THE DEVIANTS/BARBARIAN PRINCES(1999)

DEVIANTS BARBARIAN PRINCES.jpgTHE DEVIANTS、1999年2月の来日公演を収録したライヴ盤。

1999年2月10日・11日の渋谷ON AIR WEST、13日の大阪CLUB QUATTROの3回のライヴから編集されている。
この時のTHE DEVIANTSは唯一のオリジナル・メンバーであるミック・ファレン(ヴォーカル)、元WARSAW PAKT、PINK FAIRIES他のアンディ・コルホーン(ギター、ヴォーカル)、アンディ・サマーズやウェイン・クレイマーと活動していたダグ・ラン(ベース)、元ATOMIC ROOSTER他…というよりもあのSPINAL TAPのメンバーとして知られたリック・パーネル(ドラム)の4人。

15年前のライヴ盤である『HUMAN GARBAGE』(1984年:https://lsdblog.seesaa.net/article/201610article_21.html)とはミック・ファレン以外のメンバーが全員違い、レパートリーも1曲も重複しない。
ミックは”往年の名曲”を聴かせるようなライヴにはまったく興味がなかったと思われる。
(敢えて”往年の名曲”を歌いまくった2004年のソロとしての来日は、日本側からの要請があったのだろう)

全10曲中、ミックが歌う9曲は「Aztec Calender」「It's Alright Ma」(ボブ・ディランのカヴァー)そして「God's Worst Nightmare」が当時のTHE DEVIANTSの最新作『THE DEVIANTS HAVE LEFT THE PLANET』(1999年)より、「Eating Jello With A Heated Fork」「Thunder On The Mountain」「Lurid Night」はその前の『EATING JELLO WITH A HEATED FORK』(96年)より、「Disgruntled Employee」はミックとジャック・ランカスター(元BLODWYN PIG、DEVIANTS他)の連名作『THE DEATHRAY TAPES』(95年)より、「Dogpoet」はミックとDEVIANTSの楽曲を収めた編集盤『FRAGMENTS OF BROKEN PROBES』(96年)より、「Leader Hotel」はMICK FARREN'S TIJUANA BIBLE名義のアルバム『GRINGO MADNESS』(93年)より…と、すべて90年代に入ってからのレパートリーとなっている。
「Lennon Song」はアンディ・コルホーンが歌う、彼のソロ曲。
(曲名通りジョン・レノンに捧げられたモノで、THE BEATLESの曲名をつなげたような歌詞になっている)
あと、シークレット・トラックとしてラストに「Dogpoet」の別テイク(の一部)を収録。

俺は当時ON AIR WESTでの2回のライヴを観たのだが、このライヴ盤では曲順がかなり入れ替えられている。
”録って出し”の単なる記録ではない”作品”にしようというミック・ファレンの意図があったはずだ。
もちろん演奏自体はオーヴァーダブも差し替えもない。
「Eating Jello With A Heated Fork」ではミックが豪快に外しまくっている(笑)。

唯一のスピード・ナンバー「Eating Jello With A Heated Fork」、あと「It's Alright Ma」「God's Worst Nightmare」あたりを別とすると、ミック・ファレンの歌唱にはほぼメロディがない。
歌唱というよりもほとんどポエトリー・リーディング。
(実際ミックは譜面台のようなモノで歌詞/詩を見ながらのパフォーマンスだった)
THE DEVIANTSにプロト・パンク的なモノを期待して会場に足を運んだファンは、「?」となったかも知れない。
しかしこの文芸ロック(?)こそが90年代のミック/DEVIANTSのリアルタイムな表現だったワケで。
そして手練れぞろいの演奏はタイトにしてヘヴィ。

このアルバムのライナーノーツは俺が担当した。
26年前か。
ぐわっ、字が小さい!
(歌詞対訳完備は嬉しいが、そっちは更に字が小さい…)

00年代前半までこの編成で活動を続け、その後もアンディ以外のメンバーを入れ替えて活動した(80年代の再編PINK FAIRIESに近いパーソネルになった)THE DEVIANTSだったが。
2013年にミック・ファレンが、17年にダグ・ランが、そして22年にリック・パーネルが亡くなり。
この来日時のメンバーで存命なのはアンディ・コルホーン一人になってしまった…。

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