MOTORHEAD/ROCK 'N' ROLL(1987)

MOTORHEAD ROCK N ROLL.jpgこのブログを始めて、今月で15年(!)。
(そんなに続くどころか、そもそも生きながらえることが出来るとも思ってなかったよ…)
ところが、これまでに”今日の旧譜”でただの一度もMOTORHEADのオリジナル・アルバムを紹介していない…ということに、今更ながら気が付いたのだった。
(マジか)

そこでコレです。
俺が初めてリアルタイムで新譜として買ったMOTORHEADのアルバム。
1987年8月リリース。
スタジオ作としては8枚目。
近所のレコード店「ムラタ」で予約したのだった。
当時はもちろんLPだった。
今俺の手元にあるのは10年後の97年に出たリマスター盤CD。
リマスターじゃないCDもある。
(LPは札幌の倉庫に置いたまま)

1stアルバム『MOTORHEAD』から10年。
当時レミー41歳。
前作『ORGASMATRON』(1986年)で叩いていたピート・ギル(元SAXON)がクビになり、84年にMOTORHEADを脱退して以降はフランキー・ミラーやブライアン”ロボ”ロバートソンと活動していたフィル”フィルシー・アニマル”テイラーが復帰。
俺だけでなく、当時全世界のMOTORHEADファンが「うおおおおおおお」となったはず。

ところが。
1曲目「Rock 'n' Roll」イントロで「ドラムが軽い…」となった。
結局『ACE OF SPADES』(1980年)や『OVERKILL』(79年)のようなサウンドは聴けないまま、アルバムを聴き終えることになる。
もちろん『ORGASMATRON』での妙なヘヴィネス(?)とも全然違った。

迫力不足なサウンドの一因が、プロデューサーのガイ・ビドミードにあったことは間違いない。
『ACE OF SPADES』をプロデュースしたR&R録音鬼ヴィック・メイルのアシスタントだった人物ながら、ヴィックのような才覚はなかった…レミー曰く”ただのエンジニア”。
ただしガイが凡庸な駄目プロデューサーに過ぎなかったのかというとそうとも言い切れず。
彼はコージー・パウエル『TILT』(1981年)、WARFARE『METAL ANARCHY』(85年)、HAWKWIND『THE XENON CORDEX』(88年:https://lsdblog.seesaa.net/article/201810article_12.html)などの良作も手掛けている。
(90年代半ば以降はプロデュースの仕事をしていないようだが)
ともあれMOTORHEADには向いていなかったのだろう。
(彼がプロデュースした88年のライヴ盤『NO SLEEP AT ALL』もピリッとしない仕上がり。ただその責任はMOTORHEAD自身にもあったと思う)

しかし、『ROCK 'N' ROLL』はすぐに俺の愛聴盤となった。
タイトル通りのシンプルな、それでいて充分にやかましいR&Rは、当時のインタヴューでレミーらが「MOTORHEADはへヴィ・メタルじゃない、R&Rだ」と語っていたのを音で証明するような。
(その後随分経ってからだが、レミーはライヴ開始時のMCで”We are Motorhead. We are rock'n'roll.”とのたまうようになり)

そして、『OVERKILL』や『ACE OF SPADES』の収録曲には何歩も譲るとしても、とても良い曲がそろっている。
まずタイトル曲。
次に映画『金持を喰いちぎれ』(https://lsdblog.seesaa.net/article/499441498.html)主題歌「Eat The Rich」。
キャッチーなコーラスの「Blackheart」。
ジョージ・サラグッドが白目をむきそうなワーゼルの乱雑なスライド・ソロが映え、一方その後のレミーのアメリカ移住を暗示するような(?)「Stone Deaf In The USA」。

LPではA面の最後にマイケル・ペイリン(モンティ・パイソン)の演説が入って、それからレコードをひっくり返すのだが、リマスター盤CDでは単に”5曲目”となってしまっているのが、興を削ぐこと著しい。
(しかもそのため、ここからは裏ジャケットにクレジットされた曲順の番号とずれてしまう)
ちなみに『ROCK 'N' ROLL』を録音したスタジオのオーナーがマイケルだったことで実現した客演だったのだそうで。
(もちろんMOTORHEADメンバー全員がモンティ・パイソンのファンだった)

B面は疾走感あふれる(でも軽い…)「The Wolf」に始まり。
ひっかかりのあるカッコいいリフの「Traitor」。
MOTORHEADがファンクを演ったらこうなる(?)、みたいな「Dogs」。
「Blackheart」同様にキャッチーな「All For You」。
(このアルバム、キャッチーな曲が多い)
そして映画『極悪レミー』でレミーが自身のベース奏法のデモンストレーションとしてイントロを披露してみせた(というぐらいレミーらしいベースが聴ける)「Boogeyman」。
(ちなみに3番目のギター・ソロもレミー)

いやあ、カッコいいアルバムですよ。
”フィルシー・アニマル”テイラー復帰について、レミーは「結果的には間違いだった」みたいなことを言っているが、(確かにこのラインナップは続かなかったとはいえ)ファンの誰もが「いや、間違いなんて、そんなことは…」と思うのでは。
俺が1989年(げっ、35年前)に作ったファンジンのMOTORHEAD特集では、『ROCK 'N' ROLL』を”力みも迷いもない”と評している。
確かに、今もそう思う。

ともあれ『ROCK 'N' ROLL』は全英34位、全米150位とセールスは振るわず。
BURRN!では82点ぐらいだったと記憶する。
「CLASSIC ROCK」誌ではMOTORHEAD史上最悪のアルバムと評されたらしいが。
しかし俺には、『ROCK 'N' ROLL』が『ORGASMATRON』や『MARCH OR DIE』あたりに劣る作品とは絶対に思えない。
同じように思われるファンも少なくないはず。

結局このアルバムは、スタジオ作としてはMOTORHEADにとってGWR時代最後であったばかりか80年代最後のアルバムとなった。
そして俺にとっては、新譜・新品・かつLPで買った最初で最後のMOTORHEADのアルバムだ。
(ライヴ盤『NO SLEEP AT ALL』からはCDで買うようになる)
エピックと契約を得たMOTORHEADが『1916』をリリースするのは、実に4年後、そして90年代に入った1991年のことだった。

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