THE PINK FAIRIES/KILL 'EM AND EAT 'EM(1987)

PINK FAIRIES KILLEM AND EATEM.jpg俺が初めて買ったPINK FAIRIESのアルバムが、実はコレだった。
80年代後半…当時70年代のオリジナル・アルバム3枚は何処にも見当たらず(CD化は1992年)。
で、初めて買ったPINK FAIRIESのアルバムは、再結成(再々結成、あるいは再々々結成)による当時の最新アルバムだったワケだ。
札幌のRECORDS-RECORDS琴似店だったと記憶する。

1975年の再結成ライヴを機に再活動となったPINK FAIRIESだったが、結局続かず。
その後84年にラリー・ウォリス(ギター、ヴォーカル)、ダンカン”サンディ”サンダーソン(ベース)、ジョージ・バトラー(ドラム:元LIGHTNING RAIDERS)の3人でミニアルバム『PREVIOUSLY UNRELEASED』をリリース。
直後、ジェイク・リヴィエラ(ディーモン・レコーズ)の提案でまたしてもバンド復活となり。
そうして作られたのが『KILL 'EM AND EAT 'EM』だった。

この時のパーソネルはラリー・ウォリス(ギター、ヴォーカル)、アンディ・コルホーン(ギター、ヴォーカル:元WARSAW PAKT)、ダンカン・サンダーソン(ベース)、ラッセル・ハンター(ドラム)、トゥインク(ドラム、ヴォーカル)の5人。
1975年の再結成ライヴ以来となる、バンド史上2度目の5人編成だった。
アンディ以外は往年のメンバー。
定冠詞付きの”THE PINK FAIRIES”名義は、オリジナル・アルバムでは唯一となる。

ラリー・ウォリスが70年代後半から80年代前半にかけて何度か復活したTHE DEVIANTSに提供した「Broken Statue」「Taking LSD」があり、
ラリーのソロ・シングルに収録されていた「Seeing Double」の再録もあり。
一方でアンディ・コルホーンが書いた「Undercover Of Confusion」「Waiting For The Ice Cream To Melt」「White Girls On Amphetamine」があり。
(ドラマー二人はソングライティングには関わらず)
サイケ色もあり、ハードでもあるが、全体にはかつての元祖ラウド・ロックよりかはかなりパブ・ロックっぽい感じ。

ラリー・ウォリス自身も認めている通り、アンディ・コルホーンとトゥインクを入れずに、ラリー、ダンカン・サンダーソン、ラッセル・ハンターという『KINGS OF OBLIVION』(1973年)と同じトリオ編成にして、『KINGS OF OBLIVION』の続編的なアルバムとして完成させることが出来たら、あるいは名盤になっていたかも知れない。
実際には5人編成が裏目に出て、ちょっと焦点の絞れていない感じのアルバムになってしまった。
ただ、ラリーはこのアルバムを駄作と断じているものの、俺自身はけっこう好きな1枚。
(90年代にトゥインクとポール・ルドルフが作った2枚を含め、PINK FAIRIESには”迷盤”はあっても駄作はないと思っている)
「Broken Statue」「Fool About You」、そしてラリーとアンディが共作した「I Might Be Lying」など、PINK FAIRIESらしいスピード感に満ちたカッコいいR&Rが何曲も聴ける。
何しろ『KINGS OF OBLIVION』やMOTORHEAD『ON PAROLE』を作った偉大なるギタリストが(とりあえず)中心となっているのだから。

しかし奇人トゥインクとは誰も上手くやっていけなかったようで。
アルバムのリリース後数ヵ月でバンドはまたしても崩壊。
トゥインクはMAGIC MUSCLE参加やPLASTICLANDやべヴィス・フロンドとのコラボレーションを経てソロ活動に。
アンディ・コルホーンとダンカン・サンダーソンとラッセル・ハンターはFLYING COLOURSで短期間活動し、その後アンディはミック・ファレンと活動を共にすることになる。
ラリー・ウォリスはRED BIRDSで1年ほど活動した後、2001年のソロ・アルバム『DEATH IN THE GUITARFTERNOON』をリリースするまではほとんど何もせず、PINK FAIRIESとMOTORHEADの印税で暮らしながら酒に溺れていたという。

90年代以降、ポール・ルドルフ、トゥインク、アンディ・コルホーン、ダンカン・サンダーソン、ラッセル・ハンターらがそれぞれの形でPINK FAIRIESを名乗った一方で、ラリー・ウォリスはそれらにほとんど関わることなく。
今やラリーもサンディもこの世にいない。


(2026.1.5.全面改訂)

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