SATIN/APPETITION

SATIN.jpgコレがブラック・メタルのふるさと(?)ノルウェイのミュージシャンによる音楽だとは…と驚いてしまった、メロディアス・ハード・ロック/AORの高品質アルバム。

…というワケで俺はこのサティンという人を全く知らなかったのだが、今回のアルバムが3作目(英語ではなくノルウェイ語で歌った番外編的なアルバムを含めると4作目)なのだそうで。
9歳でギターを手にし、11歳で作曲を、12歳で宅録を始めたという。
MIRACLEや弟ロニーとのデュオなどでノルウェイ国内のコンテストで5位とか2位とかに入賞し。
ライヴ活動やデモ制作の一方で、ロニーとともに他のミュージシャンへの楽曲提供を100曲近くも手掛け。
ソングライターとしての地位を確立したあと、2014年にソロ・デビュー。
前作『IT'S ABOUT TIME』(17年)の国内盤は2日(!)で完売し、BURRN!のレヴューで91点を獲得したとのこと。
そして前作から5年ぶりの新作となるのが『APPETITION』。

まあノルウェイといえば別にブラック・メタルだけじゃなく、あのa-haやTNTなんかも輩出した国であるからして、とかいう以前にいろいろな音楽性の人たちがいるのは当然なんだけど。
それにしても、確かに北欧的な透明感みたいなモノも感じさせつつ、全体的には80年代アメリカのメロディアス・ハード・ロックそのものというか。
快活でキャッチーなメロディとサウンドは、やっぱり21世紀のノルウェイのミュージシャンによるモノとはにわかに信じ難い。
特にアルバム冒頭を飾る「Going Your Way」は、イントロのコーラス一発からズガンとクる。

更に驚くべきは、演奏もコーラスもサティン一人で重ねているという。
ロビー・ヴァレンタインとかBATHORYとか(たとえが両極端だな…)、ヨーロッパは一人で全部やっちゃう人多いけどさ。
ともあれ楽曲も演奏も高クォリティ。
今回も売れるのではと。

『APPETITION』、14日リリース。

AMON DUUL Ⅱ/PYRAGONY(1976)

AMON DUUL 2 PYRAGONY.jpgAMON DUUL Ⅱ、ノヴァ・レコーズ移籍後3作目にして、看板ヴォーカリスト、レナーテ・クナウプ・クローテンシュヴァンツがいなくなった10thアルバム。
我ながらまた微妙なチョイス…。
2008年に一度だけ国内配給されているが、売れなかったのではと思う。
しかし個人的には好きなアルバムだ。

アルバム・タイトルは『PYRAGONY X』『PYRAGONY 10th』などと表記されることも多いが、実際には単に『PYRAGONY』で、10thと大書されているのはタイトルの一部ではなく、単に10thアルバムであることを示しているのだと思われる。
前作『MADE IN GERMANY』(1975年)当時の7人編成から4人が抜けて、二人が新加入となった。
ここでの編成はクリス・カーラー(ヴォーカル、ギター、ヴァイオリン、ソプラノ・サックス)、ジョン・ヴァインツァール(ギター、ヴォーカル)、クラウス・エバート(ヴォーカル、ベース、ギター)、ステファン・ツァウナー(ヴォーカル、キーボード、ギター)、ペーター・レオポルド(ドラム)の5人。
元18 KARAT GOLDのクラウスは、アメリカ人だった。

何と言っても、レナーテ・クナウプ脱退後のAMON DUUL Ⅱを代表する「Flower Of The Orient」に尽きる。
ポップ化(前2作ではポップどころかグッと黒人音楽寄りに)を進めたノヴァ移籍後のバンドにあって、極めてわかりやすい東洋志向とサイケデリックさを聴かせる名曲。
(しかしこの時期の音源から選曲した編集盤には収録されなかったり…)

他の楽曲も、悪くない。
ジョン・ヴァインツァール作のR&R「Merlin」とか。
(ジョンによると思われる、びっくりするような速弾きのギター・ソロが入っている)
クラウス・エバート作の実に平明なポップス「Capuccino」とか。
『VIVE LA TRANCE』に入っていそうなクリス・カーラー作の「The Only Thing」とか。

で、クリス・カーラーが書いた曲は「The Only Thing」1曲のみ。
一方でクラウス・エバートはステファン・ツァウナーとの共作含めて4曲も書いている。
「Flower Of The Orient」だけがバンド名義のクレジット。
メンバー個人のクレジットがなく、一丸となって書き上げ演奏したであろうこの曲がアルバムのハイライトとなっているのも、当然だったかも知れない。

その後クラウス・エバートは(一応の)ラスト作『ONLY HUMAN』(1978年)まで、更にステファン・ツァウナーは(一応の)再編作『VORTEX』(81年)まで、AMON DUUL Ⅱを支え続けることになる。
そしてステファンは、現在もソロとして旺盛に活動を続けている。

#STDRUMS/JUST A PHENOMENON

#STDRUMS JUST A PHENOMENON.jpgスーツケース・ドラムひとつで世界を股にかける男、ユージ・レルレ・カワグチこと#STDRUMS。
新作アルバムが、明日12日にリリースされます。
そのアルバム『JUST A PHENOMENON』の紹介文を書きました。

https://shop.rerure.com/product/just-a-phenomenon/

和製(しかもドラム版の)SQUAREPUSHERというのがぴったりのスタイルで、ヘヴィだったりダンサブルだったりジャジーだったりラテンっぽかったりする多様なトラック(そしてそれらも全部ユージ・レルレ・カワグチが自分でこしらえている)に乗せて、奔放なドラムが暴れまわる。
今回は一発録りのライヴ・レコーディング、アンビエント・ノイズ込みのフィールド・レコーディング、そしてカセット・テープ(!)でのレコーディング…という、敢えて修正の余地が少ない、1回性と偶然性を重視した実験的なアプローチ。
とは言っても音楽自体にアヴァンギャルドさはなく、独自のグルーヴと高揚感に溢れている。

HEREや平沢進のサポートとしても知られるユージ・レルレ・カワグチだが、単なるドラマーではなく、優れたソロ・パフォーマー/音楽家でもあり。
自分自身の音楽だけで充分に勝負出来ることは、これまでの#STDRUMSの作品でも存分に示されてきた。
そして#STDRUMSの音楽は、今回のアルバムでより高い次元にアセンションしたのでは。
ジョン・ボーナムが生きていたら、このアルバムを聴いて「おもしれえ」とか言いそうだ。
「こんな時代」だからこそ敢えてツアー活動を続けてきた、ユージの意地が詰まった1枚でもある。

原昌和(the band apart)が1曲でゲスト参加。
14ページのブックレットにはユージ・レルレ・カワグチ自身によるライナーノーツが掲載されていて、コレがまた読みごたえアリ。
デジタルダウンロードコードも付属。
是非聴いてみてください。

SKID ROAD?

SKID ROW.jpgちょっと前に、GENESISはイギリスだけじゃなくてアメリカにもいたとか、SPIDERSはアメリカにも日本にもいた、みたいな話をしたが。
まあSPIDERSとかSCORPIONSとかXとかGENESISとか、同名バンドが幾つもあったとしても不思議ではないよね。
WRATHCHILDなんてのもイギリスとアメリカの両方にいたぐらいだし。

で、ふと思った。
SKID ROWは?

SKID ROWなんて言葉を、バンド名以外で見たことも聞いたことがなかった。
多分俺以外の皆様でも、英語に詳しい人でもない限り、たいていの日本人はわりとそうじゃないかと思うんだけど。
そんな馴染みのなさそうな言葉が、どうしてアイルランドとアメリカの、音楽的にも全然接点なさそうなバンドがそれぞれ名乗っていたのだろうか。

…というのが気になって、検索してみたら。
skid row。
”ドヤ街”って意味だったのか。

元々はskid roadだったのが、skid rowに変化したんですってよ。
LAのダウンタウンにはSkid Rowと呼ばれる治安の悪い地区が実際にあるんだって。
いやあ、全然知らんかった。
今の今まで全然知らんかった。

アメリカのSKID ROWが出てきた時、「なんで今のアメリカから、昔ゲイリー・ムーアがいたのと同じ名前のバンドが?」と思ったけど、そういうことだったのか。
まあアメリカのSKID ROWはLAじゃなくてニュージャージー出身なんだけど。


ところでこのブログを御覧の皆様は、SKID ROWと聞いてアメリカの方とアイルランドの方、どっちを先に思い浮かべるのだろうか。
今では多分圧倒的にアメリカの方だと思うんだけど。
ってかアイルランドの方が真っ先に思い浮かぶ人って、よっぽど偏屈な英国ロック至上主義の(もしも実際にそういう人いっぱいいたら怒られるから以下略)


あと、「アメリカのGENESIS最高だよなあ、イギリスの方なんてメじゃないぜ!」とかいう人も実際にいたら怖い。
ちなみにWRATHCHILDはイギリスの方に限る。
(異論は認めます)

「ProgTokyo 2022 Autumn」@吉祥寺SILVER ELEPHANT

20221009.jpg本日。
あちこちで興味深いライヴ/イヴェントがあり。
しかし体がひとつしかないところに持ってきて、仕事がアレなうえに所持金は超絶にヤバく。
昨夜必死で仕事して、どうにか時間を作って転がり込んだのが、3年4ヵ月ぶりのSILVER ELEPHANTだった。

「ProgTokyo 2022 Autumn」の3日目。
俺は開演直前にフロアに入ったので、椅子席はもう埋まっていて。
(観客の年齢層は高い。髪の白い人や髪のない人多数)
後ろの方で立って観た。
4時間半ほど立ったままでけっこうキツいモノがあったが、内容は大満足でしたよ。

一番手はイヴェント主催のACB(K)。
元OUTER LIMITSの荒牧隆子(ヴォーカル、ギター)率いる4人。
専任キーボーディスト不在ながら、森脇健(ベース)が兼任する小さなキーボードと荒牧が操るノートPCから、メロトロン音がガンガン出る。
(もちろんキーボーディストが生で弾く方が良いけどさ)
そして荒牧の、時にロバート・フリップ直系なギターに乗せて月本美香(浪漫座他)の歌唱が炸裂。
荒牧もリード・ヴォーカルを多く担い、月本との対比を聴かせる。
(インカムマイクが不調で途中からスタンドマイクに切り替えたが、ちょっと歌いづらそうにしていた)
”外伝”を付加した47分に及ぶ組曲「シブリングス」をフィーチュアした、1時間で2曲というステージ。
「シブリングス」最終パートで何故か荒牧がマスクを着けた…と思ったら、ギターを弾きながらフロアに突入し、大いに盛り上がる。
(ワイヤレスならでは)

セットチェンジの時間が30分近くあり、二番手のMitaraphina登場。
未藍千紗(ヴォーカル、キーボード)と宇治金時(ベース)を中心とする5人組。
正直全然知らなかった。
ぶっちゃけバックの演奏陣は、新加入の名手・菅野詩郎(ドラム)含めてまったく華がないのだが(?)、そこのところは未藍が一人で全部持っていく。
田中隆司のシンフォニックなキーボードをフィーチュアしながら、アラン・ホールズワース在籍時のSOFT MACHINEあたりを思わせるジャジーな展開を随所に挿み。
一方で未藍が時々いかにも80年代風なショルダー・キーボードの音色でソロを取りつつ、オペラティックに上下する歌唱を聴かせる。
そしてRaphy(ギター)が、レガートにE-Bowにグリッサンドと、様々な奏法をフル稼働。
シンプルなキットで笑顔を絶やさずドカドカ叩きまくる菅野も印象的。
こちらも1時間。


そしてタイムテーブル10分ほど押して、トリのデキゴコロ(画像)。
”非プログレ””陰欝なポップス”を宣言し、先日初ライヴを行なったばかりの”新人バンド”ながら、元PAGEANTの中嶋一晃(ギター)率いる新たなバンドとあって、堂々のトリ。
浪漫座別館などでボツになったプログレっぽくない曲を改めて披露する場として結成したのだという。
しかし、限りなく浪漫座に近い編成。
実際、非プログレという割にはプログレ色は濃い。

注目すべきは、赤いドレスにド派手なメイクで現れた、CRYSTAL ARROW~PLEIADEZのヴォーカリスト、廣田直子。
このブログでも以前から上手い上手いと書いてきたが…ナマで聴くと、とんでもなく上手い!
アニソンを思わせるようなメジャーコードの楽曲はもちろんのこと、途中で披露された夜來香「月光円舞曲」やPAGEANT「真夏の夜の夢」での、見事に過ぎる歌唱。
しかも京劇俳優か往年のピーター・ゲイブリエルかというメイクに、全身を使ったアクションを含む、巧みな表現力。
(この人なんでプロにならなかったの?}
それが、キーボード6台を操る前田里知のメロトロン炸裂なサウンドに乗るのである。
パワフルさでは80年代の永井博子にやや劣り、ドスの効き具合でも及ばないものの、それでもこれまでに中嶋一晃が組んできた歴代ヴォーカリストに勝るとも劣らない。
「真夏の夜の夢」では鳥肌が立つとともに目から汗が…。
MCで見せるファニーで陽性なキャラクターも印象的。

70分に及んだ本編の後、アンコールは廣田直子と月本美香のツイン・ヴォーカルによる「ヴェクサシオン」!
浜田勝徳(ベース)のアンプの前にレスポールがあったことからして、演るだろうなとは思っていたものの…。
再び目から汗。


中嶋一晃という、音楽で飯を食い続けることなく還暦を超えた男の音楽に、どうしてこれほど心を動かされるのか。
個人的には、どんなジャンルでも、売れたモノには一定の見るべきところがあるというのが持論だが。
一方で「売れたものが優れているという考えは間違っている」というフランク・ザッパの言葉を思い出す。

V.A./CALIFORNIA EASTER ALBUM(199?)

CALIFORNIA EASTER ALBUM.jpgブートLPをブートCD化したモノ。

オリジナルのLPは2枚組で、1982年のリリース。
ナンバリング入り限定500枚だったという。
ジャケットにはBIG BROTHER & THE HOLDING COMPANYとQUICKSILVER MESSENGER SERVICEが出演したAVALON BALLROOMのフライヤー画像が用いられているが、実際にはどっちのバンドも入ってないし、AVALON BALLROOMでの演奏も入ってない。

このCDは90年代後半に新宿のDISK UNIONで購入したと記憶する。
元のLPからA面を削って、B~D面の4組を収録している。
A面に収められていたのはJERRY & SARA GARCIA(1963年)、PIGPEN AND PETER ALBIN(63年)、GRATEFUL DEAD WITH THE BEACH BOYS(!:71年)の3組。
CDも2枚組にしてフル収録にしてくれればよかったのに…。

ともあれCDはLOVEでスタート。
1970年11月23日、FILLMORE WESTでのライヴ。
このブログで以前紹介した、当時のラスト作『FALSE START』の時期。
実際『FALSE START』収録曲「Stand Out」を演っている。
パッとしない時期のアルバムと思われがちな『FALSE START』だが、以前書いた通り俺はけっこう好き。
ライヴでは更にカッコいい。
やっぱりゲイリー・ロウルズはいいギタリストだったと思う。

続いてHOT SHIT。
HOT TUNAのことです。
裏ジャケットには”元々の名前がHOT SHITだったHOT TUNAの、最初期のショウのひとつ”とあるものの、オープニングMCは思いっきり”HOT TUNA!”と言っている…。
1969年10月31日、LOS ANGELES FORUMでのライヴ。
確かにレコード・デビュー以前、かなり早い時期の演奏。
ヨーマ・カウコネン(ギター、ヴォーカル)とジャック・キャサディ(ベース)のアコースティック・デュオとしてスタートし、のちにバンド化した…と思われがちなHOT TUNAだが、ここではWEIRD HERALDのポール・ジーグラー(ギター)と当時JEFFERSON AIRPLANEのメンバーだった故ジョーイ・コヴィントン(ドラム)をフィーチュアした、エレクトリックなブルーズ・ロック・バンドの編成。
2ndアルバム『FIRST PULL UP, THEN PULL DOWN』(71年)収録の「Come Back Baby」、3rdアルバム『BURGERS』(72年)収録の「True Religion」が、既に披露されている。
いろいろ興味深い。

次いでMAD RIVER。
1967年8月10日、サンノゼのFAIRGROUND FAMILY PARKで開催された「Dr.SUNDAY'S MEDICINE SHOW」でのライヴ。
これまたアルバム・デビュー前の演奏で、彼らの1stアルバム『MAD RIVER』(68年)から「Wind Chimes」「War Goes On」の2曲が演奏される。
このオムニバスに収録された4組中最も音質が悪く、トリプル・ギター編成の重厚さは伝わりにくいものの、彼らならではのヘンテコさは充分伝わる。

そしてBLUE CHEER。
このブログで以前紹介した『LIVE & UNRELEASED '68/'74』に収録されているのと同じモノと思われる、1968年頃のTV出演時のライヴ。
同年の1stアルバム『VINCEBUS ERUPTUM』からの「Summertime Blues」「Out Of Focus」の2曲は、口パクだったのかと思うほどアルバム通りのアレンジだが、よく聴くと確かに生演奏だ。

アメリカン・サイケの一断面(の更に4分の3)を聴かせてくれる1枚。
しかし、そこそこ有名なアルバムだと思っていたのだが、全然情報がない。
あのDiscogsにも、オリジナルLPだけでこのCDは載ってない。

FATHER, SON AND HOLY GHOST?

EMBRYO FATHER SON AND HOLY GHOSTS.jpgキリスト教の”三位一体説”ってのが、正直よくわからんのです。
父と子と精霊ってやつ。
百歩譲って、父と子(神とイエス)まではイイとしても、精霊?
Holy Ghost?
なんじゃそりゃ、って。

ただ、三位一体って後世(ニケーア公会議:325年)に成立したと思われがちだけど、新約聖書にもちゃんと”父と子と精霊の御名によって”って書いてあるんだなあ。
Wikipediaには長くて詳しい解説があるのだが、読んでもあんまりよくわからない。
もっとも、キリスト教の世界でも三位一体は難解な論とされていて、ギリシャ正教では”理解する対象ではなく信じる対象としての神秘”とされているんだそうで(?)。

ロック界隈とはいかにもなじまなそうな話だが、ここでEMBRYOのアルバム『FATHER, SON AND HOLY GHOSTS』(1972年:画像)を思い浮かべる人は…やっぱり少ないか。
ただし、『FATHER, SON AND HOLY GHOSTS』を聴いても、内容的にキリスト教と直接関係ありそうには思えない。
(ジャケットも火吹きだし…)

他にも、アメリカのインディー・ロック・バンドGIRLSが『FATHER, SON, HOLY GHOST』というアルバムを出している。
更にそのまんま、FATHER, SON AND THE HOLY GHOSTなんてバンドもあるのね。
(詳細全然知らないけど、多分クリスチャン・ミュージックのバンドだろう)
他にも似たようなタイトルのアルバムをリリースしているミュージシャンはたくさんいるのだった。
(エレクトロニカやインダストリアルまで…)

ともあれ俺なんぞが「父と子と精霊、なんじゃそりゃ」と思うぐらいだから、キリスト教の世界でも、ユニテリアン派をはじめとして、三位一体を否定して”神は唯一神なんだからイエスにも精霊にも神性はない”と主張する教派があるのね。
ただしキリスト教の世界でも、というのは多少はばかられる。
ユニテリアン派他、その手はどれも異端扱い。
かの内村鑑三も明治期にユニテリアン派を異端と断じ、現在のアメリカでもキリスト教徒のうちには数えられていないとか。
しかしヴォネガットもウィトゲンシュタインもユニテリアン派だったことで知られる。
So it goes.

燃える闘魂と脳天くい打ち

PILEDRIVER.jpg先月22日にパイルドライヴァーことゴード・カーチンが亡くなっていたとのこと。
肺癌だったという。
60歳。
61歳の誕生日の前日の逝去だった。
サウンド以上に超B級を体現していたそのキテレツに過ぎるルックスで、スラッシュ・メタル史上に永遠に記憶される存在だろう。
とにかくレコード屋でジャケットを手に取った時の衝撃は凄過ぎた。
PILEDRIVERとしてはアルバム2枚で終わったが、その後もずっと他のバンドで活動してたのね。

24日にはファラオ・サンダースが亡くなっている。
死因は不明。
81歳。
老衰だったか。
サン・ラと活動して、初リーダー作はESPからで、晩年のジョン・コルトレーンと一緒にやるという、かなり凄い経歴の人だった。
あのオーネット・コールマンが世界最高のテナー・サックス奏者と評した彼も、遂に逝ってしまった。
コルトレーンの『LIVE IN JAPAN』で初めてファラオの演奏を聴いた時の衝撃は今でも思い出す。

28日に松本康が。
肝細胞癌とのこと。
72歳。
ジュークレコード創始者として、そしてめんたいロック育ての親として、博多のロック・シーン、いや日本のロック史上に残る人物。
10年以上前に一度だけお会いしたことがある。
穏やかな笑顔が印象的な人だった。
それは天神で行なわれた某DJイヴェントだったのだが、アレは誰が回していた時だったか…お客が踊りまくって、その振動でレコードの針がビビるのを、指でそっと押さえていたのが松本さんであった。

今月1日にアントニオ猪木が逝った。
心アミロイドーシスによる心不全。
79歳。
かつて”こんなプロレスを続けていたら10年持つ選手生命が1年で終わってしまうかも知れない”と言い放った人が、難病と闘いながら随分長生きしたモノだと思う。
しかし訃報を知った時にはとんでもないショックを受けた。
以前にも何度か書いた通り、俺がプロレスを熱心に観ていたのは80年代前半のほんの数年だ。
当時はアンチ猪木だった。
いつも対戦相手のラッシャー木村やスタン・ハンセンやブルーザー・ブロディを応援していた。
それも、猪木の偉大さをわかっていたからこそだったと、今では思う。
もっと小さい時に観たモハメド・アリ戦も、当時は凡戦などと言われたものの、今となってはありえないほどガチガチに縛られたルールの中でよくやったと言うしかない。
(そして、アリも猪木と闘うのが本当に怖かったという)
総合格闘技の時代に猪木が全盛期だったら…というのは俺に限らず、誰もが思うことだろう。
ただ、政界復帰が日本維新の会からだったのは、晩節を汚したなあ、と思う。

2日にはエデル・ジョフレ。
肺炎による合併症。
86歳。
これまた格闘家としては長生きしたモノだ。
ボクシング世界バンタム級世界チャンピオン。
無敵を誇った”黄金のバンタム”。
40歳で引退するまでに2回しか負けていない、その2回で勝ったのがファイティング原田…というのに、原田のとんでもなさをも思う。


無敵の王者もやがて命尽きる。
いわんや無敵でも王者でもない俺なぞは。

THE TOUGH AND LOVELY/Tough And Lovely(2003)

TOUGH AND LOVELY.jpgオハイオ州コロンバスで2002年に結成されたバンドのデビュー・シングル。
レコーディングもコロンバスで行なわれているが、ミックスはデトロイトのゲットー・レコーダーで、ジム・ダイアモンドが担当している。

メンバーはララ・ヤズヴァック(ヴォーカル)、アンドリュー・ロバートソン(ギター、オルガン、パーカッション:元THEM WRANCH)、マーク・シムズ(ギター)、キャロル・シューマッハー(ベース)、クリスチャン・ピアース(ドラム)の5人。
THEM WRANCHでギターとヴォーカルを担当していたアンドリューはレコードコレクターで、R&Bやロカビリーやカントリーのレコードを収集していたという。
特にTHE EVERLY BROTHERSの大ファンなのだそうで。
バンドが2001年に解散した当時、THEM WRANCHの方向性に合わない楽曲のストックがあり。
自分のヴォーカルに自信がなかったアンドリューは、それらの曲をよりダイナミックなヴォーカルで世に出したいと思っていた。
そんな彼がコロンバスのクラブの”カラオケ・ナイト”でララに出会ったことから、THE TOUGH AND LOVELYがスタート。

デビュー・シングルのA面が、バンド名そのまんまの「Tough And Lovely」。
まさにその通りの音。
ジャキジャキしたカッティングに乗せて、R&B色の強いララ・ヤズヴァックのタフでラヴリーな歌唱が炸裂する。
”Tough And Lovely”とはバンド名でもあり曲名でもあり、ララ自身の歌唱を指す言葉でもあった。

B面は50年代のオブスキュアなロックンローラー/ロカビリアン、ブレイシー・エヴァレットのカヴァー「The Lover's Curse」。
ダルでちょっとダークな雰囲気を持った曲を、ララ・ヤズヴァックがやはりパワフルに歌い上げる。
この曲はのちにTHE A-BONESもカヴァーしている。
THE TOUGH AND LOVELYにとっては唯一のカヴァー曲であり、以後のバンドは全曲オリジナルで勝負していった。

ライヴでは強力な演奏だけでなく、”人間ピラミッド”を作るのもウリだったという(笑)。
写真を見ると10人ぐらいでやっているので、スタッフや客も混じっていたのだろう。

このシングルが良かったので、その後アルバムも追いかけていた。
バンドは2004年に『BORN OF THE STARS』、07年に『TEARDROPS』と2枚のアルバムをリリースしている。
しかし彼らが成功することはなく。
THE TOUGH AND LOVELYは『TEARDROPS』を最後に解散してしまったらしい。

元THE SHANGRI-LASのメアリー・ワイスに曲を提供したこともあったアンドリュー・ロバートソン、才能のあるソングライターでありギタリストだったと思うのだが、THE TOUGH AND LOVELY解散後どうしているかは不明。
ララ・ヤズヴァックはNICK TOLFORD AND COMPANYに参加。
マーク・シムズはソロに転向。
キャロル・シューマッハーはGORE GORE GIRLSを経てTHE DETROIT COBRASに参加している。

HAWKWIND/WE ARE LOOKING IN ON YOU

HAWKWIND WE ARE LOOKING IN ON YOU.jpg国内盤は一応先月25日リリースとなっているが。
原盤リリース元であるチェリー・レッド・レコーズのサイトでは10月7日リリース、DISK UNIONの(復活した)通販サイトでは9月29日リリースとなっている。
現物が届いたのは昨日。
HAWKWINDの最新ライヴ・アルバム、CD2枚組。
ライナーノーツを書きました。

昨年の英国ツアーでの録音。
どの曲がいつ何処で、という詳細なクレジットはない。
メンバーはデイヴ・ブロック(ヴォーカル、リード・ギター、シンセサイザー)、マグナス・マーティン(ヴォーカル、ギター、キーボード)、ティム”サイポールサンドラ”ルイス(テルミン他)、ダグ・マッキノン(ベース)、リチャード・チャドウィック(ドラム)の5人に、ゲストとして「Hurry On Sundown」でアテネ・ロバーツ(ヴァイオリン:3 DAFT MONKEYS)が参加している。

全19曲収録だが、「USB1」他、曲の展開部/中間パートにチャプターを振って曲名を付けたようなモノも4曲あるので、実質15曲ということも可能。
ブックレットはフルカラーで、デイヴ・ブロック(当時80歳、見た目は枯れているのに歌や演奏は超元気)をはじめとするメンバーの写真がたくさん載っている。
(新メンバーも全然若くないのがよくわかる。ティム・ルイスも多分60代)

当然ながら曲目も曲順も、そしてアレンジも2019年の50周年ツアーとは違い。
意外過ぎる(!)カヴァーもあったりして楽しめます。
(MCで「もう二度と演らん!」と言っている…)
まあレミー在籍時のレパートリーが中心なのはもちろんなのだが。
(今回「Silver Machine」は入ってない)

それにしても、コロナ禍を経てライヴ活動を再開したと思ったらメンバーが変わっているので驚いた。
この編成、いつまで続くだろうか。
(個人的にはあまり続かないような気も)