
なんか『鬼滅の刃』(読んでない)の作者が女性らしいということで話題になってるみたいなんだけど、女性だとなんか問題あるの?
ちなみに俺が一番好きな女性の漫画家は、ダントツで速星七生です。
…と言っても誰も覚えてないだろうなあ、とか思ったんだけど、改めてネットを見ると今でも評価している人がけっこういて、Wikipediaにもちゃんと載ってるのね。
このブログを始めて間もない頃、いつか速星七生のことを書く、必ず書く…とか言ったのに、気が付いたら10年ぐらい経っていた。
(光陰矢の如し)
速星七生が初の連載『たいした問題じゃない』を手掛けていたのは1981年夏~82年春にかけてのこと。
もう40年近く前の話なので、記憶がまるであいまいで、てっきり「マンガ少年」に載っていたとばかり思っていたのだが、改めて単行本の目次のところを見たら、マンガ少年ではなく後継誌の「月刊DUO」だった…ということに改めて気付いたのが10年近く前。
マンガ少年を読んでますむらひろしや高橋葉介を知り、それまで読んでいた漫画とは異なる世界に触れて人生が曲がり。
月刊DUO(少年誌でも少女誌でもない独自の路線を狙っていたようだが、続かなかったなあ)で坂田靖子やさべあのまを知って、自分の漫画に対する認識が更に拡張することになる。
そんな影響源の一人が、速星七生だったワケだ。
とにかく面白かったのだ、速星七生。
丸っこい独特の絵柄に、ブラックユーモアたっぷりの作風。
そしてコメディでありながら、謎とどんでん返しが続くミステリアスな展開に、見事なオチの付け方。
しかし『たいした問題じゃない』は全7話。
月刊DUOが隔月刊の「デュオ」にリニューアルするまでの、半年余りの連載だった。
(もっと長いと思っていたが…子供の頃の時間の感覚って、ホントに大人になってからと違うよな)
速星七生はリニューアル後のデュオでも『ナナオの症候群(名探偵テームズ)』を連載していたものの、続く『聖者の行進』が未完のまま、デュオは85年春に休刊。
以後、速星七生の名を見かけることはなくなり。
俺は当時速星七生の単行本を、持っていなかった。
(何処でも見かけたことがなかったし、取り寄せて買うなんて発想も当時はなかった)
今手元にある『たいした問題じゃない』『ナナオの症候群』単行本は、90年代に友人が古本で入手してプレゼントしてくれたモノだ。
『たいした問題じゃない』連載当時まだロックを聴いていなかった俺が、今になって速星七生作品を読み返すと、彼女の英国文化や推理小説に対する深い造詣と共に、やはりというかロック好きな一面が随所で顔を出していることに気が付く。
(『たいした問題じゃない』』での「私はリチャード」「私はワッツ」「私はワイマン」「私はエマソン」「私はパーマー」なんてセリフはモロだ。そもそも当時は青池保子をはじめとして、ロック趣味を作品に反映させる漫画家は男性より女性に多かった)
改めて読んでもやっぱりとても面白い。
これまた随分前のことになるが、速星七生本人がネット上でコメントしているのを見た時には驚いたモノだった。
曰く、当時公立高校の教員と掛け持ちで漫画を描いていて(もちろん本来副業禁止だ)、それもあってデュオが休刊になったのを機に漫画家をやめてしまったとのこと。
デビュー当時は大学4年生だったそうなので、現在はもう還暦を過ぎていることになる。
定年退職してまた漫画を…なんてことはまずないだろうとは思うものの、ともあれ彼女の単行本は俺が死ぬまで我が家の本棚にあり続けるだろう。
(レコードも本も、俺の死後廃棄されず適切に売却なりなんなりされるよう、遺言でも書いておくべきかもなあ)
そして、マンガ少年~デュオどころか、それらを刊行していた朝日ソノラマ自体が10年以上前に消滅している。
万物流転。
(2025.12.22.改訂)