『世界の終わりの洋裁店』第4話

世界の終わりの洋裁店.jfif1回お休みだった『世界の終わりの洋裁店』(なので「ビッグコミックオリジナル」前号は買わなかった)、待望の第4話。

玄田洋裁店を引き継いだ主人公・こうた。
N県S地区の人々の暮らしを支えるのだ、と意気込むが。
死人になってしまった店主・玄田さんの生前には洋裁の実務をまったくやっていなかった彼が、いきなり使い物になるかというと…?

亡き玄田さんの盟友・どんちゃんは言う。
「”がんばってんのにむくわれない”時はな、がんばる方向がまちがってんだ。がんばるにもカン所が必要だぜ?」

思い当たる人は多いはずだ。
(俺を含めて)

今号のビッグコミックオリジナルには『人のために働く』という漫画の最終話が載っているが。
『世界の終わりの洋裁店』第4話にも、”人のために働くこと”の本質(のひとつ)が提示されているように思う。
「小さくても誰かによりそい誰かの救いになる仕事をする。そうすれば自分も救われるかもしれない」

働くのは基本的に生計を立てるため、そのために金を得るため。
しかしその過程では必ず誰かと関わり、誰かの暮らしに役立つことになる。
たとえば食べる物を売るのも、生計の手段だけでなく、食べる人のため。
巡り巡ってそれこそが自分のためでもあるかも知れない。

俺が売文業をやっているのも、俺が食べるだけでなく、読んでくれる誰かのため。
それがなかったら、多分面白い文章は書けないだろうし、今のように仕事が入り続けることもないだろう。
(ただしこのブログは違う。まったく一銭にもならないこのブログは、読んでくれている奇特な皆様のためではなく、基本的には俺自身のために書いている)

仕事を上手くこなせなかったこうたは、「次こそは…」と決意する。
しかし次がある保証はない。
玄田さんが言い残した通り、人は「明日、突然命を落とすかもしれない」のだから。
(世界が終わってしまったままのS地区ではなおさら)
それでも不条理に抗い、与えられた不確実な1回1回を試行錯誤しながら、誠実に生きていくしかない。
(カミュだ…)


『世界の終わりの洋裁店』、コピーには”人にとって衣服とは?”とあるが。
それだけでなく、すべての職業人(ひいては社会に出たすべての人)に読んでほしい逸品と思う。
今後も楽しみな作品だ。

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