QUICKSILVER MESSENGER SERVICE/HAPPY TRAILS(1969)

QUICKSILVER MESSENGER SERVICE.jpgQUICKSILVER MESSENGER SERVICEの2ndアルバムにしてライヴ盤。

1965年結成。
JEFFERSON AIRPLANEやMOBY GRAPEと交錯するメンバーの入れ替わりを経て、68年春に『QUICKSILVER MESSENGER SERVICE』(全米63位)でデビュー。
このライヴ盤の時点でのメンバーは前作と同じ、ジョン・シポリナ(ギター、ヴォーカル)、ゲイリー・ダンカン(ギター、ヴォーカル:元THE BROGUES)、デイヴィッド・フライバーグ(ベース、ヴォーカル、ピアノ)、グレッグ・エルモア(ドラム、ヴォーカル、ピアノ、パーカッション)の4人。
68年にFILMORE EASTとFILMORE WESTで録音されたとのことだが、「Calvary」のみ同年11月19日のスタジオ・ライヴだという。
あと、タイトル曲(デイル・エヴァンスのカヴァー)はスタジオ録音だろう。

全米26位を記録した5thアルバム『WHAT ABOUT ME』(1970年:https://lsdblog.seesaa.net/article/201607article_120.html)の頃のようなセンシビリティは薄く。
後年とは違い、4人というバンド史上でも最小の編成による、ライヴならではの太い音を聴かせる。
ただ、初めて聴いた時はもっとパワフルで豪快な印象があったのだが、改めて聴き直すとやっぱりというか隙間の多いアンサンブル。

アナログA面は25分にも及ぶ「Who Do You Love Suite」。
要するに、ボ・ディドリー「Who Do You Love」のカヴァーとその変奏。
パート毎に主役が入れ替わる。
ゲイリー・ダンカンの名前がクレジットされた「When You Love」は、80年代のQUICKSILVERを予感させなくもないジャズ・ロック的な熱演。
続くグレッグ・エルモアの「Where You Love」は、ドラム・ソロでもやるのかと思ったら、グレッグの演奏はけっこうミニマルで、その上を2本のギターが浮遊する。
そこからジョン・シポリナの金属的にわななくギターが斬り込み、ジョン名義の「How You Love」に入ると、リズムがボ・ディドリー・ビートに戻り、ジョンの鋭いギター・ソロが展開。
デイヴィッド・フライバーグの「Which Do You Love」では、他の3人をバックに従えてデイヴィッドのカッコいいベース・ソロから歌。
そして「Who Do You Love」に戻り、ここでもジョンがソロを弾きまくる。
「Who Do You Love」はエディットされてシングルにもなり、全米91位を記録した。

アナログB面もボ・ディドリー「Mona」カヴァーから始まる。
「Mona」は同じ頃にミック・ファレンも取り上げているが、メンバーはこれまた同時期にGRATEFUL DEADがカヴァーしていた「Not Fade Away」を意識していたのかも知れない。

B面のハイライトは13分に及ぶ「Calvary」だろう。
時にフリーキー、時にプログレにも通じるようなドラマティックさ…やはり後年のアルバムと随分違う。

『HAPPY TRAILS』は全米27位と、発売当時のチャート・アクションでは『SHADY GROVE』(69年:全米25位)や『WHAT ABOUT ME』にわずかに及ばなかったが、その後もじわじわ売れ続け。
結局QUICKSILVER MESSENGER SERVICEにとって唯一のゴールド・ディスクとなる。
しかしバンドはここでの方向性にとどまることなく。
結成時メンバーのディノ・ヴァレンティ(ヴォーカル)が復帰したり、ニッキー・ホプキンス(キーボード)が加入したりで、より洗練された繊細なサウンドに向かうことになるのだった。

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