THE HOLLYWOOD BRATS/SICK ON YOU

画像7月に出たのを9月に買っていたのに、何故か紹介が今頃になってしまった…。
THE HOLLYWOOD BRATSの2枚組。
アンドリュー・マシソン(ヴォーカル)とカジノ・スティール(キーボード)がプロデュースしている。
ジャケットにはボブ・ゲルドフの賛辞が。
(人選が微妙)

リアルタイムでアルバムが出ていなかったせいもあり、単にNEW YORK DOLLSエピゴーネンのひとつとして見られたりもしたが。
メンバーが音楽活動を始めたのは1965年頃なんだそうで。
(今何歳?)
71年にTHE QUEENとして結成された後、あのQUEENが有名になったんで改名を余儀なくされ。
アルバムがお蔵入りになったまま75年に解散。
ブレイディ(ギター)はレックレス・エリックのバンドへ。
そしてカジノ・スティールはTHE BOYSへと。

ディスク1はオリジナル・アルバムのリマスター盤。
1973年に録音されていながら、地元英国でリリースされたのは80年になってから。
(何故か北欧で75年にANDREW MATHESON & THE BRATS名義でリリース)
俺が初めて聴いたのはCD化された90年代になってからだった。
「Chez Maximes」や「Sick On You」でのNEW YORK DOLLSなり切りっぷりも微笑ましいが、先に書いたとおりメンバーにはこの時点でキャリアがあり。
特に、キーボードをフィーチュアしていたというのは大きな特色だった。
ゴスペルライクなオルガンが鳴る「Drowning Sorrows」なんかを聴いていると、このバンドがMOTT THE HOOPLEの向こうにTHE BANDなんかをも見据えていたように思われる。

ディスク2は未発表/レア音源集。
1973年のアウトテイクや、80年代の再結成2ndアルバム(激レアなんだそうで)からの曲が収録されている。
「I Need You」とか「Sweet Little Sixteen」とかのカヴァー曲がやたらとカッコいい。
ストリングスを配した2ndアルバム収録曲「Borgia Street」は、全盛期のボブ・ウェルチをナスティにしたみたいなアレンジで、このバンドに様々な可能性があったことを思わせる。
個人的に一番興味深かったのは「Suckin' On Suzie」で。
THE STRANGELOVESの「Night Time」みたいなズンドコビートが反復する、ガレージ感のあるアッパーな1曲。

ブックレットはブレイディによるライナーノーツ(1994年に書かれたモノ)をはじめ、歌詞、アンドリュー・マシソンのインタヴュー(2012年)、ディスク2の解説(全曲ではないが)、レアな写真など充実の内容。
なんとまた再結成しているようで、今年の写真もある。
(みんな意外と若い)
各メンバーの影響源トップ10なんてのもあったりして、何処にもNEW YORK DOLLSの名前が見当たらないのが逆に笑える。
ともあれナイスなリイシュー。


(2024.12.17.改訂)

CULT HEROES/AMERIKAN STORY

画像レイヴ・アップ・レコーズの“AMERICAN LOST PUNK ROCK NUGGETS”シリーズも、もうVOL.80ですって。
で、ミシガンのCULT HEROESが登場。

中心人物は黒人シンガー、ハイアワサ・ベイリー。
俺が彼の名前を知ったのは、2002年にリリースされたSCOTT MORGAN'S POWERTRANEのアルバムでだった。
スコット・モーガン(ヴォーカル、ギター:元THE RATIONALS/SONIC'S RENDEZVOUS BAND他)を中心に、デニス・テック(ヴォーカル、ギター:RADIO BIRDMAN)、そしてロン・アシュトン(ギター:THE STOOGES)らが集うという凄い顔ぶれの中で、STOOGESナンバー4曲でヴォーカルをとっていたのが彼だった。
当時は「誰?」とか思ったんだけど。

ハイアワサ・ベイリーは60年代からデトロイトのシーンに関わっていて、UPやDESTROY ALL MONSTERSのローディーも務めていたんだそうで。
そんな彼がアン・アーバーでCULT HEROESを結成したのは1978年。
活動中は79年と81年にシングルを出しただけで終わっているが、ここではシングルから3曲収録、それ以外に8曲発掘して、11曲が収められている。
メンバーはハイアワサ(ヴォーカル)、ジェイムズ・コンウェイ(ギター)、テリー・アイヴァン(ベース)、ニック・サヴェージ(ドラム)の4人がクレジットされているけど、ヴォーカル以外のパートは何度か交代していて、シングルの録音時はブラッド・ノースラップ(ベース)、ラリー・スティール(ドラム)がリズム・セクションだったはず。

時期的に言ってパンク・バンドだったはずなんだけど、そこはやはりミシガン出身というか…SONIC'S RENDEZVOUS BANDあたり同様、“パンクというにはロック過ぎ、ロックというにはパンク過ぎ”みたいな感じの演奏が聴ける。
やはりシングルでリリースされた「Amerikan Story」「I Don't Like It」「Berlin Wall」が、リフのカッコよさから言っても飛び抜けている感じ。
(1stシングルのA面曲だった「Prince & The Showgirl」は何故収録されていないのか?)
サックス(クレジットなし)をフィーチュアした「Novicaine Brain」もナイス。
少し前の時期にかの地を駆け抜けたDEATHと違って、演奏しているのが全員白人ということもあり、ファンキーな色やジミ・ヘンドリックスっぽい部分はなし。
ハイアワサ・ベイリーのヴォーカルにも黒っぽさは薄く、イギー・ポップあたりに影響されたであろうことを窺わせる。

活動中にはCBGBのステージにも登場し、RAMONESやDEAD BOYSやジョニー・サンダースとも共演したという。
ハイアワサ・ベイリーは音源化された作品こそ少ないながら、現在も歌っているらしい。

俺が買ったLPはレッド・ビニールで、コレは限定200枚とのこと。
まだ買える?
(ブラック・ビニールでも出てるんで、入手自体はまだイケると思う)


追記:
このアルバム、現時点ではまだ新品を定価で買うことが可能らしい。

(2024.12.6.)

SONIC'S RENDEZVOUS BAND/SPACE AGE BLUES

画像おお~、まだあったかSONIC'S RENDEZVOUS BANDの未発表音源。

1976年4月10日、ミシガン州イプシランティのTHE HURON INNでのライヴ。
名前からしてもいわゆるライヴ会場じゃなさそうだし、かなり小さい所みたいだけど、何故かバンドはそこで1日に3セットもライヴをやっていて。
(各セットは30~40分ずつくらい)
ライナーノーツによると、25人くらい(!)のお客の前で演奏したらしい。
その3セット分の演奏に加え、ボーナス・トラックとしてアナーバーのCHANCES AREでの演奏(日時は不祥、1975年末らしい)が収録されたCD2枚組。

パーソネルはフレッド“ソニック”スミス(ギター、ヴォーカル:元MC5)、スコット・モーガン(ヴォーカル、ギター、ハープ:元THE RATIONALS)、W.R.“ロン”クック(ベース:元DETROIT)、スコット“ロック・アクション”アシュトン(ドラム:元IGGY AND THE STOOGES)の4人。
オリジナル・メンバーだ。

音質は悪くない。
結成の翌年、まだ必殺の名曲「City Slang」がレパートリーになる前で。
W.R.クックが脱退してベーシストがゲイリー・ラスムッセン(元UP)に交代した後は演奏がどんどんハードかつスピーディーになって行くSONIC'S RENDEZVOUS BANDだけど、この頃はかなりR&B色が強く、カヴァー曲も大半がソウル/R&B系。
各メンバーが以前在籍していたバンドの曲は演らないことにしていたらしく、カヴァーは演ってもMC5とかTHE STOOGESとかTHE RATIONALSとかミッチ・ライダーとかの曲は演奏されず。
例外中の例外として、2ndセットで演ってるレイ・チャールズの「I Believe To My Soul」は、MC5のレパートリーでもあったな。
あとボブ・ディランの「Like A Rolling Stone」を演っているが、この曲はもう一人の元MC5ギタリスト、ウェイン・クレイマーがジョニー・サンダースと結成し、クックも参加していたGANG WARのレパートリーでもあり。
奇妙な符合。

それにしても、ゲイリー・ラスムッセン加入後とは較べものにならないくらい黒っぽい。
カヴァー曲がソウル/R&Bと言ったが、レイ・チャールズ以外もSTAPLE SINGERSとかヒューイ“ピアノ”スミスとか。
3rdセットのオープニングは「Warm-up Jam」と題されたインストゥルメンタルなんだけど、コレが16ビート・カッティングのAVARAGE WHITE BANDみたいな(?)ファンクで。
あの超絶スピードR&R「City Slang」を演ってたバンドとは思えないぐらい。
2ndセットのラストで「City Slang」と並ぶ必殺ナンバー「Electrophonic Tonic」が演奏されるものの…お、遅い(笑)。
ともあれ…オリジナル編成でのライヴ音源は2006年のBOXセット『SONIC'S RENDEZVOUS BAND』にも収録されていたとはいえ、コレはコレでなかなかにレアです。
もちろん切れ味鋭いフレッド・スミスのギターやパワフルなスコット・アシュトンのドラムは随所で炸裂。

「City Slang」をフィーチュアした1978年頃のSONIC'S RENDEZVOUS BANDを聴いてない人にいきなりお勧めしやすい音源ではないけど。
これまでリリースされた音源をコツコツ買ってきたようなファンは、今回も当然買いです。

ところで、W.R.クックは昨年亡くなったそうで。
コレでこの時のメンバー、スコット・モーガン以外誰も生きてないという…。


(2024.12.1.改訂)

BORIS/PINK -Deluxe Edition-

BORIS PINK.jpgおっと、紹介が遅れた。
大文字BORIS、2005年の名作(Borisは全部名作だけどね)が、ボーナス・ディスク付きの2枚組で再発。

タイミング的にはちょっと中途半端な気も。
リリース10周年の昨年に出しとけば?…みたいな感じだが。
ともあれ内容は最高だ。

静かなイントロからダイナミックにドラムが斬り込む「決別」から、一気に引き込まれる。
(Atsuoの“ダカダカダカダカッ!”というフィル・インを聴くと、あの何とも独特なドラミングの姿が瞬時に思い浮かぶ)
そして代表曲のひとつとなったタイトル曲から「スクリーンの女」「別になんでもない」と怒涛のスピード・ナンバー3連発。
かと思えば「ブラックアウト」でのSUNN O)))もかくやというヘヴィ・サウンド。
このダイナミズムたるや。
(↑マッド矢野風)
アンビエント風のインストゥルメンタル「My Machine」から10分に及ぶ超絶スピード・ロック「俺を捨てたところ」(終盤のリズムレス・パートの荒涼・茫漠とした感じがまたたまらん)と展開する終盤も圧巻。

リフ押しのへヴィ・ロックとヘヴィ・ドローン/パワー・アンビエントが絶妙なバランスで融合され、この時点ではバンドにとってひとつの到達点と思ったが、そこに留まらないのがこのバンドで。
その後も様々な顔を見せつつ現在に至る。

で、ボーナス・ディスクは“PINK Sessions/Forbidden Songs”と題された、当時の未発表曲9曲。
スタジオでは常にテープを回し続けているはずのBORIS、やはりというか、アルバムに収録されなかった素材がこんなに。
作品としての方向性に照らして、アルバム未収録となったんだろうけど、いずれもクォリティは高い。
曲名通りのへヴィネスを聴かせる「Heavy Rock Industry」。
(Atsuoが吠えまくる)
速くて重い「SOFUN」。
(曲名はTHE STOOGESにひっかけた?…イントロは「No Fun」よりむしろ「1970」だけど)
アブストラクトな(?)インストゥルメンタル「non/sha/lant」。
アシッド・フォーク然とした序盤からどんどんへヴィかつラウドになる「ひらがなのへや -Room Noise-」。

あと「N.F.Sorrow」という奇妙なスロー・ナンバーがあるんだけど…コレはTHE PRETTY THINGSの『S.F.SORROW』からのインスパイア?
(『S.F.SORROW』のどの曲にも別に似てはいないが)

アナログ盤の段ボール・ジャケットといい、作品として見事に完結していた『PINK』。
未発表曲を含めて“完全版”というつもりもないのだろうけど。
しかしこの“デラックス・エディション”、オリジナルの『PINK』を持ってる人もこれからBORISを聴く人もマストだろう。


BORIS『PINK -Deluxe Edition-』、6日より絶賛発売中。


(2024.11.28.改訂)

THE DICTATORS/LIVE ROCHESTER NY, JULY, 77

DICTATORS LIVE 77.jpgいきなり発掘リリースされた、THE DICTATORS1977年のライヴ音源!
DICTATORSのライヴ盤が今までになかったワケじゃないとはいえ、CDで聴けたのは80年代と00年代(つまり再結成)で。
77年のライヴはファンクラブ向けの限定盤『TATORS ALIVE!』のA面に収録されていたが、CD化されてないし。
あとはブートだけ。
コレは買うしかないでしょう。

インターフェレンスというレーベルからのリリースで、番号はINTRCD0001。
新興レーベルらしい。
最初はブートかと思ったが、元E-STREET BANDのスティーヴン・ヴァン・ザントが推薦文を寄せている。

タイトルは“JULY, 77”となっているが、収録は1977年6月7日。
WCMF-FMの放送用音源で、ラジオ局のスタジオに客を入れてのライヴ。
(オンエアが7月だったのかも知れない)

デジタル・リマスターされているというが、音質はあまり良くない。
マスターテープが相当劣化していたのかも知れない。
しかし、迫力は十分。

8曲で42分。
「?」と思ったら、曲によっては思いっきりエクステンドされているのだった。
「Two Tub Man」なんて10分近くある。

パーソネルはハンサム・ディック・マニトバ(ヴォーカル)、ロス・ザ・ボス(リード・ギター)、トップ・テン(リズム・ギター)、アンディ・シャーノフ(キーボード、ヴォーカル)、マーク・メンドーザ(ベース)、リッチー・ティーター(ドラム、ヴォーカル)の6人。
IGGY AND THE STOOGES「Search And Destroy」カヴァーを含みつつも、オリジナル・アルバム3作中でも最もパンク度が低い(?)2ndアルバム『MANIFEST DESTINY』リリース当時の演奏。
ここでも大半が『MANIFEST DESTINY』からの楽曲で、バラードの「Hey Boys」が演奏されていたりもするのだけど、やはりライヴとあって、演奏は生々しくハード。

とにかくロス・ザ・ボスが弾きまくる。
一人だけメタル。
「Two Tub Man」、前半は約3分に渡ってリッチー・ティーターのドラムだけをバックに延々とギター・ソロを披露。
楽曲本編が終わった後も、3分近いインストゥルメンタルが演奏される。
(ロスとトップ・テンのツイン・リードが圧巻)
マネージメントも制作スタッフもBLUE OYSTER CULTと同じだった…ニューヨーク・パンク随一のハード・ロック体質が炸裂する。

一方でアンディ・シャーノフの影は薄いが。
(キーボードよりもヴォーカルで活躍)
ハンサム・ディック・マニトバのヘンなMCが笑えます。
とにかくファン必携の1枚。


(2024.11.25.改訂)

THE PREFECTS/LIVE IN 1978 AT THE FESTIVAL SUITE, BIRMINGHAM Co-op

PREFECTS.jpg最近パソコンがポンコツだ。
このレヴュー、途中まで書いたところで全部消えた。
何もかも嫌になったが、気を取り直して書き直す。

このCDは、2006年に500枚限定でリリースされていたはず。
10年後の今になって新入荷みたいな扱いで入手出来たということは、再プレスされたのか?
そのあたり、よく知らない。

ともあれ。
バーミンガム初のパンク・バンドと言われる5人組。
1976年結成。
THE CLASHの“White Riot Tour”に参加していたことで知られる。
活動中にはリリースがなく。
7inchも“PEEL SESSIONS”も編集盤も、すべて解散後のリリース。

メンバー交代はかなり多かったらしく。
この時点でのパーソネルはロバート・ロイド(ヴォーカル)、アラン・アッパーリー(ギター)、ジョー・クロウ(ギター)、アーモン・ダフィ(ベース)、デイヴ・トゥイスト(ドラム)の5人。
昔のアナログ・ブートを模したジャケット。
音質はかなり良くない。
実際、ブート並。
しかし内容は実に興味深い。
この音源が残っていたのを喜びたいと思う。

SEX PISTOLSの影響を窺わせるストレートなパンク・ロックがあり。
一方で、1分半で駆け抜ける超スピードのショートカット・チューン。
ほとんどハードコア。
かと思えば、明らかにキャプテン・ビーフハートの多大な影響を思わせるアヴァンギャルドな長尺ナンバーも。
つまりこのバンド、1978年の時点でパンク・ロックとハードコアとポスト・パンクを一度に演ってしまっているのだ。
かなりキテレツ。
活動中に名を残すことは出来なかったが、WIREあたりに匹敵する特異さだと思う。
(最後の曲はボ・ディドリー・ビート…)

バンドは1979年に解散、というかTHE NIGHTINGALESに移行。
NIGHTINGALESとしては86年まで活動したという。
(聴いたことない…)


(2024.10.23.改訂)

JUSTINE TROUBLE/JUSTINE TROUBLE

JUSTINE TROUBLE.jpgあのジョニー・サンダースが7inchをプロデュースし(←知らんかった)、ウォルター・ルアーの前に数週間HEARTBREAKERSに在籍していたとかいう(←知らんかった)、ニューヨークのカルトなロックンローラー、ジャスティン・トラブル。
1982年の1stアルバムの再発。

1982年のニューヨーク。
ノー・ウェイヴ勢が跳梁跋扈する一方で、クラウス・ノミがオペラ・ロックを追求し、リーヴァイ・デクスターやロバート・ゴードンがロカビリーを演っていた…つまり何でもアリな状況。
その一翼を担っていたらしいのが、ジャスティン・トラブル。

ここでのパーソネル(JUSTIN TROUBLE BANDと名乗っていたらしい)はジャスティン・トラブル(ヴォーカル、ギター)、ルイ・ルイ(ギター)、ブレット・ワイルダー(ベース)、デイヴ・ホリデイ(ドラム)の4人。
ブレットは当時まだ10代だったとか。
ジャケットのコピーには“NEW YORK DOLLSのパンクさとサイケ・ポップ・バラード、アレックス・チルトンのトゥイステッドR&R、THE BYRDSのジャングルの完璧なミックス”とあり。
完璧かどうかは知らないが、おおむねそんな感じのサウンド。
NEW YORK DOLLS~HEARTBREAKERS直系のリヴァーブ中毒な音に、フォーキーな曲のフィーリングはBYRDSというよりもむしろ一時期のTHE FEELIES、あるいは後のネオアコ勢を思わせたりも。
曲によりサックスもフィーチュアし、R&Bテイストも香る。
そしてジョニー・サンダースの影響を強く窺わせる、ジャスティンの情けない系ヴォーカル。

果たして、マンハッタン周辺以外でライヴをやる機会もなく。
ジョニー・サンダース人脈(つまりジャンキー)ということで敬遠されてメジャー契約も得られず。
遂にはステージネームをジャスティン・トラブルからジャスティン・ラヴに変えてポジティヴ志向を打ち出すが(?)。
しかし成功には縁がなく。
生活のために古着の販売を始める一方で、その後はミュージシャンよりも画家として知られるようになり。
結局1989年にはニューヨークを離れ、画家を生業とするようになったという。
(音楽は現在も続けていて、CDやCD-Rを多数リリースしているのだそうで)

はっきり言って超B級。
しかしレーベルのコピーにある“アーバン・ロマンスの完璧なサウンドトラック”というのは、ある意味当たっていると思う。
ジョニー・サンダースのマニアにはお勧めな1枚。


(2024.9.27.改訂)

V.A./GLAM-O-RAMA VOLUME 3

GLAM-O-RAMA VOL.3.jpg昨年10月のリリース。
なんだかよくわからない方向性のグラム・ロック(?)編集盤、第3弾。

一応“16 Glitter-associated Junkshop Finds From the 70's”とある。
で、第2弾も相当謎の選曲だったんだが。
今回は更に謎。
B級グラムの発掘音源も掘り尽くしたのか、それとも意図的なモノなのか。

ジャケット写真、BLUE ASHか…というところで、既にかなりヘン。
で、ニック・ロウにTHE COUNT BISHOPSにLEGEND(ミッキー・ジャップ在籍)にDUCKS DELUXEにEDDIE & THE HOT RODSにレックレス・エリック。
更にはJETにPINK FAIRIES(!)にTHE TROGGSにBLUE ASH。
おいおい、LEE LEWIS REFORMERっていうのはLEW LEWIS REFORMERのことだよな?
(リー・ルイスって誰だよ…)

“associated”ってことで、ニック・ロウやなんかはまあ目をつぶるとしても。
コレは…“GLAM-O-RAMA”じゃなくて、“PUB-O-RAMA, Proto Punk and Modern Pop and Others”じゃないのか。
VOLUME 2よりも相当とんでもないことになってます。

それにしてもこの顔触れと選曲。
英国のキッス・キッスというレーベルから出ているんだけど、権利関係はかなり怪しそう。
スティッフあたりの関係者とかから訴えられそうなレベルで怪しそう。

…でまあ、選曲自体は名曲ぞろいで実に美味しいんですが。
(ただしマスターはどんなところから引っ張ってきたのか、音質はあまりよくない)
いきなりニック・ロウの名曲「Heart Of The City」で始まるし、PINK FAIRIESはこれまたスティッフ期のレアな7inch「Between The Lines」だし。
「Between The Lines」はスティッフ関連の編集盤CDに2回ぐらい収録されたけど、今もあまり簡単に聴ける曲じゃないはず。
この曲をアナログで聴きたいがためにこのアルバムを買うというのも、それはそれでアリだとは思うけど。
あと、グラム・ロックの時代にTHE TROGGSがぶちかました放送禁止ヒット曲「Strange Movies」はやっぱり強烈。
グラムが流行った時、TROGGSのメンバーは「あれ? このズンドコズンドコっての、昔俺らがやってたリズムと変わんなくね?」とか思ったに違いない(笑)。

一切のクレジットも解説もない作りは、相変わらず。
あんまり志の高い仕事とはどうにも思えないけど(苦笑)、ただ聴いてる分には楽しい1枚。


追記:
この記事、何故かけっこうアクセス多いんだよな…。

(2024.9.25.)

GREENMACHiNE/THE ARCHIVES OF ROTTEN BLUES + 1 -complete edition-

GREENMACHiNE.jpg昨年紹介したSISTER PAULの再発やOLEDICKFOGGYのシングルと同じ12月16日のリリースながら、紹介がすっかり遅くなってしまった。
とっくに買って、聴きまくってるという人もきっと多いだろう。

金沢が世界に誇るヘヴィ・ロック・トリオGREENMACHiNE。
3rd&(当時の)ラスト・アルバム『THE ARCHIVES OF ROTTEN BLUES』のリリースから11年(半端!)。
ここにリマスター新装盤が登場。

2004年のオリジナル盤とは、白黒が反転したアートワーク。
並べてみると、なんか最初からこうして2ヴァージョン出す予定だったみたいにも見える(笑)。

オリジナル盤は、名古屋のSTUDIO ZENで岡崎幸人(ETERNAL ELYSIUM)によって録音され、東京のPEACE MUSICで中村宗一郎とAtsuo(Boris)によってマスタリングが施されたモノだった。
今回はマスタリング前の音源を元に、岡崎が改めてリマスタリング。
オリジナル盤の爆裂サウンドから、かなりRAWな感触の音へと変化している。
(この変化は、これまたオリジナルのミックスに中村が関わっていたSISTER PAULのアルバムの再発盤にも共通するモノだ)
音圧が減った分、生々しさは大幅にアップし、しかもこのバンドが根源的に持っているヘヴィさは失われていない。

EL ZINEのグランジ特集で、ハードコアのフィルターを通過したハード・ロックがグランジ…みたいなことを書いたが、グランジ以降に同様の過程を経てもっとハード・ロック/ヘヴィ・ロックに寄ったのがいわゆるストーナー/スラッジだったと思う。
GREENMACHiNEも然り。
ここにはBLACK SABBATHもBLACK FLAGもBLUE CHEERもTHE DAMNEDもKYUSSも全部ある。
歪み切ったギターと太いベースと重いドラムで描かれる、荒涼とした世界。
ヴァイオレントで突き放したような歌詞がまた良い。
(オリジナル盤には付いていた歌詞が今回ないのは残念)

それにしてもカッコいいリフの多いこと。
今回追加収録された未発表曲「Hanger Fields」も、クォリティ的には他の収録曲にまったく劣らない。
(アルバム本編の後にとかじゃなく、ど真ん中に突っ込まれている)

当時好きだった人にもこれからの人にもお勧めしたい1枚だが、更に恐ろしいことにはGREENMACHiNE、4人編成で復活して春には新作を出すというじゃありませんか…。


(2024.9.13.改訂)

BUSTER BROWN/SOMETHING TO SAY

BUSTER BROWN.jpgROSE TATTOOのアングリー・アンダーソン(ヴォーカル)とジョーディー・リーチ(ベース)、AC/DCのフィル・ラッドが70年代前半にやっていたバンドが1974年にリリースした唯一のアルバム。
2005年以来10年ぶりの再発。

1973年にメルボルンで結成。
74年にジョーディー・リーチが加入して、12月にこのアルバムをリリース。
当時のメンバーは、ゲイリー・アンダーソン(ヴォーカル)、ジョン・ムーン(ギター)、ポール・グラント(ギター)、ジョーディー・リーチ(ベース)、クリス・ウィルソン(キーボード)、フィリップ・ラドゼヴェキス(ドラム)の6人。
ゲイリー・アンダーソンはもちろんアングリー・アンダーソンのことだし、フィリップ・ラドゼヴェキスはフィル・ラッド…あれっ、フィルってギリシャ系だったのかな。

裏ジャケットを見ると…おお、アングリー・アンダーソンに(ちょっとだけど)髪の毛がある。
オーバーオールで笑顔を見せるフィル・ラッドの姿に、時代を感じたりも。
もちろん全員ベルボトム。
ジョーディー・リーチはもともと童顔なんだけど…更に若い!

ピアノとオルガン、それにメロディアスなツイン・ギターをフィーチュアした、ブルージーでポップなハード・ロックを聴かせる。
音楽的にはROSE TATTOOとの共通点は少なく、むしろFACESあたりを思わせたりも。
しかしアングリー・アンダーソンの声質は以後とほとんど変わりなく。
あの声でチャック・ベリー「Roll Over Beethoven」なんか歌っていたりして、実に楽しい。

アルバムのリリースとほぼ同時期に、フィル・ラッドが脱退。
以後、バンドはメンバー交代を繰り返すことになる。
1975年7月にはこれまた後にROSE TATTOOで活動するダラス“ディガー”ロイヤル(ドラム)が加入しているが、ジョーディー・リーチは脱退していた。
バンドは結局75年11月に解散。
そして翌76年、アングリー・アンダーソンはシドニーのROSE TATTOOに加入することに。

フィル・ラッドがAC/DCに至る前、アングリー・アンダーソンがROSE TATTOOに至る前に、BUSTER BROWNあり。
人に歴史ありな1枚。


(2024.9.6.改訂)