しかしタイトルが『THE WORST OF JEFFERSON AIRPLANE』とは、実にシャレが効いている。
ベスト盤にこんなタイトルを付けたバンドは、彼らが初めてだっただろう。
1970年10月リリース。
俺の手元にあるのは97年のリマスターCD。
1970年。
それまでに5枚のスタジオ作と1枚のライヴ盤をリリースし、GRATEFUL DEADと並んでアメリカン・サイケデリックを代表するバンドとなっていた彼らだったが。
(しかもGRATEFUL DEADとは比較にならない商業的成功を収めていた)
しかしこの頃にはメンバー間の対立が増える一方で、各メンバーは次々とソロ活動や別プロジェクトに乗り出し。
グレイス・スリック(ヴォーカル)は妊娠中で、メンバー中ただ一人30代だったスペンサー・ドライデン(ドラム)は脱退。
実質活動休止状態だった。
そこでRCAがつなぎとして(?)出したベスト。
全米128位に終わったデビュー・アルバム『TAKES OFF』(1966年:https://lsdblog.seesaa.net/article/505181400.html)から2曲。
グレイス・スリックが加入した『SURREALISTIC PILLOW』(67年:全米3位)から4曲、『AFTER BATHING AT BAXTER'S』(67年:17位)から2曲、『CROWN OF CREATION』(68年:6位)から3曲、ライヴ盤『BLESS ITS POINTED LITTLE HEAD』(69年:17位)から1曲、そして『VOLUNTEERS』(69年:13位)から3曲。
年代順に収録され、バランスよく選ばれているようでいて、実はそうでもない。
「Somebody To Love」(全米5位)、「White Rabbit」(8位)をはじめ、ヒットの如何に関わらず多くのシングルを出していたバンドだが(ここまでに実に12枚)、単なるシングル・コレクションにはなっておらず。
(「Plastic Fantastic Lover」のライヴ・ヴァージョンを含めても、シングル曲は7曲しか入っていない)
ヨーマ・カウコネン(ギター)がHOT TUNAでも演奏し続ける名刺代わりとなったアコースティック・ギター独奏「Embryonic Journey」や、スペンサー・ドライデン作の実験的な小品「Chushingura」(忠臣蔵!)などを含み。
アルバム・タイトルにもある意味納得。
年代順になっているおかげで、彼らのサウンドが作を追う毎にヘヴィに、プログレッシヴになって行った過程がよくわかる。
このベスト盤は全米12位のヒットを記録。
しかしマーティ・バリン(ヴォーカル)脱退。
バンドはその後も『BARK』(1971年:全米11位)、『LONG JOHN SILVER』(72年:20位)、ライヴ盤『THIRTY SECONDS OVER WINTERLAND』(73年:52位)とアルバムをリリースするも、結局JEFFERSON STARSHIPに移行。
『VOLUNTEERS』が彼らのクリエイティヴィティのピークで、そして実質的にはそこで終わっていたという気もする。
そしてヒッピーの理想を高らかに歌い続けたバンドは、”単なる良いバンド”になった。
(もちろんJEFFERSON STARSHIPを否定するモノではないが)
アルバムの順番通りに収録されているこのベスト盤だが、オリジナル・アルバムの曲順とはまったく違っている。
非常に良い編集だと思う。
俺はこのアルバムを聴いた後に『TAKES OFF』を聴いて。
あれっ、「It's No Secret」って1曲目じゃなかったんだ?…とか思った。
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