
俺が初めてCDで買った、リアルタイムで出たイギー・ポップのアルバム。
『BLAH-BLAH-BLAH』(1986年)と『INSTINCT』(88年:
https://lsdblog.seesaa.net/article/201607article_375.html)はLPだった。
1990年7月21日リリース。
俺が札幌から新潟に転勤する直前だった。
新潟に移って少し後には極貧生活に突入し、月に中古盤を1枚買うのもやっとの暮らしに。
ジムニー1台に積めるだけのモノを積んでの引っ越しだったので、札幌から新潟に持って行けたレコード/CDはわずかで。
(MOTORHEADやイギー・ポップの主要なアルバムはかさばらないカセットに落として持って行った)
そんな具合だったから、当時手元にあったこのCDはそれはもう随分聴いたモノであった。
それはさておき。
イギー・ポップ、ソロ・アルバムとしては9枚目。
ヴァージン・レコーズ移籍第1弾。
プロデュースはデトロイトつながりのドン・ウォズ。
(WAS(NOT WAS)には元MC5のウェイン・クレイマーも参加していたことがある)
ゲストが豪華。
GUNS N' ROSESからスラッシュ(ギター)とダフ・マッケイガン(ベース)。
他にもワディ・ワクテル(ギター)、ケニー・アロノフ(ドラム)、チャーリー・ドレイトン(ベース)、デイヴィッド・リンドレー(ヴァイオリン、マンドリン、スライド、ブズーキ、ギター、サックス)、ジョン・ハイアット(ヴォーカル)、スウィートピー・アトキンソン(バッキング・ヴォーカル)とか。
そしてB-52'sからケイト・ピアソン(ヴォーカル)。
すげえ、なんかイギー・ポップのアルバムじゃないみたいな顔ぶれ。
イギー自身がレコーディングでギターを弾いた初のアルバムでもある。
で、多彩なゲストの資質を活かした、ヘヴィなR&Rありアコースティックなバラードありの、多彩なアルバム。
しかし、ドン・ウォズが多彩なゲストを連れてきて多彩な曲をあてがったとかじゃないのだ。
ジョン・ハイアットが提供してヴォーカルでも参加した「Something Wild」とイギー・ポップとスラッシュの共作である「My Baby Wants To Rock And Roll」以外、この多彩な楽曲をすべてイギー一人で作詞作曲しているというんだから恐れ入る。
ヘヴィなR&Rがあると言っても、当時まだTHE STOOGESの幻影を追い求めていた俺には食い足りないところもあった。
曲調が多彩に過ぎてとっちらかった感もあったり。
しかしどんな曲でも、あのヴォーカルで聴かせてしまうのも確かだ。
しかも楽曲のクォリティはいずれも高い。
で、軽快なR&R「Home」からいきなり曲間なしでアコースティックでメロウな「Main Street Eyes」へ、これまたアコースティックながら力強い「I Won't Crap Out」からケイト・ピアソンをフィーチュアしたどポップな「Candy」へ、かと思ったらスラッシュがギターを弾くヘヴィな「Butt Town」へ…と、曲調だけじゃなく曲順も分裂気味。
このアルバム以降、こういう作風は聴かれなくなる。
ゲスト陣の中で最も目立った活躍は、才人デイヴィッド・リンドレー。
スラッシュとダフ・マッケイガンが参加した「My Baby Wants To Rock And Roll」ではサックスをプレイ。
スラッシュとダフ、もし同じスタジオでデイヴィッドに会っていたら、「な、何者?」とか思ったかしら…。
次のアルバムがイギー・ポップの90年代を代表する超名作『AMERICAN CAESAR』(1993年)なんで、結果としてこの『BRICK BY BRICK』は影が薄くなった気もするけど。
いやいや、改めて聴き直してみると、イギーがいろんなゲストといろんな曲をあのイイ声で楽しく歌っている良いアルバムですよ。
イギーがいわゆるアメリカーナに初めて寄ったアルバムだし、最もアメリカーナ的な部分を聴かせたアルバムとも言える。
デイヴィッド・リンドレーがブズーキを弾く「Moonlight Lady」とか最高だよね。
そして、かつては死と隣り合わせだったイギーが確信に満ちた声で”ひとつひとつ、積み重ねて行こう”と歌うタイトル曲の静かな感動。
アルバムは全米90位、全英50位を記録している。
国内盤には映画『ブラック・レイン』のテーマ曲だった「Livin' On The Edge Of The Night」を収録。
コレはイギー・ポップが書いた曲ではないが、プロデュースがアルバム本編と同じドン・ウォズなので、違和感はない。
新潟に転勤した俺は、朝食用の食パンを買いに、3日に1回ほど近くのローソンに行っていたのだが。
当時ローソンの店内ではこのアルバムの「Home」とセメントミキサーズの「東京ラッシャイ」がよくかかっていたのを、35年経った今でも思い出す。
FM新潟で当時亀田製菓の1社提供で放送されていた番組「ロック・フォルダー」でも同じ頃にイギー・ポップの特集があった。
しかし以前にも書いた通り、現在ネットで「FM新潟 亀田製菓 ロック・フォルダー」で検索しても、何も出てこない。
追記:
いや待てよ、あの頃貧乏過ぎて、朝昼晩と食パンだけ食ってた気がする。
するとローソンには毎日行っていたことに…。
(2025.11.12.)