昨夜レミーの話をしたから、というワケじゃないんですが(本当に偶然です)、レミー在籍時最後のHAWKWINDのアルバム。
俺は1992年の英国盤CD(アナログ盤起こしながらボーナス・トラックも収録)と2019年の国内盤CD(リマスター盤、ボーナス・トラックが多い)を持っている。
当時のHAWKWINDはデイヴ・ブロック(ギター、シンセサイザー、ヴォーカル、ベース)、レミー(ベース)、ニック・ターナー(サックス、フルート、ヴォーカル)、サイモン・ハウス(メロトロン、シンセ、ピアノ、ヴァイオリン:元HIGH TIDE~THIRD EAR BAND)、サイモン・キング(ドラム、パーカッション)、アラン・パウエル(ドラム、パーカッション:元VINEGAR JOE他)の6人。
前作『HALL OF THE MOUNTAIN GRILL』(1974年:https://lsdblog.seesaa.net/article/201806article_11.html)からデル・デットマー(シンセ)が抜け、アランが参加してツイン・ドラムになっていた。
更にSF作家のマイケル・ムアコックが2曲でゲスト参加し、朗読を披露している。
タイトルを直訳すると”時の縁の戦士”。
日本では”絶体絶命”という邦題で知られる。
マイケル・ムアコックの作品に影響されたスペース・オペラ的なアルバム、あるいはコンセプト・アルバムと言われることもあるが。
全曲でマイケルが作詞しているワケでもないので、コンセプト・アルバムとまでは言い切れないかも知れない。
ただ、少なくともコンセプチュアルなアルバム、とは言えるだろう。
『DOREMI FASOL LATIDO』(1972年)や『SPACE RITUAL』(73年:https://lsdblog.seesaa.net/article/501173582.html)の頃のコズミックなカオスは後退し。
『HALL OF THE MOUNTAIN GRILL』以上に整合感やドラマティックさが増して、プログレ寄り。
(でもまあプログレじゃないけどね)
海外のファンの間ではコレをHAWKWINDの最高作とする声が多いのだとか。
レミー原理主義者(?)な俺には、ぶっちゃけそうとも思えんのだが。
ともあれ傑作なのは間違いない。
レミーの印象的なベース(とサイモン・ハウスのメロトロン)に導かれる「Assult And Battery Part Ⅰ」から始まるとはいえ。
前作までに較べてレミーの存在感は薄い。
何しろそれまでと違って、レミーがリード・ヴォーカルを取る曲が1曲もないし。
(CDにはボーナス・トラックとしてレミーが歌う「Motorhead」が入っているけど)
ソングライティングに(当時レミーと関係が悪化していた)二人のドラマーの名がクレジットされている「Opa-Loka」に至っては、レミーが参加していないという…。
(ベースはデイヴ・ブロックが弾いている。多分レミーは演奏を拒んだのだろう)
ともあれ大半の楽曲で、ツイン・ドラムとレミーのベースが強靭なリズムを刻んではいるし、楽曲自体もよく書けている。
「Assult And Battery Part Ⅰ」や「Magnu」は、その後のライヴでも定番となった。
全英13位、全米150位と、商業的にもかなり成功した1枚だ。
しかしこのアルバムがリリースされた1975年5月。
HAWKWINDは北米ツアーでデトロイトからカナダのトロントに向かおうとしたが、アンフェタミンを所持していたレミーが国境で逮捕される。
保釈されたレミーはトロントでバンドに合流したものの、トロントでのライヴの翌朝にHAWKWINDを解雇されたのだった。
当時HAWKWINDのメンバーはマリワナとLSDにハマっていた一方で、スピードを愛好していたレミーはニック・ターナーや二人のドラマーから敵視されていたという。
レミーは自伝本『ホワイト・ライン・フィーヴァー』(https://lsdblog.seesaa.net/article/201607article_1867.html)の中で、サイモン・キングとアラン・パウエルの二人のことを”あの2人のせいでバンドは命を絶たれたも同然なんだからな”と断じているが。
実際にはHAWKWINDはサイモンとアランがいなくなって以降も命脈を保ち続けたばかりか、レミー亡き今もデイヴ・ブロックを中心に存続している。
デイヴ自身は当時ニック・ターナーやドラムの二人に従ってレミーを解雇したことを悔い、レミーを呼び戻そうと考えていたらしい。
しかしそれは実現せず。
まあ、それで良かったのだろう。
結果的に、MOTORHEADというロック史上でも類を見ない強力無比なバンドが生まれることになった。
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