MICHAEL HOENIG/XCEPT ONE(1987)

MICHAEL HOENIG.jpgAGITATION FREEのキーボード奏者は”ミヒャエル・ヘーニヒ”とか”ミヒャエル・ヘーニッヒ”とか表記されていたが、実際には”ミヒャエル・フーニッヒ”がより正確。
(2007年の来日時に判明)
しかし彼は人生の大半をアメリカで過ごしていて、来日ライヴでもメンバー紹介では「マイケル・ホーニグ!」と呼ばれていた。
そんなミヒャエル・フーニッヒ=マイケル・ホーニグの2ndソロ・アルバム。
(ちなみにこのアルバムが国内発売された時は”マイケル・ホーニグ”の表記だった)

ミヒャエル・フーニッヒ、1952年1月4日生まれ。
71年2月にAGITATION FREEに参加した時点で、彼はまだ19歳だった。
テリー・ライリーやスティーヴ・ライヒと同時にアフリカの音楽なども聴いていたミヒャエルが、当時の西ベルリンでサイケデリックとエスニックを融合させようとしていたAGITATION FREEに加入したのは、半ば当然のことだったと言える。
しかしメンバー交代を繰り返すうちにバンドの活動は行き詰まり。
ソロ活動を考えていたミヒャエルはクラウス・シュルツェに声をかけられてTIMEWINDを結成するも、ヴァージン・レコーズとのソロ契約に縛られていたクラウスは『TIMEWIND』(75年)をソロ作として完成させ、ミヒャエルはペーター・バウマンの後任としてTANGERINE DREAMに参加。
しかしやはりヴァージンとの契約上の問題があり(かなりモメたらしい)、ミヒャエルはツアーに参加しただけでTANGERINE DREAMを離脱。
76年にはASHRAのマニュエル・ゲッチングとも活動していたものの、結局彼はソロ活動に乗り出すのだった。
短期間とはいえTANGERINE DREAMに在籍した事実がモノを言ったか、ミヒャエルはワーナーとのソロ契約を取り付ける。
(ドイツのミュージシャンがアメリカのレーベルと直接契約したのはコレが初めてだったらしい)

ミヒャエル・フーニッヒの1stソロ・アルバム『DEPARTURE FROM THE NORTHERN WASTELAND』(1978年)は、それまでにAGITATION FREE、クラウス・シュルツェ、TANGERINE DREAM、マニュエル・ゲッチングという錚々たる顔ぶれと関わったミヒャエルらしい、いわゆる”ベルリン・スクール”の集大成のようなアルバムに仕上がった。
しかしインプロヴィゼーション主体だった当時のベルリン・スクールのスタイルに飽きていたミヒャエルの関心は、作曲に移っていた。
そこで彼は心機一転、アメリカ西海岸に移住し、映画音楽の仕事を始める。
(ジャック・ニッチェと手掛けた『ナインハーフ』サントラなどで知られる)
そんなミヒャエルが前作から10年近く経ってリリースした2ndソロ・アルバムが『XCEPT ONE』だった。

『XCEPT ONE』は、当時キャピトル・レコーズ傘下で”ニュー・プログレッシヴ”を謳った新レーベル、シネマからリリースされた。
アメリカでのサントラ仕事で培ったキャッチーな作曲術とドイツ時代のアヴァンギャルド志向がとても上手い具合に融合された、まさにハリウッドmeetsベルリンとでも言いたくなるようなインストゥルメンタルが展開する。
ミヒャエル・フーニッヒ自身とハロルド・バッドがシンクラヴィアを担当し(ミヒャエルは他にプロフェットやDX-7も使用)、ドン・エリスやフランク・ザッパのバンドに参加していたラルフ・ハンフリーがエレクトリック・ドラムを演奏…と、当時の最新機材を駆使した演奏となっている。
(今となってはむしろレトロな感じの電子音楽に聴こえるが)
ミヒャエルは本作制作前に現代音楽のイヴェントで来日していて、「Forgotten Thoughts」は元々その時のライヴ用に書かれたモノだとか。

ミヒャエル・フーニッヒ以外にパトリック・モラーツ(当時THE MOODY BLUES)やピーター・バーデンス(元CAMEL)、トニー・ケイ(元YES)といった興味深い顔ぶれを擁していたシネマは、結局短命に終わってしまう。
映画音楽の仕事も自身の創作意欲を満たすことのない単なるローテーション仕事になってしまったと感じていたミヒャエルは、『XCEPT ONE』から20年近く経って再編AGITATION FREEに参加したものの、ソロ活動などには元々あまり興味がないらしく。
それ以前にハリウッドで十分稼いでいたのか、2007年の来日時に「仕事を減らしてガーデニングをやろうと思っている」と語っていたミヒャエルの最近の動向は伝わってこない。
来日時55歳だったミヒャエル、この1月で68歳。
まだまだ活動してほしいのだが。


(2026.1.3.改訂)

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