1964年、アンソニー・ユージン”ペッピ”マルチェロを中心に、セント・ジョンズ大学の学生5人でTHE U-MENとして結成。
ペッピ・マルチェロは当時19歳だった。
バンドはその後THE GOOD RATSと改名する。
しかし1965年の北爆開始以降ヴェトナム戦争が激化し(そういう時代であった)、66年秋にはメンバーの徴兵で交代を余儀なくされる。
新たにペッピ・マルチェロ(ヴォーカル)、ペッピの弟ミッキー・マルチェロ(リード・ギター)、テディ・H(リズム・ギター)、クレイジー・アーティーことアート・フェイヒー(ベース)、ダニー・ライアン(ドラム)という編成になったGOOD RATSが、SILVER APPLESのアルバムでも知られるキャップ・レコーズと契約してリリースしたのが『THE GOOD RATS』だった。
同時期のロングアイランドにはTHE VAGRANTS(https://lsdblog.seesaa.net/article/201607article_619.html)、THE HASSLES、THE RASCALS、THE PIGEONS~VANILLA FUDGE(https://lsdblog.seesaa.net/article/201911article_15.html)といった錚々たる顔ぶれがひしめいていたが。
それらのバンドがいずれもオルガンを前面に出していたのに対して、THE GOOD RATSは他のバンドと同様にソウル/R&Bの影響をあらわにしつつ、2本のギターをフィーチュアし。
(その点ではSTALK-FORREST GROUP~BLUE OYSTER CULTを思わせなくもない)
一方でアルバムでは、ギター以上にホーンズが目立っている。
そのためブラス・ロック/ジャズ・ロック的でもあり。
更にストリングスやオルガンも随所でフィーチュアされていて、音はかなり厚い。
(同時代のブラス・ロックよりも、むしろ後期のTHE BEATLESあたりの影響が大きかったのでは…と、個人的には思う)
しかし何より特徴的なのは、ペッピ・マルチェロのパワフルで暑苦しいヴォーカルだろう。
大仰で芝居がかっている、ともいう。
(アナログA面では曲間なしで次々と曲が続いて行くので、実際シアトリカルというかトータル・アルバムっぽくも聴こえる)
そしてその後も長らく、ペッピの声がバンドを牽引し続けることになる。
その後も長らく…とは言ったものの、THE GOOD RATSの活動は曲折を経ることになる。
『THE GOOD RATS』から実に5年を経て、1974年にワーナーから2ndアルバム『TASTY』がリリースされた時には、マルチェロ兄弟以外のメンバーは入れ替わっていて。
バンドはペッピ・マルチェロ(ヴォーカル)、ミッキー・マルチェロ(リード・ギター)、ジョン”ザ・キャット”ガットー(リズム・ギター)、レニー・コッケ(ベース)、ジョー・フランコ(ドラム)の5人となっていた。
実質的には再デビューと言っても差し支えないだろう。
THE U-MEN結成から既に10年、ペッピは29歳だった。
バンドはその後『RATCITY IN BLUE』(1975年)、『FROM RATS TO RICHES』(78年)、『BIRTH COMES TO US ALL』(79年)、『LIVE AT LAST』(80年)とリリースを重ねるが。
(『LIVE AT LAST』の時点ではもうレパートリーに『THE GOOD RATS』からの曲はない)
一応ハード・ロックに分類されなくもない音楽を演っていたとはいえ、ジャズやブルーズの要素も交えたジャンル分けしづらいサウンドは全米で人気を得るには至らず。
80年代にはラインナップが崩れ、ブルース・キューリック(もちろんその後KISSで有名になる人)をリード・ギターに迎えた『GREAT AMERICAN MUSIC』を最後に、THE GOOD RATSは83年に解散している。
(ジョー・フランコは70年代からよく対バンしていたTWISTED SISTERに加入し、その後もディー・スナイダーのWIDOWMAKERで演奏した他、マライア・キャリーからジェイムズ・ラブリエまでジャンルをまたいでセッション・ドラマーとして活躍した)
バンド解散後、ハード・ポップで人気を得た美人シンガー、フィオナ(覚えてる人いる?)のデビュー作『FIONA』(1985年)をプロデュースしたりしていたペッピ・マルチェロだったが。
90年代に入ると二人の息子、ジーン・マルチェロ(ギター)とステファン・マルチェロ(ドラム、その後ベース)と共に再びTHE GOOD RATS名義で活動するようになるのだった。
新生GOOD RATSは自らのレーベル、アンクル・ラット・ミュージックを立ち上げ、『TASTY SECONDS』(96年)、『LET'S HAVE ANOTHER BEER』(2000年)、『PLAY DUM』(02年)、『RATS, THE WAY YOU LIKE'EM』(07年)とアルバムをリリースしている。
その後2008年にジーン・マルチェロが脱退。
そして13年7月10日、ペッピ・マルチェロは心臓発作で亡くなっている。
68歳だった。
しかし残されたステファン・マルチェロはTHE GOOD RATSとしての活動を続行。
『AFTERLIFE』(2014年)、『MAKING ROCK AND ROLL GREAT AGAIN』(16年)とアルバムをリリースし、コロナ禍を乗り越えて現在も活動しているという。
THE U-MENの結成から来年で60年(!)となる。
その起点がこの『THE GOOD RATS』だった。
ちなみにTHE VAGRANTSのメンバーは、自分たちこそ生粋のロングアイランドのバンドで、THE RASCALSもVANILLA FUDGEも元はニュージャージー出身、などと言っていたが。
結局ロングアイランド界隈で長く活動し続けているバンドと言ったらTHE GOOD RATSとBLUE OYSTER CULTだろう。
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