「図書委員の私が選んだ本が、本屋のフェアになっていた件。」

図書委員の私が選んだ本が、本屋のフェアになっていた件。.jpg先日母親から送られてきた新聞の切り抜きに載っていた、三省堂書店札幌店の選書フェア「図書委員の私が選んだ本が、本屋のフェアになっていた件。」。
三省堂書店の店頭で無料配布されている「フェア開催記念冊子」を入手することが出来た。
(画像は冊子ではなくフェアのポスター)

選書には我が母校・札幌月寒高校をはじめとして、札幌だけではなく北海道全体の19校から123人が参加している。
それら北海道の高校の図書委員が選んだ推薦図書のリストが、7ページ・約140点。
最近の作家ばっかりで、俺なんか読んだこともないようなのばっかりだったらどうしよう…と思いながらリストを眺めたんだけど、そんなことはなくて、古典と言えるようなのもけっこう載っていた。
フランツ・カフカ『変身』とか、ダニエル・キイス『アルジャーノンに花束を』とか、ジュール・ヴェルヌ『海底二万里』とか、俺が読んでたようなのも何冊か。
もちろん、著者名もタイトルも初めて見るようなのの方が多いのだが。

リスト自体は、三省堂書店のHPからPDFでDL出来るので、興味を持った方は是非ご覧あれ。

https://www.books-sanseido.co.jp/items/2545419

また、店頭でのフェアは8月10日まで開催されているそうなので、このブログを御覧の北海道民(って、何人いるのか見当も付かないけど)は足を運んでみるとよいと思います。
(フェア参加書店は三省堂書店だけでなく、岩見沢や登別なども含む計20店舗)


例えばディスクガイド本の類を何冊も持っているような人は、このブログを御覧の皆様の中にもたくさんいると思うんだけど。
(ってか俺自身がそうだ)
お勧めの本のリストとかも、同じようにワクワクするモノがあると思いませんかね。
「へー、今の高校生もクラークとか乱歩とか勧めてるのか」みたいな感想も出るかもです。

COURAGEOUS CAT CLUB VOLUME 8

COURAGEOUS CAT CLUB VOL.8.jpg7月6日(土)武蔵境STATTOの「RETURN OF THE LIVING DOLLS VOL.4」(https://lsdblog.seesaa.net/article/503571815.html)で配布されるファンジン・COURAGEOUS CAT CLUBが届きました。
最新号にして最終号。

表紙のジョニー・サンダース…し、白目(笑)。
いや…コレもまた”らしい”よね。

内容は、映画『LOOKING FOR JOHNNY』他の監督、ダニー・ガルシアのインタヴューに始まり。
KADOI THE HEARTBREAKによる『ジョニー・サンダース コンプリート・ワークス』(https://lsdblog.seesaa.net/article/202004article_11.html)制作裏話とか。
NARUZY SUICIDEによる、1998年10月にニューヨークで観たウォルター・ルアーの思い出とか。
ジョニーの88年8月ロンドンでのライヴ写真とか。
今回も、ジョニー/HEARTBREAKERS/NEW YORK DOLLS及びその周辺のファンにはたまらん作りとなっております。

コレは7月6日に、イヴェント来場者全員に配布されます。
そしてイヴェントもファンジンも、今回が最後になるとのこと。
惜しいが…まあ物事には始まりがあれば必ず終わりもあるということで。
多分HIROSHI THE GOLDEN ARMには、ルーティン的なイヴェントや内容の薄いペーパーになってしまう前に、きっぱり終わりにしようという考えがあったのだろう。
まあ、復活する可能性はゼロではないという。
(個人的には、COURAGEOUS CAT CLUBが13号まで続いたら、ジョー・アルコールも草葉の陰で喜ぶだろう…とか思ったり)

俺は現在7月6日の選曲をしていますが。
最後のイヴェントになるということで、選曲をやり直そうと思っている。

COURAGEOUS CAT CLUBも、当日会場に来ないと入手出来ません。
皆様、是非おいでください。

雨宮処凛『死なないノウハウ 独り身の「金欠」から「散骨」まで』

死なないノウハウ.jpg2月15日の発売直後に入手していたのだが、忙しくてちょっとずつしか読めずにいた。
昨日ようやく読了。

このブログを御覧の皆様の大半は、かつて”ミニスカ右翼”として一世を風靡した(?)雨宮処凛のことは御存知だろう。
現在は「反貧困ネットワーク」世話人として貧困問題に取り組むアクティヴィストとして知られる。
そんな雨宮処凛が、50歳を前にして、自分自身の今後の不安を解消するために集めた情報をまとめた1冊。

「お金」「仕事」「親の介護」「健康」「トラブル」「死」という6章立てで、それぞれの問題に対して困った時にどんな制度や団体を頼ればよいのか、あるいはどんな準備や心がまえをしておくべきなのか…についてまとめられている。
例えば親の介護に関してだと、手前味噌ながら俺自身が執筆・編集に関わった『介護の「困った」「知りたい」がわかる本』(https://lsdblog.seesaa.net/article/202206article_2.html)がかなり詳しいが、この本も第3章「親の介護」は約50ページで簡潔にわかりやすくいろいろなことが書かれていて、参考になること間違いなし。

一方で、「お金」のところを読んでも、「よし、いざとなったら生活保護だ」という気分にはなかなかなれないんだけど。
いろいろな制度などが紹介されているが、実際のところフリーランスで単身の俺にはあんまり関係ないのも多いかな、と思ったり。
それでも、250ページほどの新書の中に詰め込まれた様々な情報は、多くの人の役に立つはず。
とても読みやすいです。
俺自身、もうちょっと時間があったら多分一気に読めたはず。

俺も独り身のフリーランス、生活はいつもギリギリ以下。
もし大病で働けないなんてことになれば、人生は一気に詰む。
そんな時でも絶望しないためのあれこれが書いてある本。
このブログを御覧の皆様も、他人事ではないという人は少なくないはず。
(今現在に多少余裕があったとしても、転落はあっという間だったりするからね)
おススメです。

吉濱ツトム『イラストでわかる シーン別 発達障害の人にはこう見えている』

発達障害の人にはこう見えている.jpg少し前にこのブログで、3月に出ていた著書『隠れアスペルガーという才能(新装増補版)』(https://lsdblog.seesaa.net/article/499356383.html)を紹介した”発達障害カウンセラー”吉濱ツトムの最新刊。

『隠れアスペルガーという才能』は、著者自身が発達障害の当事者…という立ち位置から、発達障害をひとつの”才能”としてとらえる一方で、マイナスの症状を軽減するために食生活、果ては立つ姿勢や歩き方に至るまで解説されていたが。
こちら『イラストでわかる シーン別 発達障害の人にはこう見えている』は、タイトルからも想像出来る通り、定型発達(発達障害ではない)の人からの発達障害の人に対する理解を助けることを主眼とした本。
(当時者向けのアドヴァイスも少しある)

なので、『隠れアスペルガーという才能』が「俺ってひょっとして発達障害では…」という人向けだったのに対して、『イラストでわかる シーン別 発達障害の人にはこう見えている』は、家族や友人や同僚や部下などに発達障害の人、あるいは疑われる人がいる…というような人向け、と言える。
著者は『隠れアスペルガーという才能』で、”隠れアスペルガー”(ASD=自閉症スペクトラムのグレーゾーン)の人は日本人の20人に一人(!)程度なのでは…と書いていたが、本当にそうだとすると、このブログを読んでいる人の周りにも発達障害の当事者は少なくないはずで。
この本が役立つと感じる人は、意外と少なくないのでは。

”イラストでわかる””シーン別”とあるように、「職場」「日常生活」「恋愛・結婚」の様々なシーンで、周りの人が発達障害の人に対して感じる「?」を、”発達障害の人にはこう見えている”からこういう行動に出るんですよ…とわかりやすく解説。
イラストレーター/漫画家・ふじいまさこによるユルいテイストのイラストがまた笑える。
例えばあなたの周りにいるちょっと「?」な人が実際に診断が付くレベルの発達障害なのかどうかは別としても、それっぽい言動の人への対処には大いに参考になるはず。
俺の周りにもはっきり診断の付いてるADHDの人とか、ASDのグレーゾーンが疑われる人とか、ガチの自閉症とか、いろんな人がいるし。
発達障害じゃなくても”認知の歪み”を抱えてる人なんてざらにいるからね。

本日発売。

吉濱ツトム『隠れアスペルガーという才能(新装増補版)』

隠れアスペルガーという才能.jpg発達障害に関する本は2桁読んだ。
コレは3月に出た新刊。
(2016年に出ていた本の”新装増補版”だが)

著者の吉濱ツトムは”発達障害カウンセラー”として活動している人だが、自身がアスペルガー症候群(それも重度)の当事者で、アスペルガーの症状を自力で克服したという剛の者。
自身の体験をもとに、アスペルガー症候群、特にこの本では精神科などではっきりアスペルガーと診断されない”隠れアスペルガー”の人たちが生きやすくなる方法を説いている。

著者の私見として、隠れアスペルガーは日本人の20人に一人が当てはまるのではないか(!)とのこと。
一方、アスペルガーの症状は決して短所ばかりではなく、短所を克服して長所を伸ばすことが出来れば、必ず生きやすくなるという。
そして、隠れアスペルガーの人が直面する生きづらさの実例や、半面で隠れアスペルガーの人が持っている長所や魅力、アスペルガーの症状を克服するための具体的な方法などが説明されている。

その方法として一番目に挙げられているのが、認知療法でも行動療法でもなく、食生活の改善と運動による「肉体の強化」…ということに驚く人も多いかも知れない。
しかし実際に読んでみると、理にかなっていると思わされます。
ってか本当に20人に一人が隠れアスペルガーだとしたら、この本を読むべき人って凄く多いことになるよねえ。


俺自身、自分が発達障害ではないかと疑ったことが何度もある。
この手の本によく載っている(もちろんこの本にもある)”自己診断テスト”的なやつを試してみると、当てはまらなかったりするんだけど。
ただ、現在の自分自身ではなく、中学生時代の自分とか、15年前の自分とかに遡って考えると、「いや、あの頃は確かにこうだった…!」となったりも。
で、実際に近年の俺は糖質≒炭水化物少なめにしたり、睡眠をしっかりとるようにしたり、時々長時間歩いたり…という生活で、いろいろとかなり好調だったりする。
(ただし金はない)

アスペルガーかどうかは別としても、何らかの生きづらさを感じている人には、この手の本は意外とヒントになるかも知れません。
(大体、俺だけじゃなくて、周りにいるような、金にもならないバンドをずっと続けてる人とか、『L.A.M.F.』を何十枚も集めてる人とかも、思い当たるのでは…)

COURAGEOUS CAT CLUB vol.7

COURAGEOUS CAT CLUB vol.7.jpgHiroshi The Golden Arm(THE GOLDEN RAT)が制作している、ジョニー・サンダース・ファンの、ジョニー・サンダース・ファンによる、ジョニー・サンダース・ファンのためのファンジン。
昨年のVolume 6(このブログで紹介漏れたような気がする…)以来となる第7号。
(とはいえ今号はジョニーの話題少な目だけど…)
先日の「MUSASHINO PUNKS NOT DEAD!!!〜JOHNNY THUNDERS MEMORIAL GIG!!!〜」@武蔵境STATTOから発売となっていたが、紹介遅れた。
ごく少数部数のため、もう残部僅少かも。


表紙からもおわかりの通り、今回はシド・ヴィシャスのお話が中心。
映画『ナイトクラビング:マクシズ・カンザス・シティ』公開決定に合わせて、一昨年の第4号(https://lsdblog.seesaa.net/article/202112article_25.html)以来となる、NEW YORK DOLLSファンクラブ会長・赤羽貞明氏のインタヴューをフィーチュア。
シド生前最後のライヴを観た(しかも撮影もしていた!)という赤羽氏ならではの濃い思い出話が読めます。
(珍しい写真もいっぱい。なんと、MAX'S KANSAS CITYのメニューまで載っている)


他に、KADOI THE HEARTBREAK氏による初ジョニー・サンダース体験のお話とか。
Mr.RATBOYによるベベ・ビュエルの思い出とか。
(べべのアルバム『RETROSEXUAL』に関わっていたのか。あとでクレジットを確認しよう)


不定期刊行ながら、今後もHiroshi The Golden Armが生きている限りは続けてほしいファンジンです。
あとイヴェント「RETURN OF THE LIVING DOLLS」も。

『ブラック・メタル サタニック・カルトの30年史』

画像3~4年くらい前、このブログで紹介する新譜がなんかやたらブラック・メタルばっかりという時期があった。
(正直言ってその頃は精神も生活もかなり荒んでた)
その頃よく読んでいたのが、2008年に翻訳版が出た『ブラック・メタルの血塗られた歴史』。
(原書は1998年。その後03年に新版が出ていて、翻訳版はそちらを日本語化したモノ)

その後もブラック・メタルに関する書籍は幾つか出版されていたが。
最新の1冊がコレ。
それがまたすげえ。
(そしてこんな本を紹介するのがよりによってクリスマス・イヴだという…)

原題は“BLACK METAL EVOLUTION OF THE CULT”。
著者はMETAL HAMMERやRECORD COLLECTORやTERRORIZERなんかに寄稿しているというライター、ダイヤル・パターソン。
翻訳は『ブラック・メタルの血塗られた歴史』と同じ島田陽子。
そして日本語版の監修を、SIGHのリーダーであるあの川嶋未来が担当している。

数字が振られているページは494ページあるが。
しかし巻頭、ページ数が振られていない図版だけでも30ページ以上あって。
白黒・カラー取り混ぜたそれらの写真を眺めているだけでもめまいがしてくる。

本文は全50章から成る。
第1章がBLACK SABBATHを中心に、70年代までの“源流”あるいは遠い祖先について。
(MOTORHEADについても触れている)
第2章がVENOMで第3章がMERCYFUL FATE。
…で、MAYHEMが第15章でBURZUMが第22章。
それだけでも、この本がどれだけ包括的に幅広くブラック・メタルを紹介しているかはわかると思う。
終盤はインダストリアル・ブラック・メタルとかポスト・ブラック・メタルとかで、更に変化しロック・シーンに憚り続けるであろうブラック・メタルの今後を示唆するような作り。

興味深いのは、ダイヤル・パターソンが登場するほとんどのバンドやメンバーに対してインタヴューして、それに基づいて構成されているという点で。
なのでVENOMにしてもMERCYFUL FATEにしてもCELTIC FROSTにしても、クロノスやキング・ダイアモンドやトマス・フィッシャー本人たちの発言が、引用とかじゃない生々しさで読める。
もちろんBURZUMも。
(まあBATHORYのクォーソンをはじめとして、あの世に逝ってしまってもう話が聞けない人も多いとはいえ)

まだ最初の数章しか読み込んでなくて、あとはパラパラやっただけなんで、精読はまだまだこれからだけど。
ともあれ相当面白く読めるだろう。


『ブラック・メタル サタニック・カルトの30年史』、15日より発売中。
あと今日はレミーの誕生日だね!
(レミーはブラック・メタルとか大嫌いだったはずだけど)


(2025.3.12.改訂)

『マンガ 世界を操る秘密結社に潜入! フリーメイスンの謎と正体』

画像コレ、2月末に出てすぐ入手してた本なんだけど。
最近になってようやく読んだのだ。
無理矢理“今日の新刊”枠で紹介。

タイトルから「あ~」とか思う人も多いかも知れないが。
まあいわゆる“トンデモ本”と思っても間違いない。
タイトル通り、漫画とテキストでフリーメイスン(一般に“フリーメーソン”“フリーメイソン”と表記されていることが多いけど、発音としては“フリーメイスン”が近いと思う)の謎に迫らんとする1冊。

冒頭、フリーメイスンのバーベキューパーティーに参加したことがあるという有名なオカルト研究家・山口敏太郎(十四代目トイレの花子さんの所属事務所の社長でもある)へのインタヴューを漫画化していて。
そこではフリーメイスンについて“お金持ちの仲良しクラブ”と語られているんだけど。
本編を読み進めて行くと、まあ出てくる出てくる陰謀論のオンパレード。
”フリーメイスンは〇〇しているとされる”みたいな言説が繰り返し出てくるんだが、何を以てその根拠としているのかよくわからないところが多い。
“東京スカイツリーもフリーメイスンを象徴する建物だ”とか。
ヒトラーのことを“ユダヤ人を中心とするフリーメイスンの世界支配を阻止しようとする反逆者であった”とか。
薩長同盟を成立させたのはフリーメイスンの一員だったトーマス・グラバーで、坂本龍馬は“その小間使いに過ぎなかった”とか。
フリーメイスンが気象兵器を用いているとして“もはや天変地異さえも思いのままに操るフリーメイスン”とか。
THE BEATLESの成功を“もちろん、メイスンのサポートがあったからこそである”とか。
「それ、断定的な口調で書いちゃってるけどいいの?」と思わざるを得ない部分がかなり多い。
(“~”はすべて本文からの引用)
大体、この本にある通り、本当にフリーメイスンが組織内部で政治や宗教を語ることをタブーにしているというのなら、アメリカ大統領選に関わっているとか戦争を引き起こしているというのはあり得ないことになるはずではと…。

…とはいえ、信頼に足る部分や興味深い部分が多いのも確か。
(部分的にはね)
記録やデータに基づいて、誰それが何年何月にフリーメイスンに加入したとか、何処そこにフリーメイスンのシンボルマークが刻まれているとか、客観的な事実もいろいろと記されている。
俺は元々フリーメイスンのことはあんまりよく知らなくて、その上部組織のように言われている“イルミナティ”についても全然知らなかったんだけど、この本を読むとイルミナティの成り立ちやフリーメイスンとの関係も理解することが出来る。
そういった確かな情報を元にして、自分なりにフリーメイスンに対する考察を進める上で、十分参考になる本だとは思う。
個人的には、公式HPもちゃんとあって、そこで“秘密結社ではなく秘密のある結社”みたいなことを公言している団体が、まさか世界を操る陰謀集団ってこたあないだろうとか思うんだが、それはあくまで俺の印象として。

それにしても、日本のフリーメイスンが厚生労働省の認可を受けた多くの慈善団体を運営しているとはね。
(検索してみたら、みんな知ってるアレもコレもそうだったとは…)
ともあれ、センセーショナリズムも含めてこの本を楽しく読める人は多いだろうし、とっかかりとしては面白い1冊だと思います。


追記:
この頃から漫画原作の仕事をするようになっていて、コレはその資料のひとつだった。

(2025.2.14.)

「フリーペーパーココカラ」

画像俺は埼玉県民だからまあ当然なんだけど、都内にこのようなフリーペーパーがあるのを全然知りませんでした。
五反田、目黒、恵比寿、代官山、中目黒、学芸大学、広尾、白金、西小山、武蔵小山、戸越、中延、不動前…“ざっくりそのへん”で4万部配布してるんだそうで。
新しいことや面白いことを発信していくフリーペーパー。
コレがなかなか面白い。

偶数月の20日に発行ということなんで、画像の最新号は4月20日から配布中か。
巻頭は、あの有名な“缶詰博士”黒川勇人氏が紹介する缶詰のディープな世界(の入門編)。
この人の記事は新聞の連載とかでも読んでたけど、その濃密な缶詰愛には圧倒されるばかりですな。
俺自身はそんなにしょっちゅう缶詰ばかり食ってるワケじゃないが(最近はトマト煮とかも缶詰じゃなくて紙パックのを使うように…)、でも焼き鳥の缶詰で酒を飲んだり、缶詰を料理の材料に使ったりはけっこうしてる。
震災以降の今では保存食としても見直されているし、缶詰興味深い、と改めて思う人も多いのでは。

他にも、浮世絵の世界にダイヴする連載とか。
都内のカレー屋を紹介する連載とか。
更に、いしかわじゅんと陸奥A子が漫画を連載していたりも。
バックナンバーも入手したんだが、そちらでは映画や音楽なんかの記事もあり。
(バックナンバーはKindleで読めるそうで)
表紙も号によって写真だったりイラストだったりだけど、イラストレーターも個性的な人たちが参加している。
それを、編集長さん(コレ、お会いして直接いただいた。とっても美人さんでした)が一生懸命冊子にしていると。

フリーペーパーって…コレ、広告収入だけで4万部作ってんのかあ。
すげえなあ。
商売柄、俺もいろいろな編集さんと仕事しているが。
校了前に編集部に泊まり込んでたりする話を聞いたりすると、絶対ライターより編集さんの方が大変な仕事だと思うよ。
俺は文章は書けるけど、本は作れないもんな。

お店だけじゃなくて駅にも置いてたりするそうなんで、上に挙げた地域の皆様は外を歩いてる時にちょっとキョロキョロしてみてはどうでしょう。
何しろ無料だからな!
広告主も
http://cocokala.jp
で募集中とのこと。


(2025.1.17.改訂)

長谷川修平『モーターヘッドのレミーが遺したもの』

画像昨日紹介した『メタルファッションを読み解く:NWOBHM、LAメタル、BIG4、BABYMETALを追って』と同時に配信開始となった、ヘヴィ・メタル文化(そしてMOTORHEAD/レミー)研究者・長谷川修平の電子書籍。
タイトルの通り、一周忌が過ぎたレミーのレガシーについて考察する1冊。

本編は五つの章から成り、
1.レミー流自分らしさを追求する生き方
2.レミーの誠実さ:男女平等の視点と自由で平等な仲間意識
3.レミーの愛器:唯一無二のベーシストが遺したもの
4.レミー流ファッション
5.ワーゼルとフィルシー・アニマル・テイラー
という構成。
本編の前に序文と、レミーの生涯を簡単に紹介した序章が、そして本編の後には終章がある。

第1章は、レミーのモットーであった“Born To Lose/Live To Win”をキーワードに、最後まで自分らしさを曲げずに貫き通したレミーの生き様を改めて分析している。
第2章では、レミーがファンや若いバンド、女性たち、バンドのクルーなど、どんな相手に対しても分け隔てなく公平に接し、リスペクトを忘れなかった誠実な姿勢について、例を挙げながら検証して行く。
第3章は、レミーの使用機材についての考察で、ベースだけではなくアンプ、更にピックアップやマイク・スタンド、そしてもちろんあの特異な奏法についても語られる。
第4章はレミーのファッションについてで、コレは『メタルファッションを読み解く:NWOBHM、LAメタル、BIG4、BABYMETALを追って』と重複するが、衣服だけでなくアルバムのアート・ワークなどにも言及。
そして第5章では番外編的に、レミーよりも先にこの世を去ったMOTORHEADのメンバー、“ワーゼル”ことマイケル・バーストンとフィル“フィルシー・アニマル”テイラーについて改めて紹介し、フィル・キャンベルやミッキー・ディーら残されたメンバーや元メンバーたちのその後にも触れている。

長谷川修平は渡英の経験も多く、実際にレミーと親交があった人物で、彼の語るレミー像は非常に詳細であり、かつ愛情に満ちたモノとなっている。
一部の音楽誌などでは2015年のMOTORHEAD最後の来日ライヴについてその内容を酷評する(?)記事も見られたが。
それが公平なモノの見方であったとしても…MOTORHEAD/レミーのファンであれば、晩年のレミーのプレイについて英国のファンの声を紹介しながら、年老いて衰えたレミーが“それでもプレイした”ことに対する惜しみないリスペクトを表明する長谷川の言葉に、深く共感する人は多いはず。

少なくともMOTORHEAD/レミーのファンには必読の1冊。
グループ・ゼロより発売中。
もちろんAmazonなどで入手出来ます。
そしてコレも100円!


(2024.12.27.改訂)