入手が遅れた。
クラウス・ノミ没後40周年記念ということで、『KLAUS NOMI』(1981年)、『SIMPLE MAN』(82年)、『ENCORE!』(84年)、『IN CONCERT』(86年)の4作がデジパック+Blu-spec CD 2という仕様で国内発売。
『ENCORE!』は以前このブログでも紹介したが(https://lsdblog.seesaa.net/article/202102article_11.html)。
今回の目玉は『IN CONCERT』初CD化(!)だろう。
オリジナル・リリースから37年、遂にCDで聴けるようになった。
クラウス・ノミが1983年8月6日に亡くなって2年半近く経った86年1月にリリースされた『IN CONCERT』だが、内容は79年8月1日にニューヨークのクラブ・HURRAH'Sで行なわれたライヴ。
参加メンバーのクレジットは皆無ながら、山田順一氏によるライナーノーツでは、当時のノミがクリスチャン・ホフマン(キーボード:元THE MUMPS)らとやっていたNOMI BANDによる演奏ではないかと推測されている。
(「Total Eclipse」のみサックスが参加し、ソロを吹きまくる)
収録されているのは「Keys Of Life」「Falling In Love Again」「Lightning Strikes」「Nomi Song」「The Twist」「Total Eclipse」「I Feel Love」「Samson And Delilah: Aria」の8曲。
ワーグナー「ワルキューレの騎行」に導かれて始まる「Keys Of Life」(収録曲中唯一クラウス・ノミ自身の手になる)をはじめ、ドナ・サマーのカヴァー「I Feel Love」以外はすべて『KLAUS NOMI』と『SIMPLE MAN』に収録された曲だが。
しかし『KLAUS NOMI』より2年も前のライヴなので、各曲のアレンジはスタジオ・ヴァージョンとかなり違っている。
ヴォーカルも、スタジオ作と歌い回しや歌詞が多少違うだけでなく、チャビー・チェッカーの「The Twist」はほとんど地声で歌われていたり。
「Total Eclipse」は『ENCORE!』でも80年代のライヴ・ヴァージョンが聴けて、そこでもシンセ・ポップっぽいスタジオ・ヴァージョンに較べてかなりロック・バンド然とした演奏と思わされたモノだが、1979年のライヴでは更にロックっぽいアレンジになっている。
(サックスをフィーチュアしたイントロが延々と続いた後、クラウス・ノミが入りのタイミングを見失いかけているような感じで歌い出すのが、また何とも言えない味わい)
「Keys Of Life」からマレーネ・ディートリッヒで有名な「Falling In Love Again」に入るところで「1,2,3,4」と小さくカウントが聞こえるのも、いかにもバンドっぽくて興味深い。
「Lightning Strikes」のイントロだけでなく曲中にも入ってくる雷鳴など、SEが多用されるのも印象的。
(相当シアトリカルなステージを展開していたようだ)
唯一「Samson And Delilah: Aria」(サン=サーンスのオペラ『サムソンとデリラ』中のアリア「あなたの声に私の心は開く」。クラウス・ノミが憧れたマリア・カラスの歌唱で有名)だけは『KLAUS NOMI』収録のテイク(こちらもライヴ音源)とほとんど同じに聴こえる。
コレは生演奏ではなく、バッキングには同じテープが用いられていたのではと思われる。
(あと「Nomi Song」も、この時点ですべてのアレンジがほぼ完成していたのがわかる)
一番の聴きモノはオリジナル・アルバムに収録されなかった「I Feel Love」だろう。
(シングルのみのリリース)
この曲は80年代にBRONSKI BEATとマーク・アーモンドもカヴァーしていたが、クラウス・ノミの異形ぶりの足元にも及ばない。
ってかバックの演奏がほとんどSUICIDEみたいだよな…。
それにしても、オペラとオールディーズとポスト・パンクを融合してぶちまける、このあまりにも異常な音楽。
クラシカルでポップでニュー・ウェイヴィーでキッチュでゴスい。
クラウス・ノミに興味があって音源持ってないという人には、まず『KLAUS NOMI』『SIMPLE MAN』というオリジナル・アルバム2枚をお勧めするが。
出来ればこの機に4枚全部買って欲しい。
ともあれ初CD化の『IN CONCERT』、2023年も半ばにして今年のリイシュー部門のベスト候補。
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