創元推理文庫『ラヴクラフト全集』を読み返し続けている。
(現在仕事が忙し過ぎ、この部屋にいる時は、このブログを書く以外は仕事しかしていないので、読書はもっぱら外出時の電車の中かトイレに限られるのだが)
4巻まで来た。
H.P.ラヴクラフトって、都会も嫌いだけど田舎も嫌いよね。
いや、ニューヨークを憎んで基本プロヴィデンスに住み続けたラヴクラフトが”田舎を嫌い”というのは、正確ではないが。
より正確に言うと、”無教養で汚らしい田舎者”が嫌いだったらしいことは、作品を読むと嫌というほど伝わってくる。
H.P.ラヴクラフトの作品には、山深い田舎で、アメリカ合衆国独立以前から周囲と隔絶して暮らしてきた古い移民の子孫が、近親婚を繰り返すことで”退化”する、という話がけっこうある。
「潜み棲む恐怖」(『ラヴクラフト全集3』収録)のオランダ移民・マーテンス家然り。
「眠りの壁の彼方」(『ラヴクラフト全集4』収録)のスレイター一族然り。
マーテンス家の子孫は、は17世紀末から20世紀前半までの間に、巨大な鉤爪と黄色い牙を持つ、土中で暮らす怪物になってしまうし。
スレイター一族なんかは、”スレイター”なのか”スラーダー”なのかもはっきりしなくて、一族の中には”スレイダー”もいたりする…というのは、この一族の知的レベルが低くて読み書きが出来ないことに由来している様子。
植民地時代のアメリカで、周囲と隔絶された環境で生きてきた開拓民が、そんなに近親婚をしていたのかしら…と思って試しに検索してみたが、よくわからなかった。
ただ、開拓時代のアメリカだけじゃなく、ヨーロッパの農村なんかでも近親婚は近代までけっこう見られたようで。
開拓民・農民だけじゃなく、ヨーロッパの王族・貴族の間でも、血統を守るための近親婚は珍しくなかったという。
スペイン・ハプスブルク家は、近親婚を繰り返したことで遺伝的な疾患を持つ子供が生まれるようになり、それで断絶したんだそうで。
1504年にフェリペ1世が即位してから、1700年にカルロス2世が世継ぎのいないまま38歳の若さで崩御して家系が断絶するまで、200年弱。
カルロス2世は病弱で、性的に不能だったとも言われ、20代から精神を病んでもいたとか。
ところで近親婚に限らず、H.P.ラヴクラフトの作品中では、登場人物の”呪われた家系”が長々と書き連ねられることがよくある。
コレはラヴクラフト自身、母親の家系(フィリップス家)に精神を病んだ人間が多いことを意識していたと思われ。
しかし、マーテンス家みたいに、たかだか200年ちょっとで人間が化け物になるなんてこたあねえだろう…。
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