[原作]西尾雄太・室井大資/[作画]マツダユカ『世界の終わりの洋裁店』2

世界の終わりの洋裁店2.jpg9月末に発売されていたのに、忙しくて本屋に行く時間が取れず。
結局1ヵ月以上経ってからAmazonで注文。
(お店で買えるモノは極力お店で買う主義なのだが…)

ともあれ西尾雄太・室井大資・マツダユカの3人による”終わってしまった世界”の物語・第2巻。
第8話~第15話までが収録されている。


終わった世界でも、人は服を纏い、生きていく。
汚れを落とす洗剤、絆を結ぶ結婚指輪、取り外せる襟の工夫。
そして、人と共に育つ服。
変わってしまった世界で、変わらずに残るもの。
それは、人と人のあいだにある、優しくて切実な物語。
(単行本裏表紙より)


洗剤の材料になるムクロジの実を求めて、主人公・こうたは鈴木さんと森に入り。
服とは関係ないはずの結婚指輪のために奔走し。
冬の海の寒さから身を守るべく、上着に魚の脂を塗りたくる。
(臭い)
死人(しびと)に囲まれて暮らすN県S地区という小さなコミュニティの中(時に外)で。
そのような暮らしの中で、人にとって服とは何なのかという問い、そして終わってしまった世界でも続いていく人々の営みが綴られる。


かつての日々には戻れない。
でも、人は”服と共に生きていく”
(単行本帯より)


そして終わってしまった世界でも、人は人と生きていく。
こうたは取り外し可能な襟”デタッチャブルカラー”を作りながら、死人になってしまった師・玄田さんや道具を調達してくれたりあ(猟友会員で便利屋)を思い浮かべ、「―また助けられてる」と実感を強くする。

1巻同様、単行本化にあたってかなりの修正が施されている。
(背景まるっと差し替えられているような箇所もアリ)
連載で読んでいる人はよく見てみると良いだろう。


ところでその連載だが。
第16話以降、室井大資が原作から外れてしまった。
以降の話も読み続けているものの、このブログでこの作品について言及するのはコレが最後になるかも知れない。

『世界の終わりの洋裁店』第13話・第14話とビッグコミックオリジナル16号

ビッグコミックオリジナル.jpgはい、いろいろあって1話飛ばしてましたが。
(忘れてたんじゃないんですよ、いろいろあったんですよ先月…)
『世界の終わりの洋裁店』最新話、昨日発売のビッグコミックオリジナルに載ってます。

N県S地区の人たちは、基本フェンスの中に閉じこもって暮らしているのかと思ったら。
”武装バス”に乗って離れた港町・K地区に行くこともあるのね。
(抽選制で、そのバスにはめったに乗れないが)

で、K地区に出かけた主人公・こうたと、N地区副区長のドラ息子(?)・照男。
照男はS地区には存在しない賭場に行き、たちまち(文字通り)身ぐるみはがされ。

そしてこうたと照男は、港で謎の隻眼の老人・松中に会う。
松中曰く、沖合で円環状に漂流し続けている大型フェリーがあり、そこにはお宝があるはず、という。
その話に乗った照男と、半ば無理矢理引っ張り込まれたこうた…というのが、前回・第13話。


で、第14話。
今回登場するのは”オイルドジャケット”。
ふーむ、そういうモノがあるのか。
ってかこういう服飾関係のうんちくは、原作二人のどちらが仕入れてくるのだろうか。
(西尾雄太の方ではないかという気がする)

ともあれ(腐りかけの)魚の油を塗り込んだ(生臭い)オイルドジャケットもどきを着て冬の海に乗り出したこうたたちに危機が…。
さあどうなるか。
ここまでのこの作品の作風からして、骨折り損のくたびれ儲けみたいな気がするぞ。


ところで単行本第1巻は第7話まで収録されていた。
第2巻は8月末頃発売予定とアナウンスされていたけど、第15話くらいまで収録して9月ぐらいに発売かな。


他の作品も読んでますよ。
太田垣康男のシリーズ連載『マンマ・ミーア』は毎回面白いね。
(今回は途中で筋が読めたけど、それでも最後はちょっと泣けた)
あと『サテンdeサザン』の渋谷直角って、女の子の絵柄がちょっとロクニシコージに似てない?
(ロクニシコージを覚えている人が何人いるか知らんが…)

『世界の終わりの洋裁店』第12話

世界の終わりの洋裁店.jfifビッグコミックオリジナル、最新号は20日から発売中。
『世界の終わりの洋裁店』ももう12話。

前回一網打尽にされた子供の”山賊”の世話と懐柔(?)を任された主人公・こうた。
(猟友会のりあも再登場)
一味の中に学ランを着ている子どもがいることに気付いたこうたは、それをとっかかりに子供たちの懐に入り込もうとする。

それにしても。
「ボクはさっきうんこしてから手を洗ってないぞー!」って、野育ちの子供たちに利くかしら、と思わないでもない。
水道の水なんぞとは基本無縁だったであろう子供たちの衛生状態や衛生観念とか、どんな感じかしら、って。

ともあれ。
死人が跋扈する世界で10年前に死にかけていたこうたは玄田さんに救われ。
10年後の今、こうたは想う。
「中にはヤな人がいる現実をねじ曲げることはできないけど、玄田さんがしてくれたみたいなことをこの子らにしてあげられたらベスト」
真摯な気持ちは伝わるモノ、そしてまた次の世代につながっていくモノ、と信じたい。

前回以降、N県S地区以外にも近隣に幾つかの”コミューン”が存在し、中には定住出来ていない者も少なからず存在することが明らかになってきている。
今後そのような外部の人が登場することは増えるのかも知れない。

前回はトレンチコートのお話。
今回は学ランのお話でした。
次回はどんな衣服について語られるかな。
それらも含め楽しみにしていよう。

『世界の終わりの洋裁店』第11話

世界の終わりの洋裁店.jfif昨日発売のビッグコミックオリジナル。
『世界の終わりの洋裁店』、久々の掲載。
待ってました。

養豚場「畠中ファーム」で勃発したキャトル・ミューティレーション(?)案件。
(養豚場はS地区の外にある)
豚を殺したのは死人かそれとも宇宙人か…?

世界が終わってしまってから10年。
S地区で服のことを引き受けているのは「玄田洋裁店」だけで、縫製工場の類は存在しないらしい。
何しろ新しい布がもうほとんど手に入らない。
(それをどうにかしようとして、第1話で玄田さんは死人に襲われてしまった)

なるほど、玄田さんは布の代わりに家畜の皮革を使おうとしていたのか。
で、ネタバレになるから後半の詳細は書かないけど。
新キャラ、群れで(?)登場。

そうか、終わってしまった世界で、みんながみんなフェンスに囲まれた集落で暮らしているワケじゃないんだな。
地域によってはマッドマックス的な世界もあるかも知れんのか(?)。

ともあれ国家も県もへったくれもなくなった近未来、それでも続く人々の営み…を描く試みは続く。


あ、関係ないけど、明日は「SCREAM & SOUNDZ」@西荻窪PitBar、明後日は「IGGY POP FAN CLUB NAKED」@渋谷Edge Endです。
仕事ヤバくなってきましたが、とりあえず週末は楽しくやります。

『世界の終わりの洋裁店』第10話

世界の終わりの洋裁店.jfif昨日発売のビッグコミックオリジナルに載った、記念すべき第10話。

第5話~第7話に登場した猟友会メンバーの”りあ”が、もうひとつの仕事である”便利屋”として再登場。
主人公・こうたに頼まれた仕事をする立場のせいもあってか、ケンがない感じになっている。
(それはそれで良い)

…で、お話自体は、多分ここまでの物語でほとんど初めて、”死人が跋扈する、終わってしまった世界”とあまり関係ないストーリー。
でも怖い(笑)。
”色々なことを忘れて行ってしまう疾患”のお父さんがほとんど死人…。
(”認知症”としないのは、敢えてだろう)

西尾雄太・室井大資の共同原作で、マツダユカが作画のこの漫画。
今回のお話、誰が主導…?
(いろいろな意味で、随所に室井テイストが横溢しているが)

”終わってしまった世界”がまったく意識されないワケではない。
むしろ、こうたは死人になってしまった師・玄田さんのことを、ここで改めて思い起こすことになる。
(そしてちょっと真剣な表情を見せる)
あと、これまでのお話の舞台だったS地区ではない”下の町”の存在が示唆される。

そしてこうたは、りあのことも含めて想う。
”また助けられてる”
そう、終わっていてもそうでなくても、人間は一人では生きていけない。
人の間と書いて人間。


『世界の終わりの洋裁店』、まだ読んでなくて興味がある人は、単行本も出ているので(https://lsdblog.seesaa.net/article/513417979.html)、是非読んでみてください。
おススメです。

『世界の終わりの洋裁店』第9話とビッグコミックオリジナル

ビッグコミックオリジナル.jpg先日単行本の第1集(https://lsdblog.seesaa.net/article/513417979.html)を紹介したばかりの『世界の終わりの洋裁店』だが。
昨日発売のビッグコミックオリジナルに最新話掲載されました。
(原作・室井大資の健康問題は如何に…)

今までとちょっと違ったテイスト。
でもコレがまた良い。
西尾雄太主導だったのかな?
服屋とは関係なさそうな依頼に、一生懸命工夫するこうた。
そして第2話で強烈な印象を残した鉄工所の麻衣さん再び登場。


で、今回のビッグコミックオリジナル。
吉田戦車の新連載スタート。
(基本今までと同じ路線)
高橋留美子の読み切りもアリ。

読み切りと言えば太田垣康男の「異界博物館」も楽しかった。
うわあ、あの人H.P.ラヴクラフト好きだったんかい。

あと前号から柳沢きみお『大市民』の新シリーズが始まったと思ったら。
あの「美味し!」の山形鐘一郎先生が大腸癌ですって…。
(作者の経験を反映しているのだろうか…)

そして『三丁目の夕日』にマジックマッシュルーム…。

[原作]西尾雄太・室井大資/[作画]マツダユカ『世界の終わりの洋裁店』1

世界の終わりの洋裁店1.jpg先月28日発売だったが、地元の本屋に見当たらず。
『まりあず-Revenge of Rock'n'Roll Sisters』(https://lsdblog.seesaa.net/article/504921081.html)同様、新宿の紀伊国屋書店でゲット。
(新刊のコーナーに1冊だけあった)
西尾雄太・室井大資・マツダユカという旬の漫画家3人が原作と作画で手を組んだ作品、初の単行本。

第1話から第7話まで収録。
掲載誌が近所の本屋に全く見当たらなかった『まりあず』と違って、ビッグコミックオリジナルでの連載開始以来このブログでも逐一紹介してきた作品なので、あらすじその他は断固として省略。
(ブログの過去記事を参照してください)


たとえ世界が終わっても、人は死ぬまで生きていく。
衣・食・住。
その最初に来る”服”とは、人にとってどんな意味があるのか?
飽食の時代の命題。
その答えの一つが、ここにある―
(単行本裏表紙より)


服とは人にとって何なのか。
それを改めて問い直すために、既製の服がおいそれとは手に入れられなくなってしまった”終わってしまった世界”が舞台として設定されている。
しかし、作品に込められたモノはそれだけではない。

終わってしまった世界で3人の子どもを産んだ麻衣は「—でもさ、じゃねえと、光がないんだわ」と語る(第2話)。
負傷して戦えなくなったことで自死を思う猟友会員りあに、どんちゃんは「役に立てなきゃ死ぬほうがマシ—なんてこと、ないと思うぜ」と声をかける(第7話)。
そして主人公・こうたは「小さくても誰かに寄り添い誰かの救いになる仕事をする。そうすれば自分も救われるかもしれない」と心を決め、テーラーの仕事に向き合っていく(第4話)。
S地区のファッション番長・照男を含め、誰もが終わってしまった世界でそれぞれの光を求めながら暮らしている。

ゾンビが跋扈する世界、という設定に反するかのように、派手さはあまりない作品。
しかしウェルメイドなよく出来た物語。
単行本化に際して修正された幾つかの箇所も興味深い。
そして今後も非常に楽しみ。


…と思ったところに、原作の片翼・室井大資の健康の問題が聞こえてきているのだが…。
(ビッグコミックオリジナル最新号でも休載だったし)

『世界の終わりの洋裁店』第8話

世界の終わりの洋裁店.jfif前号までの緊迫感ある展開から、1話完結に戻った第8話。
(緊迫感は多少ある)

死人が跋扈し、世界が終わってしまった10年前から、主人公・こうたたちが暮らすS地区には、外から物資が入って来ることはない。
麻衣(第2話に登場)、りあ(第5~7話に登場)などの女性キャラを見る限り、美容院やピアス屋などもまだ”生きている”ようではあるが。
しかし、洗剤やせっけんなどを工業製品として生産出来るような設備もなければ資源もない様子。
(重曹の原料って日本ではとれないのか…かんすいが手に入らないS地区ではラーメンは食べられないらしい)

そこで今回こうたは、配給制となっている”洗剤”の原料を採取する鈴木さんの元を訪れる。
今回の新キャラは鈴木さんと愛犬・カルメン。
(カルメンにおやつとして干し肉を与えるシーンがあるが、普段は犬には何を食べさせているのだろう。ドッグフードとかもないだろうな)

S地区に”純粋なペット”はいるのだろうか。
カルメンも確かにペットなのだろうが、一方で飼い主を死人から守るという役割を担う存在でもある。
猟友会の人たちが犬を使っているシーンはこれまでに出てきていないけど、猟犬はいるかも知れない。

こうたが服らしきものを手洗いしているシーンが出て来る。
電力供給が限られるS地区では、ひょっとしたらもう洗濯機は使われていないのかも知れない。
(クリーニング屋は存在するのだろうか)

日本で電気洗濯機が普及し始めたのは、1950年代に入ってからのことだという。
S地区で洗濯機が使われていないとしたら、洗濯に関してはほとんど戦前のレベルということになる。
しかし、洗濯機がなかった頃は誰もがたらいなどで洗濯をしていたのだし、炊飯器が普及する前はかまどと釜で米を炊いていたワケで。
文明の利器が次々と失われていったとしても、S地区では新しい命が生まれ、つながれていくはず。
文明の利器などなくても、人は何千年も前から生きてきたのだから。
ゆっくりと衰退していく(であろう)S地区で、それでもこうたたちは死ぬまで生きる。


『世界の終わりの洋裁店』、いよいよ今月末に単行本第1集が出るそうで。
買おう。
単行本を買ったら、部屋に積んであるビッグコミックオリジナルを捨てるのだ。

『世界の終わりの洋裁店』第7話

世界の終わりの洋裁店.jfifビッグコミックオリジナルにて好評連載中の『世界の終わりの洋裁店』、20日発売の最新号に載った第7話。
初めて1話完結ではない展開であるエピソード…の締め。

いつもピリピリしたオーラを放っている猟友会メンバー”りあ”の過去が描かれる。
おーっと。
そう来たか。

ってか、りあの亡くなった彼氏(美大志望)が聴いてたの、CRASSかよ。
いやマジで、そう来たか。

コレは誰が…?
まさか室井大資ではあるまい。
するともう一人の原作者・西尾雄太?
多分そうだろう。
…と思って調べてみたら、やはりパンクやニュー・ウェイヴが好きな人らしい。

あと、ここまで基本的にユルッとしたキャラクターだった主人公・こうたが、今回初めて怒りをあらわにする。
しかしその怒りも、命を投げ出そうとするりあに対して「どうでもよくなってる人がいると! こっちもどうでもよくなっちゃうし!」「別にたまに誰かの世話になってもいいじゃないですか!」という言葉とともに放たれる。
”終わってしまった世界”で、いや、終わってしまった世界だからこそ、誰かと一緒に、誠実にあがきながら生きていく。

りあはこうたに告げる。
「―別に、どうでもいいわけじゃないよ」
そして彼女は、理不尽な世界に対する怒りを原動力として生きていくのだろう。


…で、そんなお話の中にしょーもない(?)ギャグが入ってんのな(笑)。
今後がますます楽しみな一作です。

『世界の終わりの洋裁店』第6話

世界の終わりの洋裁店.jfifはい、本日発売の「ビッグコミックオリジナル」、さっき買ってきました。
『世界の終わりの洋裁店』、第6話掲載。

第4話まで1話完結で、終わってしまった世界でもそれなりにほのぼの(?)やっていたのに、いきなり緊迫の展開になってしまった。
猟友会メンバー”りあちゃん”が”死人”に脚を折られ。
(俺は昔足首を骨折したことがあるのだが、脛の解放骨折って、どれだけの激痛かと…)
そこに”市民ランナー”風の(?)新たな死人が登場。
(そういや『アイアムアヒーロー』にも高跳び選手みたいなゾンビが出てきたなあ)
こうたたちの運命やいかに…?

緊迫するお話の中にも例によって脱力系の台詞があり。
一方で動けなくなったことで自死を考えるりあちゃんに、どんちゃんは「役に立てなきゃ死ぬ方がマシ―なんてこと、ないと思うぜ」と声をかける。

そうなのだ。
死人が跋扈する、死が常に身近にある作品中の世界だけの話ではない。
役に立てなければ生きている価値がないなどというのは、クズどもの言う”生産性”に絡めとられることだ。
そもそも人間は、役に立つために生まれてくるのではない。
役に立とうが立つまいが、生は肯定されるモノだ。
そして、本当に”役に立たない”人間など、そう滅多にいるモノではない。
(害をなす人間は確かにいるけどね。N党の立花某とか)

ともあれどうなる。
西尾雄太・室井大資(原作)とマツダユカ(作画)のトリオは、何を見せてくれるだろうか。
(ところでギャラを3人で分けると実入りが少なそうだな…)