ミュージック・マガジン社から短期間刊行されていた雑誌「ノイズ」で紹介されていて、「GURU GURUの新作?」となったのだった。
タイトル通り、1988年のリリース。
メンバーはマニ・ノイマイアー(ドラム、パーカッション)、リサ・クラウス(ヴォーカル)、ハンス”ルシファー”レファート(ギター)、ヴィートゥン・ヴィト(ベース)の4人。
リサとハンスの二人は70年代後半から80年代初頭にかけて活動していたZAUBERFINGERというバンドの出身で、ハンスはEMBRYOのジークフリート・シュワブにギターを学んだという。
ヴィートゥンはアタ・タック・レコーズからアルバムを出していたJA JA JAというバンドのメンバーで、ピロレーターのアルバムに参加していたこともある。
GURU GURU SUN BAND名義のアルバム『HEY DU』(1979年)を最後にブレイン・レコーズとの契約を失ったマニ・ノイマイアーは、81年にGURU GURU名義で『MANI IN GERMANI』をリリースした後は名前が聞かれることもなくなっていたが。
リサ・クラウスとハンス・レファートを含む編成で87年にアルバム『JUNGLE』をリリースし、GURU GURUとしての活動を再開していたのだった。
…といったあれこれはずっと後になって知った。
ともあれGURU GURUが専任ヴォーカル、しかも女性ヴォーカルを擁していたのはこの時期だけのこと。
で、『GURU GURU '88』を聴いて「なんじゃこりゃ」となった。
作曲は演奏陣で、歌詞は全てリサ・クラウスが書いている。
(曲名も歌詞も英語)
1曲目「Work」は、性急なビートに、ニナ・ハーゲンあたりの影響がありそうな、時にヒステリック、時にオペラティックなリサ・クラウスのヴォーカルが乗り、ハンス・レファートのノイジーなギター・ソロが鳴り響く。
完全にポスト・パンク/ノイエ・ドイッチェ・ヴィレな音。
それでいてドラムは手数多くビートを刻み、一方ベースは往年のホルガー・シューカイのように(?)上下動を繰り返す。
この曲が一番出来が良い。
しかし往年のGURU GURUのサウンドとはかけ離れていた。
2曲目「Take It All」は、レゲエっぽいベースにハンス・レファートのチキン・ピッキングとリサ・クラウスの切れ切れなヴォーカルとシャウトが乗る。
3曲目「Long Ago」はジャジーな(?)演奏にリサのヴォイスが浮遊する、アトモスフェリックな1曲。
(なんか、JACULAあたりが演りそうな)
どちらも、マニ・ノイマイアーに実直にリズムを刻んでいる。
4曲目「Dig That Fun」はファンク。
5曲目「Bat Man」もファンキーだが、途中でストレートに疾走する。
6曲目「His Time」はアルバム中最長の1曲で(5分半)、何故かエドガー・アラン・ポーに捧げられている。
これまたアトモスフェリックに流れていく、(アルバムの中で一番長いにも関わらず)曲とも言えないような1曲。
7曲目「Jim Jim Jimmy」は、リサ・クラウスの語り風のヴォーカルとタイトルを連呼するサビが印象的なポップ・ナンバー。
8曲目「Guru Guru Shake」は、90年代以降のGURU GURUを思わせなくもない、エスニックな1曲。
(ほぼインストゥルメンタル)
この曲のみ、ゲストとしてEMBRYOとも共演していたタヴィル(南インドの打楽器)奏者、マスター・パラマ・シヴァム・ピライが参加している。
そしてアルバムは31分で終わる。
時代が悪過ぎたか。
流石のマニ・ノイマイアーと言えども、ポスト・パンクにも、流行し始めていたワールド・ミュージックにも乗り切れないままになってしまった中途半端な1枚、というか。
しかし、個人的には嫌いじゃない。
ともあれ結局リサ・クラウスとハンス・レファートをフィーチュアしたGURU GURUはこのアルバムで終わり、マニさんは5年後の『SHAKE WELL』(1993年)以降、新たな編成での新たなGURU GURUサウンドを世に問い、続く『WAH WAH』(95年)以降は再び傑作を連発することになる。
ちなみにハンスは2016年2月に69歳で亡くなっている。
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