S.Y.P.H.(1980)

S.Y.P.H..jpgジャーマン・パンク/ノイエ・ドイッチェ・ヴィレ史上に燦然と輝くS.Y.P.H.の、記念すべき1stアルバム。
1980年のリリースだが、初CD化は99年になってからだった。

1977年に西ドイツのゾーリンゲンで、ハリー・ラグことペーター・ブラーツ(ヴォーカル)、ウヴェ・ヤーンケ(ギター)、トマス・シュヴェーベル(ギター)の3人で結成。
(初期はDIE KRUPPS~PROPAGANDAのラルフ・デルパーも参加していたという)
トマスが”SYPH”というバンド名を考案したが、それはドイツ語ではとんでもない”ダーティー・ワード”(いわゆるフォー・レター・ワード)だったそうで。
ハリーが各アルファベットの間にピリオドを入れることを提案し、S.Y.P.H.となる。
(カタカナ表記は”ジフ”あるいは”ズフ”となるらしい)

その後トマス・シュヴェーベルが脱退してMITTAGSPAUSEを結成。
S.Y.P.H.はユルゲン”ジョジョ”ヴォルター(ベース)とウリ・プッシュ(ドラム)のリズム・セクションを迎えた4人組となる。
初期はストレートなパンク・ロックを演奏していたS.Y.P.H.だったが、間もなく英国ニュー・ウェイヴ/ポスト・パンクの影響を受けて実験的/アヴァンギャルドな方向にシフトするのだった。

裏ジャケットには”HELLO TO THE MIPAU!”とある。
”MIPAU”というのはMITTAGSPAUSEのこと。
トマス・シュヴェーベル脱退/移籍は友好裏に行なわれたらしい。
(初期のMITTAGSPAUSEはS.Y.P.H.の「Zurueck Zum beton」「industrie - Maedchen」を演奏していたという)

アナログA面は初期の音楽性を引きずった短くて軽いパンク・ロック8曲。
一方B面はエクスペリメンタルな3曲。
エクスペリメンタルにして、一方でダンサブル。
メンバーたちはディスコ・ミュージックも意識していたのかも知れない。
女性ヴォーカルをフィーチュアした「What Happens?」あたりは、JAMES WHITE & THE BLACKSあたりにも通じるセンスを感じさせる。
(あとTHE POP GROUPとかも)

いずれもウヴェ・ヤーンケのノイジーなギターをフィーチュアする一方で、ポップにしてユーモラスでもあり。
アヴァンギャルドにしてポップでユーモラス…というのはFAUSTやGURU GURUをはじめとするクラウト・ロック勢にも通じるモノで。
S.Y.P.H.がその後ホルガー・シューカイ(元CAN)に目をかけられるようになるのも当然だったかも知れない。
(ハリー・ラグはバンド結成以前にホルガーとコンタクトを取っていたという)
メンバーたちは日常生活の現実に即した歌を意識しつつ、ダダイズムにも影響されていたらしい。

デビュー時の4人編成が続いたのは1981年まで、
その後93年以降は活動休止状態だったS.Y.P.H.だったが、00年代に活動再開。
しかし10年代以降はハリー・ラグと他のメンバーがモメているらしく、近年はどうしているか知らない。

この記事へのコメント