
雑誌「PUNK」を主宰していたレッグス・マクニールと、パティ・スミスやジム・キャロルも出演していたことで有名なセント・マークス教会でポエトリー・プロジェクトをコーディネイトしていたジリアン・マッケイン…の二人が、60年代から90年代に至るアメリカン・アンダーグラウンドの実相を、関係者の証言のみでまとめた”オーラル・ヒストリー”。
1996年に初版が発行された後、10年以上を経て2007年にメディア総合研究所から邦訳が出ていたが、今月Pヴァインから復刊と相成った。
16年の”20周年版”をベースにした増補ヴァージョンで、装丁も変更されている。
THE VELVET UNDERGROUNDが登場した60年代半ばから、スティーヴ・ベイターやジョニー・サンダースやロブ・タイナーが世を去ってVELVET UNDERGROUNDが再結成した90年代前半まで…が、いわゆる”地の文”が一切ない、次々に登場する証言のみが連なる形で、約500ページにわたって語られる。
語っているのはルー・リードをはじめとするVELVET UNDERGROUNDのメンバー、イギー・ポップをはじめとするTHE STOOGES/IGGY AND THE STOOGESのメンバー、ウェイン・クレイマーをはじめとするMC5のメンバー、デイヴィッド・ジョハンセンをはじめとするNEW YORK DOLLSのメンバー、パティ・スミスと彼女のバンドのメンバー、リチャード・ロイドをはじめとするTELEVISIONのメンバー、ディー・ディー・ラモーンをはじめとするRAMONESのメンバー、デビー・ハリーをはじめとするBLONDIEのメンバー、ハンサム・ディック・マニトバをはじめとするTHE DICTATORSのメンバー、チーター・クロームをはじめとするDEAD BOYSのメンバー、リチャード・ヘルをはじめとするRICHARD HELL & THE VOIDOIDSのメンバー、ジョニー・ロットンをはじめとするSEX PISTOLSのメンバー、ジェイン・カウンティ、ジム・キャロル、ジェイムズ・チャンス、ミック・ファレン、またジェニア・レイヴァンなどのプロデューサーたち、そしてダニー・フィールズやリー・ブラック・チルダースやマルコム・マクラーレンといったディレクターやマネージャー連中、更にウィリアム・バロウズやレスター・バングスやロバータ・ベイリーやボブ・グルーエンなんかの作家・評論家・写真家たち、はたまたセイブル・スターやコニー・ラモーンやパメラ・デ・バレスやナンシー・スパンゲンといったグルーピーたちまで。
コレでもほんの一部に過ぎないのだ。
そして、登場するほとんどすべての人物が、とにかくとんでもないろくでなしばかり(!)。
本作の中でダニー・フィールズが繰り返す通り。
ルー・リード(かなりひどい)もイギー・ポップ(かなりひどい)もジョニー・サンダース(かなりひどい)も。
そしてそのダニーも、かわいい男の子とファックすることばかり考えている相当のろくでなしだったりする。
酒にドラッグにセックスに暴力…ホントにみんなひどい。
しかしそのひどい人たち(?)が、今日俺なんかが夢中になっているロックやパンクを作り上げたのだ。
そして本書は、単なるゴシップ本などでは決してない。
数多の証言の中には、パンクをはじめとする新しい何かが生まれ、その鮮烈なパフォーマンスが観る者を虜にした幾つもの瞬間も、克明に刻まれている。
読み始めると止まらず、どんどん読み進んでしまう。
メディア総研からの2007年版は現在入手困難になっていて、ネットではかなりの高値が付いているが、今や最新版を定価で買えるようになった。
07年版を持っている人も買い直す価値は大いにアリだろう。
今月3日より絶賛発売中。
(2025.12.31.全面改訂)