DAYMAREの2枚(FRIENDSHIP + MUTOID MAN)

画像相変わらず精力的なリリースを続けるデイメア・レコーディングス。
6月の新譜2枚。
日本の新鋭とアメリカの気鋭。










FRIENDSHIP『HATRED』

東京近郊で活動中のグラインド/パワー・ヴァイオレンス/ハードコア新鋭バンドによる1stアルバム。
これまでにリリースした2枚のEPは即完売とのこと。
ステージではアンプの壁から爆音をぶっ放すそうだけど、このアルバムもかなり凄い。
のっけから突進する怒涛のブラスト・ビートと絶叫。
時にフリーキーなノイズをまき散らすギター。
転調してのビートダウンやドゥーミーでヘヴィなスロー・ビート&スロー・リフもありつつ、一方でDISCHARGE直系みたいな部分も。
ドラマーはかなりの凄腕。
日本人離れというか、ところにより人間離れという感じさえ。
野獣のようなヴォーカルの咆哮も強烈。
とにかく漆黒のジャケットが象徴するように、ダークなテンションに満ち溢れている。
そして最後は轟然たるフィードバック・ノイズで終わる。
ライヴ凄そうねー。
マスタリングはCONVERGEやSUNN O)))、SLEEPなんかも手掛けたブラッド・ボートライトが担当している。
それにしても、バンド名が“友情”か…。


MUTOID MAN『WAR MOANS』(画像)

CAVE-INのスティーヴン・ブロッズキー(ギター、ヴォーカル)とCONVERGEのベン・コラー(ドラム)が立ち上げた別バンドの3rdアルバム。
1stアルバム『HELIUM HEADS』(2013年:https://lsdblog.seesaa.net/article/201607article_1428.html)ではベースもスティーヴンが担当して、このブログで“最小編成のCAVE-IN”とか書いたけど。
2ndアルバム(聴いてない)からニック・カジャーオ(ベース)が加入してトリオ編成になっていて。
1stアルバムではスピードとアグレッションが前面に出ていたが…というか、この3rdアルバムでもスピードとアグレッションは存分にありまくりではあれど。
随分歌モノっぽさが増したというか、キャッチーになった感がある。
スティーヴンのヴォーカルも随分メロディアスに聴かせるように。
1曲目「Melt Your Mind」なんて、楽曲自体はほとんどスラッシュ・メタルな一方、歌メロはメロコアっぽいとさえ言える感じ。
「Headrush」「Open Flame」あたりでの哀愁メロディも印象的。
一方で「Kiss Of Death」のストーナーっぽいリフとか、後半がドゥーミーでスローな「Irons In The Fire」とか。
カート・バルー(CONVERGE)とかチェルシー・ウルフとかゲストも豪華で。
タイトル曲では何とマーティ・フリードマン(!)がギター・ソロを弾きまくる。
マーティは推薦コメントも寄せてます。
そしてラストはチェルシーを迎えてスティーヴンが切々と歌い上げるヘヴィにしてムーディーなバラード。
随分幅を広げたなあ。
ベン・コラーは相変わらず叩きまくってます。
国内盤はボーナス・トラックとして2曲のライヴを追加。


『HATRED』『WAR MOANS』、どちらも7日リリース。


(2025.1.22.改訂)

DAYMAREの4枚(DARKEST HOUR、PALLBEARER、heaven in her arms、HANGMAN'S CHAIR、GREENMACHiNE)

画像デイメア・レコーディングスより昨日リリースされたアルバム4枚、まとめて紹介。










DARKEST HOUR『GODLESS PROPHETS & THE MIGRANT FLORA』(画像)

ワシントンDC発、結成から21年というメタルコアのヴェテラン、9thアルバム。
メンバーはジョン・ヘンリー(ヴォーカル)、マイケル・シュレイバウム(ギター)、マイケル“ローンスター”キャリガン(ギター)、アーロン・ディール(ベース)、トラヴィス・オービン(ドラム)の5人。
いきなりズドンと重いイントロから、突っ走るスラッシュ/ハードコア。
エンジニアはお馴染みカート・バルーで、生々しくアグレッシヴなサウンド。
突進と転調を繰り返す複雑な曲構成の一方で、New Wave Of British Heavy Metalを思わせるリフ押しあり、二人のマイケルによる美しいギター・ソロあり。
デス声一歩手前の濁声吐き捨て(曲によってはほぼグロウルと言ってイイ)と妙にメランコリックなところも聴かせるギターの対比が見事。
貫禄の1枚。
国内盤ボーナス・トラックがMINOR THREAT「I Don't Want To Hear It」とJUDAS PRIEST「Painkiller」と両極端なのも納得。
まさにメタルコア。


PALLBEARER『HERATLESS』

ブルータルなDARKEST HOURから一転、こちらはアーカンソー州リトルロック出身で2012年にデビューした、哀愁のへヴィ・ロックを聴かせる4人組。
2年半ぶりとなる3rdアルバム。
2015年には来日も果たしている。
メンバーはブレット・キャンベル(ヴォーカル、ギター)、デヴィン・ホルト(ギター、ヴォーカル)、ジョセフ・D・ロウランド(ベース、ピアノ、ローズ、シンセサイザー、ヴォーカル)、マーク・ライアリー(ドラム)。
完全アナログ・レコーディングで、ミックスはMELVINS、SOUNDGARDEN、TOOL、ISISなどとの仕事で知られるジョー・バレーシが手がけている。
オーガニックにしてスケール感のあるプロダクション。
基本的にゆったりしたノリを持ちつつもダイナミックな演奏に、哀感溢れるヴォーカルが乗る。
ジョセフが随所で聴かせるアナログ・シンセがいいアクセントになっている。
国内盤はアナログと配信のみでリリースされていたEP「Fear & Fury」をボーナス・ディスクとした2枚組で、EP3曲のうち2曲はBLACK SABBATH「Over & Over」にTYPE O NEGATIVE「Love You To Death」という、わかるようなわからないような(笑)カヴァー。


heaven in her arms『白暈』

これまたPALLBEARERから一転、フル・アルバムとしては前作『幻月』以来実に7年ぶりとなる3rdアルバム。
以前このブログで紹介したCOHOLとのスプリットEP「刻光」(2013年:https://lsdblog.seesaa.net/article/201607article_1360.html)からでも4年経つ。
Kent(ヴォーカル、ギター)、Takayuki(ギター)、Katsuta(ギター)、Kentaro(ベース)、Hiroki(ドラム)の5人。
「刻光」に収録されていた「終焉の眩しさ」が本作にも収録されていて、音楽性の基本は不変。
3本のギターが時に壁のようにそそり立ち、時に螺旋状に絡み合い。
前ノリのドラムがドカドカ突進し。
ブラック・メタル風のスクリームと訥々とした語りの間を行き来するヴォーカル。
2分弱のインストゥルメンタルから11分近いドラマティックな大曲まで自在な曲作りとアレンジ。
特にラストを飾る「幻霧」は、テクノのようなイントロからシューゲイザー風のリフと絶叫が炸裂し、四つ打ちドラムにリリカルなギターが絡むという、新機軸とも言えるアレンジと劇的な構成を持つ1曲。


HANGMAN'S CHAIR + GREENMACHiNE『split』

金沢が世界に誇るGREENMACHiNEがフランスのへヴィ・ロック・バンドとスプリット。
HANGMAN'S CHAIRは全然知らなかったが、既に10年以上活動していてアルバム4枚出してるんだそうで。
日本のへヴィ・ロックから影響を受けたとのことで、今回のスプリットはHANGMAN'S CHAIR側の希望で実現したという。
HANGMAN'S CHAIRは7分半と4分半の2曲。
PALLBEARERにもやや近い、叙情的なへヴィ・ロック。
重く引きずるリフは時にドゥーム・ロックそのものながら、ヴォーカルはソフトでメロディアス。
一方のGREENMACHiNEは既発のシリーズ曲(?)「Red Eye Pt.1~4」に、新たに「Red Eye Pt.5」を加えて新たに録音したメドレー11分。
(曲順は流れを考えてか、1・2・4・3・5となっている)
地を這うようなへヴィネスと独特のメロディを堪能。
それにしても1stから各アルバム毎に入ってた「Red Eye」、つなげると組曲になるのね…。
(元々そのつもりで?)
海外ではアナログ12inch EPとしてのリリースで、国内盤のみ紙ジャケCD。
ってかGREENMACHiNEは新作フル・アルバムが待たれるところ。


5バンドによる4作、いずれも22日より絶賛発売中。


(2025.1.6.全面改訂)

THE ALLIGATOR BLUESのシングル2枚

画像“今月の新譜”というか、“先月の新譜”になっちゃったけど。
(先月入手していたのに…)

…というワケで、THE ALLIGATOR BLUESが先月相次いでリリースした4th&5thシングル(CD-R)。
掲載の画像は4thシングル「tit/Love you tender」の、ジャケット…というかフォトカードみたいなの。
(裏面に歌詞やクレジットがある)
2ndアルバムから3年近く。
2nd&3rdシングルからは既に4年半経っている。

THE ALLIGATOR BLUES。
wanny(ヴォーカル、ギター)とbenny(ドラム、ヴォーカル)。
遂に何処にも“小池孝典”って書いてなくて“wanny”になっちゃった(笑)。

4thシングルが「tit/Love you tender」。
5thシングルが「LOCO/coaster trip day」。
いずれも1曲目がスタジオ録音で、2曲目がライヴ録音。
で、どっちもライヴが凄い。
スタジオ録音もイイんだけど、ライヴ凄過ぎ。

ライヴは2曲とも7月18日、名古屋ell.SIZEでの録音。
ギターとドラムの二人で、基本ブルーズ/ブギーで、この荒々しくもパンキッシュ、ラウドにしてスピーディーなノリときたら。
特に約10分に及ぶ「Love you tender」(ここで紹介しないうちに、5日のDJで回した)の暴走機関車ぶりはとんでもない。
構造的にはジョン・リー・フッカー風のブギー…をこの勢いと疾走感で演られたら、名古屋のオーディエンスも度肝抜かれたことだろう。

スタジオ録音よりライヴ録音の方が断然ベター。
ならばライヴ録音よりライヴそのものの方が絶対最高。
そしてTHE ALLIGATOR BLUESは今日、新宿red clothでライヴ。
行きたかったのにいいいいいいいい。


「tit/Love you tender」は10月2日、「LOCO/coaster trip day」は26日から、それぞれリリース中。
スタジオ録音の2曲もライヴ感があって良いです。


追記:
そして「Love you tender」はその後俺のDJの定番化した。

(2024.12.16.)

DIWPHALANXの2枚(BALZAC+ONE TRACK MIND)

画像紹介が遅れた2枚をまとめて。
(月が改まって“今月の新譜”じゃなくて“先月の新譜”になってしまった)










BALZAC「EVER FREE FROM #9 DREAM」(画像)

昨年、アルバム『BLOODSUCKER』(https://lsdblog.seesaa.net/article/201607article_1927.html)を紹介したBALZAC、3曲入りのシングルというかEP。
FOLLOW-UPのインタヴューによると「出来上がってくる曲を、そのまま」詰め込んだということらしい。
「#9 Dream」は、いかにもBALZACらしい泣きのメロディ+燃え上がる疾走感でぶっ飛ばす。
ダークでありながら十分にポップでキャッチー。
オーオーいうコーラスもシンガロングを誘う。
「Violent Inside」は、“1234!”から始まり、タイトル通りヴァイオレントかつハードコアに突っ走る1曲。
レーベルの宣材には“『EARTH A.D.』時代のMISFITばりの”みたいなことが書いてあったけど、個人的にはあんまりそうは思わない。
(メンバーもあんまり思ってないらしい)
“Violent”だけど“Inside”なんだよな。
これまたBALZACらしいというか。
「Ever Free」は3曲目に収録されているが、実は「#9 Dream」より先に出来ていたとかで。
故に元々「#9 Dream」とは全然違った印象を狙ったらしい…とはいえ、コレもやっぱりスピード/アグレッションとメロディ/ポップさを両立させた、BALZACらしい1曲。
こっちは「#9 Dream」みたいにウェットではなく、より明快なメロディックさがある。
ギターはちょっとメタリック。
ちなみに今日はHirosuke Nishiyama(ヴォーカル)の誕生日だそうで。
おめでとうございます。


ONE TRACK MIND『Mr.SUNLIGHT』

元RED HOT ROCKIN' HOODのBAGI(ドラム)を中心に結成されてから20年。
すいません、初めて聴きました。
2012年にBAGIが急逝してから4年近く…そして約11年ぶりとなる3rdアルバム。
メンバー交代を重ねていて、現在はZAKO(ヴォーカル)、SNGWNK(トロンボーン、リコーダー)、SHIVA(トランペット)、OMATA(テナー・サックス)の正規メンバー4人を、NOBUAKI NISHIZAWA(ギター)、UC Ohzeki(ウッド・ベース)、TOMOYUKI HAGIWARA(ドラム)、KYON2(アルト・サックス)の4人がサポートする。
更にTOMO SADA(THE FAVE RAVES)をはじめとするテナー・サックス3人とかピアノ3人とかゲストも迎えている。
“ミクスチャー・スカ・パブロック・バンド”を標榜する、その通りの音。
ベースにあるのはスカだけど、ウッド・ベースがスラップして、分厚いホーンズが鳴り響く。
このアルバムではスラップはそれほどでもなくて、太いトロンボーンによるベース・ラインもまた印象的。
そこに乗るZAKOのヴォーカルはアルバム・タイトル通りに明るくて。
いや、明るいのはヴォーカルだけじゃなく。
わざわざパブ・ロックを名乗っているだけあって、とにかく観る者聴く者をビール片手に楽しませること…が第一という感じの楽しいサウンドに満ちている。
ジョニー・サンダースの曲からバンド名を取っている通り、根っこにはパンクがあると思われるが、それ以上に活動20年の円熟を感じさせる音。


BALZACは9月17日、ONE TRACK MINDは21日より、絶賛発売中。


(2024.12.6.改訂)

上坂すみれのシングル7枚

画像大人気の美人声優、上坂すみれ。
TV持ってない俺は、出演作品を観たこともないんだけど。
歌手としても大人気。
2枚のアルバムがどっちもオリコンチャート9位とか10位とかだから、確かにえらい人気。

その上坂すみれが、この3年余りでリリースしたシングル7枚が、アナログ7inchで再発。
しかもDISK UNIONのレーベル・FUJIから?
一体何故…。


それはさておきその7枚は以下の通り。

「七つの海よりキミの海/我旗の元へと集いたまえ」
2013年4月のデビュー・シングル。
A・B面とも作詞は畑亜貴。
A面曲はTVアニメ『波打際のむろみさん』主題歌で、畑亜貴のナンセンスでぶっ飛んだ歌詞が印象的。
で、上坂すみれ…デビューからいきなり歌上手い。
本人は元々全然歌手志望じゃなかったらしいんだけど、それにしちゃ随分上手いな。
そしてメタリックなアレンジありロシア民謡の挿入アリと、タイアップとは思えないぐらい本人(メタル好き・ロシア/旧ソ連大好き)のテイストが存分にフィーチュアされている。
B面は全然違ったタイプで、戦士とか革命とかいう言葉が頻出する勇ましい曲。
A面とは全然違う歌い方で、この表現力の幅広さは、流石声優というべきなのか。

「げんし、女子は、たいようだった。/テトリアシトリ」
2013年7月の2ndシングル。
両面とも作詞・作曲は桃井はるこ。
A面はTVアニメ『げんしけん二代目』のOP。
コレは原作読んでました。
すげえカッコいいヴァイオリン・ソロが入ってる。
それで、B面の編曲が“4人目のYMO”松武秀樹!
いかにもな感じのテクノなアレンジ。
それにしてもスタッフ豪華。

「パララックス・ビュー/すみれコード」
2014年3月リリースの3rdシングル。
A面はTVアニメ『鬼灯の冷徹』のED。
コレも原作好きです。
それで作詞がなんと大槻ケンヂ!
そんなに筋肉少女帯っぽい歌詞というワケでもなく、上坂すみれ本人(と作品世界)に寄せた感じ。
誰か、クラストコアとか言ってた人がいたけど、この曲はむしろメロスピでしょう。
もの凄いスピードの曲だが、上坂すみれはきっちり歌いこなす。
B面が更に凄くて、作詞・作曲が松永天馬、編曲アーバンギャルド!
惜しみなく豪華スタッフ突っ込んでるなー。
男女をレコードになぞらえた歌詞。
33回転・45回転・78回転はともかく…16回転って、それはNEU!だろう!

「来たれ!暁の同志/TRAUMAよ未来を開け!!」
2014年7月リリースの4thシングル。
コレは両面ともタイアップじゃないんだけど…何故かA面はバッキバキのユーロビート。
本人がユーロビート大好きだそうなんで、気持ち良く歌ってます。
…で、B面がサエキけんぞう作詞、窪田晴男が作曲・編曲。
パール兄弟!
なんか往年のツーステップとかドラムンベースみたいなリズムのアレンジながら、やっぱり微妙にニュー・ウェイヴィー。
ホーンがかなりカッコいい。
特にサックス・ソロ。

「閻魔大王に訊いてごらん/冥界通信~慕情編~」(画像)
2014年12月リリースの5thシングル。
ジャケットはコレが一番かわいいかなー。
(7inch用のじゃなくて通常盤のジャケットの方が好きなんだが…)
音楽的にも、このシングルが一番このブログの読者様にもアピールしそう。
A面は『鬼灯の冷徹』OADのEDなんだけど、シャープなサビメロが実にカッコいいメタリックなナンバー。
上坂すみれの歌唱も超クール。
(ってか何でも歌えるなこの子!)
で、B面の作詞・作曲・編曲が和嶋慎治で、演奏が人間椅子…!
和嶋が歌ったらそのまんま人間椅子な佳曲で、ナカジマノブのツーバスドカドカや和嶋のメロディアスなギターソロも炸裂。

「Inner Urge/ツワモノドモガ ユメノアト」
2015年7月リリースの6thシングル。
A面はTVアニメ『下ネタという概念が存在しない退屈な世界』ED。
コレはびっくり。
往年のウルフルズみたいな、ワウかましたファンキーなカッティングに乗せて歌われる歌詞の、まあエロいこと。
“ペロリペロペロペロ/私ペロリスト”とか…いきなり一皮剥けた感が。
一方のB面は実にしっとりと始まるバラード。
確かな歌唱力で、ドラマティックなサビも難なく歌い上げる。
(ホントに歌の心得はなかったの?)

「恋する図形(cubic futurismo)/♡をつければかわいかろう」
今年の8月にリリースされたばかりの、最新8thシングル。
A面はTVアニメ『この美術部には問題がある!』のED。
原点回帰(?)のテクノ風で、キラキラしたポップなアレンジ。
聴きモノはB面で、“♡をつければかわいかろう/上坂すみれはかわいかろう”と自分の名前を歌い込んでしまった(というか歌わされてしまった)珍曲(?)。
(「すみれコード」もあったとはいえ)
中盤、謎のコール&レスポンスも楽しい。


…というワケで、キンキラキンのアニメ声とかを予想していたら見事に裏切られ。
(もちろんそういうのもあるけど)
曲調の多彩さだけじゃなく、本人の表現力の幅広さにも感服。
それであのルックス…そりゃ人気も出るわな。

今回の7inch用に新装ジャケットで、各1000枚限定だそうで。
いわゆる“同志諸君”(=ファン)があっという間に買い占めてしまうんじゃないのかしら。
ともあれ全7枚、本日リリース。


追記:
彼女はロシアのウクライナ侵攻についてどのように思っているのだろうか。
本人からコメントが出たことはないはずだ。

(2024.12.6.)

DIWPHALANXの2枚(SPIKE+BALZAC)

BALZAC.jpg相変わらず旺盛なリリースを続けるDIWPHALANX RECORDSから同時発売となる2枚。
どちらも活動20年を超える大ヴェテラン。









SPIKE『WEIRD OF THE BEST 25th ANNIVERSARY』

タイトル通り、結成25周年を記念したSPIKEの、初となるベスト・アルバム。
単なる編集盤じゃなく、全曲が現編成による、新録ベスト。
昔はよくライヴを観たモノだが、もう随分御無沙汰だ。
そうこうするうちにこのバンド、25年も活動していたか。
メイクに凝るワケでもなく(髪型はちょっと凝ってるが)メタル色を導入するワケでもなく、ホラー風味も過剰にならずイイ塩梅。
スーツ姿がまたイカす。
そんな彼らの25年を15曲44分に落とし込む。
根っこに確たるロカビリー/サイコビリー愛がありつつも、高度な演奏力に支えられた多彩なアレンジ(「Shakin' All Over」のカヴァーは超ナイス)と、激しくもメロディアスな楽曲。
そしてTSUYOSHIのヴォーカルに漂う、なんとも言えない色気。
特に日本語詞の曲で意図せず(?)滲み出る歌謡テイストは、このバンドにジャンルを超えた魅力をもたらしている。
「You Don't Love Me No More」なんてもう、たまらんですよ。
活動が長い割にアルバムが少ないバンドなので、それでこの尺ということなんだろうけど、その分どの曲も珠玉。
久しぶりにライヴが観たいな。


BALZAC『BLOODSUCKER』(画像)

これまた随分御無沙汰のバンド。
オリジナル・アルバムを聴くのは多分10年ぶりくらいのはず。
そうこうするうち、このバンドも結成から23年…前作から約2年ぶりの11thアルバム。
基本的には、昔と全然変わってない。
ハード・ロック色も強いホラー・パンク・ロックに、ひしゃげたシャウトから落ち着き払った語りまで自在に行き来するHIROSUKEのヴォーカル。
しかしこのアルバムから5弦ベースを導入ということで、昔に較べてボトムに幅が出た感じは強いし、初期よりもかなりへヴィになったと思う。
一方で、ヘヴィなサウンドと陰鬱な歌詞にも関わらず楽曲はポップで、コーラスも実にキャッチー。
(「Wonderwall」あたりではキャッチー通り越してある意味プログレッシヴ)
英詞と日本語詞の曲が混在しているが、個人的にはこのバンド、日本語詞の方がイイんじゃないかと思う。
日本語詞だとダークな歌詞が直接に耳に飛び込むんだけど、それすらシンガロングさせるようなメロディアスさが、また引き立つ感じ。
正直言って、初めて知った頃は「物真似じゃない?」とか思ったもんだった。
しかし彼らはホラーでパンクなイメージだけを“あのバンド”から引き継ぎつつ、音楽的にはまったく独自なモノを完成させている。
(グレン・ダンジグみたいに歌えるヴォーカリストなんてそうそういるはずもない一方で、HIROSUKEみたいに歌えるヴォーカリストも他にそういないだろう)
随所に聴けるデジタルでサイバーな感じもいいアクセント。
「Spit It Out」のMOTORHEAD風味にもニヤリ。


『WEIRD OF THE BEST 25th ANNIVERSARY』『BLOODSUCKER』、どちらも本日リリース。


(2024.8.15.改訂)

DAYMAREの2枚(SUMAC + THE BODY & THOU)

SUMAC.jpg相変わらず精力的なリリースを続けるデイメア・レコーディングスから、今月の2枚。








SUMAC『THE DEAL』(画像)

少し前にMAMIFFERやらOLD MAN GLOOMやら紹介したばかりだというのに、またまた出てきたアーロン・ターナー(元ISIS)の新バンド。
バンド名は“漆”か。
メンバーはアーロン(ギター、ヴォーカル)とBAPTISTSのニック・ヤシシン(ドラム)、そしてRUSSIAN CIRCLES他のブライアン・クック(ベース)。
(なんか、ブライアンは正式なメンバーじゃないらしいが)
ダイナミックでカオティックなへヴィ・ロック。
後期のISISみたいなオーガニックな感触よりも、無機的というか殺伐としたリフで押す。
RUSSIAN CIRCLES譲りと思われるポスト・ロック的なセンスもアリ。
グルーヴをわざと寸断しようとするかのような、断続的とでもいうべき奇妙かつぶっきらぼうなリフの曲が多い。
奇数拍子の曲も多い。
そしていきなり突進するかと思えばまた突然止まって混沌としたサウンドが渦を巻き、更にはMAMIFFERを思わせるアンビエント風なサウンドに切り替わったり。
一筋縄ではいかない、先の読めない展開。
特に、13分半を超えるタイトル曲…ギターも曲の展開もヴォーカルも、何もかもがヘンテコ。
(途中のリズムはまるで音頭だ)
ところでアーロンのヴォーカル、ちょっとレミーっぽいな。


THE BODY & THOU『RELEASED FROM LOVE/YOU, WHOM I HAVE ALWAYS HATED』

THE BODY(“死体”のことだろうな)は1999年にロードアイランド州プロヴィデンスで結成され、その後オレゴン州ポートランドに移って活動している、チップ・キング(ギター、ヴォーカル)とリー・ビュフォード(ドラム、プログラミング)のスラッジ二人組。
昨年来日も果たしているんだそうで。
(全然知らんかった)
THOUは2005年にルイジアナ州バトンルージュで結成されたスラッジ・バンドで、メンバーはブライアン・ファンク(ヴォーカル)、マシュー・サンディアム(ギター)、アンディ・ギブス(ギター)、ミッチ・ウェルズ(ベース)、ジョシュア・ニー(ドラム)の5人。
この二組のコラボレーションによる、2部構成のアルバム。
二組とも昨年単独作を出しているから、こちらも随分旺盛な創作力だ。
前半4曲が“RELEASED FROM LOVE”で、コレは13年にルイジアナで録音されて昨年4月にアナログ限定盤でリリースされていた音源。
故ヴィック・チェスナットの暗黒カヴァー「Coward」を含む。
そして後半が“YOU, WHOM I HAVE ALWAYS HATE”で、こちらは新録。
NINE INCH NAILSの病的カヴァー「Terrible Lie」を含む。
全編通して、超へヴィで歪み切ったギターのスロー・リフ、トライバルだったりインダストリアルだったりするドラム、そして凶悪なグロウルとイカレたスクリームに埋め尽くされる。
全体に、THE BODYの暗黒へヴィネスが優勢な感じ。
ともあれヴォーカル二人の狂った掛け合いがハンパなく、“へヴィ・メンタル”な1枚。
「Coward」聴いてると死にたくなるかも(笑)。


どちらも4日リリース。
ところでアーロン・ターナー、3月にMAMIFFERでまた来日するんだそうで。


(2024.7.19.改訂)

OMAR RODRIGUEZ-LOPEZ絡みの2枚(ANTEMASQUE+LE BUTCHERETTES)

ANTEMASQUE.jpg以前オマー・ロドリゲス=ロペスの新バンド・BOSNIAN RAINBOWSのアルバムを紹介したが。
https://lsdblog.seesaa.net/article/201607article_1284.html
…オマーという人はひとつところに収まっていられる性分ではないようで。
また新たな展開が。
予想外と言うべきか予想通りと言うべきか。





ANTEMASQUE『ANTEMASQUE』(画像)

BOSNIAN RAINBOWSに専念するためにTHE MARS VOLTAを解散したのでは、とも噂されたオマー・ロドリゲス=ロペス(ギター)だったが。
AT THE DRIVE-IN~MARS VOLTAを通じての盟友、セドリック・ビクスラー・ザヴァラ(ヴォーカル)と再び合体。
(赤い糸?)
それで結成されたのがANTEMASQUE。
今年初頭に活動を開始し、既に8月の「SUMMER SONIC」で来日も果たしている。
(来年また来日するそうで)
で、アルバム。
ドラムは一時期MARS VOLTAに参加していた超人デイヴ・エリッチで、ベースは何とRED HOT CHILLI PEPPERSのフリーが全面参加。
なんたる豪華メンバー。
MARS VOLTAのような超絶なひねりはなし。
しかしAT THE DRIVE-INとも違う。
1曲目「4AM」が始まった瞬間に思った。
「ハード・ロックだろうコレは」
ハイテクな演奏ではありつつも、ストレートにロックしていて、明解。
歯切れの良いリズム、疾走しつつキャッチーなサビメロ。
「50,000 Kilo Watts」なんかはほとんどパワー・ポップ。
次世代型RUSH、みたいな感覚も。
キャリアを経た練達の技で、敢えて自分たちなりの”R&R”に回帰しようとしたかの如く。
そうして手に入れた、MARS VOLTAともAT THE DRIVE-INとも違った新鮮さ。
しかし、あのMARS VOLTAすら過去のものにしてしまうとは…オマー&セドリック、恐るべし。


LE BUTCHERETTES『CRY IS FOR THE FLIES』

「…で、BOSNIAN RAINBOWSはどうしたの?」とか思っていたら、BOSNIAN RAINBOWSのフロント・ウーマン、テリ・ジェンダー・ベンダー(ヴォーカル、ギター、キーボード)率いるLE BUTCHERETTESの2ndアルバムがANTEMASQUEと同時リリース。
前作『SIN SIN SIN』(2011年)同様、オマー・ロドリゲス=ロペスがプロデュースし、ベーシストとしても参加。
別にBOSNIAN RAINBOWSが喧嘩別れ、とかではないようで。
テリの母国であるメキシコで07年に結成されたLE BUTCHERETTES。
現在はLAで活動している。
(テリは最も成功したメキシコ人ロック・ミュージシャンだろうか?)
パンキッシュでガレージ風でありつつ、テリのチープなシンセサイザーをフィーチュアしたサウンドはニュー・ウェイヴっぽくもあって。
オマーもヘヴィなベースで存在感を示している。
更にヘンリー・ロリンズ(BLACK FLAG~ROLLINS BAND)とシャーリー・マンソン(GARBAGE)がそれぞれ1曲でゲスト参加。
ダークでポップで、間口の広い10曲が楽しめる。
ただ、噂されるライヴでのエキセントリックさや八方破れな感覚は、流石にスタジオ作だと薄いか。


ANTEMASQUE、LE BUTCHERETTES、どちらも本日リリース。


(2024.7.1.全面改訂)

OLD MAN GLOOMの2枚

OLD MAN GLOOM.jpg先日紹介したMAMIFFER(https://lsdblog.seesaa.net/article/201607article_1728.html)と同じ日に出ていたブツ。
1999年の結成から早15年…米国ラウド・ロック界のスーパー・グループOLD MAN GLOOMの新作は2枚同時リリース。
現在のメンバーはアーロン・ターナー(ギター、ヴォーカル、エレクトロニクス:元ISIS~現MAMIFFER他)、ネイト・ニュートン(ギター、ヴォーカル:CONVERGE、DOOMRIDERS)、ケイラヴ・スコフィールド(ベース、ヴォーカル:CAVE IN)、サントス・モンターノ(ドラム)の4人。



『THE APE OF GOD Ⅰ』(画像)

コンパクトな曲を集めた…という触れ込みの“神のエテ公・その1”だが…実際には全8曲中、6分以上の曲が半数を占める。
(一番長い「Shoulder Meat」は9分近い)
それでも『THE APE OF GOD Ⅱ』に較べれば確かにコンパクトなんだけどね。
ストレートな“Ⅰ”と実験的な“Ⅱ”…みたいな、単純な分かれ方にはなっていなくて。
こちらの“Ⅰ”では、コンパクトとか言いつつ変則的なリズムとリフに乗せて、3人がそれぞれに歌うデス・メタルっぽかったりブラック・メタルっぽかったりもする極悪なヴォーカルがぶちまけられる。
曲によってはアンビエントやドゥームの要素も大きく、おまけに不穏なノイズが随所に挿入される。
「Fist Of Fury」や「Never Enter」といった2~3分の曲ではヘヴィなリフと突進リズムでなぎ倒す。
アーロン・ターナーが現在関わっているバンドの中で最もハードコア寄りなのは、間違いなくこのOLD MAN GLOOMだろう。
そして7分半近いラスト「After You're Dead」では、不穏なイントロからアヴァンギャルドな展開、曲名通りの絶望的な叫びが空間を支配する。


『THE APE OF GOD Ⅱ』

“神のエテ公・その2”、こちらは触れ込み通りの長尺曲中心。
全4曲、一番短いのが7分弱で、一番長いのが14分半。
1曲目「Burden」は発信音のようなイントロから、ギター・リフが斬り込むまで2分以上かかり、ヴォーカルが入ってくるのは5分以上経ってから。
“Ⅰ”と違って速い曲皆無、押し潰すようなスロー&ヘヴィ・リフ中心に、トライバルなリズムあり、クラウト・ロックを思わせるモノトーンのノイズあり。
ヴォーカルはいずれの曲でも狂気じみた咆哮…の一方で、ラスト「Arrows To Our Heart」では極めてノーマルで落ち着きはらったモノだったりもするから油断ならない。
いずれにしても問答無用のへヴィネス地獄に叩き落される1枚。


バンドが、新作を2枚組でなく2枚バラで同時リリースする…というのは、それぞれに違ったコンセプトを、競い合わせるように両方とも高いクォリティで提示してみせる、という強固な意志と自信あればこそ。
(GUNS N' ROSESの『USE YOUR ILLUSION』は曲を整理して1枚モノで出すべきだった…と今でも思う)
その点、今回のOLD MAN GLOOMの2枚と、ちょっと前に出た陰陽座のアルバム2枚(またジャンルは違うが…)は、2枚が2枚とも違う方向性で高い完成度。
キてるな。


(2024.7.1.改訂)

DAYMAREの2枚(CODE ORANGE & SWARRRM)

SWARRRM.jpgデイメア・レコーディングスより、同日にリリースされる2枚。
アメリカの若手と、日本のヴェテラン。








CODE ORANGE『I AM KING』

2008年、ピッツバーグの中高生(!)によって結成されたメタリック・ハードコアのアンファン・テリブル、CODE ORANGE KIDS…が、“KIDS”を外したCODE ORANGEとしてリリースする2ndアルバム。
結成当初はストレートなパンクを演っていたらしいが、BLACK FLAGやCONVERGEの影響下に先鋭化。
へヴィネスを強化して現在に至る。
メンバーはエリック・ボルデローズ(ギター、ヴォーカル)、リバ・マイヤーズ(ギター、ヴォーカル)、ジョー・ゴールドマン(ベース)、ジャミー・モーガン(ドラム、ヴォーカル)の4人。

CODE ORANGE KIDS名義の1stアルバム『RETURN TO DUST』(2012年)に続き、CONVERGEのカート・バルーがプロデュース。
のっけから突進し、ストップ&ゴーとテンポチェンジを繰り返しては咆哮。
デス・メタルばりのスロート・ヴォイスがあるかと思えば、ほとんど泣き叫ぶようだったりも。
スピード感も十分な一方で、スロー/ミドルの曲やパートでは、ドゥーミーにして押し潰すようなヘヴィさを聴かせる。
特にベースは重い。
かと思えば「Bind You」では16ビートに乗せてヘンテコなリフが展開したりも。

全11曲中、ドゥームでヘヴィな「Dreams In Inertia」が5分あって、それが最長。
1分台の曲が2曲。
総じてコンパクトな中で様々な顔を見せる。
2008年に中高生が結成ってことは…今もまだ20代前半か。
末恐ろしいバンド。


SWARRRM『FLOWER』(画像)

神戸が世界に誇るグラインド・コア/カオティック・ハードコアの雄。
いろいろなバンドとスプリットを出していたんで、そんなに久しぶりな感じはしてなかったんだけど、実は7年ぶりの単独アルバム。
制作5年とのこと。

美しいギターの調べに乗せて狂気を感じさせる歪み切ったヴォーカルがのたうち回り。
そこに怒涛のブラストが斬り込んでくる。
Tsukasa(HELLCHILD他)が絞り出すディストーション・ヴォイスは、ダイナミックにしてある種メロディアスでもあり、これまでの作品中、最も“ロック色”が強い…というか、歌モノに寄った、と言ってもイイのかも知れない。
(世間一般のいわゆる“歌モノ”を想像しながら聴くとひっくり返るかも知れんが…)

ヴォーカルに引っ張られるようにして、Kapoのギターもキャッチーとさえ言えるリフ(「Cry」や「群れ」あたりに顕著)や、叙情的なフレーズを聴かせる。
「漂泊の闇」ではちょっとシューゲイザーっぽかったり。
「まやかし」の途中のリフなんかはいっそ歌謡曲っぽいとさえ言えそう。
(そうか?)
GARADAMAとのスプリットに収録されていた「花」での、ストレートな疾走感もカッコいい。

ダイナミズムに溢れ、ブルータルかつカオティックにして儚くも切なく。
なんだかすげえ、とか言ってる間にたちまち聴き終わる。


CODE ORANGEもイイけど、あと10年くらい活動しないとSWARRRMの深みには到達出来んような気が。
ともあれどちらも10日リリース。


(2024.6.19.改訂)