V2(1996)

V2.jpgマンチェスターのグラム・パンク・バンドの編集盤。
活動中にはEP1枚とシングル2枚しか出していなかったのに、66分21曲も入っている。
(コレでもコンプリートではない)

空軍を除隊したマーク・ドブランドことマーク・スタンドリー(ギター)が、自分と同じデイヴィッド・ボウイのファンだったスタン・ザ・マンことスタン・リー・マン(ベース)とジョナサン・Eことデイヴィッド・ウィルクス(ジョナサンでもEでもない…)に声をかけて、1976年12月に結成。
スタンは楽器の経験がなかったという。
ピーター・ハニントン(ドラム)を迎えてバンドの形が固まる。
バンド名はもちろん、第二次世界大戦中にロンドンを火の海にしたナチス・ドイツのミサイルの名前から。
(BLITZKRIEGといい、イギリス人って実はけっこうナチス・ドイツ好きだよね…)
メンバーはボウイ以外にも、T.REX、ROXY MUSIC、ルー・リード、THE DAMNED、SLAUGHTER & THE DOGSなどの影響を受けていたという。

バンドは1977年の年末にスタジオに入り、78年に3曲入りEP「V2」でデビュー。
CDのジャケットを見ての通り、デイヴ・ヴァニアンを更に珍奇にしたような白塗りのルックスだったが、音楽的にはかつてのグラム・ロックっぽい感じはなく、性急なパンク・ロックを聴かせる。
かなりカッコいい。
当時のバンドは張り詰めてエッジの立った、印象的でトレブリーな”ポップ”を目指していたという。
それこそがパンクというモノだろう。
(しかしカウベルが聴こえるあたりには、オールド・ウェイヴのしっぽを感じたりも)

1978年に入り、ドラマーがスティーヴ・ブデイルことスティーヴ・ブラザーデイルに交代し、ナンスことイアン・ナンス(元THE PANIK)が加入したバンドは5人編成となる。
ナンスがリード・ギターを担当し、マーク・スタンドリーはリズム・ギターに回った。
バンドは78年10月にレコーディングを行ない、それは12inchシングル「Man In The Box」としてリリースされる。
A面「Man In The Box」はスローに始まる、ドラマティックにしてダイナミックなアレンジで、ちょっとハード・ロックっぽい。
(グラム・ロックのファンだった彼ら、当然同時代のハード・ロックも聴いていただろう)

マンチェスターでTHE DRONESやSLAUGHTER & THE DOGSの前座を務めていたV2に、この頃ヴァージン・レコーズのライヴ・オムニバスに参加する話が持ち上がり。
バンドはライヴ・レコーディングを行なっているが、結局ボツにされてしまう。
このCDにはその時のライヴ音源3曲も収録されていて、”何故ボツにされたかは聴けばわかるだろう”と書いてあるが、いやいや全然悪くないッスよ。

その後スティーヴ・ブラザーデイルが脱退。
(あのWARSAWに加入)
1979年には新ドラマー、マーティン・スミスが参加。
V2は79年3月に次のシングル及び1stアルバムに向けてのデモを録音する。
ここでは溌溂とした(?)パンク・ロックあり、パンク/ニュー・ウェイヴと言うよりもざっくりロックなスロー/ミドルの曲もアリ。
「Man In The Box」も78年のシングルとはアレンジが違う。
しかし79年にはシングルもアルバムも出なかった。

1980年に入るとドラマーがフィリップ”トビー”トマノフに交代し、V2は80年1月、遂にアルバムのレコーディングに入る。
この時点ではシンセサイザーやSEも聴かれ、ほぼ完全にニュー・ウェイヴと言える音楽性になっていた。
しかしメンバーはバンド活動で稼げたことがついぞなく。
当然彼らは結成以来常に金がなく、そのことが活動のモチヴェーションの欠如にもつながっていたという。
結局V2はレコーディング中の2月に解散してしまい、アルバムが世に出ることはなかった。
80年にシングル「Gee Whizz It's You」が少数プレスされたというが、そのシングルの2曲はこのCDには収録されていない。

このCDが2000年にキャプテン・トリップ・レコーズから国内配給された際、レーベル・オーナーの松谷健氏はライナーノーツで、V2が解散せずに活動を続けていたら”ウルトラヴォックスみたいになっていたかも知れない”と書いている。
俺は、ひょっとしたらニューロマンティックスみたいになっていたかも…とか思ったり。
ともあれ、惜しいバンドだった。

マーク・スタンドリーはその後、再結成したTHE DRONESや、これまた再結成したSIGUE SIGUE SPUTNIKなどで活動。
フィリップ・トマノフはPRIMAL SCREAMに参加している。
00年代にはV2再結成もあったとのこと。

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