DAYMAREの2枚(RUSSIAN CIRCLES+MELVINS)

MELVINS.jpgデイメア・レコーディングスよりリリースの米国へヴィ・ロックの2枚。











RUSSIAN CIRCLES『MEMORIAL』

シカゴ発。
先日ここで紹介したPELICANと並ぶ、轟音系インストゥルメンタル・バンド、2年ぶりとなる5thアルバム。
マイク・サリヴァン(ギター)、ブライアン・クック(ベース)、デイヴ・ターンクランツ(ドラム)のトリオ。
PELICANがポスト・ロックでRUSSIAN CIRCLESがポスト・メタル?
…うーん、そこらへんは正直よくわからんが。
アコースティック・ギターをフィーチュアしたタイトル曲「Memorial」から始まって、同じ曲のヴォーカル入り(なんとゲスト参加のチェルシー・ウルフ)で終わるという構成。
最初の「Memorial」が終わるとすかさず轟音の「Deficit」に入るけど、静謐に始まるオープニングでわかるとおり、轟音インストゥルメンタルを中心にしつつも、アンビエントな微音とメタリックなヘヴィ・リフを行き来する、ダイナミズム溢れる構成が見事。
歪んだギターやザクザクの刻み、パワフルなドラムを前面に出した曲でも流れは大河の如くゆったりで、ダークにしてオーガニック。
「1777」や「Burial」なんかで聴けるデイヴの16ビートがまた実に気持ちイイです。
チェルシーも、あの暗い透明感に満ちた歌声で花を添えてくれている。



MELVINS 1983『TRES CABRONES』(画像)

へヴィネス一筋30年、あのBorisにも多大な影響を与えたMELVINSの(今年2作目の)新作アルバム。
一応“MELVINS 1983”という名義になってるけど、ジャケットを見ると、アルバム・タイトルがスペイン語のせいか、“LOS MELVINS”って書いてありますね。
MELVINS 1983というのはツイン・ドラムの現編成と違う、結成当時のメンバーで、ということみたいだが、実際にはオリジナル・メンバーのトリオというワケじゃなくて、1983年当時のベーシスト、マット・ルーキンは不在。
パーソネルはバズ・オズボーン(ヴォーカル、ギター)、マイク・ディラード(ドラム)のオリジナル・メンバー二人に、現ドラマーのデイル・クローヴァーがベースを担当、というトリオ。
現編成の複雑なアレンジとは違った、シンプルな楽曲を…というのが一応のコンセプトらしいものの、実際にはそんなにシンプルってこともなくて、十分にひねくれた曲がそろってます。
(確かに、中心となっているのは90年代前半までのMELVINSを思わせる、グランジ風のへヴィなミドル系ナンバーではある)
LED ZEPPELINにPINK FAIRIESをぶち込んだみたいなリフの「Dogs And Cattle Prods」、グルーヴィーなベースと突っ走るドラムがカッコいいスピーディーなハード・ロック・ナンバー「Walter's Lips」あたりが個人的なお気に入り。
で、その合間に入る、全力悪ふざけナンバーの方が、むしろ「ああ、MELVINSだなあ」という気分に(笑)。
特に、ビアガーデンのテーマソングみたいな(?)「99 Bottles Of Beer」と、“Son Of A Bitch”連呼の「In The Army Now」に脱力。
なんだろうな、この人たち…。


RUSSIAN CIRCLES『MEMORIAL』、MELVINS 1983『TRES CABRONES』、どちらも本日リリース。


(2024.1.12.改訂)

DAYMAREの3枚(heaven in her arms+COHOL, TOUCHE AMORE & CHELSEA WOLFE)

刻光.jpgデイメア・レコーディングスから一挙リリースの新作3枚、まとめて紹介。









heaven in her arms/COHOL『刻光』(画像)

東京を中心に激音をまき散らしつつ、それぞれに際立った個性の2バンドによるスプリット。
それぞれ3曲ずつ。
heaven in her armsは、2010年にSONZAI RECORDSからリリースされた2ndアルバム『幻月』で初めて聴いた。
ギター3本の5人組。
時にリリカルで、時に激情…やたら陰影に富んだ楽曲を低い重心で聴かせる、異形のバンド。
今回もその異形ぶりは変わらず。
3本のギターの美しい絡みとタイトなドラムから轟音へ…という「黒い閃光」に始まり、リリカルな小曲「繭」を挟んで、6分38秒の「終焉の眩しさ」で真骨頂発揮。
ゴツいベースとブラストなドラムの上をトレモロリフが埋め尽くし、そしてブラック・メタル的なスクリームとモノローグの間を行き来するヴォーカル。
その激音がメロディアスな演奏に移行していく…3曲でも、いや1曲でも陰影富みまくり。

一方のCOHOLは、初めて聴いたんだけど。
02年結成というから、既に活動11年。
非常にブルータル。
1曲目から「不毛の地」…と、タイトル見ただけで聴く前から緊張感。
(以下、「木霊」「疎外」と続く)
こちらも真ん中にアコースティックな感じの小曲(それも非常に不穏)を配しつつ、その前後は随所に凄まじいブラストと呪わしいスクリーム。
特にラストの「疎外」はのっけからブラスト全開のテクニカルなファスト・チューン。
3曲ながら、終末感溢れる狂気じみたブラック・メタルに圧倒されます。



TOUCHE AMORE『IS SURVIVED BY』

2007年に結成されたLAの激情系スクリーモ5人組…の3rdアルバム。
このバンド、なんというか、聴きやすい。
緩急がある楽曲、メロディアスなアレンジ。
ジェレミー・ボルム(ヴォーカル)は、速い曲でも遅い曲でも全編絶叫なんだけど、激情スクリーミングながらも切迫感だとか殺気立ったような部分はあんまり感じられず、一種の“軽さ”みたいなモノがある。
(アコースティックでフォーキーな「Praise/Love」でもやっぱり絶叫なのはちょっと笑った。しかもちょっと声が遠い)
随所にアコースティック・ギターをフィーチュアしたアレンジの幅広さも魅力的で、まごうかたなきハードコア/スクリーモながらも、個人的には…演奏やアレンジの一部に、どこか80年代の元祖メロディック系ハードコアだとか、90年代のいわゆる“カレッジ・ロック”みたいな部分を感じます。
(そういやHUSKER DUとかTHE REPLACEMENTSとかも、初期は爆裂だったしなあ)
タイラー・カービー(ドラム)の、ダイナミックにして多彩なプレイも良い。



CHELSEA WOLFE『PAIN IS BEAUTY』

突如として耳目を集めるようになった新世代ゴス(?)の歌姫、チェルシー・ウルフ…も、もう4thアルバム。
昨年には来日も果たしていますね。
(俺行ってないけど)
前作がアコースティック・アルバムだった反動か…録音自体は4人編成のバンド形態ながら、ベン・チゾルム(ベース)が担当するシンセサイザーと打ち込みが前面に出るようになっていて、全体にエレクトロ色の強い音に。
ゆったりとしたイントロから、チェルシーのミステリアスなヴォーカルが入って来て、徐々にきしみを上げながら厚みを増していくダークな音像…という曲が多いのだが。
「We Hit A Wall」のメロディにちょっと昔のDEPECHE MODEを思い出したり。
「Destruction Makes The World Burn Brighter」が妙にあっけらかんとした、まるで往年のガールズ・ポップを思わせるようなメロディだったり。
かと思えば「They'll Clap When You're Gone」みたいなアコースティック・ナンバーもあったりと。
以前にも増して多面的です。
海外のサイトでは、“シンセサイズド・ドゥーム・フォーク”とか書いてあったな(笑)。

圧巻なのは、8分30秒に及ぶ「The Waves Have Come」。
タイトルでピンとくる人も多いかと思うけど、東日本大震災にインスパイアされたという大曲。
現時点で歌詞がわからないので、内容について触れられないのは残念だが、ちょっとアイリッシュ風でもある、優美にして力強いメロディと歌い回しに引き込まれる。

そして、ラストをアコースティックに締める「Lone」。
スージー・スーだとかジャーボウだとか、暗黒系歌姫の系譜に連なるチェルシー・ウルフだと思うけど、この曲でのクリアな歌声は、まるでエンヤ…。
まだまだ伸びしろたっぷりな気がするチェルシーであります。



3作とも9月25日リリース。


(2024.1.1.改訂)

DAYMAREの2枚(PALMS & BOSNIAN RAINBOWS)

PALMS.jpg精力的にして興味深いリリース攻勢の続くDAYMAREから、26日にリリースされる2枚。
どっちも有名バンドの元/現メンバーによる、新しいバンド。







PALMS『PALMS』(画像)

ISIS解散後に、アーロン・ターナーを除く3人が新たに結成したバンド。
で、ヴォーカリストがDEFTONESのチノ・モレノって。
5月の「OZZFEST」で来日していたDEFTONESだが、PALMSの方も別にワンショットのプロジェクトとかじゃなくて、あくまでも新しいバンドとのこと。
チノは両方のバンドで並行して活動するんだそうで。
組み合わせは意外だけど、音の方はある意味予想通りというか。
1曲目「Future Warrior」から、ゆったりと立ち上がる…ISISの後期を思わせるダイナミックなへヴィ・ロックに、チノ・モレノの哀感溢れるヴォーカルが乗る。
祈るような歌から、叫びへと。
そして随所にエキゾチックなムードをたたえつつ、どの曲も激することなく、しかし叙情的に盛り上がっていく。
約10分ある「Mission Sunset」での荘厳ともいえるイントロといい…全体、実に壮大なスケールを感じさせる演奏。
そして、「Shortwave Radio」あたりに特に顕著な、哀愁のヴォーカル。
ラスト、9分半に及ぶ「Antarctic Handshake」なんかはもう、壮大さがグローバル通り越してスペーシー(?)でさえある。
曲のタイプはどれも似通っているものの、不思議と飽きることがない。
不思議と…というか流石に、というべきなのか。





BOSNIAN RAINBOWS『BOSNIAN RAINBOWS』

元MARS VOLTAのオマー・ロドリゲス・ロペス(ギター)が、MARS VOLTA解散前の昨年9月からやってたバンド。
元々はOMAR RODRIGUEZ ROPEZ GROUPとしてスタートしたそうだけど、今年に入ってMARS VOLTAが解散したのは、オマーがこっちのバンドに本腰を入れるためだとかいう…。
PALMSと逆で、こっちは予想外の音楽性だった。
オマー・ロドリゲス・ロペスとディーントニ・パークス(ドラム)…と元MARS VOLTAを2名含みつつ、AT THE DRIVE-IN→MARS VOLTAの流れに…ない。
主役はむしろ女性ヴォーカリスト、テリ・ジェンダー・ベンダー。
もちろん1曲目「Eli」からオマーの変態じみたギターも炸裂しつつ、聴くほどにテリのヴォーカルを活かしたポップな作りが際立つ。
このテリという人が非常に多彩な表現力で、キュートに迫ったり切なげに歌って見せたり。
後半になるとオマーとのツイン・ヴォーカル状態の曲もあり、ソフトでメランコリックなムードも。
全体にポップながら、よく聴けばリズムは(やっぱり)変則的。
演奏面ではギター&ドラムと並んでニッキ・キャスパー(元々セッションマンらしい)のシンセ・ベースがやたらと存在感を放っていて。
エレクトリック・ドラムの使用も相まって、どうにも80年代的な部分も多々あり。
かなりニューウェイヴィー…でありつつも、一方で実にオーガニックなバンド・サウンド(アナログ機材で録音したとか)を聴かせる。
MARS VOLTAの屈折しまくった音楽性にプログレを見出していた人…なんかには好みが分かれそうだけど、ユニークなバンドだと思う。


(2023.12.6.改訂)

Boris2枚同時リリース

Boris ATTENTION PLEASE.jpgこの3月にメジャーのavexからリリースされた『NEW ALBUM』での凶暴なポップさ(?)がまだ印象に新しいBoris。
その『NEW ALBUM』は、別々の2枚のアルバムから選曲、リアレンジされた楽曲から成る…と言われていたが。
その原型、というかおおもとになった2枚のアルバムが、堂々同時リリースと相成りました。







『ATTENTION PLEASE』(画像)

…で、『NEW ALBUM』でこれまでになくフィーチュアされていたWata(ギター)のヴォーカルだったが、こちらはBoris史上初めて、そのWataのヴォーカルで全曲固めた(!)という1枚。
ニュー・ウェイヴ風というか、インディー・ポップ風というか…ドライヴ感溢れるTakeshiのベースとタイトに疾走するAtsuoのドラムからして、『PINK』の頃なんかとは全然違ったアプローチ。
ダンサブルでディスコティークな(?)リズムは『SMILE』あたりから顕著になっていたとはいえ、そこにもってきて全曲がWataのヴォーカル、というと、また一味も二味も違うキラキラしたポップさが。
(曲によってはシンセドラムがピュンピュン鳴り響く)
何しろ“ヴォーカリスト・Wata”を前面に押し出した作りになっていて、このアルバムでの宣材写真見たら、何故かWataが二人いる4人編成(っていうのかコレは)になっていて、メンバーのクレジット見ても、ヴォーカリストのWataとギター/キーボードのWataが別々に記載されているという…。
実際、ソロ・デビューした頃に較べてもWataのヴォーカルは堂々としたモノになっていて、Borisの新たな魅力を引き出した1枚に仕上がってます。


『HEAVY ROCKS』

アルバム『SMILE』も同じタイトルで2作出したBorisだったが、こちらはまたしても…2002年の名作アルバムと同じタイトルで新しいアルバムを、という挑戦的アプローチ。
(元の『HEAVY ROCKS』からもう9年?…あのアルバムも今や“初期の名作”みたいな扱いなのか…)
挑戦的、というか…Borisがこの11年に『HEAVY ROCKS』というタイトルで作ったら、今度はこうなりますよ…的な、ある意味そのまんまともいえる1枚なんだけど。
多分にハード・ロック的でもあった02年版の『HEAVY ROCKS』に対し、こっちは当然ながら今のBorisならではの多彩なリズム、アレンジに彩られたアルバムになっている。
(こちらでも『ATTENTION PLEASE』同様、曲によりファンキーともいえる部分がかなり顕著に)
しかし“どったらだらららっ”とドラムを打ち鳴らしては唐突に「ワオッ!」と叫ぶAtsuo、そこに斬り込むなんというか実にBUDGIE的なWataのリフが冴えまくる「GALAXIANS」なんかは“往年の”Boris的というか、ライヴの情景が脳裏に浮かぶ…ああカッコいい。
02年版同様、曲毎にゲストも多彩で、アーロン・ターナーやイアン・アストベリーはまあ予想の範疇だった(?)ものの、D-DAYの川喜多美子にはびっくり。
(もちろん栗原ミチオの曇天ギターも絶好調)


『ATTENTION PLEASE』『HEAVY ROCKS』、どちらも5月24日リリース。


(2023.5.30.全面改訂)

KIMONOの2枚(HONDALADY+GalapagosS)

HONDALADY ギミアブレイク.jpgピコピコでドンツクなビートで、俺の脳みそをYMO聴いてた中高生の頃に引き戻しまくる(?)レーベル、KIMONOの新作2枚。







HONDALADY『ギミアブレイク』(画像)

「臨終サンバ」や「ルグレ」など、いつもR&Rばかり回してる俺にさえDJでのパワープレイを余儀なくさせる迷曲、いや名曲の数々を生み出し続けるエレクトロ四畳半ユニットHONDALADY、実に9作目となるアルバム。
(特に「ルグレ」は今まで何回スピンしたかね)
前作は宍戸留美とかフィーチュアして、わりと涼やかな音、キレイなメロディを前面に押し出してたと思ったが、今回は以前のスタイル(?)に戻ったというか、暑苦しい音とじめっとした歌詞が堪能出来ます(笑)。
音の方は相変わらず…じゃなくて、ちょっとドラムンベース(というか、そのルーツにあるダビーなレゲエ)とかの要素が増量。
その分低音が増強されて、これまで以上に遮二無二踊らされてしまう感じ。
一方で歌詞の妄念(笑)も胸に迫るモノがあって、大体曲名が「青春の蹉跌」(往年のインビシブルマンズデスベッドか!)とか「かろうじて胸に押し込めた異常なエモーション」とか「俺なんて」とか。
特に「俺なんて」の、イケてない男の切々としてかついじましい心情吐露には、もう思い当たるところありまくりです(苦笑&号泣)。
タイトル曲もせつねー。
で、収録曲中最もフツーにレゲエしている曲のタイトルが「ホンダレディのヨイトマケ」ときましたよ。
そのうち全曲HONDALADY、っていうDJを1回やってみよう、そうしよう。


GalapagosS『SOY SAUCE IMPULSE』

ああ、ガラパゴスってえと布袋寅泰の妹がやってたバンドあったよね、「インディアンボーイ」とかいって…違います。
HONDALADY同様、ここでも以前紹介したことがあるエレクトロ・ポップ・ユニットFLOPPY、の小林写楽(ヴォーカル、ギター)を中心とする新しいバンド。
そう、バンドです。
多分にピコピコしてるのはもちろんながら、基本的にギター、ベース、ドラムのトリオ編成、そう、ロックバンドです。
かなりダイナミックにロックしてます。
そこに、どうかするとFLOPPY以上に扇情的な(あるいはベッタベタともいう)J-POP的な歌メロを前面展開したテクノでロックでなおかつ歌謡テイスト満載。
「踊れ厭世家」(コレもひでえ…いや、すげえ曲名だな)のイントロなんか、有線とかで流れたら無条件に盛り上がるだろう。
っていうかそもそもFLOPPYってどれくらい人気があるのか全然知らないんだけど、小林写楽の作るメロディは、メジャー界でどっかんどっかんヒットしても不思議じゃないと思う。
ギターやキーボードのフレーズもカッコよくて、「Galapagos Syndrome」や「アリアケル」で聴けるサーフ的なフレーズはかなりイケます。
それにしても「踊れ厭世家」も凄いが、ラスト「葬世」(コレもすげー曲名…)の、ほぼノンエフェクトな声で歌われる、往年のシャ乱Qもかくやという感じの、ベタにしてかつエモーショナルなメロディにはやられた。
マジでヒットせんのかねコレ。
5曲20分弱のミニアルバムながら、おなかいっぱいな内容。


HONDALADY、GalapagosS、どちらも4月20日リリース。
どっちも部屋で聴いてるよりフロアでガンガン鳴らしたいな、やっぱり。


(2023.5.19.改訂)

2010年9月22日の新譜(miscorner/c+llooqtortion + SPECIAL THANKS)

miscorner c llooqtortion.jpg同じ日に発売される、全然違う感じのアレとコレ。










miscorner/c+llooqtortion『fact versus theory』(画像)

SECRETA TRADESが大プッシュしてる旭川の必殺ユニット、約1年ぶりの3rd(ミニ)アルバムはDVDとの2枚組。
miscorner/c+llooqtortionというと、打楽器二人組が打ち込み使って狂ったように暴れまくるという素晴らしいアレですが、まずCDの方、今回は打ち込みによるピアノを大々的にフィーチュアして、ミニマルなのに重層的、かつメロディアスな新展開。
前からプログレっぽいところがあったけど、ますますプログレっぽくなった感じ。
もちろんプリミティヴな部分も十二分に残ってる。
全体に、ポップというとちょっと違うものの、前作でヴォーカルをフィーチュアしていたりとか、こちらの予想を裏切る間口の広さが痛快な人たちだけに、これからの展開も楽しみ。
DVDは…ライヴはもちろんナマで実際に観るに越したことはないとはいえ(最近都内でのライヴが増えている)、インタヴューとか入ってるのは要注目(ライヴでMCないからね)。
ちなみに俺、子供の頃1年半だけ旭川に住んでたことあって、旭川のバンドってなんか親近感湧くんだよな。


SPECIAL THANKS『SEVEN LIVES plus 1』

こちらはKOGA/GROOVIE DRUNKERSから、アコースティックな新曲1曲とライヴ7曲という変則ミニアルバム。
親がパンク大好きで、子供の頃からライヴハウスに通って、10代で鳴り物入りデビュー…な~んてそれパンクじゃないじゃん!…とかいう思い込みがどうしても外せない中年の俺だが、現実を見よ、今や間違いなくそういう時代になっておるのです。
6月の名古屋でのステージを収録したライヴ7曲、バンドもお客さんも実に楽しそう。
実際堂々たるミサキのヴォーカルに、タイトにして勢い溢れる演奏、長年女性ヴォーカルのポップ・パンクを得意としてきたKOGAが自信持ってプッシュするというのもわかるというモノ。
V.A.『GOOD GIRLS DON'T』シリーズとかが大好きなKOGA/ガールズ・ポップ・パンク・ファンには確実にお勧め出来るバンド。
このバンドは、早いうちにDVD出すとイイような気がします。
特にライヴは、間違いなく映像の方が伝わるはず。


9月22日は、他にもenvyの久々のフルアルバムとか、ロングアイランドのUNEARTHLY TRANCEの2年ぶり5thアルバム(SUNN O)))のファンとかにはお勧め)とか、いろいろリリースされますよ。


(2023.3.19.改訂)

2010年、5~6月の新譜

ミドリ.jpg5月から6月半ばにかけて聴いて、このブログで紹介していない新譜、覚え書き。
(5月以前のリリースや、純然たる新譜だけでなくリイシューなんかも含む)









あふりらんぽ/WE ARE UCHU NO KO(2年半ぶり新作2枚組)
BERND KISTENMACHER/CELESTIAL MOVEMENTS(ドイツのシンセサイザー奏者、21枚目のアルバムらしい)
BLACK TUSK/TASTE THE SIN(ジョージア州のスワンプ・メタル)
Boris/Variations(ベスト盤CD+ライヴDVD)
ELECTRIC ORANGE/KRAUTROCK FROM HELL(ドイツのヴェテラン・サイケ・バンド)
EMBRYO/40(60年代から最近までのレア音源集2枚組)
EQUILIBRIUM/REKREATUR(ドイツのペイガン・メタル、ボーナス・トラック入りの国内盤は来月リリース)
FAUST/FAUST IS LAST(ハンス=ヨアヒム・イルムラーの方のFAUST、ライヴ2枚組)
FIRST BAND FROM OUTER SPACE/THE GUITAR IS MIGHTIER THAN THE GUN(スウェーデンのスペース・ロック)
HAWKWIND/AT THE BBC-1972(BBC音源2枚組)
HOWL/FULL OF HELL(ロードアイランドのドゥーム・メタル)
ミドリ/shinsekai(メジャー第2弾、2年ぶりの新作)
ONI/SUNWAVE HEART(あふりらんぽのオニのソロ・アルバム)


コレで全部じゃなかったと思う。
…なんだ、パンク/ガレージ系が全然ないな。
(ああ、そのへんは大体ここで紹介済みだからか)
このへんのほとんどはこのブログじゃなくて、雑誌とかでレヴュー書くと思う。

特に面白かったのはミドリと…実はドイツのEQUILIBRIUM。
MANOWARがメロデスになったみたいな(?)、臭過ぎるメロディと壮大過ぎるアレンジにやられました。
来月国内盤が出るんだけど、ボーナス・トラック5曲も入るそうなんで、興味持った人はそっち買ったらイイと思います。
ドイツのベルント・キステンマハー(って読むのか?)は、このブログで紹介しようと思ってたら、実はリリースが昨年だった。

画像はもちろんミドリ『shinsekai』。
ジャケットに顔出したと思ったら、いきなりアップですか…。


追記:
結局ベルント・キステンマハーをこのブログで紹介したのは、12年ほども後のことだった。
それにしても、今となっては内容を覚えていないアルバムの多いことよ…。

(2023.2.15.)

CITRON RECORDINGSの2枚(FLOPPY+HONDALADY)

FLOPPY PROTOSCIENCE.jpgはい、CITRON RECORDINGSからの新作アルバム2枚、まとめて行ってみましょう。











FLOPPY『PROTOSCIENCE』(画像)

前作『Deus ex machina』をこのブログで紹介したのが昨年9月。
(オリコンのインディーズチャートに入ったそうで。そういやこの前紹介したDroogはそこで1位になったとか)
で、半年でもう新作ですか。
おお、このジャケット。
昔の電卓か!
俺が小学生の頃のやつ。
さて、今回も、テクノです。
ハウスとかの流れの、あっちの(どっちの?)テクノじゃなくて、YMOとかKRAFTWERKとかのテクノな。
前作同様に、無機的なダンス・ミュージックじゃなくて、詩情のあるウェットな…歌モノ、というには音がビシバシだしヴォーカルは変調されてるしな一方で、なんか聴いてて「切ねぇ~…」という気分になるエモーショナルな喚起力は前作以上。
1曲目「黎明」の歌謡曲的な歌メロと来たら。
前作を紹介した時、ギター・ソロはメンバー自身によるモノか、と書いたが、どうやらゲスト参加の三浦俊一(ケラ&ザ・シンセサイザーズ)みたい。
そんなワケで前作同様メンバー二人だけでなくギターとドラムが参加していて、時々妙にロック色が出るのがアルバムの中でフックとなっている。
特に「サーフトロニカ」にはSURF COASTERSを思い出し…いや、違うなコレは(何が言いてえんだ)。
それにしても、アーティスト写真を見ていて、ロボットみたいなゴツいゴーグル姿にはいつも「コレ、前見えてんのかな…」と思っていたんだけど、やっぱり見えてないらしい…。


HONDALADY『SNEAKER MON AMOUR』

俺がHONDALADYを知ったのは00年代後半になってからのこと。
しかし実は1996年結成、既に15年近くも活動しているユニットなのだった。
1年前の前作『CASETTABLE』は同じビートサーファーズのレーベル、KIMONOからリリースされていたのが、新作はFLOPPYと同じCITRON RECORDINGSから。
FLOPPYとはまた違って、ハウスからの流れを汲む音だと思う。
一方である意味音とは随分そぐわない感じというか、下世話な感じの声質で歌われる、なんか昔のフォークみたいな歌詞。
(前作の「SAMURAI」なんて、遠藤賢司の「ほんとだよ」かと思ったぜ)
その絶妙なマヌケっぽさ(ほめてます)がここ数作の売りだったと思うんだけど、今回は勝負に出たというか、正面からポップな感じにアプローチしている。
これまでの字余りっぽい感覚を抑えて、歌メロをきれいに乗せることに腐心した形跡。
(一方で前作までのテイストそのまんまな「なまけ虫」なんてのもある)
2007年のアルバム『WORLD RECORD』では元ゴーバンズの森若香織が参加していてびっくりしたもんだったが、今回はなんと宍戸留美が参加していて、更にびっくり。
特に「花月雪星宙」はエレクトロ似非フレンチポップみたいになってる。
俺が普段部屋で聴いてる音楽とはかなりかけ離れてる音なれど、『WORLD RECORD』の1曲目「リンジューサンバ」はたまにDJで使うとドッカンドッカン盛り上がる。
新作もDJブースに持ってくことになる予感。


ってなワケでCITRON RECORDINGSからリリースの2枚。
どちらも3月17日発売。
CITRONの運営元、ビートサーファーズについてはFLOPPY『Deus ex machina』の記事(https://lsdblog.seesaa.net/article/201607article_32.html)を御参照あれ。


(2023.1.28.全面改訂)

2009年12月中旬の2枚(『RUSTIC STOMP 2009』+PASTA FASTA)

RUSTIC STOMP 2009.jpg実に2年がかり(…)の引っ越し作業がラストスパートで、今月ライヴ1本も観てない…。
(ここ10年ほどでこんなことはなかった)
新旧のCDやらレコードやら聴いたりDVD観たりして、原稿書いてから前の部屋と今の部屋を行き来して、片付けて寝る、という繰り返し。
そんな中で聴いた最新リリース2枚。




V.A.『RUSTIC STOMP 2009』(画像)

19日リリース。
FholeRugOrchestreが中心となって制作された日本若手ラスティック勢のオムニバス20曲入り72分半。
AA&TO¥$OX、Caballero Polkers、FholeRugOrchestre、HOBBLEDEES、LITTLE DOG WALTZ、MOHIKAN FAMILY'S、Mt.Paiot's、Oink、OLEDICKFOGGY、PISSED OFF、WOODSTOCKの全10バンド参加。
日頃そんなにしょっちゅう聴かないジャンルながら、それだけに新鮮な気持で聴けるし、いろいろな発見があったりも。
アパラチアだとかアイルランドだとか、なんかフツーのロック以上に彼の地の民族性抜きには成立しないような気もするこの手の音楽が、日本のシーンにもしっかりと根差しているのを感じずにいられない。
しかも多くのバンドが上手いこと日本語を乗せて、自分たち流のモノを創り上げている。
たとえばサイコビリーなんかも裾野は広いが、ここでもギターが少々メタリックだったり、そもそも曲調そのものがあんまりラスティックっぽくなかったり、いろいろな個性が育っているんだなー、とか。
半数以上が知らないバンドだけどどれもユニーク。
曲としては特にHOBBLEDEESの「ビールの泡よ花となれ」が凄く気に入りました。


PASTA FASTA『SUPER CD』

18日リリース。
吉祥寺を拠点に活動するハードコア・トリオのミニアルバム(スーパーミニアルバム、だそうです)。
5月に1stアルバムが出ていたが、半年余りでの新音源。
曲名が「SUPER NERVOUS」「SUPERどうでもいい」「SUPER AMERICAN DREAM」「SUPER KILL YOUR SUMMER MEMORY」そして最後に「HELLO SUPER TOKIO」と「SUPER THE END」を組曲風(?)に(更にスーパーボーナストラックも…ってオイ!)。
ショートチューン連発、とにかく速い。
で、曲名からも明らかなわかりにくいユーモア(笑)と、ストレートなようでいてネジレ気味なアレンジが特徴だろう。
個人的なストライクゾーンからはちょっと遠い気がするが、こういうのも悪くない。
それにしてもドラマーの名前が“ペニス”って…。


なんか新作も旧作もえらく幅広く書いちゃってて自分でもアレだなーとか思うが、前からいろいろ聴きつつもDOLLの新譜レヴューとかだとそんなにいろいろ書く機会がなかった、というのが実際のところ。
その点このブログは何でもアリ。
DOLLが潰れて、毎月パンク/ガレージ系の新作を紹介し続ける、という枠がなくなったら、何が何でも毎月決まったレコード屋を回って…というペースが崩れたというのもあり、実は最近ガレージの新作とかあんまり買ってなかったりするし。
(THE MuMMiESもA-BONESも行けんかったしなあ…)
しかし今月もTHE MIGHTY MOGULSの新作とかDECKRECのボ・ディドリー・トリビュートとかいろいろ面白いのが出てるし、近々また狂ったようにガレージ系について書き始めたりする、かもしれない。
なんつって、ここんとこ毎日聴いてるのは福井のGENOCIDEだったりする(デストロイ!)。


(2023.1.16.改訂)

2009年9月の新譜から(NOT REBOUND+THE PRIVATES)

NOT REBOUND.jpg9月2日リリースの、日本のインディー・バンドのアルバムを3枚、立て続けに聴きましたよ。



NOT REBOUND『RIOT SUN!!!』(画像)

K.O.G.A.より。
結成15周年、4年ぶりの6thアルバム…って多いのか少ないのか微妙だが。
何処までもまっすぐで前向きな世界観は俺個人のストライク・ゾーンからは遠い気がするものの、クォリティの高さはそんな俺でもよーくわかる。
それにしても名古屋というのはメロディック/ポップ・パンクのバンドを続々と生み出し続ける、何か特別な磁場でもあるんだろうか。


V.A.『ERECTION!!!~TRIBUTE TO NOT REBOUND』

で、14バンド参加のNOT REBOUNDトリビュート・アルバム。
こちらもK.O.G.A.より。
顔ぶれがなんか凄くて、BEAT CRUSADERSにSpecial ThanksにWATER CLOSETにTROPICAL GORILLAに…とよくぞ集まりました。
わりと素直なカヴァーが中心だけど、ニューウェイヴィーなシンセを前面に出したBEAT CRUSADERS、まったりした24-two fourが特に面白かったかな。
Special Thanksが日本語で演るのなんて、好きな人にはタマランでしょう。


THE PRIVATES『El Pistolero』

こちらはredrecより。
実に18作目。
口の悪いファンは、アルバムなんて“ライヴの予習”だけでほとんど聴かない…なんていうPRIVATES、しかし伊達に長くやってるワケじゃない。
当然作品の完成度は高い。
1曲目「Sunset Wasteland」のイントロだけでグッときた。
STONESフレイヴァーといわれるだろうけど、いやむしろこのギターは村八分でしょう。
(村八分の悪魔っぽさはないが)
個人的には、インディーからメジャーに行って、ドロップしたらまたインディーでやればイイだけ…とか思うものの、実際にそうやって続けられるバンドなんてほとんどいないのが現実。
その点このバンドは頑張ってるよなー。
今後も頑張って欲しいです。


(2023.1.1.全面改訂)