MOTORHEAD/BOMBER(1979)

MOTORHEAD BOMBER.jpg少し前、最初に聴いたMOTORHEADが何だったのか、記憶がヤバい…という話をした。
https://lsdblog.seesaa.net/article/503653097.html
しかし、初めて買ったMOTORHEADのアルバムが『BOMBER』だったことは、はっきり覚えている。
確か1984年夏(うげっ、40年前!)、札幌のRECORDS-RECORDS二条店で、中古LPで980円だったと記憶する。

MOTORHEADの3rdアルバム。
初めて聴いた時の印象は、あまりよろしくなかった。
1984年、ハード・ロック/ヘヴィ・メタル初心者として、先輩から借りたりラジオで聴いたりしてどんどん入れ込んでいた頃。
当時「音楽専科」でVENOM(その頃は”ヴェノン”という表記だった)と並んで”ハードコア・メタル”と称されていたバンドに、俺はかなりの期待を持っていたのだが。
「Dead Men Tell No Tales」をはじめとする楽曲の数々に、ぶっちゃけ「えっ、こんなもん…?」と思ったのだった。
まあ、最後まで聴いたら「Bomber」で「おおっ!」となって、更に少し後に聴いた『ACE OF SPADES』(80年)で「うおおおおおおお!」となったんだけど。

今ではもちろん大好き。
スラッシュ・メタルの先鞭を付けたような『OVERKILL』から、メタリックな方向に進むのではなく、逆にブルーズ/R&Rに回帰するような感じに。
この頃に限らず、MOTORHEADの歩みというのは直線的ではなく、常にジグザグだった。

当時の国内盤LPのライナーノーツでは、重くはない、みたいに書いてあった。
確かに『ACE OF SPADES』のように重くはない、ばかりか速い曲も少ないんだけど。
しかしミドル中心の、ブルーズに根差したダーティーなR&Rを堪能出来る。
「Lawman」とか「Poison」とかは特にね。
「Sweet Revenge」や”ファスト”エディ・クラークが歌う「Step Down」なんかのスロー・ナンバーでは、バンドの根っこにあるブルーズの素養が、コレまでの2作以上に前面に出ている。
レミーはMOTORHEADの音楽を”Evil”ではなく”Mean”と称していたが、このアルバムは他のアルバム以上に”Nasty”。
下品でラフでRAW、という点では、MOTORHEAD史上でもこのアルバムを超えるモノはないのでは、と思う。

プロデュースは前作『OVERKILL』に続き、THE ROLLING STONES他で知られる大御所ジミー・ミラー。
しかしこのアルバムの時点でのジミーはヘロイン中毒が悪化し、『OVERKILL』での冴えはまったく見られなかったという。
一方このアルバムが録ってそのまま投げ出したようなラフさに溢れているのは、ある意味怪我の功名だったような気もする。
レミーは『BOMBER』について、過渡期のレコードだとか、「Talking Head」はつまらない曲だとか言っているが、いやいや全然素晴らしいですよ。
ジョニー・サンダースの『IN COLD BLOOD』(1982年)に較べれば、ジミーはこの時点ではまだ仕事をしている。
(ちなみにMOTORHEADとジョニー、どちらもジョン”スピーディ”キーンとジミーのプロデュースでアルバムを制作しているのだった)

先述の通り、ミドル中心の曲を聴き続けた後、最後に収録された「Bomber」で「おおっ!」となる。
しかし逆に言うと、このタイトル曲だけ浮いているような感もアリ。
BLACK SABBATH『PARANOID』のタイトル曲に共通する印象。

あと『BOMBER』は、ここまでのMOTORHEADのアルバムで、タイトル曲が最初に来ない初のアルバムとなっている。
この頃のMOTORHEADは、タイトル曲が1曲目にあるアルバムが2枚、次にそうでないアルバムが1枚、というサイクルを、『ANOTHER PERFECT DAY』(1983年)まで繰り返すことになる。
その後『ROCK 'N' ROLL』(87年:https://lsdblog.seesaa.net/article/504316078.html)でタイトル曲が1曲目に来たと思ったら、90年代には遂にタイトル曲が存在しない『BASTARDS』(93年)が登場するのだった。

ここまでの2作ではジョー・ペタグノがジャケット・アートを担当していたが、『BOMBER』ではエイドリアン・チェスターマンという画家がジャケット画を描いている。
(彼は他にBUDGIEのアルバムなどを手掛けている)
コレが味があって最高なんだよねえ。
イギリスのバンドなのに、ここに描かれた爆撃機は憎き(?)ナチス・ドイツのハインケルHe111。
シングルB面曲「Tear Ya Down」イントロのドイツ語カウント以来、レミーのドイツ軍好きはどんどんあからさまになっていくのだった。
そしてこのジャケットのイラストを元に、MOTORHEADは有名な”爆撃機型照明装置”をステージに投入するようになる。

前後の2作に較べると明らかに地味な(?)『BOMBER』だったが、全英12位という望外のヒットを記録する。
(シングル「Bomber」は34位)
パンク・ムーヴメントを受けて荒々しく粗野なR&Rが受け入れられる素地が出来ていたうえに、同じように(?)荒々しく粗野なNew Wave Of British Heavy Metal勢が雨後のタケノコのように登場していた時流に、当時33歳のレミーが率いたMOTORHEADは見事に乗っかっていたのだった。


ところで。
俺が1984年に『BOMBER』を買った時点で、完全に過去のアルバムという認識だったんだけど。
実際にはオリジナル・リリースからたった5年しか経っていなかったんだよねえ。
今じゃ45年前のアルバムということになるんだが…。

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