今更ながらオリジナル・アルバム行ってみよう。
…で、『JAILBREAK』(1976年)でも『LIVE AND DANGEROUS』(78年)でも『BLACK ROSE』(79年)でも『THUNDER AND LIGHTNING』(83年)でもなくコレです。
77年の8thアルバム。
一般に彼らの代表作に挙げられることはないだろうし、実際ジャケットに3人しか写っていない通り、過渡期みたいな感じのアルバムだが。
確かに、一番好きなアルバムがコレかというと正直微妙だ。
しかし、数あるTHIN LIZZYの名曲の中でどれが一番好きかということになると、個人的には「Dancing In The Moonlight」…ということになる。
その曲が入っているのがコレ。
前2作を手掛けたジョン・アルコックに代わり、初めてトニー・ヴィスコンティがプロデュースを担当したアルバム。
T.REXやデイヴィッド・ボウイのプロデューサーとして知られ、およそハード・ロックとは無縁に見えたトニー。
実際、トニーがTHIN LIZZY以外で仕事したハード・ロック・バンドというとDIRTY TRICKSぐらいだと思う。
しかしトニーとTHIN LIZZYの相性は実によく、トニーはその後もTHIN LIZZYのプロデュースを続けることになる。
その点、やはりTHIN LIZZY…というかフィル・ライノットが、いわゆるハード・ロックあるいはヘヴィ・メタルにとどまらないセンスの持ち主だったということに尽きるのだろう。
先述の通り、当時ブライアン”ロボ”ロバートソンが離脱していたため、ジャケットには3人しか写っていない。
ロボは一応参加しているが、全9曲中3曲にとどまり、ソングライティングには関わっていない。
その分スコット・ゴーハムが頑張っている1枚とも言えるものの、やはりというかギターはあまり前面に出ていない。
むしろフィル・ライノットの歌が存分に堪能出来るアルバムと捉えるべきなのだろう。
(「Soldier Of Fortune」のイントロで聴ける印象的なシンセサイザーもフィル自身によるモノらしい。クレジットは”string machine”となっている)
そしてブライアン・ダウニーのドラムも。
特に、ブライアンがソングライティングでもクレジットされている2曲、「Bad Reputation」「Opium Trail」でのドラムの素晴らしいことと言ったら。
何より「Dancing In The Moonlight」。
以前にも書いたが、こんなおしゃれな曲、凡百のハード・ロック・バンドには絶対に真似出来まい。
軽快なシャッフル・ビートに乗せて、暑い夏の夜、月のスポットライトに照らされながら踊るような千鳥足で帰っていく酔っ払いの姿…を描いた歌詞。
そしてギターよりもむしろ前面に出ているゲストのサックス。
サックスをプレイしているのはSUPERTRAMPをサポートしていたジョン・ヘリウェル。
(「Downtown Sundown」ではクラリネットも聴かせる)
「Dancing In The Moonlight」は全英14位のヒットとなり、アルバムも全英4位を記録する。
しかしフィル・ライノットはやっぱりブライアン・ロバートソン抜きでは駄目だと思ったのか、ロボを呼び戻す。
確かに、アルバム中で唯一ロボとスコット・ゴーハムのツイン・ギターが聴ける「That Woman's Gonna Break Your Heart」は他の曲に較べてドラマティックさやダイナミズムが段違いだ。
再び4人に戻ったバンドは名ライヴ盤『LIVE AND DANGEROUS』(全英2位)を残したものの、結局ブライアン・ロバートソンは再び脱退し、今度は戻らず。
結局『BAD REPUTATION』はロボを含む4人編成での最後のスタジオ作になってしまった。
かつて在籍していたゲイリー・ムーアが戻ったTHIN LIZZYだったが、その後も良いアルバムを作りつつ、ロボ在籍時のようにラインナップが安定することはなかったワケで。
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