00年代に活動した日本のエモのバンドにnine days wonderというのもあるのだが。
ここで紹介するNINE DAYS' WONDERは70年代のドイツで活動していたバンド。
60年代に幾つかのバンドで活動していたヴァルター・セイファーがマンハイムで1966年に結成したTHE GRAVESが、70年2月にNINE DAYS' WONDERと改名。
フランク・ザッパや英国プログレッシヴ・ロックの影響を受けていたという。
71年にアルバム『NINE DAYS' WONDER』でデビューし、メンバー交代を重ねながら『WE NEVER LOST CONTROL』(73年)、『ONLY THE DANCERS』(74年)、『SONET TO BILLY FROST』(76年)と4枚のアルバムをリリースして解散。
『THE BEST YEARS OF OUR LIFE?』は一見するとベスト盤のようなタイトルだが、実際には1971~75年にかけてのアルバム未収録曲やライヴ・テイクを収録した未発表曲集。
71年・72年・74年・75年に録音された12曲が収められている。
1971年のバンドはヴァルター・セイファー(ヴォーカル、ドラム、パーカッション)、アイルランド人のジョン・アール(サックス、フルート、ギター、ヴォーカル)、ロルフ・ヘニング(ギター、ピアノ)、カール・マッシュレンチュナー(ベース)、イギリス人のマーティン・ロスコー(ドラム)という多国籍編成。
1曲目「North Pole」はヴァルターの暑苦しいヴォーカルとパーカッションをフィーチュアしたラテン・ロック風だが、3・4曲目のライヴ録音(特に13分近い3曲目「Drag Dilemma」)は、確かにフランク・ザッパの影響を感じさせる。
ジョンはアルバム『NINE DAYS' WONDER』1枚きりで脱退し、GNIDROLOG(!)に加入、その後GRAHAM PARKER AND THE RUMOUR、THIN LIZZY、ジョニー・サンダース、THE INMATES、イアン・デュリー、ジョーン・ジェット、デイヴ・エドマンズ、KATRINA AND THE WAVES、MIKE + THE MECHANICS、ロリー・ギャラガー…と、ジャンルを問わず活躍。
1972年の2曲は『WE NEVER LOST CONTROL』の前、ヴァルター・セイファー(ヴォーカル、パーカッション)、ハンス・フラウエンシュー(ギター)、ミヒャエル・ブント(ベース)、フレディ・マンスター(サックス、キーボード)、カール=ハインツ・ヴァイラー(ドラム)の5人による。
ヴァルターの歌唱の暑苦しさが多少後退しつつ、サックスをフィーチュアしたプログレッシヴ/ジャジーなテイストは健在。
1974年の4曲は『ONLY THE DANCERS』当時の録音で、ヴァルター・セイファー(ヴォーカル、パーカッション)、出戻ったロルフ・ヘニング(ギター、ベース)、マイク・ブント(ベース)、シダッタ・ゴータマ・シュヴィツキ(ドラム)の4人編成。
管楽器と鍵盤がいなくなった。
この時点でもヴァルターのパーカションをフィーチュアしてアフロ/ラテン的にしてポリリズミックかつファンキーな印象ながら、初期に較べるとかなりシンプルでキャッチーなハード・ロック。
(とはいえかなりひねった感じ)
マイクはその後ソロに転じ、現在も現役らしい。
そして1975年の2曲は『SONET TO BILLY FROST』の前年。
(ライヴ録音)
ヴァルター・セイファー(ヴォーカル、パーカッション)、ベルント・ウンガー(ギター、ヴォーカル)、ペーター・オーラー(ギター、ヴォーカル)、ライナー・サーム(ベース)、シダッタ・ゴータマ(ドラム)の5人。
初めてツイン・ギター編成となった。
この時点では初期の長尺曲やプログレッシヴ/アヴァンギャルドな展開とはまったく無縁な、シンプルなハード・ロックとなっているが、シダッタのドラムをはじめとして随所でテクニカルさを聴かせる。
活動初期から曲名も歌詞も英語で、多分インターナショナルな展開を意識していたと思われるが、結局知る人ぞ知る存在として終わってしまった。
バンド解散後、ヴァルター・セイファーはベルント・ウンガーとWINTERGARDENを結成。
次いでELSKALTE ENGELで80年代初頭まで活動。
ELSKALTE ENGEL以降は80年代を通してプロデューサーとして活動し、その後引退した模様。
『ONLY THE DANCERS』からNINE DAYS' WONDERに参加したシダッタ・ゴータマは、バンド解散後にELECTRIC SUNの『FIRE WIND』で叩き、現在はEDMのプロデュースをしているという。
この記事へのコメント