もっとも、グレアム率いる(はずの)ALCATRAZZ featuring GRAHAM BONNETには動きが見られないので、現時点ではALCATRAZZと言えばこっちだ。
映画のポスターを思わせるジャケット・デザインがユニーク。
現在のバンドは、ジミー・ウォルドー(キーボード)とゲイリー・シェイ(ベース)のオリジナル・メンバーに、2019年から参加しているジョー・スタンプ(ギター)、前作『V』(21年)から歌っているドゥギー・ホワイト(ヴォーカル)、そして新加入のローレンス”ラリー”パターソン(ドラム)という5人。
ラリー・パターソンはブレイズ・ベイリーのバンドにいたらしい。
それにしてもドゥギー・ホワイトすげえなあ。
リッチー・ブラックモアともマイケル・シェンカーともイングヴェイ・マルムスティーンともやったことがあるって…そりゃグレアム・ボネットと一緒じゃねえか!
確かにALCATRAZZに入る資格のあるキャリアなのかも知れん(?)。
ロニー・ロメロはリッチーとマイケルはともかく、イングヴェイとは関わってないしな。
あとマイケルともPRAYING MANTISともやったことがあるという点ではゲイリー・バーデンにも重なる。
一方でTANKにもいたことあるんだからよくわからん…。
そのドゥギー・ホワイト、ボーナス・トラックを含む11曲中の8曲にクレジットされている。
それらの歌詞と歌メロはドゥギーによるモノだろう。
作曲の中心はジョー・スタンプで、オリジナル10曲全てにクレジットがある。
ジミー・ウォルドーは4曲しか関わっていないが、まあ元々ALCATRAZZのメイン・ソングライターじゃなかったので妥当かと。
「Holy Roller(Love's Temple)」にSAXONのベーシスト、ニブス・カーターの名前があるのが興味深い。
(前作『V』ではドラマーのナイジェル・グロックラーがゲスト参加しているので、付き合いがあるのだろう)
で、俺は『V』を聴いておらず、このアルバムで初めてドゥギー・ホワイトが歌うALCATRAZZを聴いたのだが。
ジョー・スタンプとドゥギーが書いた曲は…なんか、ALCATRAZZというよりもむしろ昔のイングヴェイ・マルムスティーンみたいに聴こえる。
スティーヴ・ヴァイやダニー・ジョンソン在籍時のALCATRAZZにあったアメリカっぽさは、希薄。
ALCTRAZZといえば結局イングヴェイ在籍時ばかりが注目されがちであること、ジョーが他でもないイングヴェイの影響を受けていること、そしてドゥギーもイングヴェイのバンドにいた一方で、そもそも声質も唱法もグレアム・ボネットとはまるっきり違うこと…などを考え合わせれば、自然なことではある。
ただし当然ながらイングヴェイのアルバムとは違って、ギターばかりが目立つような作風にはなっていない。
現在のバンド・リーダー(のはず)にしてかつてNEW ENGLANDでプログレをやっていたジミー・ウォルドー(アルバムのプロデューサーでもある)も、この方向性ならOKだったのだろう。
何しろバンド名を冠した「Alcatrazz」なんて曲もあって、相当気合が入っていたはず。
(「Alcatrazz」もかなりイングヴェイっぽい)
ただ、イングヴェイ・マルムスティーン在籍時の『NO PAROLE FROM ROCK 'N' ROLL』(1983年)にも「Island In The Sun」みたいな曲があったように、ALCATRAZZといえばやっぱりというか、メジャー系の明るめというかアメリカンな感じの曲も1曲は欲しい。
そういうタイプの曲として(?)、メンバーのオリジナルではない「Gates Of Destiny」が用意されている。
なんとジム・ピートリックの提供曲。
なるほどこの曲、歌い手がドゥギー・ホワイトじゃなかったら、SURVIVORみたいな曲になるのかも(?)。
(まあそこまで明るい感じの曲でもないけど)
あと、「Don't Get Mad…Get Even」での元気のいいコーラスは、GIRLSCHOOLのお姐さんたち。
意外な組み合わせに思われるが、ALCATRAZZは『V』リリース後のツアーをGIRLSCHOOLと一緒にやっていたので、その縁だろう。
あまりに雑多なキャリアのせいでどうも器用貧乏のイメージがある(?)ドゥギー・ホワイト…その昔RAINBOWの『STRANGER IN US ALL』(1995年)を聴いた時はどうも「これじゃない」感があったんだけど。
63歳の今、衰えているどころか説得力も風格も充分な歌唱を聴かせてくれる。
ただ余計なことをひとつ言わせてもらうと、自身のリーダー・バンドではなく雇われシンガー的な活動ばかりなので、そんなに儲かってはいないんじゃないかという気がする…。
ともあれグレアム・ボネットの声こそがALCATRAZZのアイデンティティ…みたいな信仰めいたモノがあるとか、そういう人でない限りは、新たなALCATRAZZの新たなアルバムとして楽しめる1枚に仕上がっていると思う。
『TAKE NO PRISONERS』、9日リリース。
この記事へのコメント