D・O・T@池袋手刀

20221119.jpg19日。
久しぶりの池袋。
吉野屋(以下略)

なんと10年ぶり(!)の手刀。
かつては中学生棺桶のライヴを観るために通い詰めたハコだったが、その後身バンド・例のKが解散して以降はとんと御無沙汰だったのだ。
その間に手刀は20周年を迎え。
この夜のイヴェントは手刀20周年記念の一環だった。

フロアに入ると、一番手・レザニモヲのライヴ終盤。
名前だけしか知らなくて、初めて観た。
ヴォーカル兼キーボード兼パーカッションの女性とドラムの男性という変則デュオ。
アッパーで楽しかった。


転換DJがトライバルなニュー・ウェイヴ/ポスト・パンク(KILLING JOKEとか)をガンガン回していて、ブチ上がる。
そしてD・O・Tが登場。
7ヵ月ぶりに観た。

来年新作リリースを予定しているとのことで、新曲中心に40分ほどのステージ。
NEKO(ヴォーカル)が踊りまくるアラビック・ハードコアは不変。
で、HIROSHIが歪んだベースを弾きながら、MARUがタイトなドラムを叩きながら、それぞれに担当するコーラスが大きくフィーチュアされていた。
”どうしてどうして?”と繰り返されたりと、ロシアのウクライナ侵攻をはじめとして悪くなっていくばかりの世界に懐疑と異議申し立てを述べるような楽曲が続く印象。
一方でNEKOの慈愛に満ちた世界観も前面に。
先週の新代田FEVERに続いて御一緒した遠藤妙子姐さんが”包容力と怒りが両立している”と評していたのは、まさに言い得て妙だったと思う。


時間的な都合により、残念ながらD・O・Tまで観て退出。
ありえないミスから乗り換えに失敗して遅くに帰宅。
すぐ寝ました。
(何しろここ数年早寝早起きな生活なのでね…)

CLAUDIO SIMONETTI'S GOBLIN@川崎CLUB CITTA'

CLAUDIO SIMONETTIS GOBLIN NOV 2022.jpg18日。
余裕を持って川崎に向かい、上野東京ライン1本で到着するはずだったのだが、人身事故の影響で電車が東京で止まってしまい。
東京からは満員の京浜東北線で、どうにか川崎に着く。
例によって吉野屋(またか!)で腹ごしらえして、1ヵ月ぶり今年2回目のCLUB CITTA'。
(1回目に観たライヴについては某誌にライヴ・レポートが載ります)

「THE BEST OF ITALIAN ROCK Vol.12」。
3年ぶりに観るCLAUDIO SIMONETTI'S GOBLIN。
前回同様2部構成で、”LIVE & CINEMA SPECTACLE”と題された第1部は、前回は第1部に映画『サスペリア』の上映と、それにシンクロしたバンド演奏(再演)だったが、今回はジェニファー・コネリーの出世作として知られる『フェノミナ』。

定刻を2分ほど過ぎて緞帳が上がり、メンバーが登場。
現在のバンドは首魁クラウディオ・シモネッティ(キーボード、プログラミング)を中心に、チェチリア・ナッポ(ベース)とフェデリコ・マラゴーニ(ドラム:前回同様RUSHのTシャツ)というお馴染みのリズム・セクション、そして新加入のダニエレ・アマドール(ギター)という4人。
ダニエレ含め、シモネッティ御大以外は全員がイタリアのプログレッシヴ・メタル・バンドADIMIRONのメンバーなので、編成的にはADIMIRON+シモネッティという感じになった。

『フェノミナ』、やっぱりというか正統派美少女のジェニファー・コネリー(当時13歳)がかわいい、に尽きる。
(かなり体を張っている)
マクレガー教授役、『荒野の千鳥足』や『悪魔の植物人間』のドナルド・プレザンスだったんだよなあ。
そして最後に全部持っていくチンパンジーの名演!

サントラ盤では打ち込みっぽいサウンドが、4人編成のバンドによる生演奏でダイナミックに響く。
更にサントラに使われていたIRON MAIDEN「Flash Of The Blade」を(インストゥルメンタルで)演奏したのにも驚かされた…が、MOTORHEAD「Locomotive」はそのままサントラの音源が流れていた。
(あと女声ソプラノはサンプリング)
ともあれ116分という長丁場の上映(当然ながらバンドが演奏していない部分も多いけど)が終わると、盛大な拍手が沸き上がった。

25分とアナウンスされた休憩時間は約30分ほどあり。
その間に、会場で御一緒した浅野淳氏にいろいろ興味深い話を伺う。
(他にもNのS木氏とか元DのS永さんとかライターのB府さんとかいろいろな人に会った)
第2部は”BEST OF DARIO ARGENTO & HORROR HITS”。
『THE DEVIL IS BACK』からの「Brain Zero One」に始まり、GOBLIN/CLAUDIO SIMONETTI'S GOBLINのオリジナル・アルバムからの曲とサントラ曲が次々に演奏されていく。
”BEST OF SOUNDTRACKS & MORE”と題されていた前回の第2部に較べると、「Demon」をはじめとして、演奏と映像がシンクロとまではいかずとも、よりマッチするようになっていた気が。
クラウディオ・シモネッティとフェデリコ・マラゴーニだけでなくダニエレ・アマドールもほとんど定位置から動かない。
例によって一人でぐいぐい動き回って華の部分を体現していたのは、真っ赤な髪のチェチリア・ナッポだった。

中盤「L'alba Dei Morti Viventi」「Zombi」「Zaratozom」と『ゾンビ』から3曲続けて演奏され、大いに盛り上がる。
後半に入ると『サスペリア』からの「Suspiria」と「Markos」。
(「Suspiria」ではスクリーンに現メンバーをフィーチュアした新MVが投影された)
アレンジは再録ヴァージョンのメタリックなモノ。
「Zombi」でチェチリア・ナッポとダニエレ・アマドールがヘッドバンギングを見せたり、「Non Ho Sonno/Death Farm」でのダニエレのギター・ソロがほとんどネオクラシカルだったりと、CLAUDIO SIMONETTI'S GOBLINは年を経る毎にメタル色を強めている感がある。
そこは賛否の分かれるところかも知れない。

ともあれ「Tenebre」のイントロでクラウディオ・シモネッティがヴォイス・モジュレーターを使って笑わせ(というか小太りのシモネッティ、フツーにしていても何処かユーモラス)、本編ラストは『サスペリアPART2』からの「Profondo Rosso」。
すぐにアンコールがあって「Mater Lacrimarum」。
18時32分頃に第1部が始まり、アンコールが終わったのが22時40分頃。
休憩時間を抜いても3時間半余りという一大スペクタクル。

しかし俺には電車の時間が!
余韻を楽しむ暇もなく川崎駅に急ぐと、ダイヤ乱れの影響はまだ続いていて。
遅くに帰り着いてすぐ寝たのでした。

それぞれの老境

MOTLEY CRUE.jpgかなり前の話だが。
THUNDERのダニー・ボウズが頭部を負傷して、医療費を支援するクラウドファンディングが行なわれている、というニュースがあった。
その後どうなっただろうか。
以前このブログで、THUNDERが結成から30年も経っていて驚いた、という話をしたことがあったけど、解散と再結成を繰り返し、途中ダニーの引退(すぐ撤回)なども経つつ、気付けばダニーももう62歳という…。

コレも少し前の話だが、ミック・マーズがツアー活動から引退。
MOTLEY CRUEメンバー中最年長のミック71歳。
しかも以前から病身とあっては、致し方なし。
しかし、ミックが71歳になるまでMOTLEY CRUEが存続すると予想出来た人は少なかったはず。
ともあれミックには長生きしてほしいモノです。

THUNDERとも縁の深いアンディ・テイラーは、転移性前立腺癌のステージ4という。
あのアンディももう61歳。
(まだ61歳ともいう)
治療法がなく、延命措置しか出来ないとのこと。
なんと…。

森山達也が突発性難聴になり、THE MODSのツアーが中止に。
うわあ、突発性難聴。
それはヤバいやつ。
森ヤン66歳、しっかり治療に専念していただきたいところ。

そしてロバータ・フラックはALSを患い、現在はもう歌えないどころか会話も困難な状態とのこと。
現在85歳。
引退していておかしくない年齢ではあるものの(しかし10年前までリリースを続けていたのだから凄い)、まだまだ生きていてほしい。
ってか病気の有無に関わらずみんな生きてほしい。

THRESHOLD/DIVIDING LINES

THRESHOLD.jpg英国を代表するプログレッシヴ・メタル・バンドTHERESHOLDの、前作から5年ぶりとなる12thアルバム。
実はこのバンド、今まで聴いたことがなかったのだ(汗)。

1988年結成の大ヴェテラン。
93年に『WOUNDED LAND』でデビューしている。
00年代半ばにニュークリア・ブラストと契約し、現在に至る。
現在のバンドはPENDRAGONなどのプロデューサーとしても知られるカール・グルーム(リード・ギター)を中心に、前作『LEGENDS OF THE SHIRES』(2017年)から復帰したグリン・モーガン(ヴォーカル、リズム・ギター)、リチャード・ウェスト(キーボード)、スティーヴ・アンダーソン(ベース)、ヨハン・ジェイムズ(ドラム)の5人。

メンバー曰く、前作よりダークで、一方よりメロディアスとのことだが。
旧作を聴いていない人間の感想としては、全然ダークには聴こえない。
このアルバムがダークだったら、以前のアルバムはどれだけ明るかったの?…とか思う。
一番短い曲が4分弱、10分超の曲を2曲含みつつ、全曲が明快でキャッチーなメロディに彩られている。
確かにプログレッシヴ・メタルと呼ぶべき音楽性ながら、DREAM THEATERあたりに較べても才気走ったテクニカルな感覚は希薄で(もちろん演奏はもの凄く上手いし、一糸乱れぬアンサンブルを聴かせる)、何よりメロディを大事にしている印象がある。
もの凄いハイトーンとかもの凄い声域とかじゃなく、逆にあんまりメタルっぽくない中音域中心に着実にメロディを追っていく、グリン・モーガンのヴォーカルが一役買っているのだと思う。
歌メロだけ聴いていると、いわゆる”産業ロック”(FOREIGNERとか)を聴いているような気分になる。
(もちろんアンサンブルはずっと複雑でテクニカルなんだけど)
とても聴きやすい。

キーボードのリチャード・ウェストはGENESISとか好きなのかな、と思う。
カール・グルームは上手いギタリストだけど、一方でデイヴィッド・ギルモアとか好きなんじゃないか、とか思ったりも。
何しろこのバンド初めて聴いた人間の感想なんで、あてにならんだろうけどね。

『DIVIDING LINES』、18日リリース。

11月の訃報

HAWKWIND SPACE RITUAL.jpg8日にダン・マッカファーティーが亡くなったとのこと。
POCDを患っていたらしい。
76歳。
言わずと知れた、NAZARETHのオリジナル・シンガー。
健康面の問題でバンドを脱退してから10年近く経っていたので、驚きはしなかったが。
あのアクセル・ローズにも多大な影響を与えた声の持ち主が、遂に逝ってしまった。
このブログでは1977年のアルバム『EXPECT NO MERCY』を紹介したことがあった。
もちろん他のアルバムも大好きだ。
驚きはしなかったとはいえ、残念。
そして今のNAZARETHのヴォーカルって、PERSIAN RISKのカール・センタンスなんだなあ…。
オリジナル・メンバーで生きているのは、ピート・アグニュー(ベース)だけになってしまった。

10日にはニック・ターナーが。
死因は不明。
82歳。
これまた言わずと知れた、HAWKWINDのオリジナル・メンバーであり、歴代最年長のメンバー。
サックスにフルートという、ロックでは決してメインではない楽器で、初期のスペース・ロックを彩った。
…だけではなく、最近までずっと現役のままだっただけに、まだまだ活躍してくれると思っていたのだが。
「Master Of The Universe」も「Brainstorm」も、ソングライティングはニックだった。
そして本家HAWKWINDがメンバー交代と共に音楽性を変化させていく一方で、旧メンバーを引き入れては時に70年代のHAWKWINDそのまんまな音を提供し続けたのもこの人。
あの世でのレミーとの和解を望む。
(デイヴ・ブロックとは遂に復縁しないまま逝ってしまった)

そして11日にキース・レヴィン。
肝臓癌だったという。
65歳。
THE CLASHとPUBLIC IMAGE LIMITEDのオリジナル・ギタリスト。
この人のギターがポスト・パンク以降に与えた影響の大きさは、筆舌に尽くしがたい。
元々YESの大ファンで、アルバム『CLOSE TO THE EDGE』に伴うツアーでローディ―をやっていたのだそうで。
ブルーズやR&Rの根っこを全く感じさせないあのギター、プログレから来ていたのか。
(曰く、CLASHの曲はコード進行が簡単過ぎてつまらなかったとか。そりゃそうだろう…)


3人の中で一番若い、パンク/ニュー・ウェイヴ期に世に出たキース・レヴィンでさえもう65歳。
何しろ今のNAZARETHで歌っているカール・センタンスも既に60代というのだから。
81歳のデイヴ・ブロックには頑張ってほしいモノです。

KLAUS DINGER + RHEINITA BELLA DUSSELDORF/NEONDIAN(LA DUSSELDORF 4)(1995)

KLAUS DINGER.jpgLA DUSSELDORF解散後、1985年にクラウス・ディンガーのソロ・アルバムとして独テルデック・レコーズからリリースされたアルバムの、キャプテン・トリップ・レコーズからの再発…なのだが、ジャケットではテルデックのロゴが乱暴に塗りつぶされ、”LA DUSSELDORF 4”などの文字がこれまた乱暴な殴り書きで書き加えられている。
内容はオリジナル・リリースとまったく同じながら、再リリースに当たってキャプテン・トリップもクラウスも相当気合入っていたと思われ。

1983年~84年にかけて、『LA DUSSELDORF 4』あるいは『MON AMOUR』としてリリースされる予定で録音された6曲。
85年当時は単に『NEONDIAN』というタイトルでリリースされたのだが、メンバーこそ違うものの、確かにLA DUSSELDORFの4thアルバムというのにふさわしい内容だった。
録音に参加したメンバーはクラウス・ディンガー/ニコラウス・ファン・レイン(ギター、シンセサイザー、プログラミング、タンバリン、ピアノ、ヴォーカル)、スピネロことルディガー・エルゼ(ギター、マンドリン:その後LA! NEU?にも参加)、ラウル・ウォルトン(ベース:RHEINGOLD)、チャーリー・T・チャーリーことマンフレッド・テルスタッペン(ドラム:RHEINGOLD)、ヤキ・リーベツァイト(ドラム:1曲のみ)、ボド・スタイガー(スライド・ギター:元LILAC ANGELS~RHEINGOLD、1曲のみ)の6人。
LA DUSSELDORFというよりも、クラウス+RHEINGOLD+αみたいな。
クラウスと袂を分かったミヒャエル・ローターがソロ活動のパートナーに選んだヤキが(1曲のみとはいえ)参加しているのが目を惹く。

内容は1曲目「Mon Amour」(ヤキ・リーベツァイト参加)や、『VIVA』(1978年)収録の名曲「Cha Cha 2000」の再録「Cha Cha 2000/85」などで明らかな通り、確かにLA DUSSELDORFの音楽性に直結するモノだが。
ジャケットに見られるクラウス・ディンガーのモヒカンが象徴するように、「Neondian」や「America」ではかなりパンキッシュ。

ただし、クラウス・ディンガーがモヒカンをキメて見せたのは、別にパンクやハードコアに影響されてのことではなかったようで。
第二次世界大戦に敗れ、その後アメリカ由来の文化(ロックからコカ・コーラに至るまで)に浸食され続けたドイツ人のアイデンティティの不確かさを、白人に蹂躙されたネイティヴ・アメリカン(=インディアン)の心情に寄り添うことで改めて表現しようとした様子。
その点でアルバムのハイライトと言えるのは「America」だろう。
”Hiroshima/America/America/America/I love you and I hate you””No longer I believe in you/America””You stole your land from Indians in a holocaust””IBM CIA Coca Cola”…という、断片的にして強烈に直截な歌詞には、クラウスのアメリカに対する愛と憎悪の二律背反が、あまりにも生々しく刻まれている。
そしてその想いは、原爆を落とされた広島にまで及んでいた。
(奴隷の子孫であるアメリカ黒人、ラウル・ウォルトンの起用も、単にRHEINGOLD人脈という以上の意味があったのではと推測する)

1995年にこのCDが出た時点では、LA DUSSELDORFのアルバムはCD化されておらず。
(まあ中古LP買って聴いてたけどさ)
今回久しぶりに聴き直したのだが、リリース当時は狂ったように聴きまくっていたのを思い出した。
キャプテン・トリップ・レコーズには足を向けて寝られない。

SEDE VACANTE/CONIUM

SEDE VACANTE.jpg先月21日のリリース。
紹介が遅れた。

ギリシャのゴシック・メタル・バンド。
結成は2015年。
16年に1stアルバム『SKIES INFERNAL』をリリース。
『CONIUM』は前作から6年ぶりの2ndアルバムとなる。
その間に女性ヴォーカリストが交代。
現在のメンバーはソングライターであるマイケル・ティコ(ギター、ヴォーカル、シンセサイザー)を中心に、新加入のステファニー・メイザー(ヴォーカル)、ニック・ゴゴミトロス(ベース)、ヤニス・K(ドラム)の4人。

NIGHTWISH、EPICA、WITHIN TEMPTATIONといった諸先輩たちの影響が透けて見えるサウンド。
ただ、それらのバンドに較べるとシンフォニック色はやや薄めで、むしろエレクトロ色が強い。
専任キーボーディスト不在で、ギタリストであるマイケル・ティコがシンセを使って一人でオーケストレーションをやっているせいもあるだろう。
そこは若いバンド、予算的な制約もあるかも。

エレクトロ色が強いだけでなく、上に挙げたような女性ヴォーカルのゴシック・メタル・バンド群に較べると、モダンにしてヘヴィなギター・リフが目立つ。
全体にダーク。
ステファニー・メイザーのヴォーカルも、透明感よりもパワフルさが前面に出るスタイル。
一応男女ツイン・ヴォーカルが売りらしいが、マイケル・ティコの歌はあまり前面に出てこない。

驚かされたのはTHE ROLLING STONES「Paint It Black」のカヴァー。
メタルしか聴いてなくて原曲を知らないような人は、完全にオリジナルと思い込みそうな、ヘヴィでダークなアレンジ。
ステファニー・メイザーも独自の歌い回しでモノにしている。
面白い。

全11曲、1分半~6分弱といずれもコンパクトにまとまっていて、聴きやすくはある。
現状まだB級感や二番煎じっぽさもあるものの、将来に期待したい人たち。
本物のオーケストラやクワイアなんかを導入したり出来るようになったら、化けるかも知れないと思う。

SPACE PANTHER/GLAMDEMIC!

SPACE PANTHER.jpg2月のリリース。
先月入手。
元々2021年にLPとしてリリースされ、22年にCD化ということらしい。
とりあえず無理矢理新譜枠で紹介。

ニュージャージー発、それぞれキャリアのある面々による新バンド、のデビュー作。
メンバーはボビー・ケネディ(ヴォーカル、ギター)、キース・ロス(ベース)、ボブ・パンテラ(ドラム)の3人。
ボビーはデイヴィッド・ジョハンセンのバンドにいたらしい。
キースは2021年からTHE DICTATORS(!)でリズム・ギターを弾いている。
そしてボブは元RAGING SLAB(覚えてる?)で、MONSTER MAGNETのメンバーでもある。

サウンドの方は、説明するまでもないだろう。
サンクス・リストの最後にデイヴィッド・ボウイ、T.REX、SLADE、THE SWEETの名前がある…というのも、ジャケットとアルバム・タイトルを見れば納得なのでは。
そう、ジャケットとタイトルを見ての通りの、ど真ん中なグラム/グリッター・ロック。
いきなり”ドッドダッダドッドダッダ”というあのビートの「Smooth Operator」で始まる、完璧な70年代英国グラム風。
バンド名に冠されているスペーシー風味も。
ソングライティングも冴えている。
イタリアのGIUDAなんかの好敵手になりそうなバンド。

サンクス・リストに名前のあるバンドだけでなく。
「Smooth Operator」や「Do Ya wanna Rock?」や「Hey Woman」のリズムは当然ゲイリー・グリッターを連想するし。
アコースティックを交えたアレンジも素敵な「The Out Crowd」、それに続く「You Don't Even Know My Name」あたりのポップ・センス(あとヴォーカルも)にはELOを思い起こしたりも。
(「The Out Crowd」のギター・ソロはちょっとQUEENっぽかったりも)
一方でアメリカのグラム勢の影響がほとんど聴かれないな…とか思ったけど、「I Won't Be Around」あたりはちょっとNEW YORK DOLLSっぽいかな。
(カウベルが入るあたりもアメリカンな感じと言えなくもない)

アルバム・タイトルはパンデミック(=コロナ禍)に引っ掛けたのだろう。
不謹慎というかしたたかというか。
オリジナルのLPが2021年のリリースなんで、今年の年間ベストには入れない予定だけど、年間ベスト級と言えるクォリティではある。
実にナイス。

HARMONIA/deluxe(1975)

HARMONIA.jpgNEU!+CLUSTER、なHARMONIAの2nd。
今では名盤にして定番なアルバムかも知れないが、1994年にあのジャーマノフォンからブートCD化されるまでは、入手困難な1枚だった。

NEU!のミヒャエル・ローターとCLUSTERのハンス・ヨアヒム・ローデリウス、ディーター・メビウスの3人で、1974年に1stアルバム『MUSIK VON HARMONIA』をリリース。
続く『deluxe』では、ローター(ギター、キーボード、ヴォーカル)、ローデリウス(キーボード、ヴォーカル)、メビウス(シンセサイザー、大正琴、ヴォーカル)の3人に、ゲストとしてマニ・ノイマイアー(ドラム)が参加し、NEU!+CLUSTER+GURU GURUな凄いメンツになっている。
もちろんプロデュースとエンジニアリングはコニー・プランクで、あの『ZERO SET』の前哨戦とさえ言える1枚。
ちなみに大正琴は”nagoja harp”とクレジットされていて、「名古屋ハープって何?」となったのでした。

1曲目「deluxe(immer wieder)」から、同時期のCLUSTERには聴かれなかった叙情的なメロディアスさがあり、コレはその後のミヒャエル・ローターのソロ作に通じるセンス。
しかしHARMONIAでは3人が朴訥なヴォーカルも聴かせ、ローターのソロともCLUSTERともまた違った味わい。

一方マニ・ノイマイアーが参加したことで当然ながらリズムが前面に出ていて。
LPだとB面トップになる3曲目「monza(rauf und runter)」では、CLUSTERっぽい静謐で抽象的なサウンドが2分近く鳴らされた後、マニさんのドラムが斬り込んでほとんどNEU!そのものなモータリック・ビートに。
マニさんのドラミングも、意識的にクラウス・ディンガーに寄せたようなプレイが聴ける。
(でもやっぱり違うけど)
ヴォーカルも叫びに近い部分があり、HARMONIA版「Hero」とでもいうか。

4曲目「notre dame」や6曲目「kekse」あたりはCLUSTERの二人が主導したのかな、と思うアブストラクトな音が浮遊するが、しかし「kekse」なんかは同時期のCLUSTERよりかなり人懐っこい感じというか。
「monza(rauf und runter)」もNEU!そのものとか言いつつ、NEU!の無機質で尖った感覚よりも開放的でヘヴンリーな印象があり、クラウス・ディンガーが関わっていないのに、なんだか牧歌的なLA DUSSELDORFとでも言いたくなるようなところもある。
人懐っこいとか牧歌的とかあるいは田舎臭い(?)とか…というのは、ビーチでくつろぐ3人、という裏ジャケットが象徴しているような気も。

このアルバムと前後してミヒャエル・ローターはNEU!を離脱し、その後はソロ活動に入る。
(残されたクラウス・ディンガーらはLA DUSSELDORFに移行)
CLUSTERはこの後ブライアン・イーノとコラボレートして新たな段階に突入することに。
ローターによれば、HARMONIAが短期間しか続かなかったのは、作品が商業的に受け入れられず(NEU!よりも売れなかったとか)、それに伴ってCLUSTERの二人とも不和が多くなったせいということだった。
ローターはその後90年代にディーター・メビウスと再びコラボレートするようになるが、ソロ作ではメビウスよりもある意味俗っぽい音を出していたハンス・ヨアヒム・ローデリウスの方が、性格的にはむしろ付き合いにくかった様子。

そしてソロ活動に入ったミヒャエル・ローターは、(当然ながら)袂を分かったクラウス・ディンガーでもなく、HARMONIAに客演したマニ・ノイマイアーでもなく、CANのヤキ・リーベツァイトをパートナーとする。
ローターはヤキのことを「テクニック的に最も驚嘆させられる」と絶賛している。
もちろん『deluxe』でのマニさんも素晴らしいけどね。

映画『Never Goin' Back/ネバー・ゴーイン・バック』

NEVER GOIN BACK.jpgおバカな女子二人が弾けまくる、青春コメディー映画。

テキサスの田舎町。
アンジェラ(マイア・ミッチェル)とジェシー(カミラ・モローネ)の二人は、ジェシーの兄ダスティン(ジョエル・アレン)、その友人ブランドン(カイル・ムーニー)と4人で共同生活をしている。
アンジェラとジェシーはダイナーで、ブランドン(変態)はサンドイッチ屋でバイトしているが、ダスティン(ボンクラ)は働きもせず、ドラッグ売買とかで一攫千金を狙ってばかりいる。
家賃を払うのもやっとの極貧生活の中、それでもアンジェラはジェシーの17歳の誕生日に1週間のビーチリゾート旅行をプレゼントしようと…家賃に充てるための金でチケットを予約。
(ここから既に間違っている)
旅行を実現して家賃も払うため、バイトのシフトを無理矢理増やしてはみたものの、前途多難なのだった。
二人のバカンスは実現するのか…?

…というのが大まかなあらすじ。

とにかく、主要な登場人物が全員馬鹿で無軌道過ぎ。
特に会話にやたら”Fuckin'”と入れまくり、すぐアレやコレをキメてしまうアンジェラとジェシー。
下ネタも炸裂しまくり。
アメリカのイマドキの17歳って、まさかみんなこんなじゃないよね?
(レオナルド・ディカプリオと付き合っていたことで知られるカミラ・モローネのガンギマリ演技は見モノ)
警察の聴取の時にもリビングでほぼ下着姿だし。
まあ最終的にハッピーエンドにはなるんだけど、そこに至る問題解決方法もいろいろダメ過ぎる。

しかし、そんなアンジェラとジェシーがかわいく見えてくるのでした。
ってか実際かわいいんだけど。
特にカミラ・モローネはモデルとしても活躍しているだけあってかなりの美人さん。
(なのにあんな…というのは是非実際に観てください)

場当たり的で無謀な行動ばかりだけど、社会のかなり底辺の方で暮らすアンジェラとジェシーの分かちがたい絆、そして二人が持つバイタリティと天性の明るさはよく描かれている。
物語は監督であるオーガスティン・フリッゼル(本作が長編映画監督デビュー)の実体験を基に、極貧にあえいだ自身の若い頃の記憶を笑い話に仕立てたのだという。
「SATURDAY NIGHT LIVE」に10年近く出演していたというカイル・ムーニーもイイ味を出している。

とりあえず何も考えずに笑って楽しめるおバカ映画の逸品。
観たら〇〇〇が欲しくなる人も多いかも。
12月16日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国順次公開。


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