長谷川修平『モーターヘッド伝説』

画像ヘヴィ・メタル文化論の研究者として電子書籍を発表し続けてきた長谷川修平、約2年ぶりに近い新刊。
このブログでも紹介した前作『モーターヘッドのレミーが残したもの』(https://lsdblog.seesaa.net/article/201702article_4.html)に続き、今回はMOTORHEADのアルバムを詳細に解説した1冊。

日本の音楽誌などでMOTORHEADの特集が組まれる際によく掲載される、2~数ページ程度のディスコグラフィに常日頃異を唱え続けていた長谷川修平。
曰く、アルバム1枚に1ページを費やすぐらいでなければ、と。
(これまでにそんな記事を載せたことがあるのは「CLASSIC ROCK MAGAZINE」ぐらいだろう)
その信念に従い、MOTORHEADの全オリジナル・アルバム(+α)を約5万字使って語り下ろしている。

90年代に入る頃からMOTORHEADを聴き始め、リアルタイムで接し続けた最終ラインナップのMOTORHEADに強い思い入れを持つ長谷川修平。
(実際、彼は何度も渡英してMOTORHEADのライヴに“接して”おり、生前のレミーとも親交があった)
その分最初期にはあまり思い入れがないようで(?)、ラリー・ウォリスが“ラリー・ウォレス”、ルーカス・フォックスが“ルーカス・オックス”と誤記されていたりもするが、ともあれ1977年に『MOTORHEAD』で“正式に”デビューを飾って以降のMOTORHEADについては非常に詳細に濃密に語られている。
各アルバム毎の音楽性・楽曲だけでなく、音作りや奏法、歌詞、そしてアートワークなどについてもよく掘り下げてある。
RAMONESほどではないにしろ、暴走R&Rの一言で一括りにされがちなMOTORHEADのアルバム群が、実は作品毎に様々な相違、あるいは試みに満ちていて、その上でロックに、そして世界に対峙する姿勢自体は終始一貫していたMOTORHEAD/レミーの姿が、読むほどに浮き彫りになる1冊。

10日発売。
Amazonでも買えます。


で、この電子書籍が発売される明日10日(月)開催の「モーターヘッドの全アルバムを語る!」@新宿ROCK CAFE LOFT。
長谷川修平くんも出演です。
出演者の中では行川和彦さんよりも俺よりも、間違いなく長谷川くんが一番MOTORHEADに詳しい。
皆様、是非お越し下さい。


(2025.7.7.改訂)

『ブラック・メタル サタニック・カルトの30年史』

画像3~4年くらい前、このブログで紹介する新譜がなんかやたらブラック・メタルばっかりという時期があった。
(正直言ってその頃は精神も生活もかなり荒んでた)
その頃よく読んでいたのが、2008年に翻訳版が出た『ブラック・メタルの血塗られた歴史』。
(原書は1998年。その後03年に新版が出ていて、翻訳版はそちらを日本語化したモノ)

その後もブラック・メタルに関する書籍は幾つか出版されていたが。
最新の1冊がコレ。
それがまたすげえ。
(そしてこんな本を紹介するのがよりによってクリスマス・イヴだという…)

原題は“BLACK METAL EVOLUTION OF THE CULT”。
著者はMETAL HAMMERやRECORD COLLECTORやTERRORIZERなんかに寄稿しているというライター、ダイヤル・パターソン。
翻訳は『ブラック・メタルの血塗られた歴史』と同じ島田陽子。
そして日本語版の監修を、SIGHのリーダーであるあの川嶋未来が担当している。

数字が振られているページは494ページあるが。
しかし巻頭、ページ数が振られていない図版だけでも30ページ以上あって。
白黒・カラー取り混ぜたそれらの写真を眺めているだけでもめまいがしてくる。

本文は全50章から成る。
第1章がBLACK SABBATHを中心に、70年代までの“源流”あるいは遠い祖先について。
(MOTORHEADについても触れている)
第2章がVENOMで第3章がMERCYFUL FATE。
…で、MAYHEMが第15章でBURZUMが第22章。
それだけでも、この本がどれだけ包括的に幅広くブラック・メタルを紹介しているかはわかると思う。
終盤はインダストリアル・ブラック・メタルとかポスト・ブラック・メタルとかで、更に変化しロック・シーンに憚り続けるであろうブラック・メタルの今後を示唆するような作り。

興味深いのは、ダイヤル・パターソンが登場するほとんどのバンドやメンバーに対してインタヴューして、それに基づいて構成されているという点で。
なのでVENOMにしてもMERCYFUL FATEにしてもCELTIC FROSTにしても、クロノスやキング・ダイアモンドやトマス・フィッシャー本人たちの発言が、引用とかじゃない生々しさで読める。
もちろんBURZUMも。
(まあBATHORYのクォーソンをはじめとして、あの世に逝ってしまってもう話が聞けない人も多いとはいえ)

まだ最初の数章しか読み込んでなくて、あとはパラパラやっただけなんで、精読はまだまだこれからだけど。
ともあれ相当面白く読めるだろう。


『ブラック・メタル サタニック・カルトの30年史』、15日より発売中。
あと今日はレミーの誕生日だね!
(レミーはブラック・メタルとか大嫌いだったはずだけど)


(2025.3.12.改訂)

『マンガ 世界を操る秘密結社に潜入! フリーメイスンの謎と正体』

画像コレ、2月末に出てすぐ入手してた本なんだけど。
最近になってようやく読んだのだ。
無理矢理“今日の新刊”枠で紹介。

タイトルから「あ~」とか思う人も多いかも知れないが。
まあいわゆる“トンデモ本”と思っても間違いない。
タイトル通り、漫画とテキストでフリーメイスン(一般に“フリーメーソン”“フリーメイソン”と表記されていることが多いけど、発音としては“フリーメイスン”が近いと思う)の謎に迫らんとする1冊。

冒頭、フリーメイスンのバーベキューパーティーに参加したことがあるという有名なオカルト研究家・山口敏太郎(十四代目トイレの花子さんの所属事務所の社長でもある)へのインタヴューを漫画化していて。
そこではフリーメイスンについて“お金持ちの仲良しクラブ”と語られているんだけど。
本編を読み進めて行くと、まあ出てくる出てくる陰謀論のオンパレード。
”フリーメイスンは〇〇しているとされる”みたいな言説が繰り返し出てくるんだが、何を以てその根拠としているのかよくわからないところが多い。
“東京スカイツリーもフリーメイスンを象徴する建物だ”とか。
ヒトラーのことを“ユダヤ人を中心とするフリーメイスンの世界支配を阻止しようとする反逆者であった”とか。
薩長同盟を成立させたのはフリーメイスンの一員だったトーマス・グラバーで、坂本龍馬は“その小間使いに過ぎなかった”とか。
フリーメイスンが気象兵器を用いているとして“もはや天変地異さえも思いのままに操るフリーメイスン”とか。
THE BEATLESの成功を“もちろん、メイスンのサポートがあったからこそである”とか。
「それ、断定的な口調で書いちゃってるけどいいの?」と思わざるを得ない部分がかなり多い。
(“~”はすべて本文からの引用)
大体、この本にある通り、本当にフリーメイスンが組織内部で政治や宗教を語ることをタブーにしているというのなら、アメリカ大統領選に関わっているとか戦争を引き起こしているというのはあり得ないことになるはずではと…。

…とはいえ、信頼に足る部分や興味深い部分が多いのも確か。
(部分的にはね)
記録やデータに基づいて、誰それが何年何月にフリーメイスンに加入したとか、何処そこにフリーメイスンのシンボルマークが刻まれているとか、客観的な事実もいろいろと記されている。
俺は元々フリーメイスンのことはあんまりよく知らなくて、その上部組織のように言われている“イルミナティ”についても全然知らなかったんだけど、この本を読むとイルミナティの成り立ちやフリーメイスンとの関係も理解することが出来る。
そういった確かな情報を元にして、自分なりにフリーメイスンに対する考察を進める上で、十分参考になる本だとは思う。
個人的には、公式HPもちゃんとあって、そこで“秘密結社ではなく秘密のある結社”みたいなことを公言している団体が、まさか世界を操る陰謀集団ってこたあないだろうとか思うんだが、それはあくまで俺の印象として。

それにしても、日本のフリーメイスンが厚生労働省の認可を受けた多くの慈善団体を運営しているとはね。
(検索してみたら、みんな知ってるアレもコレもそうだったとは…)
ともあれ、センセーショナリズムも含めてこの本を楽しく読める人は多いだろうし、とっかかりとしては面白い1冊だと思います。


追記:
この頃から漫画原作の仕事をするようになっていて、コレはその資料のひとつだった。

(2025.2.14.)

「フリーペーパーココカラ」

画像俺は埼玉県民だからまあ当然なんだけど、都内にこのようなフリーペーパーがあるのを全然知りませんでした。
五反田、目黒、恵比寿、代官山、中目黒、学芸大学、広尾、白金、西小山、武蔵小山、戸越、中延、不動前…“ざっくりそのへん”で4万部配布してるんだそうで。
新しいことや面白いことを発信していくフリーペーパー。
コレがなかなか面白い。

偶数月の20日に発行ということなんで、画像の最新号は4月20日から配布中か。
巻頭は、あの有名な“缶詰博士”黒川勇人氏が紹介する缶詰のディープな世界(の入門編)。
この人の記事は新聞の連載とかでも読んでたけど、その濃密な缶詰愛には圧倒されるばかりですな。
俺自身はそんなにしょっちゅう缶詰ばかり食ってるワケじゃないが(最近はトマト煮とかも缶詰じゃなくて紙パックのを使うように…)、でも焼き鳥の缶詰で酒を飲んだり、缶詰を料理の材料に使ったりはけっこうしてる。
震災以降の今では保存食としても見直されているし、缶詰興味深い、と改めて思う人も多いのでは。

他にも、浮世絵の世界にダイヴする連載とか。
都内のカレー屋を紹介する連載とか。
更に、いしかわじゅんと陸奥A子が漫画を連載していたりも。
バックナンバーも入手したんだが、そちらでは映画や音楽なんかの記事もあり。
(バックナンバーはKindleで読めるそうで)
表紙も号によって写真だったりイラストだったりだけど、イラストレーターも個性的な人たちが参加している。
それを、編集長さん(コレ、お会いして直接いただいた。とっても美人さんでした)が一生懸命冊子にしていると。

フリーペーパーって…コレ、広告収入だけで4万部作ってんのかあ。
すげえなあ。
商売柄、俺もいろいろな編集さんと仕事しているが。
校了前に編集部に泊まり込んでたりする話を聞いたりすると、絶対ライターより編集さんの方が大変な仕事だと思うよ。
俺は文章は書けるけど、本は作れないもんな。

お店だけじゃなくて駅にも置いてたりするそうなんで、上に挙げた地域の皆様は外を歩いてる時にちょっとキョロキョロしてみてはどうでしょう。
何しろ無料だからな!
広告主も
http://cocokala.jp
で募集中とのこと。


(2025.1.17.改訂)

長谷川修平『モーターヘッドのレミーが遺したもの』

画像昨日紹介した『メタルファッションを読み解く:NWOBHM、LAメタル、BIG4、BABYMETALを追って』と同時に配信開始となった、ヘヴィ・メタル文化(そしてMOTORHEAD/レミー)研究者・長谷川修平の電子書籍。
タイトルの通り、一周忌が過ぎたレミーのレガシーについて考察する1冊。

本編は五つの章から成り、
1.レミー流自分らしさを追求する生き方
2.レミーの誠実さ:男女平等の視点と自由で平等な仲間意識
3.レミーの愛器:唯一無二のベーシストが遺したもの
4.レミー流ファッション
5.ワーゼルとフィルシー・アニマル・テイラー
という構成。
本編の前に序文と、レミーの生涯を簡単に紹介した序章が、そして本編の後には終章がある。

第1章は、レミーのモットーであった“Born To Lose/Live To Win”をキーワードに、最後まで自分らしさを曲げずに貫き通したレミーの生き様を改めて分析している。
第2章では、レミーがファンや若いバンド、女性たち、バンドのクルーなど、どんな相手に対しても分け隔てなく公平に接し、リスペクトを忘れなかった誠実な姿勢について、例を挙げながら検証して行く。
第3章は、レミーの使用機材についての考察で、ベースだけではなくアンプ、更にピックアップやマイク・スタンド、そしてもちろんあの特異な奏法についても語られる。
第4章はレミーのファッションについてで、コレは『メタルファッションを読み解く:NWOBHM、LAメタル、BIG4、BABYMETALを追って』と重複するが、衣服だけでなくアルバムのアート・ワークなどにも言及。
そして第5章では番外編的に、レミーよりも先にこの世を去ったMOTORHEADのメンバー、“ワーゼル”ことマイケル・バーストンとフィル“フィルシー・アニマル”テイラーについて改めて紹介し、フィル・キャンベルやミッキー・ディーら残されたメンバーや元メンバーたちのその後にも触れている。

長谷川修平は渡英の経験も多く、実際にレミーと親交があった人物で、彼の語るレミー像は非常に詳細であり、かつ愛情に満ちたモノとなっている。
一部の音楽誌などでは2015年のMOTORHEAD最後の来日ライヴについてその内容を酷評する(?)記事も見られたが。
それが公平なモノの見方であったとしても…MOTORHEAD/レミーのファンであれば、晩年のレミーのプレイについて英国のファンの声を紹介しながら、年老いて衰えたレミーが“それでもプレイした”ことに対する惜しみないリスペクトを表明する長谷川の言葉に、深く共感する人は多いはず。

少なくともMOTORHEAD/レミーのファンには必読の1冊。
グループ・ゼロより発売中。
もちろんAmazonなどで入手出来ます。
そしてコレも100円!


(2024.12.27.改訂)

長谷川修平『メタルファッションを読み解く:NWOBHM、LAメタル、BIG4、BABYMETALを追って』

画像これまでにも紹介してきたへヴィ・メタル文化研究者:長谷川修平の新刊(電子書籍)。
タイトルの通り、New Wave Of British Heavy MetalからBABYMETAL(!)に至るメタル・ファッションの、時代毎の流れやその特徴、意味合いなどを考察した1冊。

まずNWOBHM、LAメタル、スラッシュ・メタル、それ以後(現在に至る細分化)…と、ムーヴメント毎にへヴィ・メタルのファッションを取り上げ、それらの特徴や背景を分析する。
METALLICAといえば(METALLICAに限らずスラッシュ・メタルには多かった)ピッタリしたスリムジーンズがよく特徴として挙げられるが、本書では早世したクリフ・バートン(ベース)が愛用していたベルボトムに着目し、サンフランシスコ出身のMETALLICAにヒッピーの遺伝子を見る、と指摘している。

以後の章では具体的なミュージシャン/バンドのファッションを分析して行くが、本書では“ギタリスト編”と“バンド編”に分けているのがユニーク。
ギタリストとしてはスラッシュ、ザック・ワイルド、ケリー・キング、イングヴェイ・マルムスティーン、マイケル・シェンカー、ビリー・ギボンズ。
バンド(及びギタリスト以外のメンバー)の方ではKISS、ロブ・ハルフォード、レミー、MOTLEY CRUE、METALLICA、PANTERA、BABYMETALとなっている。

ギタリスト編では、ギターを衣装の一部と捉え、各ギタリストの衣服以上に何処のメーカーのどのようなギターでどんなカラーリングでいかなるカスタマイズが施されているか、ということを詳細に語っている。
ここはかつてギタリストとして活動していた長谷川修平の面目躍如だろう。
そして、いわゆるギター・ヒーロー連中に混じって、ZZ TOPのビリー・ギボンズが取り上げられていることに注目したい。
70年代初頭から活動しながら、ハットにサングラスにヒゲという戯画化されたテキサス男のキャラクターを誇張することによってMTV時代の波に乗りヒットを飛ばしたZZ TOP…ビリーは確かに(へヴィ・メタルに留まらない)アメリカン・ロックのファッション面でのアイコンの一人で、彼を取り上げた視点は鋭いと思う。

バンド編では、やはりロブ・ハルフォードとBABYMETALに注目だろうか。
メタル・ファッションの基盤となったJUDAS PRIEST。
ロブがゲイであり、SMショップで購入された衣装がその後メタル・ファッションのスタンダードになって行ったことは広く知られているが、本書ではそのあたりについても改めて説明されると共に、メタル・ファンやLGBTを含むマイノリティを擁護しエスタブリッシュメントにへつらうことのないロブの人間性にも迫っている。

そしてBABYMETAL。
メタル・ファッションのスタンダードである黒と赤を基調にしながらアイドル的なかわいらしさと両立させ。
一方でマッチョイズム中心なへヴィ・メタルの世界で女の子3人が踊る。
長谷川修平はそれを一種の伝統破壊と見なし、彼女たちを革新者として評価している。

…といったあれこれは本書のほんの一部に過ぎず。
他にも読み応えのある文章が詰まっている。
これだけの内容で100円は超リーズナブルだと思う。
少なくともへヴィ・メタルが好きなら読んで損なし。


グループ・ゼロより配信中。
Amazonとかで買えます。


(2024.12.27.改訂)

『マンガでわかる! 雑談力~トレーニングで話はうまくなる』

画像4月に出た本だから、ギリギリ“新刊”って感じだが。
えっ、現時点で第3刷?
けっこう売れてんのね…。

漫画は好きですが。
この手の「マンガで読む○○」みたいなのは、全然読んだことない。
子供の頃に“学習漫画”とか読んだぐらい。
(学研『恐竜のひみつ』とかそういうの)
コレはとある仕事に絡んで、ちょっと資料みたいな感じで入手したんだけど。
『マンガでわかる! 雑談力~トレーニングで話は上手くなる』。
監修は(株)櫻井弘 話し方研究所代表・櫻井弘。
作画はナツモリ。

いや…わかりやすいし面白いじゃんコレ。
なるほどねえ。

主人公は入社3年目のCA・中川美羽。
コミュニケーション能力に少々難があり、最近仕事についても悩んでいる。
そんな美羽が趣味のボルダリングをやっている時に青年・浅野巧(忠臣蔵か!)と出会い、浅野のアドヴァイスで“雑談力”を磨くことによって人間としても大きく成長していく…みたいな話。

基本中の基本である挨拶に始まり、よく見たり聞いたりする“5W2H”とかのキーワードを絡めて、漫画と文章で雑談(ひいてはコミュニケーション全般)のコツを解説。
やっぱり漫画を通してだとスッと入ってきやすいですね。
少女漫画特有な感じのコマ割りは、時々けっこう読みづらかったりもするけど。
(あと登場人物がみんな九頭身ぐらいで違和感…)

こういう“マンガで読む○○”的なのって、読んだことないから知らないけど今は相当な数が出てるんだろうし、これまた読んだことないから知らないけど数が出てるからには相当な玉石混交の状態じゃないかと思うんだが。
他と比較したワケじゃないからあんまりいろいろ言えないものの、コレは漫画としても面白く出来てるし、解説文のパートもわかりやすくまとめられてるんで、けっこう良い本じゃないかしら。

俺なんかインタヴュアーなんてやってるくせにかなりコミュ障な方だと思うんで(インタヴューは事前に質問作って流れを考えて会話するから、普段の会話とはまたちょっと違う)、コレ読んで勉強しましょうかね。


…あれっ、学研の“ひみつシリーズ”ってまだあるんだ?
『恐竜のひみつ』と『宇宙のひみつ』はボロボロになるまで読んだっけなー。


追記:
実は初めて漫画原作の仕事をオファーされたのがこの頃で。
「ところで漫画原作ってどうやるんですか?」ということで、参考として入手したのがコレだった。

(2024.12.1.)

BURRN! 2016年7月号

BURRN! 2016年7月号.jpg3月号のレミー追悼特集で、久しぶりにBURRN!を買ったのだったが。
それから4ヵ月。

別府伸朗氏の新連載が!
びっくりしました。

埼玉県内でも限りなく群馬県に近い深谷市。
その深谷の深奥部、携帯の電波が届かない秘境に住むと噂されるアンダーグラウンドの守護神にしてベルボトムの芋男爵・別府伸朗氏があのBURRN!で連載を?
(ひどいこと書いてんなー。でも一部事実です)

別府伸朗氏といえばJURASSIC JADEのDVDにも出演(?)していたぐらいで、メタル界全般に精通しつつ、特に日本のメタル系に関しては他の追随を許さぬ知識と人脈と経験の持ち主。
それも彼が、かのシーンにずっと身を置き続けてきたからこそ。
(深谷の秘境・別府メタル御殿には、数千着とも言われるメタルTシャツが眠っているという…←だからやめろってのその川口探検隊風は)

さて、そんな新連載“逆襲の火航田!”。
日本のメタルやその周辺について書いて行くらしい。
で、記念すべき1回目のネタが…SALEM。
CHURCH OF MISERYの三上達人(ベース)がやってたバンド?
…知らんがな。
BURRN!の読者も、どれだけの人が反応したのでありましょうか?
今後も重箱の隅をつつくような、めくるめくジャパメタまん毛…じゃなかった万華鏡が展開して行くのでしょうか。
興味は尽きない。

末永く続く連載になってほしいですね。
ライターとして活躍する一方、DJとしても俺なんかとは比較にならないレベルであちこち飛び回っている別府伸朗氏だが、俺と違って素顔は真面目な常識人なので、愛される連載になるのでは。
もうひとつ俺と違うのは、イヴェント帰りの電車で眠り込んで深谷を通り過ぎて本庄や高崎まで行ってしまうところか。
(俺も昔は“乗り越しよしはる”と呼ばれたけど、トシをとるとそういうことは少なくなるのであった)


別府伸朗氏の話だけになったが…他の記事はこれからゆっくり目を通しますわ。
BABYMETALは載ってないのか?


追記:
その後6年を経ても、別府伸朗氏の勢いは鈍ることなく、”逆襲の火航田!”は長期連載となっている。

(2022.6.13.)


追記2:
”逆襲の火航田”、2024年8月、遂に終了。
8年間の長期連載であった。
お疲れ様でした。

(2024.11.18.)

『モーターヘッド/レミー・キルミスター自伝/ホワイト・ライン・フィーヴァー』

WHITE LINE FEVER.jpg8日に発売されていたブツ。
我らがレミー大統領の自伝。
さっき読了。

原書で繰り返し読んだブツだが。
何しろ原書は当然全部英語。
内容の半分だってちゃんと理解していたとは言えない。
それが日本語訳で読める日が来るとは。
(原書の刊行から実に13年近く経ってしまっているとはいえ)
愉快なエピソード(そうでないのもある)の数々が、全部日本語で読めてしまうのである。

もちろん、MOTORHEADの話だけじゃない。
幼少時代から50年代のR&R体験、60年代のビート・バンド時代、そしてHAWKWINDの話もたんまりと。
歴代メンバーとの蜜月と諍いも、オンナ関係もドラッグも包み隠さず。
(バロウズ同様、元ジャンキーならではの個人的な体験に基づいたドラッグ論が展開される。それが一般的/科学的に正しいかどうかは別として)

まあ何しろ波乱万丈の人生。
爆音とトラブルを携えて世界を駆け巡る男。
そんなレミーの語るエピソードが面白くないはずがない。
訳文の口調がちゃんと“レミーしている”から、本当にリアルなレミーの語り口を存分に楽しむことが出来る。

野卑でワイルドなロックンローラーのようでいて、実のところ芯の通った考え方を持つ、極めて頭のいい男であり。
いかにも英国的なユーモアのセンスの持ち主でもあり。
しかもその視点はかなり冷静にして公平だ。
レミーと活動を共にしたミュージシャンのうち、少なからぬ人たちが口を極めて罵られているが、ボロクソに言われているニック・ターナー(元HAWKWIND)やブライアン・ロバートソン(MOTORHEAD3代目ギタリスト)でさえ、良いところは躊躇なく称賛している。
実にフェアだ。
故ランディ・ローズに対する評価が、俺が思っているのと同じで、思わずうなずきながら読んでいた。

ただ、MOTORHEAD結成に1枚噛み、初期の作詞も手掛けた旧友ミック・ファレンについて一言も言及がないのは不思議な気もする。
ミックの『アナキストに煙草を』(https://lsdblog.seesaa.net/article/201607article_87.html)にはレミーも出てくるのにな。

ところで原書は2002年で話が終わっている。
その後の13年分はどうするの、と思ったら、日本語版にはそれ以降のレミーについて書かれた補章が。
執筆はこのブログでも著書(電子書籍)を紹介したMOTORHEADフリーク・長谷川修平。


MOTORHEADが、レミーが好きなら、必携・必読の1冊。
もちろんそれ以外の人にも。
それにしてもレミー、今年で70歳か…。


追記:
今となっては、レミーの生前に訳書が出て本当に良かったと思う。

(2024.8.2.)

電子書籍『ヘヴィメタルの悪魔的動物誌:ヨーロッパの装飾文化とフォークロアから読み解く音楽文化』

ヘヴィメタルの悪魔的動物誌.jpgへヴィ・メタルのサウンドやファッションを文化論として研究する男・長谷川修平…による、3冊目の電子書籍。
長谷川が、在籍中である鶴見大学大学院で発表した論文をベースにしている。

今回は、へヴィ・メタルのアルバム・ジャケットやアートワークに登場する動物に注目し、へヴィ・メタルのミュージシャンたちが何故ジャケットなどにそれらの動物をアイコンとして用いるのか、ということについて、欧米文化の歴史的背景に着目しながら解き明かしていく、というモノ。
論考の対象として取り上げられているのは、ドラゴン、蛇、狼、サソリ、鷲、コウモリ。

その中でドラゴン(竜/龍)だけが実在の動物ではなく架空の生物だが。
では何故ワニやオオトカゲといった実在の大型爬虫類、あるいは鮫などではなくドラゴンでなくてはならないのか?
東洋における龍が一般に“神獣”であるのに対して、欧米では何故ドラゴンが邪悪の象徴であるのか?
そういったことが、キリスト教の伝播に伴うヨーロッパ社会の文化的な変容と絡めて語られる。
そして、キリスト教的価値観に縛られた欧米の文化の中で、へヴィ・メタルに代表されるアウトサイダー(本文中では“ワンパーセンター”)たちがメインストリームから忌み嫌われる動物たちをシンボルとした理由も。

へヴィ・メタルが動物やモンスターをシンボルとすることが多いのに対して、パンクはそうでもない。
パンクは“反社会的”であるが故に、却ってリアルタイムな社会状況と密接になる。
一方のへヴィ・メタルは“非社会的”。
故にテーマがファンタジックであったりもするが、演奏している側にとってはそれこそがリアルであり、ファンにとってもへヴィ・メタルを聴く自分、ライヴに行く自分こそがリアル。
週末のリアルのために、彼らは味気ない労働のウィークデイをやり過ごせる。
そのような視点に立つ長谷川修平は、現実のどうにもならなさが地獄として存在し、週末のライヴはイノヴェーションのないただのガス抜き…と論じたかつての渋谷陽一の名言(?)“明日は地獄のハードロック衝動”に真っ向から立ち向かっていると言ってもイイだろう。

学究肌のおたく的な論考ではない。
MOTORHEAD好きが昂じたばっかりに、ついうっかり深みにハマってしまったロック兄ちゃんの論文だ。
グループゼロからの発売(100円!)。


(2024.7.8.改訂)