今では名盤にして定番なアルバムかも知れないが、1994年にあのジャーマノフォンからブートCD化されるまでは、入手困難な1枚だった。
NEU!のミヒャエル・ローターとCLUSTERのハンス・ヨアヒム・ローデリウス、ディーター・メビウスの3人で、1974年に1stアルバム『MUSIK VON HARMONIA』をリリース。
続く『deluxe』では、ローター(ギター、キーボード、ヴォーカル)、ローデリウス(キーボード、ヴォーカル)、メビウス(シンセサイザー、大正琴、ヴォーカル)の3人に、ゲストとしてマニ・ノイマイアー(ドラム)が参加し、NEU!+CLUSTER+GURU GURUな凄いメンツになっている。
もちろんプロデュースとエンジニアリングはコニー・プランクで、あの『ZERO SET』の前哨戦とさえ言える1枚。
ちなみに大正琴は”nagoja harp”とクレジットされていて、「名古屋ハープって何?」となったのでした。
1曲目「deluxe(immer wieder)」から、同時期のCLUSTERには聴かれなかった叙情的なメロディアスさがあり、コレはその後のミヒャエル・ローターのソロ作に通じるセンス。
しかしHARMONIAでは3人が朴訥なヴォーカルも聴かせ、ローターのソロともCLUSTERともまた違った味わい。
一方マニ・ノイマイアーが参加したことで当然ながらリズムが前面に出ていて。
LPだとB面トップになる3曲目「monza(rauf und runter)」では、CLUSTERっぽい静謐で抽象的なサウンドが2分近く鳴らされた後、マニさんのドラムが斬り込んでほとんどNEU!そのものなモータリック・ビートに。
マニさんのドラミングも、意識的にクラウス・ディンガーに寄せたようなプレイが聴ける。
(でもやっぱり違うけど)
ヴォーカルも叫びに近い部分があり、HARMONIA版「Hero」とでもいうか。
4曲目「notre dame」や6曲目「kekse」あたりはCLUSTERの二人が主導したのかな、と思うアブストラクトな音が浮遊するが、しかし「kekse」なんかは同時期のCLUSTERよりかなり人懐っこい感じというか。
「monza(rauf und runter)」もNEU!そのものとか言いつつ、NEU!の無機質で尖った感覚よりも開放的でヘヴンリーな印象があり、クラウス・ディンガーが関わっていないのに、なんだか牧歌的なLA DUSSELDORFとでも言いたくなるようなところもある。
人懐っこいとか牧歌的とかあるいは田舎臭い(?)とか…というのは、ビーチでくつろぐ3人、という裏ジャケットが象徴しているような気も。
このアルバムと前後してミヒャエル・ローターはNEU!を離脱し、その後はソロ活動に入る。
(残されたクラウス・ディンガーらはLA DUSSELDORFに移行)
CLUSTERはこの後ブライアン・イーノとコラボレートして新たな段階に突入することに。
ローターによれば、HARMONIAが短期間しか続かなかったのは、作品が商業的に受け入れられず(NEU!よりも売れなかったとか)、それに伴ってCLUSTERの二人とも不和が多くなったせいということだった。
ローターはその後90年代にディーター・メビウスと再びコラボレートするようになるが、ソロ作ではメビウスよりもある意味俗っぽい音を出していたハンス・ヨアヒム・ローデリウスの方が、性格的にはむしろ付き合いにくかった様子。
そしてソロ活動に入ったミヒャエル・ローターは、(当然ながら)袂を分かったクラウス・ディンガーでもなく、HARMONIAに客演したマニ・ノイマイアーでもなく、CANのヤキ・リーベツァイトをパートナーとする。
ローターはヤキのことを「テクニック的に最も驚嘆させられる」と絶賛している。
もちろん『deluxe』でのマニさんも素晴らしいけどね。
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