十四代目トイレの花子さんインタヴュー(前編)

20200621-13.JPG去る4月、前作から実に4年ぶりとなった2ndアルバム『命日』(https://lsdblog.seesaa.net/article/202005article_13.html)をリリースした”出禁系地下アイドル妖怪”十四代目トイレの花子さん。
俺はこれまでにFOLLOW-UP(もうない)とEL ZINEで彼女に計2回インタヴューしているのだが、この度3回目のインタヴューを敢行。
一見して小学生のような小さな体(実際、首を切って死んだ小学生が妖怪になった、ということになってるんだけどね)でブラック・メタルばりの咆哮をカマしてライヴハウスを恐怖のずんどこに陥れる十四代目トイレの花子さん…その不思議な魅力に改めて迫ってみましたので、皆様是非お読みください。
まずは前編です。
インタヴューは6月21日、三軒茶屋HEAVEN'S DOORで行ないました。


―今回のアルバムが正式な2ndアルバム…昨年の『大量虐殺』は結局イギリス・ツアー向けの物販用アイテムとか、そんな位置づけですか?
「本当は『大量虐殺』の日本盤を出そうと思ってたんですけど、制作ペースが遅過ぎて、気づいたら1年ぐらい経っちゃって…。諦めてそうしました」
―(『大量虐殺』の)駕籠真太郎さんのアートワークがちょっともったいない気もしますけど。
「私もそう思うので、今後グッズに使わせてもらう予定です」
―ちなみに今回、レーベル名は“死後死後(しごしご)レコード”…?
「あ、それ“シコシコ”って読みます(笑)」
―シコシコ…(苦笑)。
「(笑)自分で付けたんです。“シコシコ”っていう言葉は毒殺テロリストさんをリスペクトして以前からよく使ってたんですが、ついにレーベル名にまで使ってしまいました…」
―一応コレは、花子さんの自主制作ってことになるワケですね。
「そうですね」

―前回のインタヴュー(註:2019年5月。EL ZINE VOL.37に掲載)ではわりと人となりみたいな話が多かったんで、今回は前回あんまりしていなかった作品の話をしたいと思って。
「はい」
―帯の裏に“花殺ナウイルス入り”って書いてますけど…リリースギリギリのタイミングでアレを入れた感じ?
「そうですね」
―その時点では(コロナ禍が)ここまでになるとは思ってなかった?
「そうですね。ちょっと懐かしいぐらいのネタになるかなと思ってました」
―花子さんの活動に関しても影響は大きかったですね。
「2ヵ月ライブが出来ませんでした。でも近年、地声すら出すのが辛いほど喉の調子が悪かったので、むしろ喉を休められて良かったと思ってます。」
―今でもライヴ以外の外出は自粛してトイレにこもっているそうで。
「そもそもライブ以外基本外に出ないので…生活はあまり変わらないですね」

―今回のアルバム…『大量虐殺』もそうでしたけど、ブックレットがまるで写真集のような作りで。
「はい」
―コレは花子病(註:花子さんの熱狂的なファン)の皆さんには凄く嬉しいモノだと思うんですけど。写真集自体は、別に出てますよね。
「あ、そうですね」
―アレは花子さんの仕切りじゃなくて、デレク・ヴァスコーニの“IDOL UNDERWORLD”(https://www.idolunderworld.com/)の…。
「そうです」
―写真集の方は、いわゆる権利的な部分は、向こうが完全に持っている?
「そうなんです」
―だからアレは物販でも売ってない。
「そう、もう私の方では売れないんです。4月4日(註:十四代目トイレの花子さんの企画ライヴ@三軒茶屋HEAVEN’S DOOR)の物販限定だったんです。ケチですよね(笑)」
―(笑)今回のブックレットの写真は、撮影は何処でしたんですか?
「葛飾区の森谷邸っていう所です。カメラマンの人が探してくれました。(テープレコーダーを見て)これ、録れてるかな…声ちっちゃいから、どうしよう。…私が持ってれば?」
(ここから花子さんがテープレコーダーをマイクのように手に持っての収録となる。ちなみにステージでの絶叫とは違い、花子さんの話声はとても小さい)
―『大量虐殺』もそうだったけど、やっぱりブックレットに脚のアップがあるんだなあと…。
「えっ、そうだったっけ? ああ…」
―『大量虐殺』では中のページだったけど、今回は最後のページが脚のアップ。
「…全然考えてなかった(笑)」
―ファンのツボを心得てるなあと思ったんですけど(笑)。
「ああ…なんとなくでした。ふふふ」
―アレは、泣いて喜ぶ人がたくさんいると思うんで(笑)。
「ああ、うん、喜んでる人多かったですね」

―いつもの通り「花様ノ有難イオハナ死」から始まるんですけど…。
「うん、ふふふ」
―アレはノープランなんですか?
「あはは、そうね」
―途中で時間が余ったりとか…。
「逆にあれがノープランじゃなかったら、しゃべるの下手過ぎますよ(笑)。適当。いつも何も考えずに、やってます」
―最初と最後…最後っていうか、2曲残して終わりの方にも“オハナ死”がありますけど…。
「ああ、はい」
―アレもなんていうか、突き放されるような終わり方っていうか…。
「(笑)突き放してました?」
―なんか、言いたいこともないんだよって。
「本当に言いたいこと思い付かなくて(笑)。もういいやと思って、はい」

―中身の話を…『大量虐殺』と重複する曲も多いんですけど。全体にメタリックになった印象が。
「…メタリックって何ですか? テカテカした色のこと?」
―金属的。メタルっぽい。
「あ、そういう意味?…それは多分作曲者の人の好みかな…。私は曲のイメージと長さくらいしか伝えてないです」
―結果として統一感が出たっていうか…。
「ああ…」
―『真っ赤ナ トイレ』(1stアルバム:2016年)に較べても凄く完成度が高いアルバムになったと思うんです。
「ああ…そうなんですかね…?」
―(笑)
「よくわかんない…」

―作曲者の人に曲を作ってもらって投げてもらうワケですけど…。
「はい」
―曲っていうのはどのレベルまで作ってもらってから聴くんですか?…オケが完成してから?
「うん、もうほとんど完成した状態ですね。直してって言ったのは今までで3回くらいしかなくて。知り合った時点で私が好きなバンドの曲をザッと送って、なんとなく理解してもらったらあとは割と丸投げかも…。細かく指示し過ぎると作曲者さん達の個性を潰してしまうと思うんです。「コレ自分じゃなくても作れる曲だな」とか思わせたくないし、仕事で嫌々、好きでもない感じの曲を作ってほしくないんです。そんなの良い曲になるはずがないから。作ってて楽しいと感じてもらいたくて、なるべく口出ししないようにしています」
―作曲者が何人かいますけど。
「はい」
―「四四秒」と「アダピクミンの唄」は、久保偽札犯さんで。
「あ、そうです」
―ビルのギターの人ですよね。
「そうです。作曲者募集してたらあちらから連絡が来て…なんか優しそうだなって思って(笑)、依頼しました」
―てっきりツージーQさんつながりかと思ってたんです。
「あ、なんか、唐突に現れて…(笑)」
―唐突に(笑)。「潔癖症ノ唄」と「エレベーター」がツージーQさんの作曲。
「はい」
―かつ、「エレベーター」だけはアルバムの中で花子さんの作詞ではない。
「ああ~、はい」
―やっぱりテイストが違う。どうですか、他の人の歌詞を歌ってみるっていうのは?…特に“前足のない猫”っていうのは、(猫好きで、実際に飼っている)花子さんだと多分思い付かないところではと…。
「はい、そうですね。あの曲はカヴァーなんです。曲作ってもらえませんかって依頼した時に、まずツージーズのこれをって言われていただいた曲なんで。そんなに抵抗はなかったです」
―元々ツージーさんのレパートリーだったんだ?
「そうなんです。「潔癖症ノ唄」は書き下ろしてもらいました」

―「デストロイハグ」は初期から御馴染みの曲ですけど。
「はい」
―「デストロイハグ」っていう曲を改めて入れておきながら、いわゆるファンサービスとしての“デストロイハグ”っていうのはしなくなりましたけど。
「あ…詳しく言うと、“デストロイハグ”は最初の1年くらいしかやってません。実際にお客さんにハグしてたんですよ。でも途中からそれはやめて、5〜6年くらい“デストロイチェキ”っていう、首絞めをやってたんですけど…(註:チェキを撮った後、花子さんからお客にスリーパーホールドの”プレゼント”をしていた。ガチの本気で絞めるため、失神者が出たこともあったという)」
―“デストロイハグ”って、最初はあのスリーパーホールドじゃなくて、ホントにフツーにハグしてたんですか?
「はい。滅茶苦茶痛いハグをしてたんですけど。接触目的のお客さんが増えたのでやめました。そういう人って大抵ろくな人じゃないので」
―…まあそうですよね。普通のアイドルとか地下アイドルとかが握手会とかやる一方で、そこまで密着っていうのは逆にないですもん。
「ないですね。…最初は注目されたくて全部やってたんですけど、時間もかかるし、今はもう必要とされないから」
―必要とされない?(笑)
「常連の人達は首絞めてって全然言わなくなったので…もういいやって…はい(笑)」


以下、更にディープな後編(https://lsdblog.seesaa.net/article/202008article_18.html)に続きます。
お楽しみに。


(2026.1.12.改訂)

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