クラウス・ノミについては、このブログで10年前(その元になったDOLLの記事は13年前、更にその元になったファンジンの記事は23年前!)に書けるだけのことは書いてしまったので(https://lsdblog.seesaa.net/article/201607article_662.html)、今更そんなに言うこともないんだけどね。
(10年前の記事、いまだにアクセスが絶えない。ありがたいこってす)
ともあれ、何枚か出ているクラウス・ノミのベスト盤の中で、最初の1枚がコレ。
ノミの死後間もなくリリースされていて、タイトルからしても追悼盤的な意味合いがあったのではと思う。
そのタイトルだが、最初にLPで出た時は『ENCORE…』だったのが、CD化に際して『ENCORE!』に変更されている。
俺が初めて買ったノミのCDがコレだった。
(オリジナル・アルバム2枚は当然というかLPで買った)
LP時代に出たベスト盤なので、13曲(”1曲目”はファンファーレなので、クラウス・ノミの歌が聴けるのは12曲)43分と、CDの時代になってから出たベスト盤に較べると随分コンパクト。
しかし、2枚のオリジナル・アルバムの楽曲に加えて未発表曲も収録と、非常によくまとめらた1枚になっている。
冒頭、荘厳なファンファーレからノミの代表曲中の代表曲「Cold Song」につながる流れなんて、よくわかってるよなあ、という感じ。
ジャケットもインパクト大。
白黒ツートーンのイメージが強いクラウス・ノミ、ここでの赤と白と金という配色には当時驚かされたモノだ。
(十四代目トイレの花子さんみたい…って逆か)
オリジナル・アルバム『KLAUS NOMI』(1981年)と『SIMPLE MAN』(82年)からの9曲に、冒頭のファンファーレ、そして「Total Eclipse」の未発表ライヴ・ヴァージョン(アルバム・デビュー前の80年、ウィスコンシン州マディソンにて)に、エルヴィス・プレスリー(!)「Can't Help Falling In Love」とシューマン「Der Nissbaum」という未発表カヴァー2曲。
クラウス・ノミといえば不気味な(?)カウンター・テナーというイメージだが、「Can't Help Falling In Love」は全編地声で歌われている。
それにしてもズバリ、エルヴィスと来たか…。
そしてもうひとつの未発表曲がシューマン。
少年時代のノミが買ってきたエルヴィスのレコードを、母親がマリア・カラスのレコードと交換してきてしまった、という有名な(真偽不明の)エピソードがあるノミ。
彼の短い人生の中で、死ぬまで続いたに違いない、R&Rとクラシックの相克の中で引き裂かれるアイデンティティ・クライシス…それを、2曲の未発表曲がますます強調している気がする。
あと、クラシック/オペラとR&R/オールディーズをシンセ・ポップのアレンジで歌う、というイメージも強いクラウス・ノミ。
しかし「Total Eclipse」のライヴ・ヴァージョンを聴くと、当時のノミのバックがシンセ・ポップというよりもあくまでロック・バンドだったことに改めて気付かされる。
ドラムはもちろん生だし、エレキ・ギターもふんだんにフィーチュア。
”ピコピコ”なイメージの強い同時期のゲイリー・ニューマンが、実際には同じく生ドラムにモーグ・シンセサイザーの手弾きだったことを思い出したり。
(YMOも然り)
ともあれ、80年代初頭のニューヨークでクラシックとR&Rの間に書き割りのデカダンスで出来たいびつな橋を架けつつ男色に励んだ(?)クラウス・ノミは、当時猛威を振るい始めたAIDSによってペラペラな橋から真っ逆さまに転落し、39歳という若さでこの世から消える。
先述の通り、このベスト盤がリリースされたのはLP時代/CD黎明期。
インサートにはクラウス・ノミ関連のクレジットだけでなく、”Also available on RCA Compact Disc…”という広告も掲載されている。
その筆頭はエルヴィス・プレスリーの編集盤…。
死後にリリースされたベスト盤で遂に憧れのエルヴィスと肩を並べた(?)ノミであった。
俺はそんなクラウス・ノミが好きでたまらない。
「今更そんなに言うこともない」と言いつつ、随分長くなった。
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