THE BRAT/ATTITUDES "LP"

BRAT.jpg昨年6月のリリース。
12月に入手。

デンマークのBRATSじゃなくて、アメリカ西海岸のTHE BRAT。
いわゆるチカーノ・パンク。

メンバーはテレサ・コヴァルビアス(ヴォーカル)、ルディ・メディナ(リード・ギター)、シドニー・メディナ(リズム・ギター)、ルイス・ソト(ベース)、ロバート・ソト(ドラム)の5人。
ルディ&シド・メディナは兄弟ではなく、叔父と甥とのこと。
(歳は近かったという)
ルー&ロバート・ソトは兄弟だろう。
(顔はそっくり)

テレサ・コヴァルビアスは大学で心理学を学ぶ一方、ボブ・ディラン、THE ROLLING STONES、デイヴィッド・ボウイ、そしてベニー・グッドマンなどを好んで聴いていたという。
一方ルディ・メディナとシド・メディナは共にクラシック・ギターの教育を受け、特にルディはUCLAでクラシックを専門的に学んで卒業したとのこと。
そしてルディとシドはTHE CLASH、デイヴィッド・ボウイ、NEW YORK DOLLS、THE SPARKSなどのロックも愛好していたらしい。

1978年4月14日、THE JAMのライヴ会場でテレサ・コヴァルビアスとルディ・メディナが出会ったことをきっかけに、バンド結成となる。
(JAMってそんな早い時期にアメリカをツアーしていたのね)
彼らはパンク、レゲエ、そして60年代ガール・グループなどの影響を融合して、自分たちのオリジナリティを模索していく。
THE PLUGZのヴォーカル兼ギターだったティト・ラリヴァとポール・A・ロスチャイルド(THE DOORSのプロデューサー!)のプロデュースで録音された5曲は、ティトが主宰したファティマ・レコーズの第1弾として、80年にリリースされた。

このアルバムは、1980年の10inch「ATTITUDES EP」の5曲に、81~85年に録音された8曲を追加した全13曲入りの編集盤。
なるほど、EPのA面1曲目「Swift Moves」からレゲエ。
一方82年録音の「The Wolf」は、イントロといいギター・ソロといい、DEAD BOYS「Sonic Reducer」を思いっきり意識しているような。
テレサ・コヴァルビアスはキュートな声質で、いかにもパンクっぽい速い曲でも激することなくポップに聴かせる。
そしてポップな曲はほとんどパワー・ポップと言ってイイ曲調。
クラシックを学んだ二人のギタリストだけでなく、リズム・セクションも演奏はかなり上手い。

聴きやすくポップな曲が多い一方で、”Everything I say is wrong, Everything I do is wrong, It's just my attitude”と歌われる「Attitude」をはじめとして、歌詞はイーストLAのチカーノ、そして女性であるテレサ・コヴァルビアスが直面してきたであろう差別や不平等や暴力などを歌うモノが多かったようだ。
アルバム中で歌詞が載っているのは「Attitudes」だけだが、「Leave Me Alone」「The Cry」「Misogyny」「Dirty Work」といった曲名からも、シリアスなメッセージ性を想像することが出来る。

1985年録音の「Chains」「Over And Over」になると、パンク色は希薄で、キャッチーでよく出来た女性ヴォーカルのポップ・ロック/パワー・ポップという感じ。
実際、EPリリース以降、地元のクラブ・シーンでのTHE BRATの人気は上々で、R.E.M.などの有名バンドの前座を務めることも度々だったという。
しかし、バンドが望んでいたメジャー契約は得られず。
メンバーはそのことに失望し、結局BRATは85年に解散したという。
埋もれさせておくには惜しいクォリティのバンドだったと思うのだが。
(メッセージ性の強さが嫌われたのだろうか…)

THE PLUGZやLOS LOBOSなんかに較べると音楽性にチカーノっぽい部分がほぼなくて、BLONDIEとかTHE GO-GO'Sとか好きな人にもフツーにお勧め出来る1枚です。
(半面、チカーノ・パンクらしいアクの強さを求める人には物足りないかも知れないが)

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