コロムビアで唯一の、そしてメジャーからの最後のリリースとなったのがミニアルバム『オムライス』。
俺が遠藤賢司という人の存在を知ったのがこの頃だった。
フォーク・シンガーとか爆音のギターとか、そういうイメージも何もなく、「オムライス」や「寒い朝」を歌う人としてエンケンさんに接したのは、今思えば良いことだったのかも知れない。
プロデュースはデビュー当時からの付き合いだった細野晴臣。
キーボードとコーラスで越美晴(現・コシミハル)も参加。
彼女がその後細野のYENレーベルに移籍したのはこのミニアルバムがきっかけだったという。
1曲ずつ曲名を紹介するナレーションが入っていて、それが平山三紀。
(コレが凄くいいムードを醸し出している)
全6曲のミニアルバムとあって、キング時代の2枚のような旧レパートリーの再録はなく、すべて新曲。
ただし「ポドケインの白い花」はインストゥルメンタルと歌入りの2ヴァージョンとなっている。
よくアンビエントっぽいなどと言われたりもする1枚だが、むしろフツーにエレポップじゃないかと思う。
『東京ワッショイ』でSEX PISTOLSに影響を受けてタイトル曲を歌った一方でKRAFTWERKにも影響を受けて「哀愁の東京タワー」を歌った遠藤賢司としては、当然行き着くべき方向性だったのでは。
「哀愁の東京タワー」同様に「オムライス」のメロディが実に歌謡曲っぽい一方、途中で沖縄っぽくなったりするのはやはり細野晴臣の存在あってのことだろう。
(ギター・ソロだけ北欧のインストゥルメンタル・バンドみたいだったり…)
『KENJI』の頃から随所で前面に出て『宇宙防衛軍』(1980年)で炸裂した遠藤賢司一流の宇宙感覚は、ハインラインの小説をモチーフにしたという「ポドケインの白い花」に顕著。
個人的には「寒い朝」に尽きる。
遠藤賢司のファルセットはタイニー・ティム唱法と言われたりもするが、この「寒い朝」は完全にクラウス・ノミ唱法です。
(このミニアルバムが出た当時にラジオでそう言ってたし、エンケンさん本人からも直接聞いたことがある)
フォロワー皆無かと思われるノミをこんなところでフォローしている人がいました…。
(「ポドケインの白い花」もわりとノミだよね)
ちなみにノミは『オムライス』の前年、1982年に亡くなっている。
この後、遠藤賢司のリリースは1991年の『不滅の男 遠藤賢司バンド 大実況録音盤』まで、スタジオ作に至っては96年の『夢よ叫べ』まで途絶えることになる。
しかしエンケンさんは不滅の男…熱いライヴ活動はずっと続いていたし、90年代以降の旺盛なリリースはここで言うまでもないだろう。
俺が初めてエンケンバンドを観たのは『オムライス』から16年後の1999年、初めて遠藤賢司にインタヴューしたのはそれから更に15年ほど後のことだった。
エンケンさんが亡くなってから今年で3年になるが、俺にとってエンケンさんは今でも不滅の男であります。
(2026.1.1.改訂)
この記事へのコメント