S口あきら『Uglyppina』第11話

Uglyppina.jpg秘密の錯乱棒のヴォーカリスト・S口あきらが集英社”ジャンプルーキー!”で連載する『Uglyppina』…ってかやべえ、昨年夏に第8話を紹介(https://lsdblog.seesaa.net/article/202208article_25.html)してから、9話と10話すっ飛ばしてましたわ…。
もう11話。
10話からようやく(?)バンド漫画っぽくなってきたところだったですよ…。

https://rookie.shonenjump.com/series/X1vJnKZU_AQ/EmTZ65sKaOM

虎埼香里奈を擁するUglyppinaと、レイナ率いるFLY GALS/DEMONIAXEの対決は避け難いモノとなり(第9話)。
第10話ではUglyppinaが八杏学園にトラックで乗り込み、音によるバトル開始。
しかしもっぱら打ち込みとギターを得意としていたはずの八杏の”姫”・ミューマが何故かFLY GALSでドラムを…と思ったら偽者?

そして第11話。
FLY GALSとの音による凄絶なバトルの中で精神にダメージを受けて倒れるUglyppinaヴォーカル・雀良ひかり。
しかしここで、今までもうひとつよくわからなかったUglyppinaギタリスト・瀧澤竜子が大活躍し、FLY GALS/DEMONIAXEのギタリスト・エミを圧倒する。
で、喜屋武静(Uglyppinaドラム)とそのツレ・架場真友子が用意した”最終兵器”とは一体…?

…とか言っても読んでない人はさっぱりわかんないよね。
まずは読みましょう。
全話無料でアップされてるから。

https://rookie.shonenjump.com/series/X1vJnKZU_AQ

とりあえずやっとバンドが演奏する話に…。
しかし続きがどういう方向に転がるかは、わからんねえ。

山下ユタカ「逆頭(SAKA TAMA) REVERSE HEAD」

スペリオール.jpg10日発売の「ビッグコミックスペリオール」に山下ユタカの読み切りが載っている!…というのは、全国に一握りの(?)ファンの皆様には先刻御承知のことと思われ。
(もうみんな買ったでしょう?)

予告もなくいきなり載った”特別読切”。
(つまりは”代原”)
しかし、これが山下ユタカの記念すべき小学館デビューであります。
って、本人気付いてなかった…(苦笑)。
(小学館とは以前から付き合いだけは続いていて、ただ掲載に至ることは絶えてなかったというね)
ってか、山下ユタカの漫画が紙で出るのって、ひょっとして「残像のラプソディ」(2015年)以来8年ぶり…?

ずっと山下ユタカを読んでいて、noteまでチェックしているような方なら説明不要…コレはかつて「ヤングキング」に載った読み切り「DISTORTIONZ」(https://lsdblog.seesaa.net/article/201607article_1047.html)の続編であり(なんと11年ぶり…)、左利きのギタリスト・ジュンを主人公とする”ジュンのサーガ”(?)のほんのごく一部。
タカコのことを気にかけつつも、ユイちゃんというかわいい彼女と同棲して今では(一応)髪も立てていないジュンの、ひとつのエピソード。

…を、とりあえず1話完結の短編の中に上手いこと落とし込んだ、とは思う。
一方で、いやいやまだまだ、こんなもんじゃないでしょう…と思った方も少なくないのでは。
ジュンがどういう男でどういうエピソードがあるのかは、山下ユタカ本人の中にはそれこそ単行本数巻分は語るべきネタがあるはず。

個人的には…ユイの恋敵たるタカコは、どのコマでももっと完全無欠の美人さんとして描き込んで欲しかった、と思っている。
あと、最後のページのジュンの笑顔も、ユイだけじゃなく誰もが(男も)惚れるような、もっと印象的なコマに出来たのでは?…と思ったり。
しかし、「DISTORTIONZ」では基本的に単なるボンクラに見えた(?)ジュンが、ユイが惚れてタカコも気にするような、非常にイイ男であるその片鱗…は、充分に描き切っている、気がする。
(激するところがほとんどなくて穏やかな笑顔が多いのが効果的)

そして、某誌編集長が「萌えを理解していない」と断じた(笑:そりゃあなあ…)山下ユタカが描く、「DISTORTIONZ」のタカコとも『ラチェット・シティ』のマリともまったくタイプの違う新たな(って、noteとかチェックしていた人には何を今更、でしょうが)ヒロイン・ユイの、やっぱりかわいいこと。
ジュンのお話、是非続きが読みたいですね。

是非続きが読みたいですね…と思った人は、編集部にアンケート送りましょうか。
ってか「スペリオール」初めて買ったなあ…。

平和祈念展示資料館の漫画冊子

遥かなる紅い夕陽.jpg俺が初めて「平和祈念展示資料館」に行ったのは、昨年10月。
2000年に開館した頃、電車の車内吊りで水木しげるが描いた宣伝ポスターを目にしていたが。
実際に訪れるまで21年かかった。
そんな施設が都庁界隈のビル街の中にあったとは。
施設はその間に(新宿住友ビルの中で)移転とリニューアルオープンを繰り返し。
10年からは総務省委託として、国による運営となっている。
入館料は無料。
(漫画もたくさんあるよ。新宿行ったら寄ってみて)

満州や中国、朝鮮半島からの引き揚げと、ソ連によるシベリア強制抑留に関する展示が大きなテーマになっているとのことで。
”ロシア憎し”みたいなのが前面に出ていたら嫌だなあと思っていたのだが。
実際には満州国のことはきちんと”傀儡国家”と表記されているし、偏りのない展示になっていると感じた。

で、施設では2冊の漫画冊子が無料配布されている。
(是非行ってもらってきてください)
俺は昨年10月に入手していたのだが(今年に入ってからも1回行っている)、紹介まで半年以上かかってしまった。

1冊は『満州からの引揚げ 遥かなる紅い夕陽』(画像)。
2006年初版発行で、既に第14刷。
(大ベストセラーだ。無料配布だけど)
作画は『丸出だめ夫』で有名な森田拳次。
森田自身も満州からの引き揚げ者だが、この冊子では森田の経験ではなく、多くの引き揚げ者の手記を元にした物語となっている。
国策に従って満州開拓団に加わった主人公一家は戦前も戦後も辛酸をなめ尽くすものの、当地の中国人や朝鮮人にも分け隔てなく接し、ソ連軍侵攻後に中国人の張さん一家に助けられるというストーリーには救いを感じる。

もう1冊は『戦後強制抑留 シベリアからの手紙』。
2014年初版発行、第7刷。
作画は森野達弥。
全然知らない漫画家だったけど、水木しげるのアシスタントだったらしい。
そのためか、随所に登場するモロの水木タッチ。
内容は言うまでもないが、ソ連兵が点呼に手間取っているところで”ソ連兵は数を数えるのが苦手だった”というテロップには笑ってしまった。


水木しげるなど従軍経験のある人はもちろん、赤塚不二夫や古谷三敏、上田トシコなど引き揚げを経験した漫画家も大半が世を去り、ちばてつや(83歳)、七三太朗(77歳:この人は漫画原作者だが)、森田拳次(83歳)など少数が残っているばかりだ。
ってか七三太朗ってちばてつや・あきおの弟だったんか…。


(2025.1.5.改訂)

FUNDIYサービス終了

残像のラプソディ.jpg2013年に漫画専門のクラウドファンディングサイトとしてスタートしたFUNDIYが、来たる9月30日を以てサービスを終了するという。
https://news.fundiy.jp/post/622969755935064064/fundiy%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%83%93%E3%82%B9%E7%B5%82%E4%BA%86%E3%81%AE%E3%81%8A%E7%9F%A5%E3%82%89%E3%81%9B

FUNDIYと言えば2014年(もう6年も前なのか…)、KADOKAWAからの『RATCHET CITY』上下巻刊行以降ほぼ死に体と化していた(?)漫画家・山下ユタカ(このブログでは御馴染み?)に、クラウドファンディングによって(当時の)新作にして傑作「残像のラプソディ」を描かせたサイトだ。
(「残像のラプソディ」発表は15年2月)
もっとも「残像のラプソディ」は山下ユタカ復活の起爆剤となることなく(?)、その後WEB上で連載された作品『カリスマ』(16年)は5話で中断。
以後の山下ユタカはnoteで作品化以前のネームを発表しながら漫画家としての再起を期している。

ともあれ中断してしまった『カリスマ』を別とすれば、きちんとペン入れされて完結した山下ユタカ作品は、現時点で5年前の「残像のラプソディ」が最後ということになるのだ。
それを考えると、FUNDIYが果たした役割はとてつもなく大きかった。

クラウドファンディング全盛(?)の昨今…FUNDIYがサービスを終了する理由は”諸般の事情”とのこと。
そのあたりの事情については残念ながら知る由もなく。
ともあれ残念だ。


山下ユタカ本人がツイッターをはじめとする各種SNSで発信している昨今、このブログで彼について言及する機会は激減したが。
俺が彼を応援し続けていることに変わりはないし、時々会ったり飲んだりしてますよ。
まあ応援する以前に俺自身が生き残れるのかって状況ですけどね…。
みんなも生き残ろうぜ。


(2026.1.3.改訂)

Speed Star, Seven Lives

たいした問題じゃない.jpgなんか『鬼滅の刃』(読んでない)の作者が女性らしいということで話題になってるみたいなんだけど、女性だとなんか問題あるの?

ちなみに俺が一番好きな女性の漫画家は、ダントツで速星七生です。
…と言っても誰も覚えてないだろうなあ、とか思ったんだけど、改めてネットを見ると今でも評価している人がけっこういて、Wikipediaにもちゃんと載ってるのね。
このブログを始めて間もない頃、いつか速星七生のことを書く、必ず書く…とか言ったのに、気が付いたら10年ぐらい経っていた。
(光陰矢の如し)

速星七生が初の連載『たいした問題じゃない』を手掛けていたのは1981年夏~82年春にかけてのこと。
もう40年近く前の話なので、記憶がまるであいまいで、てっきり「マンガ少年」に載っていたとばかり思っていたのだが、改めて単行本の目次のところを見たら、マンガ少年ではなく後継誌の「月刊DUO」だった…ということに改めて気付いたのが10年近く前。

マンガ少年を読んでますむらひろしや高橋葉介を知り、それまで読んでいた漫画とは異なる世界に触れて人生が曲がり。
月刊DUO(少年誌でも少女誌でもない独自の路線を狙っていたようだが、続かなかったなあ)で坂田靖子やさべあのまを知って、自分の漫画に対する認識が更に拡張することになる。
そんな影響源の一人が、速星七生だったワケだ。

とにかく面白かったのだ、速星七生。
丸っこい独特の絵柄に、ブラックユーモアたっぷりの作風。
そしてコメディでありながら、謎とどんでん返しが続くミステリアスな展開に、見事なオチの付け方。

しかし『たいした問題じゃない』は全7話。
月刊DUOが隔月刊の「デュオ」にリニューアルするまでの、半年余りの連載だった。
(もっと長いと思っていたが…子供の頃の時間の感覚って、ホントに大人になってからと違うよな)
速星七生はリニューアル後のデュオでも『ナナオの症候群(名探偵テームズ)』を連載していたものの、続く『聖者の行進』が未完のまま、デュオは85年春に休刊。
以後、速星七生の名を見かけることはなくなり。

俺は当時速星七生の単行本を、持っていなかった。
(何処でも見かけたことがなかったし、取り寄せて買うなんて発想も当時はなかった)
今手元にある『たいした問題じゃない』『ナナオの症候群』単行本は、90年代に友人が古本で入手してプレゼントしてくれたモノだ。
『たいした問題じゃない』連載当時まだロックを聴いていなかった俺が、今になって速星七生作品を読み返すと、彼女の英国文化や推理小説に対する深い造詣と共に、やはりというかロック好きな一面が随所で顔を出していることに気が付く。
(『たいした問題じゃない』』での「私はリチャード」「私はワッツ」「私はワイマン」「私はエマソン」「私はパーマー」なんてセリフはモロだ。そもそも当時は青池保子をはじめとして、ロック趣味を作品に反映させる漫画家は男性より女性に多かった)
改めて読んでもやっぱりとても面白い。

これまた随分前のことになるが、速星七生本人がネット上でコメントしているのを見た時には驚いたモノだった。
曰く、当時公立高校の教員と掛け持ちで漫画を描いていて(もちろん本来副業禁止だ)、それもあってデュオが休刊になったのを機に漫画家をやめてしまったとのこと。
デビュー当時は大学4年生だったそうなので、現在はもう還暦を過ぎていることになる。
定年退職してまた漫画を…なんてことはまずないだろうとは思うものの、ともあれ彼女の単行本は俺が死ぬまで我が家の本棚にあり続けるだろう。
(レコードも本も、俺の死後廃棄されず適切に売却なりなんなりされるよう、遺言でも書いておくべきかもなあ)


そして、マンガ少年~デュオどころか、それらを刊行していた朝日ソノラマ自体が10年以上前に消滅している。
万物流転。


(2025.12.22.改訂)

浅井蓮次(原作:沢田新)『バイオレンスアクション』5

バイオレンスアクション5.jpg連載中断を挿み、第4集から約1年半ぶりとなる最新第5集。

ケイとみちたかくんが殺人猟師集団と闘う12話(の後半)がメイン。
ルルが効いて(!)風邪が治ったケイが、今回は銃なしで、手首に固定したスリングショットを中心に、跳んで殴って蹴って。

しかしケイ以上に縦横無尽の活躍を見せるのはみちたかくん。
みちたかくんの武器は、自ら“囚人倉庫”(ストレージ)に籠ることで自分を見つめ直して(?)手に入れた相棒(みちたかくん曰く“ダチ公”)“よしたか”(右手)と“きよたか”(左手)、そしてそれぞれに装着したメリケンサック。
メリケンサックを装着するためにいちいちジッパーを開いてポケットに手を突っ込み、戦闘準備万端となったところでバックに描かれるウサギ(!)。
そして「ぶちのめそうぜッ ダチ公!!」というキメ台詞と共に躍動するみちたかくん。
馬鹿だ…。
馬鹿の世界だ…。

もちろんこの馬鹿の世界を描ける人間が馬鹿のはずもなく。
(わかりづれえな)
戯画化された“バイオレンスアクション”の世界をエンターテインメントとして徹底的に描き切る。

そして、その世界を描き切るために原作者と作画担当者はアップデートを重ねている。
第4集まで、この作品をとにかく“荒唐無稽”と特徴づけてきたが、一方で12話や15話での銃の装填シーンなど、アクションの細部が連載開始当初よりもどんどんリアルになっているのは、間違いなく研究の賜物だろう。
原作者・作画担当者とも、元々銃器その他のマニアだったとは思えない。
とにかく作品の出来に奉仕するため、研鑽を続けてきたのだと思う。
現時点では一部に借り物っぽさも見え隠れしつつ、今後連載が続く中でどのように進化していくのか、楽しみにしている。

13話・14話・15話はある意味おまけ。
12話で明らかになったケイの“腐女子体質”(!)が14話で補強される一方で、13話で“カンさん”が見せる「ケイちゃんの世話を焼きてえ…………何かあげてぇ……!」という表情は、まさに原作者・沢田新(=室井大資)テイストそのもの。
浅井蓮次が室井大資に毒されているッ…!(?)
とはいえ、作画が原作者本人だったら、この漫画はこんなライトな感じの(?)傑作にはならなかったはず。

Amazonのレヴューでは早々に酷評されているが(…)、俺は支持しますよ。
(電車の中で読んだりバッグにしまったりを繰り返してたら、発売当日に帯が破れてしまった)
本日発売。


(2025.11.3.改訂)

岩明均(原作)・室井大資(漫画)『レイリ』第六巻

画像はい、『レイリ』最終巻。
あー、終わっちゃいましたよ。

最終巻、話の展開が早い。
天正10年、いよいよ武田軍と織田軍の全面衝突…と思ったら重臣の相次ぐ寝返りで、7ページでは15000人だった武田軍が2ページあとにはたちまち1000人に。
そして読み始まって最初の1話で武田信勝死んじゃうし。
まずここで泣く。
ボロボロ泣く。

1巻から5巻まで愚昧ぶりばかりが目立った武田勝頼も6巻では最期に男を見せ。
ヘタレだった孫次も覚悟を決める。
そして武田信勝の影武者の任を解かれたレイリに訪れる、師・土屋惣三との別れ。
ここでまた泣く。

誰よりも死にたがりのやけっぱち狂戦士だったはずのレイリを残し、主要登場人物のほとんどが先に逝ってしまう。
残されたレイリは、最後の“けじめ”のために再び刀を手に。

岩明均の作劇は最後まで冴える。
史実の中で詳細が明らかになっていない部分を上手く利用して、自分の色を加え、オチを付ける。
そしてその物語を活写する室井大資の作画。
18歳となったレイリの瞳にかつての暗い影はなく。
(それにしてもその瞳があまりに雄弁に物語る怒りや悲しみよ)
膝をついたままでの立ち回りや、穴山玄蕃一行をたちまち切り伏せるシーンでのシンプルな(あるいは、いかにもシンプルに見せる)まとめ方もナイス。
最終話、24歳になったレイリの女っぷりも実にイイ感じ。
(ラストシーンでまた意味なく泣ける)

で、6巻の帯コピーが“たとえ胸の傷が痛んでも”ですってよ。
アンパンマンか!
今世紀初頭に開始されたという岩明均のシナリオ執筆が完了したのが、東日本大震災から2年後の2013年。
“たとえ胸の傷が痛んでも”という言葉は6巻になっていきなりとってつけたワケではなく、最初から作品の世界観に織り込まれていたモノらしい。
震災直後にラジオやあちこちで流れまくったあの歌。
それはつまり、とてもシンプルに、押しつけがましくもなんともなく“生きろ”という。

5巻を紹介した時にも書いたが、この作品、絶望している人や、大きな絶望を経験したことのある人にはとても響くと思う。
もちろんそうでない人にも。
いやあ、面白かったな。
岩明均・室井大資の両氏には今後も活躍していただきたいと願う。


『レイリ』第六巻、本日発売。


(2025.8.20.改訂)

「パチスロパニック7 万枚くんMIX」

画像パチスロなんてまったくやらないしわからないのに、5年半ぶりにパチスロ漫画誌買っちゃったよ。
税抜777円?
たっかあ。
あ、DVD付いてんのか。
ってか観ないし…。

『ガガガガ』他で知られる山下ユタカと『DJ道』のムラマツヒロキには共通点がある。
どっちもパチスロ漫画誌で描いたことがある、という。
もっとも山下は読み切り2本。
対するムラマツは長いこと連載を持っていた。

で、『DJ道』でブレイクした(したんだよね?)DJ漫画家ムラマツヒロキ先生が久しぶりにパチスロ漫画誌で読み切りを描いたというので、買ってみましたよ。
相変わらず似たような誌名の雑誌多くてよくわかんない。
近所のセブンイレブンに売ってないし…。
ともあれデイリーヤマザキでゲット。

で、『DJムラマツのパチスロ道』。
やっぱりこの方向性なのか!(笑)
『DJ道』といい『DJメシ』といい、自分を狂言回し(あるいは主役)として切り売りしながら、何処まで行くのかこの男。
ともあれパチスロとクラブ通いが大好きな派遣社員・京藻桶羅子(きょうもおけらこ)が顔馴染みのDJ・ムラマツに導かれて“万枚”を目指す…というお話。
パチスロをまったく知らない俺には、正直言って内容はよくわからない(苦笑)。
料理を強引に音楽に結び付けて語ることが度々の『DJメシ』と違い、てっとり早く万枚を狙うにはどうするのが近道かというネタをピンポイントで、10ページという短い尺でまとめている。
例によって女の子は妙にかわいい(笑)。

そもそも“万枚”ってのが何かも知らなかったんだけど、文字通りパチスロでコインを1万枚以上出すことなんですってね。
この本はタイトル通り、まるまる1冊、万枚達成をテーマにしているというワケだ。
ってかタイトルになってる『万枚くん』の作者って、『ぞうさん家族』のサマンサ三吉じゃないか。
今こういう仕事してるんだー。


山下ユタカが以前描いていた『必勝パチスロ7』に較べると、全体的に絵の下手な漫画家が多くてつらい。
(扱ってるジャンルに興味がなくても、絵と作劇が上手ければ面白く読めたりするからね)
それにしても、巻末とかに載ってるエロ系の広告を見て本当に電話する人っているんだろうか…。


(2025.7.23.改訂)

岩明均(原作)・室井大資(漫画)『レイリ』第五巻

画像1年も待たされた『レイリ』最新巻。
(室井先生、頼んますよ…)

織田徳川連合軍に完全包囲された高天神城。
レイリの提案に従い、城兵たちは若い者たちを脱出させるための決死の策に打って出る。
城主・岡部丹波守らが陽動のために出陣する傍ら、レイリは切り立った尾根の細道「犬戻り猿戻り」で独り鬼神の奮闘を見せ、年若い城兵たちを脱出させるための時間を稼ぐ。

レイリが心酔し敬愛し続けた岡部丹波守は、第五巻で遂に退場となる。
その死に様は描かれない。
上品な作劇だと思った。
しかし本当にそうだろうか。
丹波守は死んだ。
「動かなくなった多くの何か」の中の肉塊のひとつとして。
それが示唆されるだけでも、十分に残虐な描写、なのかも知れない、とも思う。

レイリは第三巻ほど縦横無尽に暴れまわるワケでもなく。
(戦闘シーンは前半の80ページ余り。そのうち30ページ近くは敗走の模様が描かれる。とはいえレイリの奮戦ぶりは圧巻だが)
第四巻ほど泣かせに泣かせるワケでもなく。
地味と言えば地味かも知れない。

しかし。
第五巻ではレイリの心境の大きな変化が余すところなく描かれている。
「死にたがり」の狂戦士ではなくなったレイリの心境が。
「人をいとおしむ思いとは、自らをいとおしんでこそ生まれるのです」「何よりも、わたしが自分の命を邪険にしたのでは、わたしをいとおしんでくれたみんなに顔向けができぬ!」「だからもう死にたいとは思わない」「思ってはいけない」
ああ、やっぱり泣けるわあ。

例えば、今現在絶望の淵にあって、死ぬことしか考えられないような人がいたとして、レイリの言葉がどれほど響くかはわからない。
でも、一度でも死を想ったことがあって、その上で自分を大切に思ってくれる周りの人たちを思い出し、結局苦しくとも生き永らえているような人…そんな人は、第五巻のレイリの言葉に泣きながらうなずくのでは。

岩明均の作劇もさることながら、登場人物の心情を生き生きと活写する室井大資の手腕はもっともっと評価されるべきだと思う。
そして物語はいよいよ天正10年。
史実では武田家滅亡。
武田信勝も土屋惣三も死ぬことになっている。
その彼らがどのように生きるのか。
どのように死ぬのかではなく、それまでをどのように生きるのか。
第六巻が楽しみで仕方ない。


『レイリ』第五巻、8日より絶賛発売中。


(2025.7.4.改訂)

ムラマツヒロキ『DJ道』

画像秋田書店のサイト「チャンピオンクロス」で連載され、この4月に終了したムラマツヒロキ『DJ道』。
めでたく単行本化されました。

テーマがDJ…なんというかサブカル寄り(?)だし、ヴィレッジヴァンガードとか行かないと売ってないかなあ、と思ってたんだけど。
そこらへんのTSUTAYAでガッツリ平積みじゃないですか!
ムラマツ先生、遂に大ブレイク?
ってか駅の構内の小さい本屋とかでも平積みになってたぞ。
何部刷ったんだ?

ともあれ。
アニソンぐらいしか縁のなかったヘタレのニート青年・道雄が、恋していた幼馴染をカリスマDJにかっさらわれたことから始まって、ズブズブの(?)DJ道を歩んでいくというお話。
主人公が道雄でヒロインが涼子。
ロゴのデザインなど含めて、藤子不二雄『まんが道』のパロディとかオマージュ感が満載。
仲間のDJがみんな同じアパートに住んでるって…それはトキワ荘じゃないですか(笑)。

一方で、アイドルにアニソンにロックにヒップホップにイージーリスニングに童謡…と、随所で登場する音楽関係の小ネタ。
DJにして漫画家、というムラマツヒロキでないと描けない作品だろう。
ひねり加減もお見事。
帯とカバーを外すと、表紙と裏表紙には各話で道雄が回したセットリストがきちんと書いてあって(!)、光GENKIとか工藤静子とかシシリア・ポールとか森田千里とかRADWINGSとかCRサクセションとか…。

お話自体はかなり荒唐無稽ながら、それだけに笑える要素たんまりで、しかも宣伝コピーにもあるとおり、実践的なDJのノウハウがかなりきちんと紹介されている。
俺みたいに、DJとか言いながらスキル皆無、ピッチを合わせたり曲をきれいにつないだりなんてことをしない(出来ない)モグリでも、読んでいてうなずかされるところや参考になるところがたくさんあった。
いわゆるテクニック的な部分以外でも、かなり示唆に富んでいる。
機材に触る前に“いかにもDJっぽい格好”をするところから入るとか(笑)。
ピッチが合わなくても選曲次第でグルーヴは作れるとか。
前のDJの方向性から無理なくつないで盛り上げるとか。
(コレ昔「SOUND CAFE」で俺の後に出た魅惑のクニオ♂がやってて度肝を抜かれたことがあった)
フロアの“キーパーソン”を狙った選曲で盛り上げるとか。
(コレは俺も実際参考にした)
前にも書いたけど、DJ初心者だけじゃなく、なんとなくでDJ続けてるような人にも目から鱗な部分がけっこうあるのでは。

それにしてもアレだ、作中に登場するアイドルグループHosiccoって、Negiccoあたりにひっかけたんだろうけど、頭の“H”をとったら“おしっこ”だなあとか。
山根デビルブラザーズの3人目・影鬼見てると岡田ユキオ『THE 13TH STREET レイディオクラブ』の某キャラを思い出すなあとか。

ともあれ秋田書店、この作品をかなり気合入れてプッシュ。
帯の推薦コメントは大貫憲章・小西康陽・常盤響という超豪華な3人で、小西氏に至っては巻末に「『DJ道』とムラマツくん」というコラムまで寄せていたり。
そして書店では平積み。
ムラマツ先生、大ブレイクを果たすのか?
激モテになるのか?


『DJ道』、20日より発売中。
続編にも期待したいね。


(2025.5.12.改訂)