングで、THE VELVET UNDERGROUND「We're Gonna Have A Real Good Time Together」カヴァーから始まる。
「Space Monkey」「Distant Fingers」「Gloria」の3曲ではTELEVISIONがバックを務めたバンド編成だが、当然ながらパティのアルバムとはかなり違ったノリになっていて興味深い。

ディスク1の最後はTELEVISIONの2ndセット。
こちらは「Marquee Moon」をはじめとする、TELEVISIONの1stアルバム『MARQUEE MOON』(1977年)収録曲+デビュー曲「Little Johnny Jewel」という4曲。
残念ながらここのパートは音があまりよくない。
しかしリチャード・ヘル在籍時のライヴ音源に較べると遥かに安定感のあるどっしりしたアンサンブルの強度は、1stセット以上に実感出来る気がする。

ディスク2の前半はパティ・スミスの2ndセット。
こちらはタイトル不明の未発表曲を含め、ギターとピアノだけをバックに進められる6曲。
当然ながら「Piss Factory」はレコードに近いアレンジで、逆にパティがバンドを従えるようになって以降はこの曲がライヴで演奏されなくなったのも道理と思わされる。

ボーナス・トラックも興味深い。
最後の2曲はパティ・スミスのデビュー・シングルから「Hey Joe」「Piss Factory」を盤起こしで収録したモノ(針音ブチブチ)だが、それ以外の6曲はPATTI SMITH GROUPによる1978年5月12日、サンタモニカのCIVIC CENTERでのライヴから、カヴァー曲だけ(!)を収録したモノ。
THE WHO「The Kids Are Alright」「My Generation」、アーマ・トーマス/THE ROLLING STONES「Time Is On My Side」、ジョン・レノン「It's So Hard」あたりは納得。
(「The Kids Are Alright」「My Generation」「It's So Hard」は基本的にレニー・ケイがリード・ヴォーカル)
ちょっとびっくりしたのはTHE RONETTES「Be My Baby」、もっとびっくりしたのはデビー・ブーン「You Light Up My Life」。
パンク以降のミュージシャンがコケにしていた(はずの)デビー…しかしここでのパティの歌唱がなかなか感動的だったり。
(観客の歓声も凄い)

このブートレグ、今ネットで検索すると500円~10000円台と、値付けに凄いバラつき。
ともあれ俺はこの後ほとんどブートを買わなくなり、現在に至る。


(2025.11.2.改訂)

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