元々ドラマ―だったのが、90年代半ばにKEVIN K BANDでギター兼ヴォーカルとして活動するようになってから、ソロやらバンドやいろいろな名義でとんでもない数のリリースがあって、俺も全然把握し切れてない。
そんなケヴィンの作品の中でも最も異色なのがコレだろう。
彼にとって18作目のスタジオ・アルバムになるという。
タイトルからして『DEUTSCHLAND』。
ドイツ…?
CDを再生すると、ダークなシンセで曲が始まる。
思わず「なんだこりゃ…」となった。
CDの包装に貼られたシールには”イギー・ポップとKRAFTWERKの間の何処か””少々のエレクトロなタッチを伴うポップ・パンク”とある。
ケヴィン・K本人によるスリーヴノーツに曰く、ケヴィンとKEVIN K & THE REAL KOOL KATSのベーシストであるリッチー・バズは、ドイツをツアーするたび、とりわけベルリンで演奏するたび、非常にインスパイアされるモノがあったのだという。
ドイツをツアーする時には、ツアー・バンの中でいつもイギー・ポップの『LUST FOR LIFE』が流れていたのだとか。
(いや…そこは『LUST FOR LIFE』じゃなくて『THE IDIOT』にすべきでは?)
で、ベルリンでのレコーディングを画策していたケヴィンだったが結局実現せず、何故かフランス南部の古い石造りのスタジオでベルリンを夢想しながら制作したのがこのアルバムだったらしい。
もっとも、全10曲中でシンセと打ち込みによる純然たるエレクトロな楽曲は4曲のみ。
それ以外の6曲は、ケヴィン・K(ギター、ヴォーカル)、リッキー・ラット(ギター:元TRASH BRATS~KEVIN K BAND他)、リッチー・バズ(ベース)、ファビアン・トロサ(ドラム:CLAN EDISON)の4人によるバンド編成で録音され、それらの多くは基本的に従来のケヴィンのスタイル(ジョニー・サンダース直系)に則ったモノになっている。
(バンド・サウンドにリッチーが弾いているらしいシンセを重ねた曲もある。「Wrong Girl」なんかは打ち込みっぽく聴こえるが、基本全部バンドで演っている様子。それがむしろ面白いんだけど)
予算とかいろいろ制約もあったのかも知れないとはいえ、まあいかにもケヴィンらしい(?)中途半端さというかB級っぽさというか。
しかしこの人の場合、そんな中途半端さも憎めないというか、むしろ愛すべきポイントになってしまうのが人徳(??)と言うべきか。
ストリングス・シンセによるイントロから弾き語りで歌い始めてバンド演奏になる「How Many Times」の切ない感じが一番良いかな。
(この曲は歌詞をちゃんと読んでみたい。楽曲自体が全然ジョニーっぽくなくて、ケヴィンの個性がよく出ている1曲だと思う)
ずっと以前にこのブログで紹介した自伝『HOW TO BECOME A SUCCESSFUL LOSER』で本人が何度も書いているように、いつも何処かで何かをしくじって、思ったようにビッグにもなれず、さりとてジョニー・サンダースやスティーヴ・ベイターや兄アラン・Kのように若くして世を去るでもなく、ともあれ地道に活動を続け。
世に知られた代表曲も代表作もないが、それでもケヴィン・Kはやり続けている。
そんな活動の中で突然世に放たれた、4曲だけエレクトロな異色作。
コレも既に11年前。
アルバムの参加メンバーや、元LAZY COWGIRLSのパット・トッド、シルヴェイン・シルヴェイン、ヒリー・クリスタルらの名前が並ぶサンクス・リストの最後にはさも当然のように、ケヴィン・Kが愛してやまない女優ジェニファー・ラヴ・ヒューイットの名がある。
ジェニファーに捧げる曲まで書いているケヴィンが彼女に会えたという話は、いまだに聞かない。
追記:
ジェニファー・ラヴ・ヒューイットもうすぐ47歳。
ケヴィン・K(来年70歳)は今も彼女に焦がれているだろうか…。
(2026.2.6.)
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