
昨年からまたその時期がやって来て、あれこれと読み返した。
夢野久作、宮沢賢治、アルチュール・ランボー、サン=テグジュペリ、O・ヘンリ、ジム・キャロル、ウィリアム・S・バロウズ、カート・ヴォネガット、そしてH.P.ラヴクラフト他。
このブログで少し前にランボーやサン=テグジュペリやラヴクラフトについて書いたことがあったが、それはその時それらを読み返していたからだ。
で、ラヴクラフトからのエドガー・ライス・バロウズ。
”ペルシダー・シリーズ”。
このブログを御覧の皆様の大半にとって、”バロウズ”と言ったらウィリアム・S・バロウズだろう。
もちろん俺もW.S.バロウズは大好きなのだが。
しかし(俺にとっては)エドガー・ライス・バロウズも見逃せない。
俺が生まれて初めて読んだSF小説が、岩崎書店の子供向け”エスエフ世界の名作”シリーズ、エドガー・ライス・バロウズ『火星のジョン・カーター』だった。
(一般には『火星のプリンセス』として知られる)
札幌の白石区民センターの図書館で借りた。
7~8歳だったはず。
しかしその頃は作者の名前も覚えず。
作者の名前を改めて意識したのは何十年もあと、俺がウィリアム・S・バロウズを知ってからのこと。
…で、ひょんなきっかけで、大人になってから”ペルシダー・シリーズ”を読んだのですよ。
1875年生まれ(H.P.ラヴクラフトよりも15歳上)のエドガー・ライス・バロウズがこのシリーズをスタートしたのは1922年。
地球空洞説をベースにした、まさに”空想科学小説”。
荒唐無稽そのもの。
(何しろ当時でさえ荒唐無稽と評されていたという)
しかし…それが何でこんなに面白いのか。
久しぶりに読み返してみたら、内容をほとんど完全に忘れていたことに気付いたのだが(苦笑)。
しかし、どんでん返しに次ぐどんでん返しの活劇に、ページをめくる指が止まらない。
初めて『火星のジョン・カーター』を読んだ数十年前の小学生時代に、一気に引き戻されるような感覚があった。
他愛ないと言ってしまえばそれまでなんだけどね。
そして当時白石の図書館にあった”エスエフ世界の名作”。
Wikipediaを見ると、1966~67年のたった1年ほどの間に刊行されたシリーズだったらしい。
全26巻とのこと。
『火星のジョン・カーター』を皮切りに、ガーンズバック『27世紀の発明王』、ウィンダム『深海の宇宙怪物』、ヴェルヌ『地底探検』、アシモフ『くるったロボット』、ウエルズ『月世界探検』、マーウィン・ジュニア『時間かんし員』、クレメント『宇宙人デカ』、ベリャーエフ『合成人間』、マーステン『恐竜一億年』、シエリフ『ついらくした月』、クラーク『海底パトロール』、ジョーンズ『合成脳のはんらん』…は間違いなく読んだはず。
何十年も前のことだが、『27世紀の発明王』『くるったロボット』『合成人間』『海底パトロール』などのストーリーは今でもけっこう覚えている。
ハインライン『超人部隊』、ラインスター『黒い宇宙船』、デル・レイ『逃げたロボット』、ドレツァール『太陽系ようさい』、カミングス『時間ちょう特急』、グレーウィッチ『宇宙パイロット』、ホールデン『光る雪の恐怖』、ハミルトン『戦うフューチャーメン』は読んだかどうか記憶が定かでない。
(『太陽系ようさい』『時間ちょう特急』『光る雪の恐怖』は確か読んだのではなかったか)
今回”エスエフ世界の名作”について検索したことで、俺が初めて読んだベリャーエフ作品が9歳の頃に親に買ってもらった『宇宙たんけん隊』ではなく『合成人間』(一般には『ドウエル教授の首』)だったことも明らかになった。
そうだった、10代の俺が『機動戦士ガンダム』とか一生懸命観ていたのも、原点は白石区民センターの図書館にあったのだ…。
(8歳で旭川に引っ越し、約1年半後に札幌に戻った俺は、以降ミリタリー関連の本ばかり借りるようになるのだったが)