あとからリリースされたそっちが2rdアルバムで、この『LOVE=ACID SPACE=HELL』の方が3rdアルバムだというのだから不思議なお話。
『BULLSEYE OF BEING』は1stアルバム『HOMO ERECTUS』と同時期に録音されていたそうなんだけど、どういう事情があったのか、リリースは03年録音の『LOVE=ACID SPACE=HELL』の方が先になったのだという。
リーフ・ハウンド・レコーズからの国内盤では確かに『知覚の扉/オレンジ・サンシャイン・サード・アルバム』という邦題が付けられている。
ちなみに『HOMO ERECTUS』『BULLSEYE OF BEING』『LOVE=ACID SPACE=HELL』は、それぞれ1969年、70年、71年の録音とクレジットされている(笑)。
そしてそのあまりにもヴィンテージなヘヴィ・ロック・サウンドに、そのクレジットを真実と思い込む人が続出。
もちろん実際には21世紀のバンドでした。
3rdアルバムの時点ではベーシストが交代し、ガイ・タヴァレス(ドラム、ヴォーカル:ガイじゃなくてギイかも知れない)、アーサー・ファン・バーケル(ギター)、ミシャ・ポッペ(ベース)のトリオ。
前ベーシスト、メーディ・ルーチチェもハープで1曲ゲスト参加している。
で、完全にBLUE CHEER直系だった前2作に較べ、3rdアルバムではかなりの変化が聴かれる。
1曲目「Lonely Child」から、かなりストレートに疾走するハード・ロック。
音がスッキリしていて、前作までのような悪魔的(?)に歪んだサウンドではない。
(もちろん比較すればという話で、やっぱりファズは鬼のように踏んでいるが)
1971年録音という”設定”(笑)に忠実に、ヘヴィ・サイケからハード・ロックにシフトしていく様子を再現しようとしたのかな、とも思った。
ところがそうでもない。
THE YARDBIRDSでも有名なボ・ディドリーの「I'm A Man」や、THE PRETTY THINGSも演っていたこれまたボの「Hey Mama」なんてカヴァーが入っていて。
そのへんは選曲だけ見るとむしろ先祖返りしてガレージ/R&Bパンク的。
しかし、ハープをフィーチュアした「I'm A Man」はともかくとして、「Hey Mama」は6分ほどもあるドラム・ソロをフィーチュアした15分の長尺カヴァーと、ヘヴィ・サイケなアレンジ。
更に、あからさまにチャック・ベリー風で、実際チャックにインスパイアされたとクレジットがある「Wham Bam…」とか、ランディ・ホールデン『POPULATION Ⅱ』(https://lsdblog.seesaa.net/article/202102article_20.html)収録曲「Blue My Mind」を改題した「Population Ⅲ」なんて曲もあったり。
…で、思った。
前2作からコンセプチュアルに音を変化させたんじゃなくて…ひょっとして、前2作からの流れとはまったく関係なく、『LOVE=ACID SPACE=HELL』の”設定”と同じ1971年にリリースされた、デンマークのMOSES(https://lsdblog.seesaa.net/article/201607article_1273.html)あたりを意識したのでは?
意外とそうかも知れない。
MOSESもドラマーが歌うバンドだったし、スタジオ録音の曲中に長いドラム・ソロ入れてたし。
(そしてMOSESもORANGE SUNSHINEも、特にテクニカルではないドラム・ソロ)
いかにもそういうことやりそうだ、このバンド。
2007年には来日も果たしたORANGE SUNSHINEだったが、その後は10年代前半にライヴ・アルバムを2枚出しただけで、音沙汰がなくなった。
ガイ・タヴァレスは現在MERCURY BOYSというバンドで活動しているそうなので、ORANGE SUNSHINEの方は終わったのかも知れない。
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