ライヴの物販では先月4日から、14日からは一般流通もしていたのだが、入手が遅くなった。
昨年にも『大量虐殺』というアルバムが出ていて、こちらも漫画家・駕籠真太郎のアートワークをフィーチュアした気合の入った作りだったものの、流通に乗ることはなく、そちらはオリジナル・アルバムではなくアメリカ・ツアーの物販向けの限定商品という位置付けになるようだ。
そして『大量虐殺』収録曲はすべて今回の『命日』にも収録されている。
(そのままではなく、ヴァージョン違いもあるが)
語りを含めて実に20トラック(楽曲は18曲)のヴォリューム。
まずはいかにもアイドルらしい、ふわっとしたしゃべりからはじまるのだが、どうやら何も考えずに出たとこ勝負で話しているらしく、いきなり笑わされる。
しかしそこから「月経前症候群」(凄い曲名だな…)が始まると、景色が一変。
メタリックなハードコアという感じだった『真っ赤ナ トイレ』に較べるとバックトラックのメタル色とヘヴィネスが大幅に増していて、80年代末までのMETALLICAあたりを思わせるような「月経前症候群」をはじめとして、楽曲自体はスラッシュ・メタルと呼んで差し支えないモノが多くなっている。
「Rusty ring」「暁」といったモロX Japanな曲もあるのでなおさらだ。
(前者は多分オマージュ、後者は歌詞にもある通り完全にパロディ)
十四代目トイレの花子さん自身はメタルはほとんど聴かないようだが。
で、それらの楽曲に乗る十四代目トイレの花子さんの禍々しいスクリーム。
本人曰く、影響を受けたのはQP-CRAZYのザ・クレイジーSKBとのことながら、冒頭の語りからは想像もつかない絶叫はほとんどブラック・メタル。
(メタルほとんど聴かない花子さん、もちろんブラック・メタルも聴いてないのだが)
とにかくヒステリックに叫んで叫んで叫んで叫ぶ。
”静電気怖い”のあとはひたすら絶叫のみの「四四秒」なんて、本当に44秒間強烈なスクリームが連続。
一方であくまでかわいらしいノーマル声を前面に出した楽曲もあり、前作同様にヴァラエティに富んだ作りになっている。
…というか、ヴァラエティと言っても前作のようにフツーのアイドルっぽいポップな曲などで落差を出すよりかは、ヴァラエティの中にも統一感があり、全体の完成度が随分高くなった感が。
花子さん自身は曲を書いたり演奏したりするワケではないので、コレについては楽曲を提供した各トラック・メイカーの貢献度も大きいのだろう。
ただ、「デストロイハグ」「ヘドバン体操」「四時四四分」なんかはアルバム・デビュー以前からのレパートリーで、つまり本人の方向性に最初からブレがないということでもある。
(「四時四四分」は初音源以来ミックス違いや再録などで今回が3回目の収録になるはずなので、本人的にも大事な曲と思われる)
歌詞もほとんどが花子さん本人によるモノで、小学生みたいなルックスからは想像しづらい怨念や情念、血まみれの嗜虐性、かと思えば笑わせられるモノも。
好き嫌いは分かれると思われるものの、「父の自慰行為」(!)をはじめとして、花子さん以外のアイドルにはちょっと書けない歌詞ではと。
それぞれの楽曲提供者がアレンジや演奏も手掛けている様子。
6名がクレジットされているが、そのうち最多の6曲を担当するMr.PerkeleはNECRONOMIDOLの楽曲も提供している。
(メタリックな曲は大体この人)
そして「潔癖症ノ唄」「エレベーター」はQP-CRAZY他のベーシストとして知られるツージーQ、「四四秒」「アダピクミンの唄」はコケシドール~ビルのギタリスト、久保偽札犯…とナニゲに豪華。
更に、ラストに収められている「汚れなんてないさ~お掃除の時間だよ~」の作曲は”ニューハーフ地下アイドルソングライター”美広まりなで、コレがアニメのエンディングみたいなキャッチーな曲調でアルバムを締める。
強烈なスクリームに対し、以前はノーマル声で音程を追うのにかなり難があった十四代目トイレの花子さんだが、前作から4年、歌唱力もけっこう向上。
(それでもたどたどしいところはまだ残るとはいえ、ファンならそれも楽しめるだろう)
様々な点で前作よりもかなり進歩や成長が見られるアルバムになっている。
それでも、実際にライヴを観ないと花子さんの面白さは伝わり切らないのではと思う。
自分自身が彼女のライヴを観るようになってそれは本当に実感しているので、興味のある人はコロナ禍が収まったら是非ナマで体験されるべきかと。
ブックレットも写真集のような、ファンに嬉しい作り…って、あーっ、こ、コレは!(以下略)
(2025.12.20.改訂)
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