MOTORHEAD/Beer Drinkers and Hell Raisers(1980)

MOTORHEAD BEER DRINKERS EP.jpg「Ace Of Spades」や「Overkill」をはじめとして多くの名曲を生み出したMOTORHEAD。
一方で、意外にも(?)多くのカヴァーを演っている。
何しろレミーの死後にカヴァーだけのアルバムが出たぐらいで。

で、こちらは収録4曲中の3曲がカヴァーまたはリメイクというEP。
チズウィック・レコーズからの1stシングル「Motorhead」(1977年)と同じデザインのスリーヴなので紛らわしいが、チズウィックのテッド・キャロルが設立したビッグ・ビート・レコーズから80年にリリースされたモノ。
俗に「Beerdrinkers EP」などと呼ばれたりもする。

MOTORHEADの”正式な”1stアルバム『MOTORHEAD』(1977年)録音時のアウトテイク集。
今では4曲とも『MOTORHEAD』のCDにボーナス・トラックとして収録されているので、このブログを御覧の皆様の大半が音自体は耳にしているはず。
そんなモノがどうして80年になってリリースされたのかと言えば、もちろん同年の『ACE OF SPADES』大ヒットに便乗しようとしたであろうことは間違いない。
前年に『OVERKILL』や『BOMBER』の人気にあやかろうとしてユナイテッド・アーティスツ・レコーズから出された”幻の1stアルバム”『ON PAROLE』と同様。
しかしこのEPはチャートに上がるようなヒットにはならず、テッド・キャロルのあては外れてしまった。

A面はZZ TOPのカヴァー「Beer Drinkers and Hell Raisers」と、ラリー・ウォリス作曲で『ON PAROLE』にも収録されていた「On Parole」の”黄金トリオ”によるリメイク。
ZZ TOPのカヴァーからは、1975年の結成からブライアン・ロバートソンがクビになった83年末までの10年近く、基本的にパワー・トリオであり続けたMOTORHEAD…がどのあたりをお手本にしていたのかが窺われる。
そしてこの曲ではレミーと”ファスト”エディ・クラークのツイン・ヴォーカルが聴ける。
元々専任ヴォーカルを立てる構想があったMOTORHEAD、そしてそれがかなわないとなった後は全員が歌えるバンドにしようと目論んでいたレミーだったが、エディ・クラークが積極的に歌うことはなく、フィル”フィルシー・アニマル”テイラーに至ってはまるで歌えなかった。
結局エディのヴォーカル曲は『BOMBER』収録の「Step Down」が初出となり、その後もエディが歌う曲はほとんど増えず。
しかし『MOTORHEAD』レコーディングの時点でレミーはエディに歌わせていたのだった。
「On Parole」はラリーが単独で書いた曲ながら、レパートリーが少なかった初期のMOTORHEADはラリー脱退後もライヴで演り続けていたので、レミー、エディ、フィルの編成で改めてスタジオ録音もやってみよう、というのは自然な成り行きだったはず。
ちなみにラリーもこの曲をソロでレコーディングしているのは以前書いた通り。
https://lsdblog.seesaa.net/article/202001article_10.html

B面はこのEPで唯一のオリジナル曲「Instro」と、JOHN MAYALL & THE BLUESBREAKERSのカヴァー「I'm Your Witch Doctor」。
どっちもえらくサヴェージな感じで、特に「I'm Your Witch Doctor」を初めて聴いた時は「コレがジョン・メイオールのカヴァー? エリック・クラプトンがいた時期のだよね…?」と、にわかに信じられない気分だった。
ここではエディ・クラークがほぼリード・ヴォーカルを担当している。
『MOTORHEAD』本編に収録されたTHE YARDBIRDSのカヴァー「The Train Kept A Rollin'」同様、イントロやアウトロのエコー処理はおよそ”ヘビメタ”とは縁のないサイケデリックなモノで。
MOTORHEADがMC5やZZ TOPをお手本に、サイケデリックやブルーズ・ロックのしっぽを引きずったままでただひたすらにやかましいR&Rを演ろうとしていたのだ…ということが、このあたりを聴くとよくわかる。

MOTORHEADを狂ったように聴きまくっていた若い頃、アルバムやシングルなどで聴かれるカヴァー曲のオリジナルをそれこそ血眼になって探したモノだ。
JOHN MAYALL & THE BLUESBREAKERSやTHE YARDBIRDSはもちろん、「Leaving Here」を演っていたTHE BIRDSや、「Louie Louie」を演っていたTHE KINGSMEN、そしてHAWKWINDやPINK FAIRIESなんかのレコードやCDもどんどん増えていった。
HAWKWINDを別とすれば、MOTORHEADのネタ元で最初に手に入れたのは「Beer Drinkers and Hell Raisers」のオリジナルが収録されたZZ TOPのアルバム『TRES HOMBRES』(https://lsdblog.seesaa.net/article/201607article_1228.html)だったと記憶する。
そのアルバムを聴いて、”ZZ TOP=ピコピコしたブギーをやっているヒゲの長いおじさんたち”というイメージを覆された。
MOTORHEADはZZ TOPをカヴァーし、ZZ TOPはTHE 13th FLOOR ELEVATORSをカヴァー。
その13th FLOOR ELEVATORSはTHE KINKSをカヴァーしていた。
「Louie Louie」はMOTORHEADもIGGY AND THE STOOGESもカヴァーしている。
久しぶりにこの一言を言うが、すべてはつながっているのである。

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