埼玉県で90年代末~00年代初頭にかけて活動したバードマンは、アルバム2枚しかリリースしていないはず。
2枚目がウェールズのKIMLA TAZ。
(https://lsdblog.seesaa.net/article/201705article_17.html)
そして1枚目がこのTHE EXTREEM。
イングランドのウエストブロムウィッチで結成。
1967年にシングルをリリースしてデビュー。
70年にはアルバム1枚分のレコーディングを行なうが、正式にリリースされることなく、アセテート盤しか残っていなかった。
(12枚しか存在しないという超絶激レア盤)
ところが98年に再結成して、2曲をレコーディング。
このCDにはその全曲が収録されている。
彼らが録音したのはここに収められた12曲のみということで、CDには”The Complete Recordings 1967, 1970 & 1998”とある。
500枚限定。
CDに収録されているのは、録音と逆の順。
1967年のシングル2曲は、最後に収められている。
当時のメンバーはデリック・ポイントン(ヴォーカル)、バリー”バズ”シヴィル(ギター、ヴォーカル)、ジェフ・ファーニヴァル(ギター)、”ウォンピー”エヴァンス(ベース)、ケルヴィン”ケリー”ペイン(オルガン)、デイヴ・ブルックス(ドラム)の6人。
この時点ではR&Bに根差したビート・グループという感じ。
シングルはアリオラ・レコーズからのリリースで、ホーンズも加わったメジャーなプロダクション。
(プロデュースとA面曲「On The Beach」の作曲はミキ・ダロン)
『EMOTIONS』の頃のTHE PRETTY THINGSあたりに通じなくもない。
1970年のアセテート盤の時点では、ドラマーがピート・ブートに交代している。
そう、BUDGIEの代表作『IN FOR THE KILL』(74年)で叩いていた人。
このCD自体、ピートが在籍したバンドの音源を発掘するという意図がメインだったと思われる。
もうひとつ…タイトル曲「From Out Of The Sky」はバリー・シヴィルがJUDAS PRIESTの初代シンガーだったアル・アトキンスと共作していて。
そのため、CDの帯には”Featuring Budgie & Judas Priest related members.”とある。
ちなみにピート・ブート加入後のTHE EXTREEMは、SLADE、BAND OF JOY、THE MOODY BLUES、BLACK SABBATH、THE MOVE、IDLE RACE、ARGENTなんかと対バンしていたという。
1970年2月にはLED ZEPPELIN結成後のロバート・プラントがTHE EXTREEMのライヴに参加したりなんてこともあったそうで。
1967年のシングル音源はレコードから起こされているが、70年の音源はアセテート盤ではなくオリジナル・マスター・テープからデジタル・リマスターされていて、いずれも非常に音が良い。
70年の時点ではやはりというかハード・ロックと呼べる音になっていて、67年のシングルとは別のバンドのようだ。
(もっともデリック・ポイントンの歌唱はあんまりハード・ロック然とはしていない)
「From Out Of The Sky」でのギターは、明らかにジミ・ヘンドリックスの影響を感じさせるモノ。
(曲自体ちょっと「All Along The Watchtower」っぽい)
コーラスとオルガンが前面に出た「Desolation City」はURIAH HEEP風と言えなくもないが、この時点ではURIAH HEEPデビュー前後なので、直接の影響はなかっただろう。
「Mal's Got The Blues」は曲名通りのブルーズ・ロック。
FAIRPORT CONVENTIONのカヴァー「Meet On The Ledge」でのジェフ・ファーニヴァルのギター・ソロはモロにTRAFFIC「Dear Mr.Fantasy」っぽくて、ところが途中からTHE BEATLES「Hey Jude」になるのだった。
で、彼らはやはりBEATLESが好きだったようで、「Day Tripper」もカヴァーしているんだけど、前半はインストゥルメンタル・パートで、それが途中でLED ZEPPELIN「Dazed And Confused」に(!)。
ところが「Can't Stop Loving You」では67年のシングルを思わせるポップ・ソングを聴かせたりも。
70年代にアルバム・デビューを果たせずに解散したTHE EXTREEMは、1998年に再結成する。
その時点でのメンバーはデリック・ポイントン(ヴォーカル)、ジェフ・ファーニヴァル(ギター)、スティーヴ・モス(ベース)、ケルヴィン・ペイン(キーボード)、ピート・ブート(ドラム)の5人。
バリー・シヴィルは新曲2曲を提供しているが実際のレコーディングには参加出来ず。
一時期STEVE GIBBONS BANDに参加していたという”ウォンピー”エヴァンスも、当時イタリア在住で再結成に加われなかったらしい。
録音はギタリスト一人の編成で行なわれ、ギターではなくパーカッションでゲストを迎えている。
2曲ともハード・ロックではないが、いかにも英国ロック然とした佳曲。
ピート以外のメンバーもEXTREEM解散後にそれぞれキャリアがあったようで、衰えを感じさせない歌唱と演奏が聴ける。
CDには裏表12面見開きのブックレットが入っていて。
各楽曲の詳細なレコーディング・データだけではなく、THE EXTREEMが出演していたハコやライヴの日付やアセテート盤の8曲のうちオリジナル6曲の歌詞、1970年頃の写真(アル・アトキンスと一緒に写っているモノも)など、充実した内容。
もちろん98年当時の変わり果てた(?)彼らの写真もある。
その中には”アルバムのプロモーションのため日本に行きたい”というピート・ブートの言葉もある。
しかしEXTREEMが来日を果たすことはなく。
ピートは2018年2月27日にパーキンソン病のため67歳で亡くなっている。
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