MICHAEL HOENIG/DEPARTURE FROM THE NORTHERN WASTELAND(1978/87)

MICHAEL HOENIG.jpgAGITATION FREEのキーボーディスト、ミヒャエル・フーニッヒ(ヘーニヒではない)の記念すべき1stソロ・アルバム。
記念すべきってか、この人サントラじゃないソロ作2枚しか出してないけどさあ。

ミヒャエル・フーニッヒの来歴については、2ndソロ・アルバム『XCEPT ONE』(1987年)のレヴューを御参照ください。
https://lsdblog.seesaa.net/article/202007article_17.html
ともあれAGITATION FREE脱退後、クラウス・シュルツェとのTIMEWIND、TANGERINE DREAM、マニュエル・ゲッチングとの活動を経て、アメリカの大手ワーナーと初めて直接契約したドイツ人ミュージシャンとして、それなりの期待とともに制作されたであろうソロ・デビュー作が『DEPARTURE FROM THE NORTHERN WASTELAND』だった。
ミヒャエル、当時26歳。

オリジナルLPの熱気球がたくさん浮かんでいるジャケットで知られるアルバムだと思うが。
俺の手元にあるのは1987年のドイツ盤CDで、ジャケットが違う。
このアルバムが87年にCD化されたのは、『XCEPT ONE』のリリースを受けてのことだったのだろうか。
知らんけど。
(CD化に際してのデジタル処理は当時ミヒャエル・フーニッヒが住んでいたLAで行なわれている)
”北方の荒れ地からの出発”というタイトルにはどちらのジャケットもそれなりに合っていると思うものの、LPの方はちょっと能天気すぎるかな、という気もしないでもない。

プロデュースとミックスはミヒャエル・フーニッヒ自身による。
ただしミックスはコニー・プランクがかなり手伝ったらしい。

『XCEPT ONE』にはハロルド・バッド(シンセサイザー)、ラルフ・ハンフリー(ドラム)が参加していたが。
『DEPARTURE FROM THE NORTHERN WASTELAND』もミヒャエル・フーニッヒ(シンセ、キーボード)以外にAGITATION FREE時代の盟友ルッツ・ウルブリッヒ(ギター)、同じくAGITATION FREE最初期のヴォーカリストだったミッキー・デューヴェ(ハーモニー)、ウッシ・オバーマイヤー(ヴォイス)が参加している。
アルバムでは”lead harmonies”とクレジットされているミッキーは、Discogsでは”Harmony Vocals”と表記されているんだけど、彼の名前がクレジットされている「Sun And Moon」にはヴォーカルは全く聴こえないし、リード・ハーモニーというのは声ではなくてキーボードのことだろう。
(Wikipediaにはキーボードとある。ミッキーはシンガーとして知られる一方、ギターやキーボードやフルートも演奏していた)
タイトル曲冒頭のスキャットを担当しているウッシはオリジナルAMON DUULの一員だった一方、60年代の西ドイツのシーンではグルーピーとしても知られていたという。

聴きモノはなんと言ってもアナログA面全部を使った21分近いタイトル曲。
短期間一緒にやっていたマニュエル・ゲッチングが同じ年にASHRAとしてリリースした『BLACKOUTS』(https://lsdblog.seesaa.net/article/201607article_737.html)に近い方向を見ているアルバムだと思うが、マニュエルが基本ギターでやっている(キーボードも弾くけど)のに対して、こっちはシンセサイザーを主体とした反復&多重録音。
(ルッツ・ウルブリッヒはタイトル曲でいかにも”らしい”ギターを聴かせるとはいえ、それほど前面に出ているワケではない)
ノリ一発っぽい(?)マニュエルの音楽(その後の『E2-E4』が本当にインプロ一発録りだったのは有名)に較べるとかなり構築的。

当時としては機材や演奏技術の面で最先端を行くメカニカルな音楽だったのかも知れないが。
半世紀近く経った今では、いかにもアナログ・シンセの時代らしい温かみのあるミニマル・サウンドという感じ。
(北の荒れ地から多分南へと旅立っていくんだからね)
いや…ってか、10年近く後の『XCEPT ONE』でのシンクラヴィアが今ではレトロっぽく聴こえる一方で、『DEPARTURE FROM THE NORTHERN WASTELAND』の方がむしろ古臭さがないぞ。
傑作であります。

そしてミヒャエル・フーニッヒ、AGITATION FREEで来日した2007年以降は音沙汰がない。
現在73歳。
引退してガーデニングをやってるかなあ。


追記:
いやいや、ミヒャエル・フーニッヒ、2023年にAGITATION FREEでアルバム出してたよ!
全然チェックしてなかった…。

(2025.11.2.)

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