ANVIL@新宿Zirco Tokyo

ANVIL.jpeg8日。
“夢を諦めきれない男たち”ANVILを観てきました。

何度か来日しているANVILだが、俺は初めて。
今回は東京2回公演だけで、初日の7日は吉祥寺CLUB SEATAでのフルスケール・ショウ。
8日のZirco TokyoはDJイヴェント「HEAVY METAL NIGHT」の後にANVILが少し短めのライヴを演るという形。

「HEAVY METAL NIGHT」の途中から入場し、ムラマツヒロキ先生らのDJを楽しむ。
ANVILが出演した“SUPER ROCK 84”にちなんで1984年までの楽曲縛りとのことで、大いに盛り上がっていた。

映画『アンヴィル! 夢を諦めきれない男たち』のおかげでバンドがにわかに注目を集めてから既に10年。
ある種バブリーな(?)人気だったのも落ち着いたか、フロアは程よい感じの客入り。
やはりというか、年齢層は高め。
最年長だったのは、ライヴが始まると最前列に陣取っていた70歳(!)のおばあちゃんだったろう。

ムラマツヒロキのプレイが終わると同時、定刻ほぼジャストに幕が開き、メンバーが登場。
おや、スティーヴ“リップス”クドロー(ヴォーカル、ギター)は?…と思ったら、彼はフロアに降りてギターを弾きまくっているのだった。
ギターのピックアップをマイクの代わりにMCするという、お馴染みの芸(?)も披露。

オープニングのインストゥルメンタル「March Of The Crabs」が終わると、リップスがステージ上から愛嬌たっぷりにあいさつする。
オーディエンスに白髪頭が目立つことを指摘した後、髪の毛のない自分の後頭部をさらしてオトすという自虐的なギャグも(笑)。

何度聴いてもBUDGIE「Breadfan」そっくりなリフに苦笑してしまう「666」に続いて、いきなり「School Love」がプレイされて驚く。
最近のANVILがどんな曲を演っているのか、予習としてYouTubeのライヴ映像をチェックしていたのだが、「School Love」は演奏されていなかったので。
フロアは当然ながら大盛り上がり。
2013年作『HOPE IN HELL』からの「Badass Rock 'n' Roll」、イントロでクリス“クライスト”ロバートソンの短いベース・ソロをフィーチュアした「Winged Assassins」と続く。

ナマで観て改めて気付かされるのは、かつてギター2本の4人編成だったANVILが、現在のトリオでも薄さを感じさせないアンサンブルを聴かせること。
そして、決して歌が上手いとは言えない(というかむしろ下手)なリップスが、63歳の現在でも十分歌えること。
更に、シングル・ヒットなど1曲もないANVILなのに、旧曲中心のベスト・オブ・ベスト的なライヴだと大半が馴染みのある曲ばかりだということ。
改めて、印象的なカッコいいリフの楽曲をたくさん書いていたのだな、と。

MCでレミーやブライアン・ロバートソンとの思い出(ブライアンがいかにどうしようもない大酒飲みだったか、とか)を語りつつ、リップスによるレミーの物真似がもの凄く似ていて笑う。
そしてレミーに捧げる「Free As The Wind」。
『JAGGERNAUT OF JUSTICE』(2011年)からの「On Fire」に続くMCはオジー・オズボーンの話で、ここでもリップスのオジー真似に笑わされる。
再編BLACK SABBATHのアルバムが『13』だったことで話を締めつつ、07年作『THIS IS THIRTEEN』のタイトル曲につなげる。

しゃべりながらや弾きながらの、リップスの顔芸が素晴らしい。
やっぱりというかこの人、歌舞伎の千両役者とかではなく大衆演劇の花形みたいな存在感。
そしてクリス・ロバートソンがまた、リップスに劣らず“顔で弾く”タイプなのだった。

10分以上に及ぶ「Mothra」ではまたしてもピックアップを使ってしゃべり、そして遂にヴァイブレーターが登場。
コレも単にギターにヴァイブを押し当ててノイズを出すだけでなく、Mr.BIGがドリルでやるようにして高速プレイを聴かせたり、スライドバー代わりに見事に使いこなしていたり。
“至芸”の域に到達していた。

これまた長い「Swing Thing」では、クリス・ロバートソンのベース・ソロからロブ・ライナーのドラム・ソロ。
彼の左手をよく見ると、なんとレギュラー・グリップなのだった。
超パワフルでヘヴィなツーバスをドカドカ踏みながら、曲名通りジャジーなスウィング感やグルーヴのある、ナイスなソロを聴かせる。
(ムラマツヒロキ先生曰く「バディ・リッチみたい」と)
指弾きによるクリスのベースもかなりのテクニシャンぶりで、現在のANVILの演奏が鉄壁のリズム・セクションあってのモノであることがよくわかった。
ともあれ2011年作である『JAGGERNAUT JUSTICE』からの「Swing Thing」、そして目下の最新作『POUNDING THE PAVEMENT』(18年)からの「Bitch In The Box」をセットの終盤にもってきて、それでしっかり盛り上げるあたりに、彼らの現役度と意地とプライドを見る思い。
(結局全13曲中5曲が00年代以降のレパートリーだった)

本編ラストはもちろん「Metal On Metal」。
アンコールは何を演るんだろうと思っていたら、STEPPENWOLF「Born To Be Wild」のカヴァー!
1978年の結成から40年以上活動して数多のオリジナル曲がありながら、アンコールにベッタベタなカヴァーを持ってきて盛り上げる、このパブ・ロック体質。

DJの後にライヴがスタートしたのは20時で、そんなに長いステージではないんだろうな、と思っていたが、結局アンコール含めて約1時間半、充分過ぎる尺だった。
(海外でのフルスケールのライヴでも2時間とかは演ってないはず)
物販が完全に売り切れて、早々に店じまいしていたのも印象的。
DJも含めて、文句なしに楽しいイヴェントでした。


追記:
改めて読むと、MCの内容とかよく事細かに書いてるなあと我ながら感心(笑)。
今ではもうよく覚えていないが、多分リップスの言葉遣いが平易でわかりやすかったのだろう。

(2025.11.2.)

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