
先月入手。
最近まで聴けず。
聴き始めたら超ヘヴィ・ローテーション。
とりあえず”今日の新譜”で紹介。
2001年の『D.F.F.D.』以来実に23年ぶりとなる、THE DICTATORSのオリジナル・アルバム。
バンドの編成は、大きく変わっている。
現在のメンバーは、キース・ロス(ヴォーカル、ギター:FRANKENSTEIN 3000)、アンディ・シャーノフ(ベース、ヴォーカル、キーボード、パーカッション)、”ロス・ザ・ボス”フリードマン(リード・ギター)、アルバート・ブシャード(ドラム、パーカッション、ヴォーカル、サックス、ハープ:元BLUE OYSTER CULT)の4人。
キース・ロス加入以前の2021年に配信シングルとなっていた「Let's Get The Band Back Together」「God Damn New York」では、23年に亡くなったスコット”トップ・テン”ケンプナーがギターを弾いている。
(トップ・テン最晩年の録音だろう)
他に、SHAKIN' STREETのアルバム『SHAKIN' STREET』(1980年:https://lsdblog.seesaa.net/article/201607article_824.html)やアルバートのバンド・BRAIN SURGEONSのアルバムなどに参加していた姉妹コーラス・デュオTISH & SNOOKY(パトリス&アイリーン・ベロモ)がバッキング・ヴォーカルで参加。
ミックスはエド・ステイシアムが担当している。
「Let's Get The Band Back Together」はアンディ・シャーノフとジェシー・ベイツ(元YOUTH GONE MADで、THE FLESHTONESのアルバムにも参加している人)の共作。
アンディはFLESHTONESのキース・ストレングとTHE MASTERPLANでも活動しているので、その人脈だろう。
「God Damn New York」のソングライティングには、なんと”マイティ”ジョー・ヴィンセント(THE DEVIL DOGS~THE SWINGIN' NECKBREAKERS)が関わっている。
(なんとというか、DEVIL DOGSはTHE DICTATORSをカヴァーしていたね)
「Wicked Cool Disguise」にクレジットされているスージー・ロレインは、アルバート・ブシャードと活動していた人。
「Who Will Save Rock 'N' Roll」路線の(?)「Let's Get The Band Back Together」(曲名がグッとクる)を1曲目に持ってきたのは正解。
全10曲中でアンディ・シャーノフが歌っているのはシングルの2曲のみで。
アンディともハンサム・ディック・マニトバともまったく声質の違うキース・ロス(7曲を歌う)がリード・ヴォーカルをとる曲がトップに来たら、かなり違和感が大きかったはず。
アルバート・ブシャードとキースが書いてアルバートが歌うカントリー・ロック風(?)な「Really Good」あたりになると、およそTHE DICTATORSっぽく聴こえない。
とはいえコレもまた2025年のDICTATORSなのである。
(やはりというか、トップ・テンが参加している2曲が最もDICTATORSらしく聴こえる)
驚かされるのはBLUE OYSTER CULTのカヴァー「Transmaniacon MC」。
いや、元BLUE OYSTER CULTのアルバート・ブシャードがいるんだから驚くにはあたらないのかも知れんが。
それだったらアルバート自身が歌っていたレパートリーでもっとTHE DICTATORS向きなのがあったような気も。
まあでも両バンドのファンとしては嬉しいです。
(何しろ今のTHE DICTATORS、4分の1がBLUE OYSTER CULTなんだぜ)
ロス・ザ・ボスはいつも通りメタリックに弾きまくる。
アルバート・ブシャードのドラムは、録音とミックスのせいもあるんだろうけど、どうかするとBLUE OYSTER CULT時代以上にヘヴィで、時々ツーバスが炸裂。
(二人とも70代なんだが…)
アンディ・シャーノフが一人で書いた曲が3曲、アンディとロス・ザ・ボスが書いた曲が1曲。
一方でキース・ロスがソングライティングでクレジットされている曲は2曲しかないので(それぞれアルバート・ブシャード、アンディとの共作)、キースが前面に出てバンドがまるっきり変わってしまっているようなことはない。
THE DICTATORSのファンでまだ聴いてない人がもしいたら、聴いた方がよいでしょう。
堂々のセルフ・タイトル作だぜ、悪いはずがない。
ラストを飾るアンディ・シャーノフ作の「Sweet Joey」は、多分同級生だったジョーイ・ラモーンに捧げた曲だろう。
サンクス・リストにはフェビアンヌ・シャイン(SHAKIN' STREET)、パンキー・メドウズ(ANGEL)、そしてトップ・テンの遺族の名前があり。
アルバムはトップ・テンやリッチー・ティーター、ステュ・ボーイ・キングら亡くなったメンバーに捧げられている。
アンディ・シャーノフ70歳、ロス・ザ・ボス71歳、アルバート・ブシャードに至っては今月78歳。
今の編成でTHE DICTATORSの次のアルバムが出る可能性は、限りなく低いのではと思われ。
ともあれ今はこのアルバムを楽しく聴いている。